2018.11.08
近年、労働人口の減少に伴い、急速に人手不足が進行しているのが接客業です。
実際、東京都における有効求人倍率(2017年11月時点)を職業別に見ると、
「サービス(接客・給仕)」は8.98倍と群を抜いて高く、全職業の1.8倍を大幅に上回っている現状があります。
また、最低賃金の上昇に伴いオペレーションコストが急増。
そのため、
少ない人数でシフトを回す⇒一人あたりの業務負担増⇒労働環境の悪化
⇒雇用の安定化につながらない⇒採用活動が思うように進まない
といった負の連鎖を引き起こしています。
こうした背景から、政府の推し進める「働き方改革」も、
接客業の最前線に立つ現場スタッフにとっては、他人事のように感じてしまうことも多いのではないでしょうか。
今回は、接客業の業務効率化や労働環境の改善に寄与するべく開発された「接客業向けAI技術」を
利活用した事例を基に、今後の接客業動向を探っていきたいと思います。
こと接客業において、人が人に対して行うサービスは多岐に渡り、
AI技術で賄うにはまだ十分技術革新が進んでいるとは言い難いです。
……などなど、現状超えるべき課題は多々あります。
もちろん上記すべてをAIで代替してしまうのは、
人同士のコミュニケーションを奪ってしまうことにほかならず、接客業の本来の良さが失われてしまいます。
AIの求められるのは、「人が行わなくても特段不都合がなく業務負荷が重い業務」を代替し、
その分人が新たなサービスを創出し、より顧客一人ひとりに寄り添ったサービスにシフトできるようにする
といった柔軟性の高い機能なのではないでしょうか。
ここからは実際に接客業の最前線に取り入れられているAI技術について、個別の事例を交えてご紹介します。
今回は、特に宿泊業にスポットを当てていきたいと思います。
日本屈指の温泉地・箱根の人気旅館でAI活用が始まっています。
AIを活用するのは自社ホームページ上のFAQ(よくある質問)、つまり顧客対応の部分です。
ここに利用者からの質問や、回答の検索を最適化するAI機能と、
サイト訪問者がFAQで疑問を解決できるように導くWebセルフサービス機能などを含むクラウドサービスを導入しました。
箱根湯本の「ホテルおかだ」では、FAQの表示を工夫し、SEO効果で自社サイトへの集客を増やすことと、
利用者が自己解決をすることで入電回数を減らすことを目的にAIを導入し、
運用から5か月で予約件数を10~15%増加させることに成功。
集客と効率化を同時に達成することができたといいます。
工夫点として、FAQを自動的に表示したことが挙げられています。
同一ページで日本語版であれば30秒、英語版であれば15秒滞留した場合に、
そのページに関連する質問項目を先回りして表示。
また、そもそも質問事項が浮かばないであろう新規顧客については、従来の宿泊客からのアンケートを元に、
知っておきたいであろう情報を随時プッシュする仕掛けを施しました。
同ホテルでは、サイト閲覧の内4割が電話予約の対応時間外であることが分かっていたため、
HP予約への誘導は、非常に有効的な施策であったといえます。
同じく、箱根・塔ノ沢の老舗温泉旅館「一の湯」では、AI対応をインバウンドの取込みに繋げています。
FAQで検索されるキーワードとその頻度を調べたところ、
訪日外国人が温泉に入る際に気にするタトゥーについての質問が予想以上に多いことが判明。
悩みの強さを把握したことで、今までなんとなくネガティブに捉えていたタトゥーに対する受け答えを、
プラスに受け止めるようになりました。
同館では、露天風呂付客室を多く設けているため、
このメリットを自信を持って勧めることで、訪日外国人の効果的な取込みに成功しています。
また同館では、アメニティの選別や新商品の開発のきっかけとしても有効活用。
例えば「コーヒーは飲めますか?」という検索の多さを踏まえ、
銀座「TORIBA COFFEE」との共同でオリジナルの「一の湯珈琲」を開発したり、
「パーキング」の検索が多い場合は、駐車場設備の増強や提携駐車場の拡大をしたりして、
常にニーズの掘り起こしを行っています。
変なホテルは、エイチ・アイ・エスグループが展開するホテルブランドで、
ハウステンボス内にオープンした1号店を皮切りに、都内・都市部を中心に9店舗展開されています。
変なホテルは、「変わり続けることを約束するホテル」をコンセプトに館内全域にわたってロボットを配備。
徹底した業務効率性の高さと、最新テクノロジーの粋を集めたホテルというエンターテイメント性を両立した
ホテルとして、人気を博しています。
変なホテルのフロントで出迎えるAIは、本来人が行うチェックイン機能を担っています。
基本的な挨拶はもちろん、チェックイン端末の操作の誘導、荷物が多い場合はロボットクロークへの案内など、
肌理細やかなサービスを提供しています。
AIを手掛ける各社は、近年人手不足が進行するホテル業界向けのAIソリューションをこぞって展開しています。
株式会社空が提供する「ホテル番付」は、従来従業員が主要業務の傍ら行っていた変動宿泊料金の決定に、
特化したマーケティング機能を有しています。
宿泊料金は平日/休日や行楽シーズン、イベント、周辺ホテルとの料金比較などにより決定しますが、
「ホテル番付」はそういった情報を全国2万軒以上のホテル情報を自動精査することによって抽出。
最も利益の見込める最適価格の設定に寄与し、
マーケティング担当者がホテルの企画、戦略を練る作業に集中できるようなサービスを展開しています。
ビースポーク社が提供する「Bebot」は、
人工知能を用いて訪日外国人向けに旅行に関するアドバイスをリアルタイムに答えるチャットツールです。
iPhoneの「Siri」やAndroid端末での「OK Google」の旅行版のようなサービスで、
かねてから収集していた日本の穴場スポットの情報をユーザーの声としてテキストデータ化し、解析。
解析結果から人工知能が自動的に外国人の要望に応える仕組みです。
旅行者は、LINEやWeChat、Facebook Messengerといった会話ツールを使うことで、
チェックインからチェックアウト時まで相談が可能になり、
近くの観光スポット、話題店の予約、文化体験予約、道案内まで対応し、地元の人しか知らないような役立つ情報
を24時間簡単に手に入れることができます。
宿泊施設にとっては、常時回答が可能になったことで、宿泊者の満足度を高められるだけでなく、
外国語対応に不安がある場合でも、人工知能のサポートしてくれるメリットがあります。
これにより、近い将来各国言語に対応するスタッフを常駐させることなく、
訪日外国人旅行者へのローカル案内を行うことが可能になるというわけです。
人手不足が進み、ホスピタリティサービスが重視され、なかなか業務改善につながらない宿泊業界。
今後更なるサービス・ソリューションの開発が期待されます。
利用者と直接向き合うAIと、バックグラウンドで提携業務をドライブするRPAによる業務効率化の恩恵は、
利用者にとっても新たなサービス、快適性の向上といった点で顕れるでしょう。
2018.11.02
目次
最近では大企業のみならず、自治体や中小規模の企業にも導入が進んでいるRPAですが、
実際にRPAを導入することによってどのくらいの効果が期待できるのでしょうか?
今回のコラムでは、RPA導入の費用対効果を出すためのヒントとして、
RPA導入で発生する費用や事例について整理していきたいと思います。
RPAツールの種類や導入方法により費用は大きく異なりますが、
RPA導入において、一般的にかかる費用は以下のようなものがあります。
<RPAの導入・運用保守コスト>
RPAツールによって、ライセンス形態(デスクトップ型もしくはサーバ型)や価格が大きく異なりますので、
事前に確認することをお勧めします。
一般的に、デスクトップ型の方がサーバ型に比べライセンス形態はシンプルで費用も安く設定されています。
一方で、サーバ型は価格が高く、ライセンスの単位(ユーザまたはサーバに対して1ライセンスなのか)が
RPAツールによって異なりますので、注意が必要と言えます。
RPAツールの選定にあたって、デスクトップ型かサーバ型かで迷われている場合は、
デスクトップ型/サーバ型両方の機能を備えているUiPath等のツールを検討すると良いでしょう。
こうしたRPAツールを使用することによって、
例えば、まずデスクトップ型で一部の部署でデスクトップ環境で試験的に導入した後、
全社展開する際にサーバ型に切り替え、開発者を増やしたり実行数を増やす、といったことを効率的に行うことができます。
各RPAベンダーのWebサイトを見ると、ライセンス費用については公開していないベンダーが多いです。
検討されているRPAツールが決まっている場合は、一度ベンダーに問い合わせをしてみるとよいでしょう。
RPAは、基幹システムと比較して導入しやすいですが、とはいえある程度の専門スキルが必要なため、
社内人材のみで導入することはハードルが高いと言えるでしょう(下記「RPAの導入ステップ」参照)。
その場合、外部のSIerやコンサルタントへのRPA導入支援を依頼するための費用も検討する必要があります。
”
<参考>RPAの導入ステップ
1.業務ヒアリング/導入範囲検討
対象部署の社員に対して、業務内容の詳細ヒアリングを行い、対象業務のRPA化の可否を判断する。
2.各種ドキュメント作成
対象業務をRPA化するにあたり、ベースとなるドキュメント作成を行う(例:業務フロー、マニュアル、業務一覧など)
3.対象業務のRPA化
RPA化が可能な業務について、RPAツールで自動化する。
(こちらは、各部署のユーザが行うケースもあるが、最初から自動化を行うにはプログラミング知識やツールの慣れ等が必要なため、教育が必要なため、外部のSIerやコンサルタントが行うことが多い。)
4.RPA運用方法の確立
ロボットの構築ルールや運用フロー、保守体制等、各部署にRPAを浸透させるための運用を確立させる。
5.RPA運用の定着化
各部署でRPAを使用するための環境面の整備や社員教育等を行う。
6.RPA導入効果の把握
RPA導入の費用対効果を追跡する。
”
RPAを稼働させるための専用端末や、ロボットを集中管理するためのサーバ等の費用についても検討が必要です。
RPAの稼働が始まると、次はロボットのエラー対応等のメンテナンスが必要になります。
IT部門など、ITに精通する部署があれば、そちらの部署でRPAの保守が可能ですが、
通常業務と並行して保守を行ったり、社内でRPA専門部署を立ち上げることは簡単ではないでしょう。
その場合の選択肢の一つとして、RPAの保守を外部企業に委託するケースがあります。
参考に、以下にRPA保守の実施事項を紹介します。
”
<参考>RPA保守の実施事項
・ロボットの障害時対応/問い合わせ管理
ロボットの起動ができない時など、各部署のユーザからの問い合わせ対応を行う。
・ロボットの開発
各部署からの要望をもとに、対象業務のRPA化の可否判断からロボットの開発までを行う。
・ロボットの改作
インプット情報の変更などがあった際、ロボットの内容を変更する。
・ロボット管理
全社で使用しているロボットを管理台帳等を使用して一元管理する。
・RPAツールのライセンス/ユーザ管理
ライセンス管理台帳等を使用してRPAツールのライセンス/使用者の管理を行う。
”
RPAの導入効果を試算する際にポイントとなるのは、
①対象業務で現状どのくらいの業務時間を要しているのか
②RPA導入でどのくらいの業務時間を削減できるか
を正確に把握しておくことです。
こちらのやり方としては、あらかじめ、業務ごとの時間を把握するためのフォーマットを作成することをお勧めします。
このフォーマットは、最終的に導入効果を算定する際の重要な根拠になります。
フォーマット作成に当たっては、以下のサイト内「業務一覧」を参考にしてみてください。
