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RPA使用による請求書作成業務の自動化

2018.11.01

目次

  1. 案件リストの準備
  2. クライアント毎の請求書作り
  3. 応用編〜案件リストに全て情報を盛り込む必要はない〜
  4. 期待できる効果
  5. まとめ

 

 

 

 

今回の記事では、実際のところ、

RPAを使ってどのような業務がどのように変化するのかを具体的にお伝えしたいと思います。

 

サンプルとして、請求書作成業務をRPAにより自動化させる方法を簡単にご説明します。

 

請求書作成業務であれば、会社や業種が違っていても共通する部分が多くあるため参考にしていただけたら幸いです。

 

*弊社ではRPAはWinactorを使用しているため、この記事ではRPA=Winactorの意味になります。

 

 

 

RPAで自動化するという目線で請求書作成業務の特徴を見ていきます。

  • クライアントにより請求項目と料金体型が異なる
  • クライアントにより請求書のフォーマットを指定される場合がある

 

 

上記の点を踏まえてシナリオの作成をしなければなりません。では、どのようにすれば良いのでしょうか。

 

プログラミングの知識がない筆者(事務員)でもできる方法で紹介します。

「これならうちの社員でもシナリオを作成できる!」という目線で見ていただけたら嬉しいです。

 

 

 

1.案件リストの準備

まず、案件のリストを準備します。

エクセルのリストが一番使いやすく、エラーが起きにくいです。

(エクセルはセルの位置が指定ができるため、正確にデータを取ることできます)

 

独自のシステムを使って管理している会社も多いと思いますが、

そのままのリストを使用する場合は、データ(数値)をRPAが認識できることが条件となります。

 

 

認識とは、簡単に言い換えると、データをコピーペーストできるかということです。

 

独自システムで管理しているリストをCSV変換するのでももちろん大丈夫です。

 

 

新しくリストを作成する必要はありません。現在使用している案件リストを利用しましょう。

 

あくまでも、業務効率化がRPAの使命です。

 

ここでは、表1のような簡易なエクセルを使って説明します。

 

 

 

上記のような案件リストがあるとします。

赤字部分の請求日・請求書OKマーク・済マークの列が重要となりますので、お持ちの案件リストに追加してください。

使い方は、請求書を作成したいときに「請求日」を入力し、「請求書OKマーク」にOKと入力するだけです。

 

 

あとは、RPAが自動で「請求書OKマーク」の列に「OK」が入力されていて、かつ、

「済マーク」の列が空欄の案件を抽出して請求書を作成します。

 

 

ここでは、会社整理番号で言うと、A003、A005、A006が該当することになります。

最後、請求書を出力するところまで自動でやってくれます。

(出力の必要がない場合は、特定のフォルダへデータを保存することも、もちろん可能です)

 

 

そして、作業が完了すると、済マークの列に「済」と自動で入力し、エクセルを閉じます。

 

RPA上のシナリオは下記のようになります、簡単ですね(図1)。

 

 

 

 

 

2.クライアント毎の請求書作り

エクセルの使い方は分かっていただけたかと思いますが、

一つの案件リストで複数のクライアント宛の請求書は作れるのか?という部分を説明していきたいと思います。

 

複数のクライアントを管理する場合も、シナリオは1つだけ作成すれば良いのです。

 

 

 

例えば、クライアント毎で異なるフォーマットを使用し請求書を作成したいとします。

 

この時、シナリオ上は「分岐」という道具を使います。

「分岐」とは、条件式を設定できるパーツです。

例えば、エクセルの「クライアント名」のセルが「あ」のときは、

一番左側のルート(図2)に進むというように設定をすることができます。

 

 

この機能を使って、一つのシナリオ内で複数の条件を指定することによって、

無数に進むルートを枝分かれさせることができるのです。

 

 

 

 

枝分かれさせた後、請求書へどのように反映されるかというと、下の図3をご参照ください。

青い枠の中の情報は、案件リストに入力していた項目になりますので、

シナリオを実行することで、自動でクライアント名や請求日を変更してくれます。

 

また、請求項目・数量・単価等もあらかじめ案件リストに入力しておけば自動で変更が可能となります。

 

 

つまり、どこの情報でもRPAに情報を読ませておけば自動で変更可能となるのです。

 

そして、人間の仕事は出力された(または保存された)請求書を確認すれば良いだけになるのです。

 

 

 

 

 

 

3.応用編〜案件リストに全て情報を盛り込む必要はない〜

案件リストに必要な情報を入力していれば、請求書に反映してくれることは分かっていただけたと思いますが、

実は、案件リスト以外からの情報を取ってくることも可能です。

 

 

と言うのも、会社によっては複数のシステムを使用していたり、

同じシステムでも他のページに分けて情報を管理していたりする場合もあると思います。

 

 

その場合は、RPAが特定の情報については、自動でそのシステムやページを見に行くシナリオを作成しておけば、

一つのリストへ全て情報を集約させておく必要はないのです。

 

 

 

既に他のシステムやページに入力してある情報は、新たに人間が転記する時間をかけるのではなく、

機械(RPA)にデータを探しにいかせるということが効率化への近道です。

 

 

 

 

4.期待できる効果

では、RPAでクライアント毎の請求書を作成することにより、どんな効果があるのでしょうか。

弊社では実際使用前と使用後では下記の2点が挙げられました。

 

  • 事務員の転記により発生していた入力ミスがなくなった
  • 請求書作成の時間が短縮された

 

 

 

事務員の転記により発生していた入力ミスがなくなった

従来、請求書を作成するときには必ず事務員による転記の作業が発生していました。

 

例えば、今回例にあげていたクライアント名やクライアントの整理番号等は、人間が手で変更している部分でありました。

そこが、自動化することにより、RPAが正確な情報を持ってきて、入力をしてくれるようになり、人的ミスがなくなりました。

 

 

請求書作成の時間が短縮された 

人間が作業していた時間を代わりに機械が担当することにより人間の業務負荷が減りました。

 

そして、弊社の場合は1人目の事務員が請求書を作成し、他の事務員がダブルチェックを行うという業務フローになっていました。

 

 

しかし、自動化することにより、RPAを一人目(請求書作成をする事務員)とみなし、

事務員はダブルチェックのみすればよいことになりました。

 

 

そのことにより、2人の人数をかけていた業務が1人でよくなったため、明らかに請求書作成にかける一人当たりの作業時間が短縮することになったのです。

 

 

また、従来は、クライアント毎にフォーマットが異なっていたため、その作法を覚えたりマニュアルを見返したりすることにも時間を使っていました。

 

そういった本来覚える必要のない無駄な情報を扱わなくなることにより、業務負荷が減ったと言えます。

 

 

 

 

 

 5.まとめ

今回は、数ある事務員の業務の中で請求書作成に焦点をあてて説明をしましたが、同じ要領で他の業務も自動化していくことができます。

 

短縮された時間は、もっと人間らしい仕事(クリエイティブな仕事や専門的な知識を要する仕事)に

割くことができるようになります。

 

また、人手不足の会社であれば、新たに人を採用するのではなく、

RPAのシナリオを増やすことにより業務をどんどん自動化させていくのも一つの方法だと思います。

 

 

実際、弊社では機械ができることは全て自動化する方針ですし、筆者は一事務員としてシナリオ作成に勤しむ毎日です。

 

 

 

 

 

RPA推進で失敗しないために

2018.10.26

目次

 

 

 

 

オリックス・三菱UFJ銀行・日本生命など、

去年までは導入企業も金融業中心に一部に限られていたRPA(ロボティック・プロセス・オートマティック)も、

今年になって裾野が一挙に広まり、導入企業は年内に5000社に達すると言われています。

 

オフィス生産性を飛躍的に向上させた事例が華々しく紹介される一方で、

RPAベンダーの話では上手く進まないケースも散見され、中には「撤収しようか」という企業もあるようです。

 

 

今回の記事ではRPA導入でつまずかないために、

社内の推進体制(IT部門と業務部門の役割)・RPAツールの特徴と選定・トライアルの重要性について紹介します。

 

 

 

 

■既存ITシステムとRPAの違い

既存システムはコストも時間もかかる

ERP(業務統合パッケージ)を始めとする基幹システムにせよ情報系システムにせよ、

システム設計・構築ではユーザーの要件をITシステムに翻訳する作業が必須で、時間も費用も掛かります。

 

そこには以下のようなフローが使用されます。

 

  ユーザー:システム構想・要件定義

→ ベンダー:方式・アプリケーション設計、プログラミング、単体・結合・総合テスト

→ ユーザー:検証テスト

 

 

当然システム予算もIT部門のマンパワーにも限りがあるわけで、

費用対効果の大きい案件から優先順位が付けられ、システム導入が図られます。

 

システム改変も容易ではなく、

周辺環境の変化があってもシステムはそのままで担当者がハンド作業で乗り切るといったケースも散見されます

 

 

 

低コストで業務自動化ができるRPA

一方、RPAはシステムというより寧ろ「ロボット」に近い存在です。

このロボットはユーザーインターフェースに優れ、ユーザーの要件定義をほぼそのまま理解しこなすことができるのです。

 

つまりIT部門に頼らずとも、いったんRPAというロボットを導入すれば、

後はロボットに業務プロセスを覚えさせれば自動化できるのです。

(ロボット作成に関して多少のトレーニングやベンダーのサポートは必要)

 

 

その結果、自動化のコストも大幅に低減でき、

今まで費用対効果の面からシステム化が見送られハンド作業で我慢してきた業務にも光が当たるようになってきたのです。

 

 

 

 

■推進体制は横断的に

部門や事業所単独では失敗しがち

ソフトウエアにもよりますが、

デスクトップで動くようなRPAならハードルも低く部門(または事業所)単位での導入も可能であり、

その方が社内調整が不要な分だけスピーディーにRPA化が実現します。

 

一方で、部門間で選択ツールが異なる、たとえ同じとしても作成したロボットのシナリオが重複したり、

開発・運営ノウハウが共有されないといった非効率が生じがちです。

 