<参考Webサイト>
(2)RPA導入に向けた初回業務ヒアリング ~ まずはRPAに拘らず現状業務を客観的に分解(RPA biz)
最後に、多くのRPA導入企業が定量的効果として期待する人件費削減効果について整理するために、ある事例を紹介します。
A社では毎月3,000件程度発生する作業があります。
それはA社の顧客からコールセンターにクレームがあった際に、顧客管理システムを更新する作業です。
実際の自動化する作業内容は「クレーム台帳から顧客IDをコピー」「顧客IDを使用して顧客管理システムを更新」の2つです。
これらの作業の一回一回はそれほど多くの時間を要するものではなく、数分の作業ですが、
この作業をRPAで自動化したことによって、月3,000件の業務時間にして50時間も発生していた作業を削減することができました。
月間50時間の工数削減というのは、1日の基本労働時間を8時間とすると約6人日分の削減効果ということになります。
つまり人件費に換算すれば、「毎月6人分の日当を削減している」という計算です。
月給30万円の社員の場合、月間労働時間が160時間だとすると、
この社員の時給は1,875円となり、日当は1万5,000円です。
従ってA社事例の場合、毎月30万円の人件費削減効果があります。
RPAツールを利用するための年間コストが60万円だとすると、一つの業務自動化だけで2か月で費用を回収できてしまう計算になります。
このA社事例では、A社に存在する様々な業務のうちたった一つの業務プロセスを自動化したものです。
従って、このRPAツールの適用範囲を広げれば、さらに多くの人件費削減につながることになります。
いかがでしたでしょうか。
今回のコラムでは、RPA導入で発生するコストや人件費削減効果の事例について紹介しました。
RPAの費用対効果に関してご興味を持たれた方は以下のサイトも参考にしてみてください。
<参考Webサイト>
費用対効果のジレンマを超える!RPAチャットボットでRPA導入時の障壁を解決(Ledge.ai)
RPA導入ROIを明確にする(DEXCAロボティック)
https://dmc-service.com/clarify-rpa-introduction-roi
RPA導入で注意すべき3つのポイント(業務可視化Note)
https://kashika.biz/sps_important_point_of_rpa/
「同僚はロボット」RPAによる人事業務自動化と費用対効果(beyond globalグループ)
https://globalleaderlab.com/rpa?doing_wp_cron=1539406075.5295081138610839843750#tittle5
2018.11.01
目次
今回の記事では、実際のところ、
RPAを使ってどのような業務がどのように変化するのかを具体的にお伝えしたいと思います。
サンプルとして、請求書作成業務をRPAにより自動化させる方法を簡単にご説明します。
請求書作成業務であれば、会社や業種が違っていても共通する部分が多くあるため参考にしていただけたら幸いです。
*弊社ではRPAはWinactorを使用しているため、この記事ではRPA=Winactorの意味になります。
RPAで自動化するという目線で請求書作成業務の特徴を見ていきます。
上記の点を踏まえてシナリオの作成をしなければなりません。では、どのようにすれば良いのでしょうか。
プログラミングの知識がない筆者(事務員)でもできる方法で紹介します。
「これならうちの社員でもシナリオを作成できる!」という目線で見ていただけたら嬉しいです。
まず、案件のリストを準備します。
エクセルのリストが一番使いやすく、エラーが起きにくいです。
(エクセルはセルの位置が指定ができるため、正確にデータを取ることできます)
独自のシステムを使って管理している会社も多いと思いますが、
そのままのリストを使用する場合は、データ(数値)をRPAが認識できることが条件となります。
認識とは、簡単に言い換えると、データをコピーペーストできるかということです。
独自システムで管理しているリストをCSV変換するのでももちろん大丈夫です。
新しくリストを作成する必要はありません。現在使用している案件リストを利用しましょう。
あくまでも、業務効率化がRPAの使命です。
ここでは、表1のような簡易なエクセルを使って説明します。
上記のような案件リストがあるとします。
赤字部分の請求日・請求書OKマーク・済マークの列が重要となりますので、お持ちの案件リストに追加してください。
使い方は、請求書を作成したいときに「請求日」を入力し、「請求書OKマーク」にOKと入力するだけです。
あとは、RPAが自動で「請求書OKマーク」の列に「OK」が入力されていて、かつ、
「済マーク」の列が空欄の案件を抽出して請求書を作成します。
ここでは、会社整理番号で言うと、A003、A005、A006が該当することになります。
最後、請求書を出力するところまで自動でやってくれます。
(出力の必要がない場合は、特定のフォルダへデータを保存することも、もちろん可能です)
そして、作業が完了すると、済マークの列に「済」と自動で入力し、エクセルを閉じます。
RPA上のシナリオは下記のようになります、簡単ですね(図1)。
エクセルの使い方は分かっていただけたかと思いますが、
一つの案件リストで複数のクライアント宛の請求書は作れるのか?という部分を説明していきたいと思います。
複数のクライアントを管理する場合も、シナリオは1つだけ作成すれば良いのです。
例えば、クライアント毎で異なるフォーマットを使用し請求書を作成したいとします。
この時、シナリオ上は「分岐」という道具を使います。
「分岐」とは、条件式を設定できるパーツです。
例えば、エクセルの「クライアント名」のセルが「あ」のときは、
一番左側のルート(図2)に進むというように設定をすることができます。
この機能を使って、一つのシナリオ内で複数の条件を指定することによって、
無数に進むルートを枝分かれさせることができるのです。
枝分かれさせた後、請求書へどのように反映されるかというと、下の図3をご参照ください。
青い枠の中の情報は、案件リストに入力していた項目になりますので、
シナリオを実行することで、自動でクライアント名や請求日を変更してくれます。
また、請求項目・数量・単価等もあらかじめ案件リストに入力しておけば自動で変更が可能となります。
つまり、どこの情報でもRPAに情報を読ませておけば自動で変更可能となるのです。
そして、人間の仕事は出力された(または保存された)請求書を確認すれば良いだけになるのです。
案件リストに必要な情報を入力していれば、請求書に反映してくれることは分かっていただけたと思いますが、
実は、案件リスト以外からの情報を取ってくることも可能です。
と言うのも、会社によっては複数のシステムを使用していたり、
同じシステムでも他のページに分けて情報を管理していたりする場合もあると思います。
その場合は、RPAが特定の情報については、自動でそのシステムやページを見に行くシナリオを作成しておけば、
一つのリストへ全て情報を集約させておく必要はないのです。
既に他のシステムやページに入力してある情報は、新たに人間が転記する時間をかけるのではなく、
機械(RPA)にデータを探しにいかせるということが効率化への近道です。
では、RPAでクライアント毎の請求書を作成することにより、どんな効果があるのでしょうか。
弊社では実際使用前と使用後では下記の2点が挙げられました。
従来、請求書を作成するときには必ず事務員による転記の作業が発生していました。
例えば、今回例にあげていたクライアント名やクライアントの整理番号等は、人間が手で変更している部分でありました。
そこが、自動化することにより、RPAが正確な情報を持ってきて、入力をしてくれるようになり、人的ミスがなくなりました。
人間が作業していた時間を代わりに機械が担当することにより人間の業務負荷が減りました。
そして、弊社の場合は1人目の事務員が請求書を作成し、他の事務員がダブルチェックを行うという業務フローになっていました。
しかし、自動化することにより、RPAを一人目(請求書作成をする事務員)とみなし、
事務員はダブルチェックのみすればよいことになりました。
そのことにより、2人の人数をかけていた業務が1人でよくなったため、明らかに請求書作成にかける一人当たりの作業時間が短縮することになったのです。
また、従来は、クライアント毎にフォーマットが異なっていたため、その作法を覚えたりマニュアルを見返したりすることにも時間を使っていました。
そういった本来覚える必要のない無駄な情報を扱わなくなることにより、業務負荷が減ったと言えます。
今回は、数ある事務員の業務の中で請求書作成に焦点をあてて説明をしましたが、同じ要領で他の業務も自動化していくことができます。
短縮された時間は、もっと人間らしい仕事(クリエイティブな仕事や専門的な知識を要する仕事)に
割くことができるようになります。
また、人手不足の会社であれば、新たに人を採用するのではなく、
RPAのシナリオを増やすことにより業務をどんどん自動化させていくのも一つの方法だと思います。
実際、弊社では機械ができることは全て自動化する方針ですし、筆者は一事務員としてシナリオ作成に勤しむ毎日です。
2018.10.29
【前回の記事はこちらから】
前回は、各部門が管轄する基幹システムを統合する「ERPパッケージ」と、その導入プロセスをご紹介しました。
そこで今回は、RPAと組み合わせることで更なる業務効率化を図るべく、
その組み合わせ方や効果的な導入方法を検討してみたいと思います。
既に社内システムの統合が一通り行われ、更なる効率化を目指す企業様にもご参考にしていただければ幸いです。
企業のバックオフィス業務を幅広く網羅しているERP。
経営管理のシステムとして、様々な業務プロセスに跨った情報を収集し、
経営に役立てることが可能となるというメリットは前回お話しした通りです。
反面、効率化を目指してシステムの統合を図ったはずがERPシステムへの入力作業自体が負荷となっているケース、
或いは適正なデータ入力が行われずデータの正確さが担保されずうまく活用されないケースも存在します。
企業の主要業務を支えるシステムとして、この状況は当然ながら好ましい状況ではありません。
そこで、登場するのがRPAです。
RPAが得意とするのは以下の性質を持つ業務です。
企業のバックオフィス業務には、経理部門での入出金管理や決算処理、
事業部門では受発注管理や顧客情報、取引先情報、製品情報のマスターデータの定期的な更新作業など、
ルーティン化された業務が多々あります。
RPAはこういった繰り返し作業が発生する業務を日次・週次・月次問わず、ロボットに作業を代替することができます。
また、導入も低価格・低規模からスタートでき、業務削減効果も即時性があるため、実に多くの企業で導入されています。
よく混同されがちなAI(人工知能)は、RPAよりも上位の概念です。
そのため、RPAでは状況、内容を見て高次の判断が必要な業務には向いていません。
また、RPAの製品パッケージによってできること、できないこと、向き不向きがありますので、
違いや特徴をよく理解する必要があります
ERPが導入された段階で、ある程度業務プロセスは確立しているはずなので、比較的容易にRPAを導入することが可能です。
また、ERPの維持には適正なタイミングで正確かつ十分な量のデータ入力が必要なため、
ミスなく遅滞なく業務を遂行するRPAを導入が効果的だといえます。
ここでは実際にERPシステムにRPAを組み合わせ、業務量やコスト削減に成功した事例をいくつかご紹介します。
【RPAの活用によりERP導入コストを削減】