加えて運営体制も不充分になりがちで、放置された「野良ロボット」を産みかねません。 

 

 

 

横断的に進める

一方で全社的に進めるとなると、立ち上げるだけでも多大な労力と時間を要するので、悩ましいところです。

新聞記事で話題となったメガバンクのようにトップダウンでRPAを導入する企業なら、全社的推進体制を組むケースもあります。

 

折衷案的に、スピードと効率を両立するために、

人事・財務・総務といった機能単位で横断的な推進プロジェクトを組むという考え方もあります。

 

その上で、担当役員をPMO(プロジェクト・マネジメント・オーナー)にすえ、

IT部門には事務局に入ってもらい、各ユーザー部門は推進メンバーに入ります。

 

 

加えて、経営企画部門もオブザーバー的な位置づけで参加するケースも、最近は多いようです。

従来のIT化とは異なり、AIRPAの導入は戦略的な要素が色濃いので、経営企画部門のかじ取りが必要なのです。

 

加えてポジションパワーの強さを発揮して、予算獲得や社内調整に当たっても強い味方になってくれます。

 

 

 

 IT部門の役割

IT部門にはその道のエキスパートとして、ユーザー部門をサポートしてもらいます。

具体的にはベンダー選定の他、セキュリティーやガバナンスの確保、

RPAによる基幹システムへのアクセス権限設定やワークフロー開発申請手続きなどのルール整備を担当します。

 

 

ただしワークフロー開発については、通常のITシステムと違って、

ユーザー部門がベンダーの支援を受けつつ主体的に進めてもらいます。

 

言い換えれば、IT部門のマンパワーを大きく割かずに開発を進められるのが、RPAのメリットなのです。

 

 

 

 

 

■RPAツール選定のポイント

RPAツールは、

ビスロボ・ウインアクター・ブループリズム・UIパス・オートメーションエニーウエア

5種でシェアの大部分を占めています。

 

 

ツール選定に当たっては、どうしてもコストばかりに関心が向きがちです。

とくに最近は、デスクトップでロボットを稼働させるタイプなら年間100万円以下での導入も可能です。

 

 

一方で、見落としがちなのが将来的な動作の安定性(ロボット操作のIDPW管理)や

拡張性(複数ロボットの同時稼働)、運営管理の担保(スケジューラー・ログ管理)などです。

 

スモールスタートで少数のソフトウエアロボットが動いているうちはあまり気になりませんが、

数が増えてくるにつれて必要性が強まります。

 

コストとこうした機能は相反しがちなので、

自社におけるRPA展開範囲やRPA化の調達予算等を見極めた上で判断すべきでしょう。

 

 

 

 

■対象業務の選定-かき集めて工数削減効果を捻出する

RPAを紹介するWEBなどでは、RPA化を最優先すべき業務として「単純作業かつ業務量が膨大な仕事」とされています。

 

 

ところがこうした業務は、

すでにERP・経費精算システムや得意先とのEDI(電子データ交換システム)自動化が実現しているケースが多いのです。

 

つまり「単純作業かつ業務量が膨大な」業務は費用対効果が大きいので、

ロボットに頼るよりITシステムを構築した方が効率的なのです。

 

 

RPA化の対象となるのは、IT化するほどでもない「中途半端に手間がかかる」ハンド業務をです。

こうした業務をかき集めて工数削減効果を出すには、複数のユーザー部門を巻き込んでの連携が不可欠です。

 

 

 

■トライアルの重要性

ITシステム導入は、稼働テストを経た後は本稼働という流れです。

RPAの場合はそれとは異なり、本格展開する前にトライアルを実施するのが一般的です。

 

トライアルで確認するのは、まず各種システムとのインターフェースです。

 

エクセル・アウトルック・インターネットエクスプローラーに関しては間違いなくつながるようですが、

問題なのは「レガシーシステム」です。

 

レガシーシステムとは、メインフレーム(真黒バックに緑文字の画面を見たことありませんか?)や

クライアントサーバー系で動く、80年代-90年代に構築されたシステムです。

 

 

多くの企業ではERP等を導入する一方、過去に構築したレガシーシステムを相変わらず使い続けています。

今までは部門の要求に応じて個別にシステムを作ってきたため、これらを一度に置き換えることは不可能です。

 

RPA対象化業務にこうしたシステムが絡んでいたらまずは検証が必要です。

最悪インターフェースできない場合は、画面マッチングを使うしかありませんが、

この方法は端末の画面設定が変わったりしただけで作動しなくなるなど、安定性に難があります。

 

 

もう1つは動作性の検証です。

例えば経費精算システムの操作にRPAを使う場合、以下のような基本的動作を確認します。

 


・ログインできるか(ID・パスワードを入力する)

・端末を変えても動作するか(端末の画面設定が変わっただけで動作しない事例もあり)

・タブ・クリック・ファンクションキーの操作

 

トライアルを通じてRPAの癖について知見を蓄積し、いざ本稼働となった時につまずくことがないようにしましょう。

 

 

 

 

 

■むすび

今回は推進体制の整備から、機種の選定、業務の洗い出し、トライアルの実施について

RPA導入で失敗しないポイント」を紹介しました。

 

 

次回以降は、機種選定や業務洗い出しプロセスについて個別に詳細を解説するほか、

導入後の運営に関するポイント(コンサルによるサポート・本格展開の進め方・ガバナンスの整備)

についてご紹介します。 

 

 

 

 

 

 

中小企業におけるRPA導入の可能性

2018.10.22

目次

 

 

 

 

2017年度はメガバンクがRPA導入による業務量の大幅な削減、

そして、それに伴う大幅な人員削減がニュースになりました。

 

メガバンクに限らず、多くの大手企業がRPAに着目しており、

2018年以降、さらにRPAがニュースを騒がせることになるかと思います。

 

 

大手企業がRPAを推進する中、日本の99%を占める中小企業は蚊帳の外なのでしょうか。

過去を遡れば、テクノロジーは大企業を中心に発展し、

そこから中小企業へ浸透していくというかたちが一般的だったかと思います。

 

 

RPAの時代が始まった今、中小企業は大企業の様子を眺めているだけで良いのでしょうか。

 

今回は、その中小企業におけるRPA導入の可能性について考えていきたいと思います。

 

 

 

 

 

■中小企業はIT化が進んでいない

●中小企業ほど人に依存した仕事になっている

 

請求処理、経費精算、在庫管理、入金確認など、

定期的に発生する業務が、担当する人に依存した仕事になっていることが多い現状があります。

 

 

●そもそもITに興味がない

 

IT投資」に積極的ではない、とも言い換えることが出来るかと思います。

理由をいくつかあげてみます。

 

  • IT投資」が、直接的な売上に繋がるわけではないため。
  • IT」に精通した人材がいないため。とりわけ先端テクノロジーに対応出来る人材がいない。
  • 大企業の先行導入、他企業の導入の状況を観察。効果の確認と導入費用が安くなるのを待つため。

 

 

●IT化投資は多額の投資が必要

 

例えば、「在庫管理システム」を自社専用に開発出来る企業は多くはないでしょう。

 

大企業が使うパッケージシステムは、

中小企業にとっては投資額および機能面でオーバースペックでもあり、

また、実際に使うにあたって、必ずしも業務にマッチするとは限りません。

 

 

 

 

■RPAは低予算で簡単

RPAは一般的なシステム投資額と比べると格段の安さ

 

RPAはその種類によっても異なりますが、1台数十万円から使うことが出来ます。

 

また、RPA導入にあたって、ソリューションベンダが多数していますが、

中小企業においては、必ずしも必要ではありません。

 

 

RPAのソリューションベンダは、

複雑に跨る既存業務の分析とRPAへの業務置き換えに関するコンサルティングをメインとしており、

中小企業においては、そこまでを必要としない場合が多いと言えます。

 

 

 

RPAは小さく始められる(スモールスタート)

 

RPAは1業務から始めることが出来ます

例えば、「請求書の作成業務」のみを対象として始めることが出来ます。

 

その中でも、RPAを初めて使う場合は、様々な問題点が発生するかと思います。

 

トライアンドエラーを繰り返しながら、RPAを自社の業務に合ったかたちに作り出すことが出来ます。

 

 

●RPAは高い技術を必要としない

 

複雑な業務を対象とする場合を除いて、RPAは技術者でなくとも問題無く使うことが出来ます

(最初の数時間は慣れが必要ですが、オフィスソフトを使うのと同じような感覚です。)

 

 

もちろん、RPAの機能を使いこなす為には、研修などを通じて学習をすることが最適ですが、

スタートの段階では必ずしも必要ではありません。

 

 

●RPAに関する新サービスは続々と誕生している

 

RAPを月単位で使うことが出来るサービスなどが登場しています。

 

例えば、事務作業が集中する時だけRPAを使う、

または、RPAを増やすといったことも可能です。

 

複雑な業務をRPAに置き換える場合、

RPA上で必要となるプログラミングなどを代行してくれるというサービスもあります

 

RPAに関しては、今後も様々なサービスが登場してくるはずです。

 

 

 

 

■中小企業こそRPAが必要

●効果数字に大きなインパクトは無い

 

三井住友銀行はRPA導入により、

2017年上半期のみで、1年間あたり40万時間の業務量の削減を達成しています。

 

中小企業においては、このようなトピックスにあがるような効果を出すことは難しいでしょう。

しかし、インパクトでは無いところに、大きな意味が隠れているのです。

 

 

●中小企業特有の問題点

 

語弊がある言い方かもしれませんが、中小企業における事務作業は大企業と比較して、ミスが多い

という事実があります。

この原因は、

 

  • 担当者が多忙で作業が疎かになってしまった
  • 担当者が忘れてしまったor担当者が不在だった
  • 作業が平準化されていない
  • チェック体制が整っていない

 

という、いくつかの原因があげられます。

 

 

●RPAは中小企業の救世主に!?

 

RPAを導入することによって、

先に挙げた「中小企業特有の問題点」を全て解消することが出来ます。

 

人はRPAを監視する、または、RPAをフォローする役割に徹するだけで良いのです。

 

 

●RPAを業務量削減の指標のみに用いらない

 

RPAによる業務量削減にインパクトは中小企業においては少ないということは前述の通りです。

 

AIを含めた自動化は既存の仕事を奪う」と言われておりますが、

時間軸は別として、その流れがやってくることは間違いありません。

 

RPAにより、社員の

業務の視点が変わった/新しい知識を使いこなせるようになった

など、社員の意識変革もRPAのメリットの1つだと言えます。

 

 

 

 

■実際の中小企業におけるRPA導入

●IT人材派遣会社におけるメール活用例

 

毎日、メールで何十社(多いときは百社超)から派遣案件情報が送られてきています。

以前は、営業担当者はそれらの情報をExcelに転記をする作業が発生していました。

 

しかし、メールを1通1通確認する作業がある中で、

メールの見落としや内容の誤転記が発生していました。

 

そもそも、この作業自体に多大な時間を擁しており、本来の営業活動の時間を圧迫していました。

 

RPAがメールの中身をExcelに転記する作業を行うようになりました。

今後は、営業担当者は転記作業をすることなく、

これを営業情報の一次情報として活用するようになりました。

 

<課題>

送られてくるメールの中身は、会社毎(または、担当者毎)に、書き方が異なる為、

RPAが上手く拾えないケースが多々発生しています。

 

現在は一次情報としての集約に留まっており、詳細はメールを見に行く必要性があります。

 

 

●零細企業における事務負担の軽減

 

社員3人のコミックコンテンツ管理会社において、

10人超に及ぶコミック作家と、コミックの進捗管理やシナリオの進捗管理をメールでやりとりしていた。

 

社員各人が、それぞれ別々の管理方法でコミック作家とやりとりをしていた為、

1人のコミック作家に別々の社員が同じことを聞くということが発生していた。

 

メールの題名記入方法を統一化し、

RPAがメール(及び添付ファイル)をコミック作家別にサーバーにフォルダ保存することになった。

 

今後は、社員はフォルダを除くことで、

社員とコミック作家とのやりとりの履歴を一覧化して閲覧することが可能になった

 

<課題>

メールの題名記入を間違えた場合(文字コードが変わった場合なども)、

想定したフォルダに収まることが出来ず、行方不明扱いになってしまう。

 

この場合、気が付かないリスクと、その監視をどうするか、まだ決まっていない。

 

 

 

 

■まとめ

RPAの導入のしやすさと、使うことによるメリットが理解出来たかと思います。

中小企業の課題こそ、RPAの本領の発揮どころの1つだと言えます。

 

AIやビックデータといったキーワードも話題になっていますが、

これらはまだまだ、高い費用と技術力が必要な分野です。

 

こういった分野は大企業先行による後者利益を得ていくという方針が適切ですが、

RPAについては、先行者利益を得ていっては如何でしょうか。

 

労働市場は、これから益々切迫化していくことが予測されています。

人材の採用難と人材の流動化は今後益々進むことは確実です。

 

 

是非、RPAを上手く活用して事業に活かして頂ければ幸いです。

 

 

 

 

RPA導入前に考えておくべきこと

2018.10.05

目次

 

 

 

 

ホワイトカラーの現場を中心に、

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用が広がっています。

 

人材不足働き方改革といったキーワードの改善にはRPAがマッチし、

ロボットに仕事を与えることで生産性の向上を実現できます。

 

一方で、期待を抱いてRPAを導入したはいいものの、

うまく使いこなせていない事例も多く発生しています。

 

 

RPAの導入がうまくいかない企業の多くは、

導入前にしておかなければならない大切なことが不足しているのです。

 

 

ここでは、RPAを導入する前に考えておくべきことや準備しておくべきことについて説明していきます。

 

 

 

★RPAとは?

RPAとは、「Robotic Process Automation」のことで、

ロボットに業務をさせるためのプロセスのことを言います。

 

ロボットといっても工場にいるような産業ロボットではなく、また人型のロボットでもありません。

パソコンにインストールして利用するソフトのことを指しています。

 

これまでは人が行っていた業務をロボットに任せることで、

人は単調な業務から解放され、より頭を使う高度な業務へシフトすることができます。

 

 

昨今、世間を賑しているRPAのニュースを見るたびに、

わが社でも利用をしてみたいと考える経営者が増えてきています。

 

30人の派遣社員で実施していた業務をロボットに任せることで10人に削減することができたり、

社員が間接業務を手放して経営課題に取り組むことができたりします。

まさに革命とも言えるRPAは、これまでの仕事の在り方を大きく変えてくれるのです。

 

 

ただし、RPAを導入すればすぐに効率化できるというものではありません

 

 

RPAを導入したにも関わらず使いこなすことができていない企業は、

導入前に考えておくべき「大切なこと」ができていません。

 

 

RPA導入を検討している人は、これから説明する導入前に考えておくべきこと理解し、

まずは導入前の準備から始めるようにしてください。

 

 

 

★業務の見える化をする

定型化されている業務が社内に存在しているのは把握していても、

それがいくつあって、どのような業務であるか、詳細まで文書化されていることはほとんどありません。

 

 

「定例業務が複数あるから活用できる」という浅はかな考えでRPAの導入をするのは非常に危険です。

 

 

まずは、社内にある定例業務を洗い出して見える化することが大切です。

 

 

結果、RPAの導入を見送ったとしても、

見える化された業務は課題を見つけやすく、効率化しやすくなるものです。

 

 

RPAの導入を検討している人は、中小企業で言えば社長や役員、

大企業でも管理職やリーダーの方になるでしょう。

 

これらの方々が定例業務を実施している事は少なく、

実際に定例業務を実施している人からヒアリングをするところから始めなければなりません。

 

定例業務をしている担当者から業務の詳細をヒアリングをして、業務の流れを作成します。

ピンポイントではなく、前後の業務背景が見えるような業務フローを作成します。

 

その後、1つ1つの業務を確認してどのようなタイミングで、

どれくらいの時間がかかっているのかも書き起こします。

 

誰が見てもその業務で何をやっているのかが分かるような資料が作成できれば、

業務の見える化ができたことになります。

 

 

業務の見える化をする際にネックになるのが「ジョブセキュリティ」の概念です。

一般職の方や派遣社員の方は、自分の仕事を奪われることに抵抗の意思を示します。

 

 

仕事を見える化して効率化されることで、自分たちの仕事が奪われることを嫌うのです。

企業が定例業務を見える化できていないのは、担当者自ら属人化を望んでいるからともいえます。

ヒアリングをする際には、見える化の重要性を理解してもらい、

情報が漏れなく出てくるような関係を築くことも大切になります。

 

 

 

★専任の担当者を立てる

 

RPAの導入には、専任の担当者が必要です。理由は2つあります。

 

RPAのシナリオデモを見ると、簡単にできているように見えるかもしれません。

 

しかし、シナリオを作成するにはプログラムのアルゴリズムを理解し、

場合によってはスクリプト言語の埋め込みが必要になります。

 

アルゴリズムの理解については、

論理思考で業務の流れを見ることができる人フローを作成するセンスのある人が好ましいです。

 

RPAソフトによっても違いますが、少し複雑な処理をRPAに任せようとするなら、

シナリオへのスクリプトの埋め込みが必須になります。

 

 

スクリプト言語については、普段からExcelでマクロの作成をしている人が良いでしょう。

 

これらが実現できる人が社内いない場合は、

専任の担当者を立ててセミナーなどで理解を深める準備が必要になりますし、

場合によってはシナリオを作成する人を外部から調達することも視野に入れなければなりません。

 

これが専任の担当者が必要な理由の1つです。

 

 

 

もう1つの理由は、時間の捻出です。

 

RPA導入のために、現場からヒアリングをして見える化する、

その後シナリオを作成することになるのですが、

見える化されるまでに時間はかかりますし、シナリオ作成は1日でできるものではありません。

 

 

Excelリストから100行のデータを読み込み、

あるサイトにログインとログアウトを繰り返すという単純なシナリオを作成するとしましょう。

 

アルゴリズムやスクリプト言語を理解している人でも、

初めてRPAに取り掛かる人であれば1週間はかかります。

 

何度もシナリオの作成を繰り返し、

慣れてきた人でも新しいシナリオの作成には2~3日かかると想定しておきます。

 

そうすると、別の業務を手放さなければRPAに集中することはでなくなってしまいます。

 

 

専任の担当者を立てることで、社内におけるRPAの技術は蓄積されやすくなります。

シナリオの数を増やしていく際に、同様の事が出来る人を増やしていき、

徐々にRPAの技術と文化を浸透させていくといいでしょう。

 

 

 

★計画的なコストを見ておく

RPA導入の際にネックになるのが、コストです。

 

大きな基幹システムを導入することに比べれば、RPAソフトは安価の部類に入ります。

それでも損益分岐点を超えるのは容易ではありません。

 

 

例で説明をしましょう。RPAソフトが100万円、年間のランニングコストが60万円としましょう。

つまり、160万円分の業務がRPA化されなければ、損益分岐点を超えることはありません。

 

時給2,000円の派遣社員の業務をRPA化させるとすれば、

年間800時間の削減、月にすれば66時間の削減が必要になります。

 

これが結構大変なのです。

 

先ほどの100行のログイン、ログアウトの処理はせいぜい1時間程度、

1ヶ月でみても20時間程度の削減にしかなりません。

 

それに加えてシナリオを作成するコストも乗ってきます。

 

 

RPAで働き方が大きく変わる!と期待を持って導入しても、

コストパフォーマンスを出せないままに活用しきれない企業が多数あります。

 

 

RPA導入前には、業務を見える化して専任の担当者を立てます。

その後、計画的なコストの算出をするようにしましょう。

見える化されたシナリオだけで十分なパフォーマンスが出せないのであれば、

他の業務も見える化しなければなりませんし、場合によっては導入を延期させる必要があります。

 