ERPを導入する際、自社の業務と既存のERPパッケージの機能を適合させて行うのが一般的です。
その際、ERPパッケージに適合しない業務は、人力のまま残すか、
業務プロセスを変更してシステムに適合させるか、或いはシステムのカスタマイズをするか選択しなければなりません。
業務プロセスの変更は、現場に大きな混乱をもたらす恐れがあり実作業者のことを考えると気が引けてしまうものです。
また、ERPの機能のカスタマイズとなると、当然ながら追加費用が発生します。
大企業で入力単位が何千、何百といった規模ならばコストに見合う効果が期待できるかもしれませんが、
想定外のコストは、あまり得策とは言えません。
人力で一業務だけ残すのも、できれば選択したくないかもしれません。
そんな時はRPAを検討し、カスタマイズを最小限にしてみるのはいかがでしょうか。
例えば売上管理業務において、通常なら取引先からの受領書を以って受注・出荷伝票に売上計上をしていくものですが、
出荷件数の多さによっては、出荷日を基準にみなしで売上計上していくことも検討する場合があるかと思います。
そこで出荷日をキーとし、伝票番号と紐付けて売上計上を行うよう組み立てたロボットを導入します。
すると、ERPシステムの機能を拡張することなく、業務を自動化・集約することができるようになります。
こうして、ERPパッケージで網羅できなかった業務をRPAで代替する取組みは、
システム導入を進めている多くの企業で実践されてきました。
この部分では、東芝がERPオペレーションを支援するツールとしてWeb-ERP「GLAMDIT」にフォーカスした、
業務自動化オプション「GLANDITロボットオプション」をリリースし、
企業ごとのカスタマイズに応えるシステム構築を提供しています。
【購買情報の転記作業】
ある食品メーカーでは、100社にも上る卸会社からExcelで送付される販売報告情報を手作業で集約、
システムに登録しており、その膨大な作業量から多くのリソースを消費しながら、
ヒューマンエラーによる入力ミスも散見されている状態でした。
また、各卸会社のExcelフォーマット統一化や入力ルールの厳密化も進めていましたが、
うまく統一化することができず、正しくシステムに落とし込めない状況が続いていたのです。
RPAを導入した直後はExcelを一元管理で集約し、
作業効率の大幅なスピードアップとヒューマンエラーのリスク回避を同時に実現しました。
卸会社の入力項目のずれもロボットが認識し、正しく転記されるようになりました。
最終的に自動でCSV形式に変換し、自動でシステムに取り込まれるようになったといいます。
これにより、従来4人で5営業日かかっていた作業がほぼなくなり、
他の業務に注力できる環境を整えることに成功しました。
以上の事例はほんの一例ですが、具体的な業務への導入がイメージできたのではないでしょうか。
ERPシステムとRPAテクノロジーの組み合わせは、その膨大な入力作業から解放される点において、
かなり親和性の高い業務であるといえます。
ERP特化型のRPAソリューションとしては、
上記の東芝「GLANDITロボットオプション」の他にも、
ドイツ製のERPパッケージ「SAP」に対応した、Uipath社の「Uipath SAPオートメーション」、
RPAテクノロジー社の「ERP Automation Robot For SAP ERP」などが存在しています。
SAP以外のERPであれば、
NECの「NEC Software Robot Solution」や日立の「RPA業務自動化ソリューション」など、
数多くの製品が出回るようになりました。
肝心なのは、どのソリューションを用いるにせよ、
現状の課題・業務の棚卸と、明確な業務プロセスの設定をする必要があります。
その際は一度RPAの知見のあるコンサルタントに相談するのもよいかもしれません。
いきなりソフトウェア各社に導入の相談をするよりも、効率的に現状把握と課題の発見を期待でき、
オーバースペックによる無駄なコストを回避し、実用的なシステム構築が可能になるかもしれません。
2018.10.22
2017年度はメガバンクがRPA導入による業務量の大幅な削減、
そして、それに伴う大幅な人員削減がニュースになりました。
メガバンクに限らず、多くの大手企業がRPAに着目しており、
2018年以降、さらにRPAがニュースを騒がせることになるかと思います。
大手企業がRPAを推進する中、日本の99%を占める中小企業は蚊帳の外なのでしょうか。
過去を遡れば、テクノロジーは大企業を中心に発展し、
そこから中小企業へ浸透していくというかたちが一般的だったかと思います。
RPAの時代が始まった今、中小企業は大企業の様子を眺めているだけで良いのでしょうか。
今回は、その中小企業におけるRPA導入の可能性について考えていきたいと思います。
請求処理、経費精算、在庫管理、入金確認など、
定期的に発生する業務が、担当する人に依存した仕事になっていることが多い現状があります。
「IT投資」に積極的ではない、とも言い換えることが出来るかと思います。
理由をいくつかあげてみます。
例えば、「在庫管理システム」を自社専用に開発出来る企業は多くはないでしょう。
大企業が使うパッケージシステムは、
中小企業にとっては投資額および機能面でオーバースペックでもあり、
また、実際に使うにあたって、必ずしも業務にマッチするとは限りません。
RPAはその種類によっても異なりますが、1台数十万円から使うことが出来ます。
また、RPA導入にあたって、ソリューションベンダが多数していますが、
中小企業においては、必ずしも必要ではありません。
RPAのソリューションベンダは、
複雑に跨る既存業務の分析とRPAへの業務置き換えに関するコンサルティングをメインとしており、
中小企業においては、そこまでを必要としない場合が多いと言えます。
RPAは1業務から始めることが出来ます。
例えば、「請求書の作成業務」のみを対象として始めることが出来ます。
その中でも、RPAを初めて使う場合は、様々な問題点が発生するかと思います。
トライアンドエラーを繰り返しながら、RPAを自社の業務に合ったかたちに作り出すことが出来ます。
複雑な業務を対象とする場合を除いて、RPAは技術者でなくとも問題無く使うことが出来ます。
(最初の数時間は慣れが必要ですが、オフィスソフトを使うのと同じような感覚です。)
もちろん、RPAの機能を使いこなす為には、研修などを通じて学習をすることが最適ですが、
スタートの段階では必ずしも必要ではありません。
RAPを月単位で使うことが出来るサービスなどが登場しています。
例えば、事務作業が集中する時だけRPAを使う、
または、RPAを増やすといったことも可能です。
複雑な業務をRPAに置き換える場合、
RPA上で必要となるプログラミングなどを代行してくれるというサービスもあります。
RPAに関しては、今後も様々なサービスが登場してくるはずです。
三井住友銀行はRPA導入により、
2017年上半期のみで、1年間あたり40万時間の業務量の削減を達成しています。
中小企業においては、このようなトピックスにあがるような効果を出すことは難しいでしょう。
しかし、インパクトでは無いところに、大きな意味が隠れているのです。
語弊がある言い方かもしれませんが、中小企業における事務作業は大企業と比較して、ミスが多い
という事実があります。
この原因は、
という、いくつかの原因があげられます。
RPAを導入することによって、
先に挙げた「中小企業特有の問題点」を全て解消することが出来ます。
人はRPAを監視する、または、RPAをフォローする役割に徹するだけで良いのです。
RPAによる業務量削減にインパクトは中小企業においては少ないということは前述の通りです。
「AIを含めた自動化は既存の仕事を奪う」と言われておりますが、
時間軸は別として、その流れがやってくることは間違いありません。
RPAにより、社員の
「業務の視点が変わった」/「新しい知識を使いこなせるようになった」
など、社員の意識変革もRPAのメリットの1つだと言えます。
毎日、メールで何十社(多いときは百社超)から派遣案件情報が送られてきています。
以前は、営業担当者はそれらの情報をExcelに転記をする作業が発生していました。
しかし、メールを1通1通確認する作業がある中で、
メールの見落としや内容の誤転記が発生していました。
そもそも、この作業自体に多大な時間を擁しており、本来の営業活動の時間を圧迫していました。
RPAがメールの中身をExcelに転記する作業を行うようになりました。
今後は、営業担当者は転記作業をすることなく、
これを営業情報の一次情報として活用するようになりました。
<課題>
送られてくるメールの中身は、会社毎(または、担当者毎)に、書き方が異なる為、
RPAが上手く拾えないケースが多々発生しています。
現在は一次情報としての集約に留まっており、詳細はメールを見に行く必要性があります。
社員3人のコミックコンテンツ管理会社において、
10人超に及ぶコミック作家と、コミックの進捗管理やシナリオの進捗管理をメールでやりとりしていた。
社員各人が、それぞれ別々の管理方法でコミック作家とやりとりをしていた為、
1人のコミック作家に別々の社員が同じことを聞くということが発生していた。
メールの題名記入方法を統一化し、
RPAがメール(及び添付ファイル)をコミック作家別にサーバーにフォルダ保存することになった。
今後は、社員はフォルダを除くことで、
社員とコミック作家とのやりとりの履歴を一覧化して閲覧することが可能になった
<課題>
メールの題名記入を間違えた場合(文字コードが変わった場合なども)、
想定したフォルダに収まることが出来ず、行方不明扱いになってしまう。
この場合、気が付かないリスクと、その監視をどうするか、まだ決まっていない。
RPAの導入のしやすさと、使うことによるメリットが理解出来たかと思います。
中小企業の課題こそ、RPAの本領の発揮どころの1つだと言えます。
AIやビックデータといったキーワードも話題になっていますが、
これらはまだまだ、高い費用と技術力が必要な分野です。
こういった分野は大企業先行による後者利益を得ていくという方針が適切ですが、
RPAについては、先行者利益を得ていっては如何でしょうか。
労働市場は、これから益々切迫化していくことが予測されています。
人材の採用難と人材の流動化は今後益々進むことは確実です。
是非、RPAを上手く活用して事業に活かして頂ければ幸いです。
2018.10.19
株式会社チュートリアルのCEO福田志郎 氏(左)と、同社エンジニアの岩渕悠祐 氏
RPAツールで現在主流となっているのは
オンプレミスで導入・運用をする「オンプレミス型RPA」です。
しかし近年増えつつあるのが、
RPAの機能をクラウドサービスとして提供する「クラウド型RPA」です。
導入・運用コストを低減できるほか、
すぐ簡単に導入できるといった大きなメリットがあるクラウド型RPA。
このジャンルへ新たに加わったのが、
株式会社チュートリアルの開発したRPAツール「Robotic Crowd」です。
そこで今回は同社にお邪魔して、
「Robotic Crowd」の開発経緯やツールの特長などをお伺いしてきました!
インタビューに応じていただいたのは、同社でCEOを務める福田志郎 氏です。
――そんなチュートリアルとRPAとの関わりは?
福田: 2年ほど前にRPAと出会ったのが始まりです。
Web開発やシステム開発の部分でRPAを活用すると、開発者としてもメリットがあると考え使い始めました。
前期からはRPAを業務として取り扱い始め、
今期からはRPAソフトウェアの提供やRPA事業コンサルティングを業務の主力の事業にしています。
――自社でRPAツールを開発しようとした理由はなんでしょう?