 

導入してすぐに効果が出ないのは当たり前であると割り切り、

長期間でコストパフォーマンスが出るような計画を立てるようにするといいでしょう。

 

最初は先行投資になるかもしれませんが、

2年3年と期限を設けることで効果は発揮されていくようになります。

 

コストの計画をしておけば、

途中での実績との比較もできるようになり、進捗が分かりやすくなります。

 

ただシナリオを増やせばいいのではなく、

どれだけ業務が効率化できたか?という目線で見ることができるようになるでしょう。

 

 

 

★RPA導入前に考えておくことのまとめ

3つのポイントに絞ってRPA導入前に考えておくべきことをお伝えしてきました。

 

ここまで読む前は、もっと簡単にロボットを使えると思っていた人もいるのではないでしょうか。

 

最初は面倒に感じるかもしれませんが、

これらの課題をすべてクリアできた時、RPAは画期的な成果を出してくれます。

 

是非とも事前準備を綿密にし、RPA導入で効率的な働き方を目指してみてください。

 

 

 

 

経理業務へのRPA導入によるメリット・デメリット ~導入事例を踏まえて~

2018.10.04

目次

 

 

 

□ RPAとは

 

最近ではよく「RPA」というワードを耳にすることが増えてきました。

 

市場規模も年々上昇しているのがその要因にもなっているかと思います。

 

 

では、そもそも「RPA」とは何なのか、一言でいえば、「ロボ化」です。

 

これまで人が行ってきた業務を自動化、つまりロボットに代わりに行ってもらう

ということです。

 

 

 

□ RPA導入による仕事の展望

 

いろいろな著書でもこれからの時代において人が必要でなくなる職業ランキングなどが紹介されています。

 

どの著書のランキングをみても常に上位にランクインしているのが

税理士会計士そして、経理業務です。

 

 

 

□ 導入したい経営層、導入したくない現場

 

こんな今後の展望を聞くと会計業界で働いている方や

日常的に仕訳を手作業していた方にとっては耳が痛い話題なのはよく分かります。

 

 

「RPAを導入すると効率が上がる、便利だ、絶対に導入するべきだ」

 

 

こう思われるのは、経営者の方や管理監督者といったマネジメント層の方かと思います。

 

人件費が削減できるヒューマンエラーによる間違いが減るなど、

経営層にとっては願ってもないことが多く叶えられるのですから。

 

 

 

ですが、現場で実際に手作業をしている方や

プレイングマネージャーといった方にとっての効率化、利便性というのは「恐怖」が先にくるかと思います。

 

 

それは、

 

「もし効率化のためにRPAが導入されれば、仕事がなくなるかもしれない」

 

と誰しもが考えるからです。

 

そのため、導入をしたい経営層と導入したくない現場での意思疎通ができずに

なかなか導入するまでに行きつかないという悩みを抱える企業や経営者の方も多いのではないでしょうか。

 

 

 

□ RPA導入のメリット

 

では、RPA導入のメリットやデメリットについて、ご紹介させて頂きます。

 

メリットは上記でも述べさせて頂いたところではありますが、

やはり効率向上による人件費の削減が大きなメリットだといえます。

 

 

大半の企業にとって人件費というのは

経費全体の中でもそれなりに大きな比率を占めているのではないかと思います。

 

管理部門は当然のことながら売上を上げなければ、

利益を生み出す部門ではありません。

 

 

 

また、人の手によって行われる業務というのはミスがつきものです。

 

そのためにダブルチェック、時にはトリプルチェックを行ってミスすることを未然に防ぐのは、

どんな仕事でもそうですが当然の予防策であるかと思います。

 

ですが、RPAによる自動化を行えば、これまで起こっていたヒューマンエラーはなくなります。

 

後述しますが、

メンテナンスは必要ですが、これまでの「ミスありきのチェック」は無くなるのです。

 

 

繰り返しますが、RPA最大のメリットは「効率化による人件費削減と正確さ」です。

 

 

 

□ RPA導入のデメリット

 

では、デメリットについてもご説明させて頂きます。

 

RPAのデメリットは何といっても導入するために必要不可欠なシステム構築です。

 

 

なかなか、自社でシステム構築から開発までを完結するのは難しいと思います。

 

そのため、アウトソーシングによるシステム開発を余儀なくされるため、

一時的な費用がどうしても発生します。

 

どういったシステム構築をするかによってではありますが、

まとまった資金が必要になるのは避けられません。

 

 

また、開発したシステムを自社で保有するのか、

保有せずにランニング費用を払いながらの運用するのか。といった選択もすることになります。

 

 

もう一点デメリットとして挙げられるのが、

システム構築するためには「人」が不可欠という点です。

 

 

システム構築が完了してしまえば、自動的に仕事は進みますが、

 

「どの仕事をどのような手順で最終的にどう完了させるのか」

 

というプロセスを考えるのは人なのです。

 

 

その点をクリアできるだけのシステムに強い人材が現場レベルにいるか

という点も導入するにあたってのデメリットといえるのではないかと思います。

 

 

ですが、費用的な問題、人的な問題さえクリアできるのであれば

デメリットと呼べる障害はないと言えます。

 

 

 

□ 導入事例を踏まえた経理効率化

 

RPA導入による経理業務の効率が実際にどのように行われたのかをご紹介致します。

 

 

今回ご紹介する事例の企業は

日々の経理業務に膨大な人件費とヒューマンエラーをチェックするために多くの時間を掛けていました。

 

多くの時間を掛けてるためのその人件費と

何重のチェックをしてもどうしても防げないミスに対して、どうにかしたいと思っていました。

 

 

そこで、外注によるRPAの開発導入に踏み出しました。

 

その企業では、外注先からライセンス使用するという

ランニング費用を月々支払うことでRPA導入する運用形態を選択しました。

 

もちろん、どんな業務でもRPAによる自動化が可能になるという訳ではありませんので、

「単純作業」を抽出し、部分的な自動化から取り掛かりました。

 

 

具体的には、「画一的なデータを毎回同じように加工する」といった、考える必要がない作業です。

 

 

この企業では、多店舗展開をしている事業を行っていることから、

各店舗からの売上データや仕入データ、経費データ

に至るまでを毎日手作業で会計システムへ入力をしていました。

 

その作業は店舗からあがってきた部分的なデータを

会計システムへ取り込めるようにするといったものです。

 

これだけを聞くとそれほど大変な作業ではないように聞こえるかもしれませんが、

毎日の作業となるとその作業量は膨大なものになっていました。

 

数万行のエクセルデータを加工するのですから、時間もエラーもあります。

 

その作業を人ではなく、RPAにより自動化することにより、

それまで手作業していた作業がなくなることになり、

会計データに取り込まれた最終チェックをするだけでよくなったのです。

 

 

毎日3時間掛かっていた作業が、始業開始する時点では既に出来上がっているのです。

 

そしてイレギュラーなことがない限りは100%の完成度で出来上がっていました。

 

 

RPA導入によりこれまで手作業をしていた時間は

自動化できない作業に多く費やすことが可能となりました。

 

 

この企業では人件費そのものを大きく削減させることが目的ではなく、

膨大な単純作業を自動化することによって、ヒューマンエラーを無くすことでした。

 

ですが、結果として、ヒューマンエラーを無くすということは、

これまで間違いに対し、その修正するための時間と人件費を削減することに大きく影響を与える要因となりました。

 

 

それまで要していた、残業代は大幅に削減をすることができ、

現場スタッフにとっても残業時間が減れば、生活が豊かになり、明日の労働への活力になる。

 

こういった好循環も副産物的に生まれたのです。

 

そして、何よりも大きなRPA導入効果は、

単純作業を行う時間を「人」にしかできない業務に傾けることができるようになったことです。

 

 

これこそが何よりも生産性を向上させ、

悪循環だった業務から脱却することができることに繋がったのです。

 

 

現在もこの企業では、RPA化できる作業については常に開発し続けています。

ゆくゆくは仕訳の入力についてRPA化することを視野にいれています。

 

 

 

□ RPAと人の共存

 

最後に、「RPA」と「人」の関係性について、どうあるべきかを述べたいと思います。

 

冒頭にも申し上げましたが、RPAの導入をしたい経営層と現場レベルの意見の対立

というのはどうしても解消できない企業が多くあるのではと思います。

 

その対立は何故発生してしまうのか。

 

それは、今ある仕事がなくなったら仕事自体がなくなってしまうのではないか

と思う現場スタッフの意識が原因です。

 

 

その意識改革をすることがRPA導入するにあたっての第一条件だと考えられます。

 

ただ、単純にRPAを導入し、業務を自動化します。

と経営者が伝えてもその本位は現場スタッフには届きません。

 

 

導入事例でもありましたが、RPA導入により単純作業を自動化できた際には

「人」が行うべき、あるべき仕事に時間を費やすことができるようになるのです。

 

 

今後、まだまだ成長するであろうAIテクノロジーにより、

単純作業はさらに自動化への道を歩みます。

 

その中で、「人」はどう変化し、成長していかなければならないのか

を考えなければならない時期が目の前まで来ているのかもしれません。

 

それを経営層の方をはじめ、現場スタッフへも浸透させていかなければ、

今後我々、人間の仕事はなくなっていく一方になるかと思います。

 

そのキッカケとしてRPA導入を検討されるのも、

それは企業を良い方向へと向かわせてくれるのではないかと強く思います。

 

 

AIの生産領域と人間の生産領域」、今からでも考えておかなければ

時代の波に取り残されてしまうことになってしまうかもしれません。

 

 

 

 

【RPAにより】ホワイトカラー業務が変化する?