福田: RPAを事業として進めていくうちに、
RPAを事業として進めていくうちに、お客様がRPAに対して抱いている期待と実際のプロダクトの差が見えてきました。
お客様はRPAを自社で開発したいと思っているお客様が多かったのですが、
エンジニアやコンサルタントではない方がRPAの開発に携わるというのは、実際はなかなか難しいことです。
そこで誰でも簡単に使い始めることができるSaaSのRPAを探しましたが、
拡張性・汎用性・入門しやすさを兼ね備えた、ちょうど良い製品がありませんでした。
そこで、自社で開発をはじめたわけです。
RPAが注目されたキッカケの一つとして、生産性の低さに加え労働人口が減少しているという背景もあります。
RPAは、それらの課題を解決しうる技術なのですが、RPAの開発にエンジニアが必要となってきますと、
人材市場でもっとも不足していると言われるエンジニアの奪い合いとなってしまいます。
そこで「Robotic Crowd」は、
「非エンジニアでも簡単に使える」
「Excelのように、簡単に使えるだけでなく、深掘りしたら高度な使い方もできる」
というRPAツールを目指しました。
――「Robotic Crowd」の特長を教えてください。
福田: 最大の特長は、SaaSとして提供していることです。
そのため、パソコン、Webブラウザ、インターネット環境さえあればすぐに使い始めることができます。
Mac、Windows、Linuxなど、Webブラウザが使える環境であれば、OSは問いません。
SaaSとして提供されるクラウド型RPAツールであるため、
スケーラビリティがあり、端末を新規購入せずともロボットリソースを追加購入いただくだけで、
クラウド上でロボットを増やしていくことが可能です。
また、クラウド上で動いているために、バックエンド処理をデフォルト機能として搭載しています。
例えば、端末上で人間が別の作業をしていても、端末の電源を落としていても、
クラウド上でロボットが作業を続けます。
また、夜間や休日など、好きな時間を設定しておけば、
そのスケジュールで業務を遂行してくれるタイムスケジューリング機能もあります。
「Robotic Crowd」は、まさにEUC(End User Computing/エンドユーザコンピューティング)
を実現するための基本的な機能が備わっていると考えています。
――ライセンス体系はどのようになっていますか?
福田: 月額10万円から導入いただけます(2018年10月現在)。
ロボット単位の課金ですので、組織内でRobotic Crowdを利用するユーザーをいくら増やしても大丈夫です
(注:プランによって異なります)。
少ししかRPAを使わない方や部署でも、気軽に始めることができるのが特徴です。
――サポートは別料金になりますか?
福田: リモートサポートになりますが、基本的なサポートは料金内に含まれています。
このリモートサポートを利用して「Robotic Crowd」の使い方を習得していただけます。
ユーザーコミュニティやFAQもありますので、すぐに答えを知りたい方は検索する方法もあります。
個別のテクニックやサードパーティ製品についてのサポートは対象外となっておりますが、
コミュニティでは質問内容に制限はありませんので、使いこなしやナレッジ共有が可能です。
このような環境を利用することで、リモートサポートを利用せずに使いこなしている方も沢山いらっしゃいます。
――「Robotic Crowd」は、どのような業務に向いているでしょう?
福田: 社内ではなくクラウド上で業務を遂行してくれるので、イメージとして
リモートワーカーやアウトソーサーが行っている業務であれば適用できる部分が多いと思います。
一方で、必ず社内にいないとできない業務には対応できない可能性は、
それなりに高いと考えていただけるといいかもしれません。
そのような業務には従来型のRPAを導入し、
社員が自由に使えるRPAとしては「Robotic Crowd」を選んでいただければと思います。
「Robotic Crowd」は、様々な業務に対応が可能なため、どのような企業でも導入は可能ですが、
もっとも合っているなと思うのは「レイバーインテンシブな成長を好まない成長企業」だと思います。
――やはりベンチャー企業での導入事例が中心でしょうか?
福田 いえ。当社としてもスモールカンパニーやスタートアップ企業での利用を想定していましたが、
結果としては、比較的大規模な上場企業のお客様に導入いただいています。
社名を公表できるところでいえば、DeNAやWANTEDLY、dip、ACTCALLです。
やはりWeb上で、事業を展開している企業のほうが「Robotic Crowd」と親和性が高いようです。
――「Robotic Crowd」採用の決め手は?
福田: いくら低価格だったり簡単に導入できたりしても
「あれもできない、これもできない」というツールだと採用されないようです。
その点、「Robotic Crowd」は汎用性があり、
RPAツールとしてしっかりとした機能を持っている点をご評価いただいております。
――「Robotic Crowd」の今後の展望を教えてください。
福田: 今後も常に機能を進化させていく予定ですが、将来的には,もっと「ヒューマンライクなツール」にしたいと思っています。
RPAは、入力値に仕様と異なるところがあると簡単にエラーになってしまいます。
人間なら柔軟に判断してできるようなものでも、少しでもフォーマットが異なるとエラーになります。
もっとヒューマンライクなツールに進化させていくことで、それを解消していきたいですね。
――最後に、RPA.biz読者へのメッセージを!
福田: 「Robotic Crowd」は既存のRPAツールを導入していても共存RPAです。
「Robotic Crowd」を本格導入していただいたお客様の中には、
「既にRPAを導入しているものの、社内展開するには手軽さに欠ける」
と弊社ツールを導入いただいているお客様がいます。
Robotic Crowdは、「誰もが自由に使えるツール」という思想で開発しています。
既存RPAツール導入済みの企業でも、新規にRPAを導入されたい企業でも、お気軽にご相談ください。
2018.10.12
現在、日本国内においても企業内の経理業務は、IT化(電子化)が進んでいます。
普及の理由として、IT化によって効率化を行いつつ、コスト削減が可能になる事があげられます。
今回は、株式会社インフォマートが提供するITシステム
「BtoBプラットフォーム 請求書」について、事例と共に説明していきたいと思います。
このシステムは、2018/9/19時点で238,844社・589,524事業所で利用されています。
これだけ高いシェアを誇るITシステムには魅力がたくさんありそうですね。
まず、このシステムを4項目に分けて説明していきたいと思います。
1つ目は、取引先が請求書を発行した後、瞬時に請求書を受領することができます。
すなわち、月次決算が瞬時にできるため、その都度状況に見合った経営判断を行うことができます。
2つ目は、会計ソフトの手入力の手間や時間を削減させて、
さらに手入力時に起こりえる間違いを無くすことができます。
学習機能によって部門や勘定科目を自動で仕訳ことができるので、
会計システムにも自動で取込可能となっています。
3つ目として、承認リレーをシステム化することで、
経理業務の効率化だけでなく内部統制の強化につながります。
各会社の体制に合わせて担当者を登録し、
そのフローを可視化することで進捗情報の確認がスムーズに行うことができるようになります。
最後に4つ目として、
請求書作成にかかる手間や時間、そして紙代・印刷代・郵送代
の経費を削減することが可能になります。
支払金額確定データを当システムにアップロードすることで、自動で通知書が作成されます。
今まで紙で作成し郵送していた支払通知書をデータ作成、送信にすることで
業務コストや発送コストを大幅削減できます。
以上からわかるように、
このシステムを利用し、従来電話やFAX、郵便など時間とコストをかけて行われていた業務を
ペーパーレスすなわちデータ化することで
スピード感とミス削減による業務効率の向上、コスト削減、エコの実現がみこまれます。
では、実際に導入されどのように効果があったのか2社をケースとして挙げていきたいと思います。
まず、野村證券株式会社の事例です。
導入に踏み切った背景として、
年間約10万枚分の請求書を請求書1枚辺り1,500円以上掛かけて処理していたことが判明したからです。
2016年7月27日の取材の時点で、全国に159店舗、本社に126部室ありました。
その全店舗と全部室に経費の入力担当者を置き、神奈川に事務センターに一度集約して、
さらにそこから、人件費を抑えるため、
より人件費の安い中国の大連に事務センターにて手入力を行っていました。
電子化に移行しようにも、外部業者・取引先にコンタクトを取ると請求書のデータ化は困難であると言われたり、
データ受領しても種類や形式が一様ではないため修正作業にさらにコストがかさんでしまったりと問題が多くありました。
そこで、当システムを導入したところ、
「システム構築が不必要であること」
「ユーザーのPC端末でデータ化された請求書を処理し、
管理者がいつでも処理状況を確認できること」
「データ化された請求書に記載されている全ての情報を会計システムに取り込み、
手入力作業も含め紙の請求書に基づくこれまでのレガシープロセスが不要になること」
が判明し、全ての請求書のIT化が進んでいます。
結果として、システム上に作業履歴から請求書の送信、受取の状況確認といった作業をすることがなりました。
さらに運用を始めて半年で年間約10万枚の請求書を2.5万枚ほど減らすことができ、
数千万円のコスト削減に成功しました。
次に、コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社の実例についてまとめていきたいとお思います。
この会社は2018年1月1日付で、2社が統合して事業会社コカ・コーラボトラーズジャパンとなりました。
ボトラーと呼ばれる瓶詰会社は世界的に見て、統合によって経営の合理化を求めており、
日本国内においても統廃合を繰り返してきた歴史がありました。
しかし、会社としての規模も大きいため、
経営上での統合後も社内には各社の独自のシステムが残っていました。
そのため、会社名は同じでも、同じ取引先に複数枚の請求書を送っている状態だったのです。
この会社では、コカ・コーラの製造と販売を行う国内最大規模の清涼飲料企業として
月に約15万枚の請求書を発行していました。
人件費を除いた印刷代、封筒代、郵送費等で月間1,000万円以上の経費がコストとしてかかっていました。
郵送の場合だと、コストがかかるだけでなく、先方の手元に届くまでに日数も要し、
確実に届いたかどうかも把握できないデメリットもありました。
そのため、請求書のフォーマットややり取りの仕組みが標準化されており、
弊社の請求書業務も標準化できるこのシステムの導入に踏み切ったといいます。
このシステムを提供するインフォマートがもつ顧客の個人情報の保護やセキュリティ対策等の
管理運用ノウハウを利用することで、
自社で一から電子化ソリューションを構造するより低コストでIT化を実現することができました。
取材時は、導入から2ヶ月だったため正確な数字は出ていないですが、
システム導入前は、各拠点や子会社も含め40人以上が作業を行い、
時間にすると約150時間かけて明細書を行っていましたが、
今はデータのアップロードから請求書発行予約まで、約1時間しか要しないといいます。
このように、大幅な時間が節約されました。
最終的には月間15万通、年間で180万通の請求書を電子で発行することを目指しているそうです。