2018.09.27

RPAとホワイトカラー業務の課題

 

 

企業において、業務効率化は至上命題のひとつではあるものの、

比較的小粒の業務についてはコスト面および対応のしづらさから、人手に頼っている部分が多く残っています

 

 

多くのコンサルティング会社は、

企業のバックオフィス部門の生産性向上と人的資源の有効活用を推進するため、

RPA(Robotic Process Automation)ツールを活用し、

業務自動化を推進する業務改革サービスを提供しています。

 

 

大量定型業務はビジネス・プロセス・リエンジニアリングや大規模システムの導入により、

効率化が実現できているものの、

小粒の業務はさまざまな理由によりいまだ人海戦術で対応している企業が散見されます。

 

 

RPAツールによって、従来型のシステム開発手法では対応しにくい

ボリュームが小さい」「変更が多い」「標準化できない

といった業務であっても、RPAツールを活用することで効率化が可能となります。

 

 

数多くの業務改革経験を生かし、現場を巻き込んだスピーディな業務改革を実施するRPA業務改革サービスは、

RPAと、コンサルティングの業務改革ノウハウを組み合わせたサービスです。

 

RPAの対象業務としては、

これまで自動化できなかったERPWebメールファイルサーバーデスクトップ上のExcel

などアプリケーションをまたいで発生する広範囲の業務を自動化することが可能です。

 

業務の一連の流れと参照情報を整理し、ロボットが記憶し自動化するため、

コーディングなどのシステム開発が不要です。

 

 

そのため、従来のシステム開発手法では対応することが難しかった

業務量が少ない」「変更が多い」「標準化できない

といった業務でも自動化することができます。

 

 

また標準的なアプローチのため、簡易効果診断では、ロボット化する対象業務の洗い出しを行い、

工数削減の効果および開発費用の概算を算定します。

 

トライアル導入では23つのロボットを導入し、実環境におけるロボットの有効性を検証し、

効果の実感を確認した上で本格導入へと進みます。

 

 

 

RPAで「ホワイトカラーの仕事の47%がなくなる」の意味

 

 

 

 

 

生産性向上が必要になる中で、企業での積極活用が叫ばれているテクノロジーが、

RPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)です。 

 

 

去年開催された日本RPA協会の主催セミナー「やらざるを得ないRPAと取り組みの実態」では、

いまITにおいてキーワードになりつつあるRPAについての解説がありました。

 

 

今後、日本は労働者人口が大きく落ち込むと予想されています。 

 

内閣府の「平成28年版高齢社会白書」によると、2025年には日本の人口は700万人減少し、

15歳から64歳の人口が約7000万人まで落ち込むと言われています。 

 

そのような日本の労働人口が減少する状況下において、

日本人の働き方を大きく変えるテクノロジーがRPAなのです。

 

RPAはアプリケーションを使って行うオフィスワークを学習し、それをそのまま実行することができます。

 

 

いわば、人が手動で行っていた各種ツールによる事務処理などの

ルーティンな作業を代行してくれるデジタルレイバー(仮想知能労働者)です。 

 

人がやりたくない、やるべきではない作業を人の200倍のスピードで処理してくれます。

そして、36524時間稼働してくれます。 

 

 

デジタルレイバーという新しい労働力が活用できるというわけです。 

 

また、RPAは人の操作を記憶させるだけなので、

稼働させるために大規模なシステム導入やプログラムの修正・変更の必要はありません。 

 

 

ノンプログラミングで容易に構築でき、短期間かつローコストで導入することができる

というメリットも生まれます。 

 

 

 

ホワイトカラー生産性調査の必要性について

 

 

ユーザー部門が対象システムを活用することによって、

どの程度生産性を向上できたか、定量・定性両面から把握します。 

 

これにより、成功事例の全社展開や費用対効果の振り返りなど、

積極的な IT マネジメントを遂行できるようになります。

 

 

 

ホワイトカラー生産性調査をどのようにすれば良いのか

 

 

測定が難しいシステム導入によるホワイトカラーの生産性向上度合いを、

短期間で簡易的に調査して定量的に示します。 

 

さらに、その部門の“業務項目”にブレイクダウンしその効果を示します。

 

同時に、定性面での特徴も示すことで、数値とその論拠をマネジメント層がわかるような形で表現します。 

 

 

生産性調査でよくみられる“調整”や“資料作成”といった作業項目での評価のみならず、

年度計画立案”“市場調査”といった、マネジメント層が理解できる業務項目ベースで効果を示すべきです。

 

 

 

RPAは従来のシステム変更とどう違う?

 

 

業務の自動化は業務システムの見直しでも実現できますが、RPAは概念が異なります

 

 

例えば、顧客管理業務のケースで考えてみましょう。 

 

顧客管理システムが導入されている企業でも、

顧客データのインポート作業などはたいてい人の手で行ないます

 

また、入力作業の報告メールを送ったり、入力作業後に他のスタッフがダブルチェックしたり、

人手による作業はそれなりに発生します

 

業務効率化のためにシステム改修を行なったとしても、

システム間のデータ移行やチェック業務などはなかなかシステムに組み込みにくい作業です。

 

一方RPAの場合、入力作業からチェック、報告までのプロセスすべてをソフトウェアロボットが代行します。 

 

つまり、

システム変更ではカバーしきれない業務範囲でも、RPAでは自動化できる可能性が高い

というのがポイントです。

 

システム変更ではイレギュラー対応など非定型業務の自動化が難しいケースが多いのですが、

RPAならAIなどの導入で実現できるケースもあります。

 

 

 

RPAでロボットがホワイトカラー業務を代行できる時代へ

 

 

とある銀行グループが業務自動化技術を導入して、

9,500人相当の仕事量を削減する方針を20179月に発表したことが大きな話題となりました。 

 

この業務自動化技術のメインとなるのが、

RPA(Robotic Process Automation:ロボットによる業務効率化)です。 

 

もちろん、RPAの導入により、

品質の向上とリードタイムの短縮、労働不足の解消につながっており、効果は出ているそうです。

 

 

ロボットによる業務代行というと製造業をイメージしがちですが、

RPAはPCを使った業務などホワイトカラーの業務を代行します。

 

そのため、仮想労働者(デジタルレイバー)とも呼ばれることもあります。

 

ロボットによる業務効率化というと、単純作業の代行というイメージを持つ方も多いかもしれません。

 

RPAでは3つのクラスに分かれていて、最も高度なクラス3になると

AI(人工知能)の学習能力によって分析や業務改善などの複雑な業務ができるものもあります。

 

 

<クラス詳細>

  • RPAクラス1:定型作業の自動化
  • RPAクラス2:一部非定型作業の自動化(イレギュラー対応もできる)
  • RPAクラス3:高度なタスクの自動化(業務プロセスの分析・改善もできる)

 

 

RPA2016年以降、働き方改革の手段の1つとして注目を集めている技術です。

 

自動化技術などの導入により、

人間は人にしかできない仕事や新しい仕事を担当するようになるでしょう。

 

 

仕事に必要なスキル向上も合わせて行い、オフィスワーク全体の生産性を高めていきます。

 

今、人が行なうPC業務をRPAによって自動化することを目指している企業は少なくありません。

 

 

 

 

【実際の導入事例】RPAを導入してから運用まで

2018.09.14

RPA導入の目的

弊社のRPA導入の最大の理由は

事務員の人手不足を解消し、より専門的な知識を必要とする業務に時間を割くこと」です。

 

人手不足の問題は多くの中小企業が直面していると思います。

弊社の事務員は女性20名ほどで構成されており、仕事内容から3つのグループに分かれています。

 

 

産休・育休を積極的に取り入れているため、結婚や出産後も安定して勤めることができる反面、

復職後の席を空けておく必要があるので、安易に新しい社員を採用できないという問題があります。

 

 

しかしながら、現場は当然人手不足に陥り、以前よりも残業を強いられることになります。

 

このような背景の中で、今回、RPAを導入し事務仕事の機械化を進めようというプロジェクトが発足しました。

 

 

筆者は、そのプロジェクトチームのメンバーの一人であり、一事務員の立場です。

 

プロジェクトチームは、3つのグループを束ねるリーダーと

各グループから1名ずつ選出されたメンバーで構成されています。

 

 

 

RPA vs 派遣社員

人手不足はRPAでしか解消されないのか、と問われれば答えはNOです。

 

弊社でも当初派遣社員の雇用が検討されていました。

 

説明するまでもないですが、休職者が復職するまでの期間限定で派遣社員を雇い、

事務員の業務の負担を軽減するためです。

 

 

比較する際のポイントは下記の2点が挙がりました。

① 費用 ・・・ 経営者サイドで重要な検討事項
② 効果 ・・・ 事務員サイドの要求事項

 

一つ目の費用については、筆者は一事務員であり具体的な数字は把握していないため割愛しますが、

結論として派遣社員よりもRPAの方が安く済むとのことでした(長期的な目で見た結果かもしれません)。

 

 

二つ目の効果については、派遣社員の場合、教育時間を懸念する声が挙がりました。

 

また、時間を割いて教育したのに関わらず期間限定で辞めてしまうのは非効率であるという意見も挙がりました。

 

一方、RPAに関しては、最初にシナリオ作成や操作者の教育に時間が必要になりますが、

長く使っていけるという意味では効率的であるという肯定的な意見が多く挙がりました。

 

こうして、経営側と事務側の意見が一致する形で、弊社ではRPAの導入が決定することになりました。

 

 

 

Winactorの導入

弊社ではRPAソフトの中でNTT系Winactorを導入しました。

理由はより感覚的に操作ができるからです。

 

 

弊社では、システム担当の社員がRPAの開発に携わるのではなく、

事務員が全て対応するという方法をとりました。

 

会社によっては情報システム課のような部署がまとめてシナリオ作成をする場合もあれば、

弊社のように現場の社員が作成する場合もあるようです。

 

 

事務員は、基本的システム系は弱かったため(筆者も専門知識はない)、

とっつきやすいソフトを選択しました。

 

 

下の画像は、Winactorの画面です。

 

 

 

 

シナリオを作成する画面ですが、ご覧の通りプログラミングのような専門知識は不要で、

必要なパーツが予め用意されています(パーツは表示されている部品は一部です)。

 

その項目を繋ぎ合わせていくとシナリオが完成するというイメージです。

 

 

例えば、エクセルを開いてA2セルの数値をコピーし、A3セルにペーストしたい場合は、

 

「エクセルを開く」→「A2セルに移動」→「選択中のセルをコピー」

→「A3セルに移動」→「選択中のセルにペースト」

 

という5つのパーツで表現することができます。

 

 

複雑な操作をしたい場合にはパーツを改造する必要が出てきますが、

一般的な事務作業には充分対応できるパーツが揃っています。

 

 

 

シナリオ作成のtips

 

上述の通り、プロジェクトは4名で進められましたが、

各チームで仕事内容が異なるため、実際には各々が異なるシナリオ作成を進めることになりました。

 

 

弊社は3日間の保証プランに入ったため、

最初の3日間はWinactorの代理人の方にお越しいただきシナリオのベースを作成してもらいました。

(詳しい契約内容は把握しておりませんので割愛します。)

 

 

基本的に、Winactorは自分たちでシナリオを作成する(そのためにより感覚的な操作が可能)こと

をコンセプトとして商品を売り出しているため、代理人に作業してもらえる3日間は非常に貴重です。

 

自分たちでシナリオを作成するためのヒントをどれほどもらえるかが勝負になります。

 

 

保証期間に臨む際のポイントは下記の3点です。

① 自動化したい業務のフローを細部まで説明できるようにしておく
② 多くのシナリオに共通する部分を作成してもらう
③ より高度な操作を要するシナリオを作成してもらう

 

 

毎日何気なく行っている作業でも、機械にやらせようとすると

一つ一つの作業を順序だてて考える必要が出てきます。(人間がいかに優秀な動物であるかを実感します。)

 

 

例えば、Aのときは○をクリックし、Bのときは△をクリックするという簡単な操作も、機械だと次のように認識します。

 

「Aの場合→true」、「A以外の場合(つまり、ここではB)→false」、

「trueの場合→○をクリック」、「falseの場合→△をクリック」

 

このように、true/falseの場合分けのような部品が必要になります。

 

 

業務フローを細部まで理解しておくことで、代理人に的確な説明をすることができ、

短い保証期間を有効に使うことができます。

 

 

 

また、共通する事務作業の部分を作成してもらうこともおすすめします。

 

クライアント毎に異なるシステムを使用している場合もあると思いますが、

社内のデータベースの操作等は共通する部分だと思います。

 

その部分を作成してもらうことで、他のシナリオ作成時にインポートして再利用することができます。

 

 

 

最後に、より複雑なシナリオ作成を依頼することも重要です。

 

やはり、プロが作成するシナリオと初心者とでは雲泥の差です。

 

 

何が違うかというと、運用した際のエラーの数が全然違います。

プロのものは、エラー対策の工程が組まれているためです。

 

エラーの対策ができるまでにはWinactorの経験が必要となると言えます。

そのため、難関な作業は最初にプロに作成してもらうことが得策です。

 

 

 

RPA導入の効果

実運用から半年以上が経過しましたが、確実に業務負担の軽減が実現しました。

 

今まで、エクセルに入力し、その情報をクライアントのシステムに入力し、

二つに齟齬がないかダブルチェックをし・・・

 

と随分無駄なことをしていたと思い知らされる日々です。

 

現在は、入力箇所が一つとなり、そこから機械が自動で必要な情報をピックアップしてくれます。

 

弊社では、クライアント毎に異なるシステムやフォーマットを使用しているため、

運用方法を覚えるということも重要な仕事の一つでした。

 

しかし、現在ではクライアントを意識することなく業務を統一化できています。

 

作業がより単純になることでミスも大幅に減り

余った時間をより専門的な知識を要する業務に割くことができています。

 

残量時間でいうと半分になった人が大半です。

 

 

 

RPA操作の課題

RPA導入により、操作する側の教育は依然として課題が多く残ります。

 

筆者もなかなか忙しい毎日を過ごしています。

 

新しいシナリオの作成も必要ですし、運用中のシナリオのエラー対策も欠かせません。

何度やってもエラーがなくならない箇所もあり、素人が操作する限界を感じることもあります。

 

 

そこで、RPA教育用の教材や研修の参加を会社から勧められたので受講を検討しているところです。

また、使う側(事務員)の教育も日々進めなければなりません。

 

事務員は今までとやり方が変わる部分を覚える必要があり、

例えばファイルを格納するフォルダを間違え、機械がファイルを認識しない等、

慣れるまでは人的ミスが発生することがあります。

 

 

こうした課題を一つ一つクリアにしていき、安定したRPA運用を実現していくことが、

プロジェクトチーム使命であります。

 

 

 

 

 

 

 

経理財務業務におけるRPA導入機会【vol.2】

2018.06.26

はじめに

RPARobotic Process Automation-ロボットによる業務自動化)は、近年のBPOの最前線でよく聞かれるワードの一つです。

 

これまで人間が行ってきた定型の作業や業務をPC内のロボットが仮想知的労働者(=Digital Labor)として代行することで、

業務効率化と品質の向上、コストダウンが期待できます。

 

 

ただひと口に「自動化」といっても、

抽象的すぎてどんな業務にRPAを導入できるのかいまひとつ想像がつきにくいかもしれません。

 

今回は多くの企業で実際にRPAの導入が進められている業務のうち、

経理財務業務でのRPA導入機会前回の記事に引き続いてご紹介させていただきます。

 

 

導入が検討できる業務

 

 

今回は、これまた手作業が多く発生しがちな経費精算業務フローの自動化を検討してみます。

 

 

  • 経費精算申請

各部署から日々回付される経費精算申請。

 

11件には大した労力がかかりませんが、締切前になって申請が集中し、

その分、一時的な労働力が注ぎ込まれていることが多いのが事実。

 

その業務を効率的かつ正確に処理するには、

自社の経費申請の仕組みとそれに適合するロボットの開発が肝要です。

 

 

【経費精算システムを利用している場合】

手軽かつ安価な業務効率化の手段として活用されることの多いクラウド型経費精算システム

実際に導入している企業様も多いのではないでしょうか。

 

 

この場合ロボットは、システム内を巡回しその後の処理に必要なデータを都度取得する役割を担います。

 

加えて申請内容の正当性や、照合に必要な領収書添付の有無を判断するような「承認機能」を付与することで、

一定の照合作業を代替することも可能となります。

(最終的な金額の整合性や費用科目の正誤は人間による目視で要確認

 

 

経費精算システムを利用するうえで最も重要なのは、システム上に登録されているマスタ情報の管理です。

 

例えばロボットが後段で必要とする各社員の振込先口座情報は、

日ごろから最新の状態にしておかなければなりませんし、

また一事業単位で収益を算出する必要がある場合は、それぞれの事業コードの管理が必要です。

 

 

また、申請内容の正確性の担保も必要。

 

各社員が入力した申請金額や費用科目は、その後ロボットがそのまま流用することになります。

 

 

システム上の承認フローで決裁者もしくは経理財務担当者が照合し、

場合によっては差戻すなどしてロボットが正確なデータを取得できるようにしなければなりません。

 

要するに「ロボットが精密に業務を遂行できる環境づくり」が前提となってくるわけです。

 

 

【紙ベースの申請書を利用している場合】

中小企業や老舗企業の中には、申請書を介して申請内容をやりとりする企業も多いのではないでしょうか。

 

現在のOCR(光学的文字認識)技術は日々機能の発展が目覚ましいものの、完全な紙媒体のみの業務自動化はまだ困難な状態です。

 

そのため、申請書をExcel形式で入力/データ提出させる方法を検討するのが一般的です。

 

 

予め全社で統一のフォーマットを作成し、申請方法や入力内容のルールを定義づけ社員に共有します。

 

申請されたExcelを任意のフォルダに集積しておくことで、ロボットは一つ一つを確認して回り、

決められたセルにある各種情報(金額/費用科目/申請者名(ID)/部署名など)を取得し、

当月分の経費精算内容を一覧データとして作成します。

 

 

この一覧データが後段の振込/仕訳工程のデータベースの役割を担うのです。

 

申請書のみの情報では網羅できない情報は、別途マスタを作成しロボットが一覧データ作成時に情報を取得できるようにしておきます。

(例えば振込先口座情報。マスタ上で申請者の社員IDと振込先口座情報を紐づけ一覧データに別途入力させる)

 

 

  • 仕訳(未払金計上)

経費申請が承認されたものから発生金額を「未払金」として会計ソフトに計上していきます。

 

 

【経費精算システムを利用している場合】

決裁者/経理財務の承認が得られた申請は、

この承認履歴をトリガーとして作動したロボットによって自動的に会計ソフト上に計上されます。

 

 

この時申請時に入力された費用科目を基に仕訳を実施するため、

入力間違いはそのまま反映され、間違った処理が実行されてしまいます。

金額の入力ミスは言うまでもありませんね。

 

特に費用科目の定義は経理財務にとっては常識でも、

その他の社員にとっては意外と曖昧になっているケースが往々にしてあります。

 

そのため前段で述べた承認/差戻の徹底が不可欠になってくるのです。

この部分を徹底してシステムを運用していくと、

社員は費用科目の知識が身について自然と入力の正確性が上がっていくでしょう。

 

 

【紙ベースの申請書を利用している場合】

経費精算申請時に作成した一覧データを基に会計ソフトに仕訳を実施します。

 

月次で一覧データを作成しているためシステム利用のケースと違い、

こちらは任意のタイミングでロボットを起動させる必要があります。

(毎月〇日〇〇時と日時指定を組み込む or 起動時に特定のキーワードを入力したメールを送信するなど)

 

 

処理方法は原理的にはシステム利用のケースと同様で、ロボットが申請金額と費用科目を一覧データから抽出して入力します。

 

1件ごとでなく費用項目ごとの合計で入力する必要がある場合は、

一覧データ上で金額を集計するロジックをロボットに組み込んでおく必要があります。

 

 

  • 振込手続

決められた振込日に向けてバンキングサイトへの振込手続きを実行します。

 

 