このうち75%程度までIT化できれば、年間約1億円以上のコスト削減が見込まれると予想しています。
これからの経理担当者は、IT化できる業務は積極的にITシステムを導入し、
分析や経理担当者自身のスキルアップといったことに時間をかけられることになります。
これらのケースから分かることは、
日本国内において経理業務のオペレーションのデジタル化は日々進んでおり、
コスト削減の面において非常に有益であることです。
また今後は、経理業務以外の業務においてもさらにIT化、
そしてペーパーレスが進むのではないかと考えられます。
「BtoBプラットフォーム 請求書」 株式会社インフォマート
https://www.infomart.co.jp/seikyu/index.asp
「10万枚の請求書電子化がゴール!「プロセスを変える」過程で、様々なメリットを実感しています。」 株式会社インフォマート 2016/8
https://www.infomart.co.jp/case/0020.asp
「月間15万通の請求書を発行。年間1億円以上のコスト削減をめざし、ペーパーレス化に取り組みます。」 株式会社インフォマート 2018/2
https://www.infomart.co.jp/case/0091.asp
2018.10.01
【前回記事】
これまで、BPOの委託業者と自治体側、更にはオペレーター側について述べてきました。
50団体ぐらいの自治体にRPAの導入を検討しているか確認したところ、
半数以上の団体から担当者レベルでは検討したりしているようです。
しかし、課内会議や予算作成などの具体的な検討レベルまでに入っていないことも多いようです。
RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略語で、
それに近しい単語として、RDA(Robotic Desktop Automation:ロボティック・デスクトップ・オートメーション)
という言葉も出てきて、混乱もしてしまうかもしれません。
基本的には同じRPAという認識で問題ないかと思いますが、
RDAはデスクトップにいるロボットで、RPAはサーバーにいるロボット、
そのような認識で良いかと思います。
RPAを分かりやすく言うと、自分が楽するための道具です。
例えば、通販のコールセンターであれば、商品の注文をメールで受け、
それを受注システムに入力する作業、全てRPAがやってくれます。
今書いているコラムをロボットが書いてくれると非常に楽ですが、
ロボットには考える力(AI)はないので、残念ながら自力で書くしかないわけです。
小説自動生成プログラムなるものは色々あるようです。
RPAについては、本ブログで様々な内容で書かれていますが、イメージすることが難しい方は
Youtubeで【RPA】で検索し、尚且つフィルタで時間を【短い4分以内】に選択してください。
2分前後の動画が、RPAの実際動いている動画です。
長い動画については、企業の宣伝部分もあり、
RPAが実際動いている動画が確認することができますが、肝心のみたい動画を探すのに面倒です。
現在、地方自治体の多くが、BPOを利用しています。
BPO対象業務として、前回もお伝えした
フロント業務(受付・窓口)、バックヤード業務(事務)、および中間業務(コールセンター・カスタマーセンター)
に集約されるかと思います。
なぜ、この3つなのかというと、業務の多数が単純定型業務という認識であり、
低コストで委託できるBPO業者に委託しやすいという判断のもと、委託されています。
単純定型と言っても、実際は失敗している地方自治体も多く存在しています。
また、単純定型に分類できない業務も含まれているケースもあります。
単純定型業務と言っても、人間はミスする生き物ですから、ミスは必ず生じます。
人はそのミスに気付かないまま、処理を続けてしまいます。
ロボットの場合は、エラーが生じると教えてくれます。
ロボットがミスする場合、それは人間の指示ミスになります。
BPOコンサルタントや戦略コンサルティングファーム出身にBPOセンターの管理を任せて、
失敗したこともあります。
人を管理する、殊にBPOに従事する人間を管理するというのは至難の業です。
BPOとして合格水準に達している地方自治体BPO案件があれば、
20件中1件あれば良い方かと思います。
残りの19件は残念ながら合格レベルには達しません。
それでも許されるのが地方自治体BPOです。
実際、地方自治体BPOでやっていることは、
単純定型業務であり、RPAの対象領域が多く、ロボットで十分出来る業務が多いのですが、
残念ながらロボットではなく、人がやっています。
むしろ人よりもロボットにやらせた方が良い場合などが存在します。
実際、BPOの現場にいるとRPAをうまく活用すれば、
人がやるべき業務に専念でき、より良い効果が出ることでしょう。
地方自治体BPOの導入が活発になってきたのはこの数年です。
まだ未導入の団体もかなります。
窓口業務だけで見ると、政令都市や中核市レベルだと8割ぐらい、
それ以外の自治体では2割ぐらいが導入済みです。
ある程度の規模がないとスケールメリットが少ないため、
小規模の地方自治体にとっては窓口業務の導入は難しくもあります。
あくまでも個人的感覚によりますが、小規模自治体では、
窓口業務より税金や保険料の徴収系コールセンターなどを積極的に導入している傾向があります。
それは単純に貸金規制法が改定され、債権回収系の業者が積極的に働きかけた結果、
元々そのような税金などの徴収の為のいわゆるアウトバウンド発信業務、
そのような業務を自主的に行っている職員の方は一部であるくらいで、
あまり徴収系(債権回収)業務に力を入れてないため、
そのようなノウハウが地方自治体にはなかったためです。
日本年金機構が徴収系業務を
「外部に代替的に委託した」という背景も恐らくそういうことだと思われます。
また、窓口業務と言っても、フロアで来庁者を窓口に誘導するフロア係のみを場合もあれば、
正規職員が本来すべき内容までを委託しているケースまで、
かなり幅が広いので、一概に窓口業務と言っても、やっている業務範囲はかなり違います。
しかも、所管課の方針によって変わります。
実際、地方自治体が
フロント業務(受付・窓口)、バックヤード業務(事務)、中間業務(コールセンター・カスタマーセンター)
のうち、嘱託職員、臨時職員、または正職員が行っていた業務を民間事業者に委託する際、
自労連(日本自治体労働組合総連合)などの組合から反発も多く、
総務部の部長などはかなり折衝に苦労したと聞き及んでいます。
苦労して導入したBPO、それを地方自治体がやめる、
そういう選択肢は簡単に取りえないことでしょう。
実際に導入初年度の総務部長にお聴きすると、
成功して本当に良かったと感謝のお言葉を頂戴したことがあります。
実際、既に導入しているBPOをそのままRPAに変えるということは現実的に不可能です。
地方自治体BPOの目的の一つに雇用機会創出があり、そのような考えのもと、民間業者に委託しており、
働いている方の雇用の機会を奪ってまでRPAを導入しようとするのは、さすがに私個人でも反対します。
しかし、実際やっている業務そのものはRPAができる領域である。
実際、下記の業務については民間委託されてはいますが、RPAとの相性は非常に高いです。
●市民課窓口で転出届などを受けとり、行政システムに登録する。
●住民票の写しの請求書に基づいて住民票を発行する。
●国民健康保険の申請などを国保用のシステムに登録する。
●後期高齢者医療保険の申請などを後期用のシステムに登録する。
●介護保険の申請などを介護用のシステムに登録する。
●税金や国民健康保険料の文書催告を作成する。
しかし、RPAを導入しやすい業務だからといって、
現状それらの業務に従事している人たちが存在している限り、
それらの人達の雇用の機会を奪うことは出来ません。
一方、人が行う業務はミスが付き物です。
自治体BPOの現場では、業務の複雑化や従事者の高齢化が進んでおり、
人的ミスの発生比率はこの数年でかなり高まっています。
国民健康保険、後期高齢者医療保険、および介護保険、
この3つの業務に関しては制度の改定により複雑化しているため、
正規職員の多くが敬遠する部署でもあります。
特に国民健康保険と後期高齢者医療保険の申請関係では、
運用上、委託の限界ラインを越えてしまっていました。
実際、BPOに従事しているオペレーターの年齢層が上がり、
ラジオボタンの選択ミスが日常茶飯事でした。
また、国民健康保険課の多くは、
給付、賦課、収納(徴収)の3部門に分かれており、
3部門の横のつながりが希薄で、部門ごとの運用の差異に振り回されることなどもあります。
RPAを導入することで運用の差異をなくすこともでき、
BPO従事者の業務を窓口での対応時間を増やすことに使うことで、
より良い市民サービスが出来るのではないかと思います。
RPAを導入すれば、現在委託している業務のレベルを2段階は上げることが可能となります。
私が担当していた、国民健康保険課、納税課、収税課、債権管理課、介護保険課
などの具体的な運用面については次回に述べたいと思います。
【次回記事はこちら】
次回記事は10/16 09:00アップ予定!!
2018.09.28
<目次>
「働き方改革」という言葉はニュースでも盛んに流れています。
そして、多くの企業でも「働き方改革」を旗印に、様々な施策が動いています。
某大手外食企業における「働き方改革」プロジェクトの中で、
実際に導入されたRPAの事例を軸に紹介していきたいと思います。
●社会全体が人手不足
2018年現在、社会は空前の人手不足と言われています。その理由の1つに少子高齢化があります。
(出典)国立社会保障・人口問題研究所
図を見ると、2010年以降急速に生産人口が減っていることがわかります。
つまり、働く人が減っているのです。
そして、2018年現在の好景気(諸説ありますが)という要因もあり、
企業は人の採用が難しくなっている現状があります。
●外食ってブラック?
外食業界は、他の業界と比較しても、人手不足感は際立っています。
労働集約型産業の代表的な業界ということもありますが、
「給料が安い」「労働時間が長い」「休めない」
というイメージがあることも原因の1つです。
「給料が安い」ことは、今回のプロジェクトの対応範疇外ですが、
後の2つをどうにか改善する必要があります。
※実際問題、「給料が安い」はイメージ先行かもしれません。
高くはないかもしれませんが、大手外食チェ-ンの正社員であれば、問題なく家族を養えます。
●外食業界のもう1つの問題点
外食業界のもう1つの問題点は、大手含めて利益率が少ない会社が多いということです。
(出典)StockClip「国内外食産業の業績ランキング」
売上高順に並んだランキングですが、
大手外食チェーンは軒並み1桁台の利益率だということがわかります。
この為、社員を安易に増やせる状況ではなく、
その少ない正社員と多くのアルバイトやパートなどの非正規人材によって成り立っている現状の中、
その少ない正社員は、事務作業などの非付加価値業務に追われているという現状があります。
前置きが長くなってしまいましたが、
・外食産業は人手不足だが、給与を高く設定することが困難な為、採用難である。
・社員には仕事の負荷が重くのしかかっている。
上記を改善させるべく、今回のプロジェクトが始まりました。
※このプロジェクトの内、RPA導入に関するシーンを切り取っています。
●店舗はどれだけ事務作業をしているのか?
シフトの作成、レジ締め作業、本部への売上報告書の作成、クレーム報告書、発注作業
など多数の事務作業があります。
1日の内、3割が事務作業という結果でした。
●本社(本部)は売上や入金をどのように確認しているのか?