【経費精算システムを利用している場合】

ここでの業務はとってもシンプル。

なぜなら、大半の経費精算システムで申請一覧データがCSVファイル(全銀協統一フォーマット)でダウンロードできるからです。

 

 

このデータファイルを生成してしまえば、あとはバンキングサイトに取り込ませるだけ

 

もちろんRPAで代替可能の業務ですが、

業務ステップが他の作業工程より格段に少ないので人力でも大した作業ではありません。

 

 

費用対効果を考えて自動化を検討しましょう。

自動化を進める場合でも、振込確定の前に人間の目での最終的なチェックは欠かさない方が賢明です。

 

 

【紙ベースの申請書を利用している場合】

ここでも一覧データを活用します。

 

一覧データの金額と、マスタ上から社員IDで引っぱってきた振込先口座情報を基にロボットがバンキングサイトに入力していきます。

 

 

この場合は1件ごとに処理を実行していきますが、

その一覧データをCSVファイル化し、バンキングサイトに取り込ませることも可能な場合が多いです。

 

 

いずれにせよロボットが自動的に処理を実行してくれるため、

人間の業務は最終的な入力内容の確認/振込手続内容の確定のみとなります。

 

 

  • 仕訳(未払金消込)

振込が確定したら、申請時に計上した「未払金」の消込作業に入ります。

 

 

【経費精算システムを導入している場合】

こちらも振込手続時と同じようにシステムから生成したCSVファイルを会計ソフト上に取り込ませます。

 

会計ソフト上で特殊な処理が必要な経費精算案件(金額の内訳入力や摘要欄への補足情報の入力など)が発生する場合は別ロジックの構築が必要です。

 

その際は、経費精算システム上の申請入力項目を改造して追加情報を入力させたり、

マスタ上で例外処理を実施する精算案件をマークしてロボットが判別できるようにしたりして、

通常のフローに組み込んでいくことになります。

 

 

【紙ベースの申請書を利用している場合】

一覧データを基に会計ソフト上で未払い金を消込みます。

 

費用科目と金額を抽出して、会計ソフトに反映させるのですが、

上記と同様に例外処理が発生する場合は、ロボットに別のロジックを付与します。

 

日頃RPA導入される企業様ヒアリングを行っていると、この仕訳の部分に例外処理が発生する事例が多いように感じられます。

 

事業部ごと、一事業単位ごとのようにそれぞれで収益計上を行っているためです。

 

 

その際は11件「どんな処理を行うのか」「どんなデータを別途取得しなければならないのか」「そのデータはどこから取得するのか」という観点から開発を進めていかなければなりません。

 

あまりにも特殊過ぎてその他大半の通常処理フローに組み込めない場合は、

無理にロボットに実行させるのではなく、割り切って人間の業務として残した方がいい場合もあります。

 

 

さいごに

今回のコラムでは経理財務業務におけるRPA導入機会をご紹介しました。

 

このほかにも人事/総務部門などのバックオフィスでの活用が進んでいます。

 

 

RPA導入時まず検討するべきは、

 

  • 手作業で多くの業務時間を要しているところはどこか
  • 一連の業務を定型化できるか、例外処理はあるか
  • 自動化によりどれだけの労力/業務時間を削減できそうか

 

という観点での業務内容の見直しです。

 

そのため開発の前段階として「業務の棚卸」を実施していくことになります。

 

 

今すぐロボット開発/導入は無理でも、一度自社の業務フローを可視化することは、業務効率化の第一歩です。

この際にぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。

 

弊社でもお見積もりいただけます。

 

 

 

RPA6製品を徹底比較!あなたにピッタリのRPAは?

2018.06.25

RPA元年と言われた2016年から現在まで、各社からさまざまなRPA製品が発売されています。

しかし、いろいろな製品がありすぎてどの製品が自社に向いているのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。

 

そこで本日は、筆者が実際に利用したRPA6製品(BizRobo, UiPath, WinActor, Nice RTS, Axelute, ipaS)
の特徴とメリット・デメリットを整理してみたいと思います。

この記事を読んで、御社にピッタリのRPAを探してみてください。

 

 

各製品の概要

【BizRobo(Basic Robo)】

RPAの元祖と言われるBizRobo。

日本RPA協会の理事長である大角氏が経営するRPAテクノロジーズ株式会社にて販売されており、国内での導入実績もNo.1です。

 

管理サーバと実行サーバを用意する必要があり、ライセンス費用も約60万円/月と高額なことから、

大規模利用向けの製品と言えます。

 

専用の開発ソフトでロボットを作成し、実行端末に配布して実行することが可能ですし、

管理サーバでエラーログを集中管理できるところも大規模利用に向いています。

 

操作対象の認識や制御には専用のコマンドが用意されているため、

他の端末での実行や画面のレイアウトの変更があっても、

問題なく作成したロボットを使用し続けることができます

 

半面、専用のコマンドが用意されていないソフトはまったく操作することができないので、

導入を検討されている方は、

今の業務で使用しているソフトウェアがサポートされていることを確認してから導入するようにしましょう。

(サポートされるソフトウェアは随時追加されていますので、最新の情報を確認しましょう)

 

 

【UiPath】

海外では実績がありますが、日本では新興勢力のUiPath。

2017年2月に日本法人ができたばかりですが、日本語マニュアルの整備や日本企業向けのサポート体制を整えてきています。

クライアント1台からの利用も可能ですし、サーバ型での利用も可能なため小規模~大規模まで幅広いニーズに対応できると思います。

 

料金は、ミニマムの構成で約60万円/年~とRPAツールの中では、

かなり低価格な部類になります。

 

ロボットの開発は操作の記録でも可能ですが、

プログラミング経験のまったくない業務ユーザだけで開発を行うには少し難しいかもしれません。

 

ただ、その分、高度で複雑な操作が可能なため、使いこなすことができればかなりの戦力になります。

プラグインも豊富で、GoogleやMicrosoft、AbbyyのOCR機能を導入しています。

プログラミング経験のある方や、システムベンダの協力が期待できる場合にはイチオシの製品です。

 

 

【WinActor】

NTTデータが開発/販売を行っている、国産RPAのWinActor。

直観的な操作でロボットを作成することができ、業務ユーザの方だけでも十分に使うことが可能だと思います。

 

費用の方も、約90万円/年~と、こちらもRPAツールの中ではかなり低廉な価格設定になっています。

 

機能面では、

サーバ機能はないため、各クライアント端末にインストールして利用する形になりますが、

作成したロボットを他の端末にコピーして実行ライセンスだけを購入することで複数端末での実行も可能となります。

 

ただし、画像認識を行う場合やソフトウェアの起動から操作を行う場合には、

端末を変えるとロボットがうまく動かない場合があるので、

ロボットをコピーする場合にはなるべく端末の環境(解像度やソフトウェアのインストール先)が同じになるように心がけましょう。

 

 

【NICE RTS】

ITFORが販売するRPAツール「NICE」。

 

開発元は海外のため、筆者が試した際にはマニュアルやガイドが英語しかありませんでした。

他のRPA製品とは少し異質で、イベントトリガという機能を有しています。

普通のRPAはロボットを任意のタイミングで実行し、大量の単純処理を行わせるバッチ型が多いのですが、

この機能では、あるルールを決めておくとルールの条件を満たしたタイミングで自動で処理を行う、というルールベースのリアルタイム処理ができます。

 

例えば、業務画面で顧客番号をクリックしたことをトリガに別のシステムで検索して検索結果を表示する、といったことが可能です。

 

費用は、アイティフォーの公式ホームページによると、

半自動ロボが35.5万円から、全自動ロボが350万円~とのことです。

 

 

【ipaS】

デリバリーコンサルティングという日本のベンチャー企業が作成したRPAツール。

画像認識とマウス・キーボード操作の組み合わせで自動操作を行います。

 

操作対象をオブジェクトとして認識するのではなく、画像のみで判別するため、

操作対象ソフトウェアの縛りはありませんが、確実性に若干難があるという印象です。

 

また、解像度の異なる端末にシナリオを配布したり、

OSやソフトウェアのバージョンが変わると画像を取得しなおす必要がある点も、

再利用性という観点では弱点となるでしょう。

 

ライセンス料が月額払いという点が他の製品と異なるので、2~3か月限定で利用したいという形であれば
コストメリットがあるかもしれません。

 

なお、詳しい費用感は個別見積もりとなります。

 

 

Axelute

富士通が自社のテストツールを一般向けに改修し、RPAツールとして販売を開始したもの。

 

実行時のエビデンスを自動で取得したり、手順書を自動で作成してくれる機能は他にない独自の機能ですが、

シナリオの編集機能がなく、記録した動作のままの実行しかできない点がRPAとしてはまだまだ実用レベルではないといった印象でした。

 

ただし、逐次バージョンアップで機能追加をしていくとのことでしたので、今後の経過に期待したいと思います。

 

なお、こちらも費用は個別見積もり。

 

 

各製品の特性チャート

 

 

縦軸に利用規模、横軸に業務の複雑さを示すチャートで各製品の向いている業務の特性を表してみました。

管理サーバでの総合管理機能を有し、複数クライアントでの並列処理も可能なBizRoboが上部に位置しています。

 

 

BizRobo, UiPathはロボットの作成は難しめですが、その分複雑な処理が可能ということで右半面に位置しています。

 

NICE RTSは他のRPA製品と趣向が異なるので位置づけが難しいのですが、

管理サーバを有している点と、リアルタイム処理がメインなので、そこまで複雑な処理には向かないだろうということで中心やや左よりに位置しています。

 

WinActorは使い方は難しくないですが、使い方によっては複雑な処理も可能ということで左右の中心位置に、

ただし並列処理をする機能や複数クライアントへの配布機能があるわけではないので下部に位置しています。

 

AxeluteとipaSは使い方はシンプルですがその分あまり複雑なことはできず、

他の端末にシナリオを配布して並列実行するような使い方にも向かないので左下に位置しました。

 