売上といっても、現金以外に金券(ギフト券、商品券、株主優待券など)・クレジット・電子マネー
といった売掛が多種に渡ります。
専属の社員を多数用いて、既存のシステムとエクセルで日々確認しています。
●業務フローの確認と現場ヒアリング
RPA導入において、大事な点は、業務フローがキチンと整備されていることです。
たとえ整備されていたとしても、業務フローには記載されていない業務は必ずあります。
担当者にヒアリングをして、必ず業務を確認しましょう。
<注意点>
RPAは、あらかじめ決めた業務を行ってくれるロボットです。
つまり、臨機応変な対応は出来ません。
イレギュラー業務が発生するのであれば、そのパターンを全て網羅しておく必要があります。
逆に網羅出来ない業務が発生する場合、RPA導入はお勧め出来ません。
●業務改善案を練る(コンサルの方のみ)
たとえ大企業といえども、そもそも必要なの?という非効率な業務は必ずあります。
何のための業務なのか、誰が必要としている業務なのか、
という視点で案を練りましょう。
<注意点>
RPAに置き換えるという視点では無く、業務がどうあるべきかという視点を持つことが重要です。
ほとんどの場合RPAは必要ないかもしれません。
●RPA製品を選びます
2018年現在、有料無料含めて10数個のRPAツールが存在しているようです。
最終的には、以下の2つが候補となりました。
国産型RPAツール。デスクトップ型のPRA。フローの作成画面などのUIがわかりやすい。
小規模業務を得意としている為、中小企業でも導入しやすい。
RPAツールの大手。サーバ型とデスクトップ型の2つから選ぶことが可能。
実績が豊富であり、ほとんどのバグや不具合は解消されている。価格面から大企業向き。
この内、「BizRobo!」を選ぶことになりました。
また、販売元であるRPAテクノロジーズからではなく、某大手ベンダ経由になります。
理由としては、以下があります。
・将来の拡張性を考えてのこと。
現時点では、デスクトップ型RPAのみで実現可能な為、
どのRPAツールを使った場合でも問題ないのですが、
検証を重ねてRPA業務の対象範囲を今後広げていきたい為。
・ベンダを経由することで、RPAのフローの書き方などのコンサル支援を受けることが出来る。
値段が高くなることがネック。
<注意点>
「BizRobo!」は、提供元会社であるRPAテクノロジーズ以外にも、
ソフトバンクやリコーなど様々なベンダがソリューション(RPAコンサル含め)
として提供を行っております。
しかし、2018年現在では、どのベンダを利用したとしても大きな違いはありません。
ベンダ各社はRPA導入に関するノウハウを蓄積し始めたばかりであり、
ソリューションの中身はどこも似たようなものです。
●システム環境の確認
サーバ型RPAなのか、デスクトップ型RPAなのかという違いはありますが、
RPAはシステム環境が変わっただけで、不具合を起こす可能性があります。
<注意点>
RPAは、GUIが少しでも変わっただけで不具合を起こします。
サーバやPCなどは、担当者との情報共有はしっかりとしておきましょう。
●RPAの設定を行う
RPAのフロー作成自体は、ものすごく簡単です。
一度、操作方法さえ覚えてしまえば、ITに詳しくない人でも問題なく設定することが可能です。
●今回は、スクリプトが必要になるなどの難しいRPA業務は導入しませんでした。
複雑な業務に対してRPAを使う場合は、スクリプトなどでのプログラミングが必要となります。
<注意点>
フローは粒度をとにかく細かく書く記述する必要があります。
例えば、「メール送信」という動作も
「メーラー立ち上げ」→「宛先の入力」→「題名の入力」
→「本文の入力」→「送信ボタンの押下」→「OKボタンの押下」
などです。
●RPA動作開始と検証
RPAが動作開始後は、動作と結果がしっかりと想定通りなのかどうかを確認します。
他ソフト(Excelなど)との連携状況もしっかりと確認します。
想定業務外の事態が発生、既存のソフトウェア(たまにしか動かないソフトなど)が
RPAを邪魔してしまう事態が発生する可能性があります。
暫くは、常時監視する姿勢が必要です。
<ポイント>
RPAのナレッジは社内でしっかりと蓄積しましょう。
RPAが出来ることの理解、RPAの障害パターンの把握が深まれば、
より複雑な業務へと拡張させていくことが出来ます。
●結果事例① 【店舗】レジ締作業の時間短縮、【本社(本部)】エラー確認の時間短縮
これまで、店舗はレジ締作業において、1日あたり30分~1時間を擁していました。
その内、売上データの不備確認が多くの時間を占めていました。
売上データは本部へ自動送信されますが、売上データに不備がある場合、
自動送信がエラーとなってしまいます。
本社(本部)は毎日、そのエラーの有無の確認、エラーがあった場合の調査に時間を費やしていました。
店舗、本社(本部)の2重チェック体制となっていました。
RPA導入により、店舗はレジ締作業において、売上データの不備確認を不要とし、
自動送信にエラーが発生した場合は、
その発生と発生理由を本社(本部)の担当者へ自動でメール送信されることになりました。
店舗の作業が大幅に減ると同時に、本社(本部)も、
メールによるアラートにのみ対応すれば良いということになりました。
●結果事例② 【本社(本部)】売掛請求の入金照合を時間短縮
本社(本部)は、金券類やクレジットカード、
そして電子マネーなど多種に渡る売掛の入金確認を行っています。
様々な売掛先からの入金日は1か月の中で十数回もあり、
これまでは、その照合チェックをエクセル上で行っていました。
1年を通してみても、請求額と入金額に相違が発生することは、
まず無い為(金券が偽物だった場合などであり得ますが事前連絡により承知済です)、
内部統制上での必要事項とも言えます。
RPA導入により、入金データと請求データの照合を自動で行い、
相違がある場合のみ、メールで担当者へ自動メール送信されるようになりました。
これは、本来であれば、システム開発によって対応されていても良いかと思うのですが、
対応されていませんでした。
新たにシステム開発した場合との費用検討の結果、RPA導入にメリットがありました。
以下は、検討したが断念した事例
●断念事例①店舗における発注作業のRPA化
店舗では、毎日の作業として、食材や備品(食器など)を、
Web発注システムを使って発注作業を行っています。
これをエクセルに発注内容を記入してメール添付することで、
RPAが自動的に外部のWeb発注システムに登録することで、発注作業の簡易化という検討を行いました。
しかし、食材は結構な頻度で変わる
(例えば、エビでもインドネシア産エビが高騰の為、ベトナム産エビに代わるなど)為、
RPAのメンテナンスが大変だということで、メリットを生み出すことが出来ませんでした。
●断念事例②RPAが印刷を行う
本社(本部)では、毎日の作業として、数百枚にも及ぶ法定帳票を印刷するという作業があります。
それを深夜に自動的に行うことで、日中の印刷作業を無くすよう検討を行いました。
しかし、そもそも法廷帳票を紙で保存では無く、
データ保存とすることで印刷作業を無くすべき姿だという結論に至りました。
単純な話しかと思いますが、
既存業務をRPAに置き換えるという観点だけではいけないということに気が付きました。
●RPAありきではダメ
RPAが出来ることは限られいます。
RPA自体が何か新しい価値を生み出すわけではありません。
あくまでも既に回っている既存業務の改善がメインです。
また、多くの場合、
「既存のシステムを改修すればRPAではなくても対応出来る」
ということです。
既存の業務を改善する上でのソリューションの1メニューとして捉えるべきだと感じました。
●社内コンセンサスの大変さ
「RPA導入によってこれだけの効果が出ます」と言えば、経営層は喜んでくれます。
しかし、RPA導入によって、仕事が無くなってしまう人がいるのも事実です。
または、慣れ親しんだ業務が無くなることが嫌だという人もいるでしょう。
とある店長は閉店後の売上データ不備確認でその日の業務を振り返ると言っていました。
RPA導入は本社(本部)のみならず、店舗を含めた幅広い、且つ、丁寧なコンセンサス形成が必要です。
●RPA導入により属人的な業務が減る
会社の規模に関わらず、会社にはその人しか知らない業務という属人的な仕事があったりします。
また、人によって業務の進め方にクセがあることも多いかと思います。
RPA導入によって、業務が可視化され、
また、業務の進め方もある程度統一されると感じました。
この観点で言うと、効率化もそうですが、内部統制の面でも良い影響があるかと思います。
今回は、大きな流れでRPA導入についての説明をしました。
RPA導入を考えている会社は、
チャットボットなどの簡易AIの導入も同時に検討していることが多いかと思います。
RPA導入担当者は、それらの他のプロジェクトを把握して、
どのような連携が考えられるか、という視点を持っても面白いかもしれません。
いずれにせよ、RPAはこれから発展していくツールです。
RPAに関わることはあなたの社内はもちろん、市場価値が高まることは間違いないと思います。
弊社では、RPA導入のご相談を承っております。
RPA導入についてご検討の方は、東京ビッグサイトで開催されるRPA導入無料相談会に是非ご予約ください。
2018.09.21
近年、日本のRPA市場が急速に成長していることは言うまでもない事実ですが、
今回のコラムでは、中国のRPA市場発展を紹介していきたいと思います。
この数年間の中国では、モバイル決済、シェア経済などを始めた
「インタネットプラス」産業が急速に発展し、
いくつかの業界から言うと世界のトップランクになっていると言っても過言ではありません。
Tencent、Baidu、アリババ、Huaweiなどの企業は
最近盛り上がっているAIとビッグデータにも力を入れています。
こんなITが好調に成長している環境のなか、RPAはどのようになっているでしょう。
本文は近年中国国内RPAに関するビッグニュースを基に、中国RPA発展の外観をみていきます。
中国南方航空(以下「南方航空」)は国営大手航空会社です。
2016年の売上は約1148億元(約1.8兆円)、運輸人数は約1.1億人でした。
近年LCCなどの格安航空の参入や燃料費上昇に伴い、コスト削減が大きい問題になっています。
そして、南方航空がRPAに目を付けました。
2018年6月前後から、その第一弾として、Ernst & Youngとコラボをし、
車内の財務システムをRPA化することを図りました。
Ernst & Youngはまず南方航空の財務業務を分析し、重要度の高い業務を180個洗いだしました。
続きまして、最もRPA化に向いている業務を13個選出し、
費用対効果で評価した上で、試験として4つの業務に絞りました。
つまり、「国内昇降費精算」、「銀行決済」、「コスト月報」と「食事費用精算」
を先行業務として開発をし、実装すると同時にその効果を検証していったのです。
具体的な業務内容は公開されていないですが、
南方航空は業務を選定した理由については推測できるでしょう。
航空会社は分社や子会社がとても多いため、財務試算や精算する際に、
各グループ会社のデータを集めて、フォーマット変換などをし、
最終的に社内の会計システムに取り込みます。
作業の量が多く、必要時間が長いです。
銀行決済、食事費用精算なども似たような特徴があります。
当然、これらの業務は費用対効果が大きく、
RPA開発も比較的にしやすいとErnst & Youngが判断したのでしょう。
そして、試験段階の結果について、Ernst & Youngが目安結果を公開して、下記表1になります:
効果は極めて大きいと言えるでしょう。
南方航空は中国航空会社の中ではRPA導入の一番手として、今後とも他の業務をRPA化する予定です。
2018年6月の「CIFI中国保険財務革新会議」では、デロイトは参加者として、
自社の金融・保険会社向けRPAソリューション「小勤人」を披露しました。
デロイトの講演では、自社がRPA導入に成長したA、B、C三社の事例を中心に説明をしました。
大手金融サービス企業A社はデロイトのRPAソリューションを利用し、
ネットバンキング突合業務を自動化しています。
内容として、RPAが毎日ネットバンキングから取引履歴をダウンロードし、