RPAで効率化したいと検討している業務が、このチャートの軸でどの位置に該当するかを考えてみると製品選びの参考になると思います。

 

また、もし今回紹介した6製品以外をお考えの場合もこのチャートのような軸で比較をされると、

自社にピッタリの製品が見つかるかもしれません。

 

製品比較時の考慮点

製品選定の際にはついつい、現時点での機能の多寡で優れている製品を選んでしまいがちです。

歴史の長い製品と新しい製品では、現時点での製品機能には当然大きな差があります。

 

しかし、新しい製品も随時バージョンアップし、他社製品の良い機能を取り入れていっているので、

数年経てば機能面での差はあまりなくなってくると考えます。

 

RPA製品は、製品間の互換性がほぼありません。

一度製品を使い始めたら他の製品に乗り換えようと思うと、すべてのシナリオを別の製品で作り直す必要があるので、
製品選定は慎重に、かつ長い目で見て有利な製品を選ぶことが大事です。

 

そのため、直近で利用想定のある業務を自動化するのに必須の機能が揃っていることを条件とし、
条件を満たす製品の中で自社の要員・業務に向いていそうな製品や使い勝手の良い製品を選んでおくことが、
長い目で見るといい結果に繋がるのではないかと思います。

 

RPAのツール選定、そのほかRPAでお悩みのことがあれば、

ぜひ弊社にお問い合わせください

 

 

 

【導入事例で学ぶRPA】RPA導入で業務がどう変更になるか

2018.06.22

今回の記事では、実際にRPAを導入することで現場の業務がどのように変化するかを具体例を交えてご説明したいと思います。

 

読者の方は、RPAが導入された後の業務がどのように変わると考えているでしょうか。

 

ロボットが完全に業務を独り立ちで実行し、もともとの業務担当の方が不要になり、

人の目によるチェックが全くない状況をイメージしているでしょうか。

 

 

確かにRPAに業務が置き換わることで、作業自体の質(速さと正確性)は増しますし、

ロボットが稼働できる時間は、人間が稼働できる時間と比べると大幅に増加します。

 

 

ところが、完全に業務から人が自由になるか、といったら実はそうではありません。

 

では、具体的な大手金融サービスのバックオフィスにおける業務のRPA化の実例を、

導入前と導入後の業務プロセスの変更に着目しながら記載していきたいと思います。

 

 

また、業務の変更前、変更後の記述のみではなく、

実際にどのようにRPAの導入が進むかのイメージが湧くように、

時系列を追って解説していきたいと思います。

 

【業務選定について】

RPAの導入の“いの一番”は業務選定になります。

そもそもRPA化に向いている業務とそうでない業務を見極める必要があります。

 

この記事の読者であれば、具体的にRPA化に向いている業務については一定以上の理解があると思いますので、

ポイントとなる点のみを強調します。

 

 

一番大事なのは、その業務をRPA化した場合に、短期間で費用対効果が上がるかという点です。

 

特にRPAのロボット開発を自社で行わない場合(外部ベンダーに委託する場合)、

開発にかかるコストの面で言えば、自社開発に比べ高くなる傾向があります。

 

 

また一度、RPA化を行ったとはいえ、ソフトウェアのライセンス料は毎年かかりますし、

業務プロセスを変更したことによるメンテナンス費用も当然発生します。

 

すなわち、これらの費用の支払いに見合った改善効果(時間短縮)がなければ、

基本的にRPAの導入は不要(コストに見合わない)ということになります。

 

 

ただし一方で、現場で働いている人たちには、RPA化が向いている業務などわからないという問題もあります。

 

この際には、一度実際にRPA化を行った業務のデモなどを見せて、

具体的なイメージ(実感)を持ってもらうことが非常に有効的だと考えられます。

 

 

今回のケースではこれらの条件を満たした業務として、

官公庁発表データの速報値取得(守秘義務の観点から特定のページをお伝えできませんが実際に発生している業務になります)という業務が選定されました。

 

この業務は、

 

「指定の時間になった時、インターネットに公開される政府発表の速報値をダウンロードして、指定のディレクトリにアップロードしておく」

 

という単純作業の業務です。

(毎日実行する必要があるが、指定の時間に出ていない場合もあるため、

公開されていない場合は何度も同じページにアクセスして確認する必要がある)

 

 

この業務が選定された理由は大きく2点ありました。

 

1 点目は、この業務が非常にシンプルな業務であって、

業務を遂行する上でアクセスの必要なシステムが一つのみであり、

開発にかかる工数が極小であるという点です。

 

2点目は、

 

「部署内におけるRPAを盛り上げるにあたって、

部署内で一番メジャーな業務(新人が必ず行うため、全員が経験する)であるため、

部署内でのRPA化に向けての業務洗い出しのきっかけづくりになる」

 

という点です。

 

【業務ヒアリングとRPA設計】

それでは上記の業務が、業務ヒアリングおよびRPAの設計・開発を通じて、

具体的にどのようなプロセスに置き換わっていったのかを見ていきましょう。

 

 

まず最初に紹介するプロセスは、

現場担当の人が自分たちの業務を紹介したときの口頭での業務ステップになります。

 

【As-Is(現在の業務)業務紹介時】

 

  1.  政府発表の速報値へのリンクがあるトップページを開く
  2. 表示されているリンクをクリックし、速報値のページが有るか判断する
  3. 速報値があれば、ファイルサーバにあるdata.csv ファイルを開く
  4. 上記の値を当日の速報値に書き換えて保存する。
  5. 更新したファイルを指定のディレクトリに移動する。

上記の1から5のステップを聞いて、RPAの設計ができるでしょうか。

 

実はこれだけの情報ではRPAのロボットを作成することができません。

 

この情報をもとに更にヒアリングを実施し、ロボットの設計に落としていく必要があります。

 

 

例えば、上記の内容だけですと、「速報値のページがない場合にどうすればよいのか」であるとか、

当日の速報値を保存するときの内容はどのような内容か(フォーマットは?)」といった点がわからず、

RPAのロボットを設計するための基本的な情報が足りません。

 

 

また、実際にヒアリングを進めていくと、

「ファイルサーバーへアクセスするには、特定のツール(ファイルサーバアクセスツール)が事前に起動されている必要がある」とか、

「インターネットにアクセスする際にはCitrixと呼ばれる仮想ブラウザツールを利用する必要がある」といった、

クライアント環境に起因した特別な条件が出てきました。

 

ヒアリングを実施した後の現在の業務フローは以下のようになりました。

 

【As-Is(現在の業務)ヒアリング後】

 

  1. 営業日のみ以下の業務を実施、通常の営業日は17:00に確認、月末のみ18:00に確認 
  2. インターネットに接続するための仮想ブラウザを立ち上げる
  3. 表示されるダイアログにユーザーIDおよびパスワードを入力する
  4. 指定のURLを入力し、政府速報値のページに移動する。
  5. 速報値があれば、当日の速報値のページに移動し、ない場合は5分後再確認
  6. ファイルサーバアクセスツールを立ち上げる
  7. ファイルサーバツアクセスツールにーザーIDおよびパスワードを入力する
  8. ファイルサーバにあるdata.csv ファイルを開く
  9. 上記の値を当日の速報値 (日付は固定でYYYYMMDDのフォーマット) に書き換えて保存する
  10. 更新したファイルを指定のディレクトリに移動する

いかがでしょう。違いを感じることができたでしょうか。

 

業務担当へのヒアリングにより、そもそもいつロボットが起動するべきなのかに加えて、

PCでの操作内容が明確になったことで、RPAのロボットに覚えさせることができる粒度まで業務プロセスを具体的にすることができました。

 

さて、いよいよ次はこれをRPA化後にどのようなプロセスになったのかを書き出したいと思います。

 

【To-Be(RPA導入後)】

 

  1. タスクスケジューラーにて夕方5時より起動、当日の速報値のページが見つからない場合15分毎に8回リトライする
  2. インターネットに接続するための仮想ブラウザを立ち上げる
  3. 表示されるダイアログにユーザーIDおよびパスワードを入力する
  4. URLを日付に合わせて変更し速報値が掲示されるページを直接探す
  5. 該当のページがみつかれば次へ、見つからなければ、リトライ
  6. ファイルサーバアクセスツールを立ち上げる
  7. ファイルサーバツアクセスツールにユーザーIDおよびパスワードを入力する
  8. 上記の値を当日の速報値 (日付は固定でYYYYMMDDのフォーマット) に書き換えたCSVを作成
  9. 作成したファイルを指定のディレクトリに移動する。
  10. 社内メールを立ち上げ、当日の速報値を業務担当者に連絡する
  11. 速報値の連絡が来ることを確認する(←ここのみ人間の作業
  12. 値の取得ができなかった場合、またはいずれかのシステムへのアクセスに失敗した場合、メールで失敗した旨を通知

 

上記が最終的にRPA化を行った際の業務のプロセスです。

実際には、1-10まではロボットが実行してくれるため、人間の介在は不要となり、

人間が政府の速報値のページにアクセスをするという手間は完全になくなります。

 

ところが、完全にロボットだけで自立をさせることはできません。

アクセス先のページががダウンしているようなこともあれば、ファイルサーバへのアクセスが失敗することもあります。

 

そういったことも含めて、RPA化を導入した後であってもロボットが正常に動作していること、

または正常に動作したことを、やはり最後は人間が確認できるようにしていることが大事になります。

 

【おわりに】

今回のケースではロボットが処理した結果(失敗・成功)をメールで通知するという手段でロボットが正常に動作したのかどうかを確認するという設計になりましたが、

「処理結果をファイルに残す」「処理結果を紙に印刷させる」といった別の手段で人間が業務完了を確認できるようにするということも考えられる方法です。

 

今回の記事はいかがでしたでしょうか。

「RPA化する=人間が不要」とならないと冒頭で宣言したことが、

具体例から感じ取ることができたでしょうか。

 

この記事を読んだ皆様が、この記事を通じて業務のRPA化に対して、より理解を深めていただければ幸いです。

 

 

 

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