自社会計システムとの履歴を突後します。
とても単純な業務ですが、量が極めて多く、膨大な時間が使われています。
このシステムの導入により、A社グループ全体で約200人の従業員がこの業務から解放されました。
大手外資保険会社B社は近年中国での業務量が急増しているため、
契約書処理と賠償データ処理業務も多くなっています。
それを解消するために、RPAを導入しました。
RPAのメインの業務は新規契約書入力と賠償データ更新になります。
業務内容についてデロイト詳しく語っていなかったですが、
主にシステムの間の転記、または突合業務になります。
それ以外、契約書の標準用語チェックもRPAが実行し、
間違っている言葉が使われたら自動で治すことが可能になっています。
結果として、今まで従業員10名が必要となる作業はRPAが代わりに行い、
処理時間も70%短縮されました。
企業Cは中国国内大手上場保険会社であり、人事業務においてデロイトのRPAシステムを導入しました。
主に新入社員の情報確認などについてつかわれています。
例えば、
政府のサイトに身分証明書ID(マイナンバー相当なもの)により新入社員の個人情報取得や
医療保険番号により医療保険情報の取得
などです。
導入により、該当業務の効率は50%向上しました。
デロイトのRPA「小勤人」はデータ収集、入力、システム間の接続などに得意し、
さらにAIと組み合わせ、データ分析することも可能だと言われます。
アリババは中国ECサイト運営会社最大手として、近年世界中でも活躍しています。
会社が1999年設立以来、高速成長をし、2017年の売上は3.77兆元(約61兆円)に達しました。
規模が大きくなるとともに、各部署の業務量も急増しています。
対策として、2016年にアリババがRPAにたどり着き、自動化によって効率向上を図りました。
最初は問い合わせ対応(チャットボックス)ロボットを実装しました。
お客様から問い合わせがあれば一回ロボットがキーワード検索とナビの形で対応し、
対応しきれない場合従業員に振るという形でした。
実際の効果はとてもよく、アリババ傘下の各グループの各業務に普及してきました。
それが最終的に「アリクラウドRPA」(使用RPAソフトの種類は未公開)となり、
2016年から2017年の間で他社にサービス提供し始めました。
現在アリクラウドRPAはカスタマーサービス以外に、
財務、文書処理などにも対応できるようになり、汎用性の高いロボットを開発しています。
小売、IT、金融、証券以外、自社既存のネットワーク
(地方政府がアリババのクラウドソリューションを採用しているところが多い)を生かし、
政府機関に「アリクラウドRPA」を導入しています。
また、アリババは2018年に中国RPA市場規模が急成長し、60%以上の増加率と信じています。
i-SEARCH(芸賽旗)は2011年上海に設立されたITベンチャー企業です。
主にビッグデータなどのデータ分析に注力しています。
2018年1月、世界中にRPAが好調だという背景に、
i-SEARCHは「国内初のRPA総合ソリューション」とアピールポイントとし、
「iS-RPA」( i-Search Robotic Process Automation)を発表しました。
「iS-RPA」は開発言語Python3.0をベースにしたRPAソフトです。
レコーディング操作、UI情報読み取り、
デスクアプリ対応、OCRなど主流RPAソフトの機能は一通り揃っています。
中国大手コールセンターは既に「iS-RPA」に基づいたソリューションを実装しています。
従業員の電話対応時間短縮をメインの目的として、
「iS-RPA」は総合的なソリューションを提供しています。
まず、インタネットからのチャットボックス問い合わせはまずRPAナビに繋がり、
お客様の問い合わせ内容により割り振りをします。
そして人間が対応する段階になると、チャットする間にチャット内容をモニタリングをし、
特定なキーワードがチャット内容の中に現れるとRPAがそれに関連する情報を担当者に勧めます。
これにより、従業員がキーワードを検索する時間を短縮します。
また、電話対応するときもRPAによる「ワンタッチ業務」ロボットが実装され、
特定なUI操作をマウスクリックだけでバックグラウンドで実行されます。
「iS-RPA」のコールセンターソリューションは完全な「無人化」することではないですが、
問い合わせ対応の時間を平均15%短縮することができました。
中国のRPA市場は後発ではありますが、海外大手会計事務のリードやローカル企業の台頭により、
市場がどんどん拡大しています。
ざっくり分けると、中国のRPAベンダーは3種類があるように見えます:
また、今回の事例では、RPAを導入した企業のいずれも大手でした。
原因として、人件費による可能性が高いです。
近年中国の平均人件費は高くなっているとはいえ、日本に比べまだ低いです。
賃金の高い上海でも、現在の最低賃金は4万円弱/月になります。
この環境では、大きい規模でなければ、費用対効果はあまり良くない可能性もあります。
勿論、一概にはいえないですが、これは原因の一つだと考えられます。
逆に言うと、人件費が高い日本では、RPA導入がより多くの中小企業にも有効でしょう。
2018.09.14
弊社のRPA導入の最大の理由は
「事務員の人手不足を解消し、より専門的な知識を必要とする業務に時間を割くこと」です。
人手不足の問題は多くの中小企業が直面していると思います。
弊社の事務員は女性20名ほどで構成されており、仕事内容から3つのグループに分かれています。
産休・育休を積極的に取り入れているため、結婚や出産後も安定して勤めることができる反面、
復職後の席を空けておく必要があるので、安易に新しい社員を採用できないという問題があります。
しかしながら、現場は当然人手不足に陥り、以前よりも残業を強いられることになります。
このような背景の中で、今回、RPAを導入し事務仕事の機械化を進めようというプロジェクトが発足しました。
筆者は、そのプロジェクトチームのメンバーの一人であり、一事務員の立場です。
プロジェクトチームは、3つのグループを束ねるリーダーと
各グループから1名ずつ選出されたメンバーで構成されています。
人手不足はRPAでしか解消されないのか、と問われれば答えはNOです。
弊社でも当初派遣社員の雇用が検討されていました。
説明するまでもないですが、休職者が復職するまでの期間限定で派遣社員を雇い、
事務員の業務の負担を軽減するためです。
比較する際のポイントは下記の2点が挙がりました。
① 費用 ・・・ 経営者サイドで重要な検討事項
② 効果 ・・・ 事務員サイドの要求事項
一つ目の費用については、筆者は一事務員であり具体的な数字は把握していないため割愛しますが、
結論として派遣社員よりもRPAの方が安く済むとのことでした(長期的な目で見た結果かもしれません)。
二つ目の効果については、派遣社員の場合、教育時間を懸念する声が挙がりました。
また、時間を割いて教育したのに関わらず期間限定で辞めてしまうのは非効率であるという意見も挙がりました。
一方、RPAに関しては、最初にシナリオ作成や操作者の教育に時間が必要になりますが、
長く使っていけるという意味では効率的であるという肯定的な意見が多く挙がりました。
こうして、経営側と事務側の意見が一致する形で、弊社ではRPAの導入が決定することになりました。
弊社ではRPAソフトの中でNTT系のWinactorを導入しました。
理由はより感覚的に操作ができるからです。
弊社では、システム担当の社員がRPAの開発に携わるのではなく、
事務員が全て対応するという方法をとりました。
会社によっては情報システム課のような部署がまとめてシナリオ作成をする場合もあれば、
弊社のように現場の社員が作成する場合もあるようです。
事務員は、基本的システム系は弱かったため(筆者も専門知識はない)、
とっつきやすいソフトを選択しました。
下の画像は、Winactorの画面です。
シナリオを作成する画面ですが、ご覧の通りプログラミングのような専門知識は不要で、
必要なパーツが予め用意されています(パーツは表示されている部品は一部です)。
その項目を繋ぎ合わせていくとシナリオが完成するというイメージです。
例えば、エクセルを開いてA2セルの数値をコピーし、A3セルにペーストしたい場合は、
「エクセルを開く」→「A2セルに移動」→「選択中のセルをコピー」
→「A3セルに移動」→「選択中のセルにペースト」
という5つのパーツで表現することができます。
複雑な操作をしたい場合にはパーツを改造する必要が出てきますが、
一般的な事務作業には充分対応できるパーツが揃っています。
上述の通り、プロジェクトは4名で進められましたが、
各チームで仕事内容が異なるため、実際には各々が異なるシナリオ作成を進めることになりました。
弊社は3日間の保証プランに入ったため、
最初の3日間はWinactorの代理人の方にお越しいただきシナリオのベースを作成してもらいました。
(詳しい契約内容は把握しておりませんので割愛します。)
基本的に、Winactorは自分たちでシナリオを作成する(そのためにより感覚的な操作が可能)こと
をコンセプトとして商品を売り出しているため、代理人に作業してもらえる3日間は非常に貴重です。
自分たちでシナリオを作成するためのヒントをどれほどもらえるかが勝負になります。
保証期間に臨む際のポイントは下記の3点です。
① 自動化したい業務のフローを細部まで説明できるようにしておく
② 多くのシナリオに共通する部分を作成してもらう
③ より高度な操作を要するシナリオを作成してもらう
毎日何気なく行っている作業でも、機械にやらせようとすると
一つ一つの作業を順序だてて考える必要が出てきます。(人間がいかに優秀な動物であるかを実感します。)
例えば、Aのときは○をクリックし、Bのときは△をクリックするという簡単な操作も、機械だと次のように認識します。
「Aの場合→true」、「A以外の場合(つまり、ここではB)→false」、
「trueの場合→○をクリック」、「falseの場合→△をクリック」
このように、true/falseの場合分けのような部品が必要になります。
業務フローを細部まで理解しておくことで、代理人に的確な説明をすることができ、
短い保証期間を有効に使うことができます。
また、共通する事務作業の部分を作成してもらうこともおすすめします。
クライアント毎に異なるシステムを使用している場合もあると思いますが、
社内のデータベースの操作等は共通する部分だと思います。
その部分を作成してもらうことで、他のシナリオ作成時にインポートして再利用することができます。
最後に、より複雑なシナリオ作成を依頼することも重要です。
やはり、プロが作成するシナリオと初心者とでは雲泥の差です。
何が違うかというと、運用した際のエラーの数が全然違います。
プロのものは、エラー対策の工程が組まれているためです。
エラーの対策ができるまでにはWinactorの経験が必要となると言えます。
そのため、難関な作業は最初にプロに作成してもらうことが得策です。
実運用から半年以上が経過しましたが、確実に業務負担の軽減が実現しました。
今まで、エクセルに入力し、その情報をクライアントのシステムに入力し、
二つに齟齬がないかダブルチェックをし・・・
と随分無駄なことをしていたと思い知らされる日々です。
現在は、入力箇所が一つとなり、そこから機械が自動で必要な情報をピックアップしてくれます。
弊社では、クライアント毎に異なるシステムやフォーマットを使用しているため、
運用方法を覚えるということも重要な仕事の一つでした。
しかし、現在ではクライアントを意識することなく業務を統一化できています。
作業がより単純になることでミスも大幅に減り、
余った時間をより専門的な知識を要する業務に割くことができています。
残量時間でいうと半分になった人が大半です。
RPA導入により、操作する側の教育は依然として課題が多く残ります。
筆者もなかなか忙しい毎日を過ごしています。
新しいシナリオの作成も必要ですし、運用中のシナリオのエラー対策も欠かせません。
何度やってもエラーがなくならない箇所もあり、素人が操作する限界を感じることもあります。
そこで、RPA教育用の教材や研修の参加を会社から勧められたので受講を検討しているところです。
また、使う側(事務員)の教育も日々進めなければなりません。
事務員は今までとやり方が変わる部分を覚える必要があり、
例えばファイルを格納するフォルダを間違え、機械がファイルを認識しない等、
慣れるまでは人的ミスが発生することがあります。
こうした課題を一つ一つクリアにしていき、安定したRPA運用を実現していくことが、
プロジェクトチーム使命であります。
2018.09.12
【前回記事】
これまで、BPOの委託業者と自治体側について述べてきました。
本ブログはRPAに関する情報サイトなので、RPAについて述べていきたいと考えていましたが、
オペレーター側のこともと要望があったため、オペレーター側について述べていきたいと思います。
ネットなどで、「BPO」と検索すると、
Broadcasting Ethics & Program Improvement Organization(放送倫理・番組向上機構)
がヒットし、情報収取するとそちらのBPOの情報がヒットするため、
BPOに関係ない分野の方から『BPOって面倒』とご指摘を受ける場合があります。
BPO関連について検索する際は、【BPO 業務改善】など、単語と組み合わせて検索すると良いでしょう。
そもそもBPOとは、business process outsourcingの頭文字から取っているだけで、
BPO(ビーピーオー)と呼び人もいれば、アウトソーシングと呼ぶ人もいます。
BPOを受託する会社のことをBPO業者とも呼んだり、アウトソーサーなどと呼んだりもします。
業務委託といった方が通用する場合もあります。
中には派遣と勘違いされる方もいますが、派遣と業務委託には大きな壁があり、
実際、働く人にとっては、BPOでも常駐型BPOになると
BPO業者が一切入らない派遣では働き方は大きく異なります。
給与計算代行サービスやNHKの収納代行サービスなどもBPOの一部として以前よりも定着してきましたが、
中々理解を得られないので、経済産業省でもBPOの市場規模が一番大きい
としているコールセンターを例えに説明すると理解を得られやすいかと思います。
BPO業者がBPO業務を分類する際、直接業務や間接業務に分類が一般的ですが、
他にも様々な分類方法があります。
本ブログでは、
フロント業務(受付・窓口)、バックヤード業務(事務)、中間業務(コールセンター・カスタマーセンター)
と分類させていただきます。
確かに営業や研究開発もBPO業務の一種なのですが、雇用形態が正社員をメインとしているため、
BPO関連業務で働くオペレーター目線に立つと、
フロント業務、バックヤード業務(事務)、中間業務(コールセンター)が妥当なところかと思います。
一般的なBPO業務として、コールセンターが代表的なものであるというのは先で述べた通りです。
例えば、コールセンターで想像が付きやすいのは、通販業界の受注センターかと思います。
特にTV通販は電話での受注が多く、TV通販の番組など時間帯に合わせて増員をかけたりする必要があります。
名物社長がよくテレビに出ているような大きな会社はさておき、
中小規模の会社が受注センターを運営しようとするとかなり大変です。
TV通販は扇動的に商品アピールをし、なおかつ購買層が高めなので、
電話注文が多く、コールセンターに頼らなければいけません。
一方、世界的なネット通販の大手などでは、電話での注文を受けることはしません。
その要因としては、注文データのデジタル化までの時間にあります。
電話だと電話を受けたオペレーターが電話で聞いた注文情報を発注システムに登録するまでに10分程度、
短くても登録前のチェックも含めて5分程度かかります。
しかし、ネットだと顧客がデジタル化する作業や確認まで顧客自らがやってくれるため、
通販業者のデジタル化にかかる時間は0分になります。
世界的なネット通販の大手は効率性を重視し、その代わりに安い値段設定をするよう、企業努力をしています。
大企業が本気でやっている効率化というのは見習うべき点も多いと思います。
先ほど述べた世界的な通販サイトだと効率化が図られており、事務系職が極端に少ないと聴いています。
世界的な通販サイトの話は極端すぎますが、中小の通販サイトでも電話での受注を受ける場合、
電話での受注が多ければ受注センターを外部に委託したり、
受注事務があるようであれば、受注事務も合わせてアウトソーシングをしたりしています。
話はそれましたが、
日本のBPO業界というのは特殊なものを除けば、コールセンターを中心として回っていて、
それに付随しバックヤード業務(事務)があるという形態が比較的多いようです。
一方で内閣府から各地方自治体に対し、窓口業務を委託するようにと通達があり、
各地方自治体の担当者はアウトソーシングするにあたり、頭を悩ませているようです。
BPOで働く人達の雇用形態は、パート、派遣、契約、以上の3つの雇用形態に集約されるかと思います。
以前であれば、BPOの雇用形態のメインとなっていたのはパート社員でした。
特に多かったのは育児中の女性でした。
子育てをしているとどうしても時間的な制約があり、
サービス残業も少ない(ないとは言い切れないのが日本の実情です)仕事を探すと、
比較的BPO関連業務になります。
パート社員でも中小企業の直雇用だとサービス残業が多いため、
時間的融通が利く業種や業態を選ぶ傾向があります。
また、配偶者控除が変更され、BPO関連業務に従事する方の中でもフルタイムで働くより、
扶養の範囲内で働きたいという方が以前より増えています。
BPOを運営する事業者にとって、短時間勤務で就労する方をどのように戦力化するかは腕の見せ所となります。
実際、地方自治体BPO関連で応募をかけるとこの数年で応募状況はかなり様変わり
しました。
実際上記添付の資料を見ていただければすぐに分かるかと思いますが、
18歳未満の子供がいる世帯は年間1%ずつ減っています。
追い打ちをかけるように求人倍率がバブル期を超えており、
転職バブルという言葉もあるように求職者と企業のバランスは崩壊しています。
ただし、女性から人気がある事務職の有効求人倍率は0.5以下なので、
事務職に関しては競争率がかなり高いです。
事務系職の少ない地域で事務系の求人を出せば、
応募者が多くてBPO事業者が勘違いし、人が辞めても次に採用すればよいと安直に考えてしまいます。
業務によって数値はかなり異なりますが、BPO関連で働くパート社員1年以内の離職率は3割と言われています。
実際、次のステップに進む人もいれば、職場が嫌になって退職する方もかなりいます。
特に地方自治体BPOだと、BPO業者と自治体の契約が終われば雇用も終わるため、
将来的な雇用状態を考えると退職しやすい環境です。
5.BPO関連で働く人のキャリア
BPO関連で働く人のキャリアモデルとしてコールセンターも事務センターも多くは下記の通りです。
OP(オペレーター)→LD(リーダー)→SSV(サブスーパーバイザー)
→SV(スーパーバイザー)→MGR(マネージャー)
LDかSSVぐらいで契約社員、SVかMGRぐらいで正社員、といった流れでなるのですが、
それはあくまでも民間BPOでかつ長期でセンター運営がなされている場合のみです。
自治体BPOだと委託の契約期間が1年や、中には半年ぐらいもあります。
また数名ぐらいの規模なので、上記のようなキャリアモデルが形成されているとは言い難い状態です。
民間BPOと違い、自治体(市役所内)に入っていることが多く、そのようなキャリアモデルが築くことができません。
怖いSVが圧政を敷いている現場が比較的多いです。
運営能力の低いBPO業者で働くと、すぐにSVになれることはあるかもしれませんが、
基本的にSV教育はほぼないと考えるとよいでしょう。
募集要項などに教育体制が充実していると表現している企業で
本当に教育体制が充実しているところは極稀です。
キャリア形成を考えて、この企業では無理だと判断して辞めるケースが多く、
優秀な人であればあるほど退職までの期間は短くなります。
BPOの目的はあくまでもコストカット目的です。
ノウハウの活用を目的にBPO業者に委託するというのは建前です。
コストカットを目的に委託しているので、教育に費用はかけません。
BPOで教育が充実しているのは、金融業界と生保業界です。
どちらも中途半端な教え方をすると間違った案内や処理をすると後で大問題になるからです。
採用企業もダイバーシティ(多様性)ということで雇用形態を多様化することで、
応募者の掘り起こそうとしていました。
その結果、BPO関連で働く人のメインの雇用形態はパート社員が一時増えました。
最近は地方自治体BPOでも契約社員にするケースが増えましたが、
雇用情勢の変化の波も、遂に地方自治体BPOまで来たかというところだと思います。
最近話題になった2018年問題もあり、有期契約社員(パートや契約)の正社員化が進んでいるようです。
どちらかというと契約社員を採用する企業は、
試用期間という意味合いとキャリアアップ助成金の受給が目的だったりします。
BPO関連でも今後は契約社員から正社員化というキャリアアップが出来るような時代が来るかと思います。
オペレーターで働く人の動向は今後かなりシビアになってきます。
BPO関連業務の市場規模は拡大する一方ですが、その現場で働くオペレーター不足がすでに起こっており、
比較的高収益な専業代行(給与計算代行・経理代行)を除けば、
コールセンターや事務センターなどの人的BPOの運営は過渡期に入ってきています。
次回、RPAについて述べていきたいと思います。
【次回記事】
2018.06.27
前回は、中小企業の「請求書照合・計上業務」と「入金・出金情報の会計システム入力業務」のRPA活用について紹介しました。
導入方法は簡単であり、効率もとてもよく、費用対効果は抜群です。
今回は前回の続きで、「請求書発行業務」のRPA活用について、実用例を見ながら紹介したいと思います。
「請求書発行」業務はほぼどの企業にとっても不可欠な業務です。
他の経理業務と同じく、量が多く、入力やフォーマット変換などの単純作業が多いです。
しかも、成長の早い中小企業にとって、事業が拡大すればするほど、請求書発行の量が増え、経理部門の負担もどんどん大きくなります。
今回紹介する企業の中でも、月180時間以上請求書発行業務に時間を取られる企業があります。
では、A社、B社の「請求書発行業務」RPA化の事例をみていきましょう。
多営業所展開のA社はシステムを導入し、請求書発行業務はほぼシステムで行っていますが、
システム操作の手作業部分はまだ多くあり、毎月多くの時間が取られています。
業務の流れを簡単に説明すると、以下の図になります:
まず、請求書情報入力の担当者が毎日各営業所で請求書情報を定形のExcelフォーマットに入力し、メールで経理部門へ送付します。
経理部門がメールを受け取り(請求書情報取得)、その中の請求書情報をみて、
営業が契約時にシステム内に入力した請求書情報などとあっているかをチェックします(請求書情報照合)。
この段階で、すでに多くの作業が発生しています。
そして、請求書発行リストを作成するために、システムから「未入金一覧」CSVファイルを出力し、
必要なフォーマットに変換します。
続いて、担当者がリストを見て、請求書発行対象外(日付はまだ先なものなど)項目を見つけ出し、消します。
これで請求書発行リスト(Excelファイル)は出来上がりです。
そして、この請求書発行リストを「請求金額計算システム」にインポートし、
「請求金額計算」(値引きなどの情報)を行います。
Excelファイルをインポートすればシステムが自動計算しますが、
ファイル形式変換やインポート実行などは手で作業しないといけません。
計算終わったら、システムから請求金額の計算結果ファイルが作られ、
このファイルをシステムにインポートします。
ここまでやって、ようやくシステムから仮請求書(PDF)が発行できます。
続いて、仮請求書を各営業担当にメールで送信し、内容の確認を行います。
請求書の量が多く、メール送付もとても時間がかかります。
確認結果が営業からメールで返信され、修正点があれば経理が返信し、そのまま修正します。
問題なければそのまま本番の請求書発行に入ります。
以上のプロセスはほぼシステムを利用していますが、手で操作する部分がとても多く、
毎月必要な時間が多いため、経理担当者への負担が大きいです。
詳しく見ると、これらの操作は大まか三つに分けられます。
すなわち、システム操作、Excelファイル変換、データ照合です。
いずれもRPAの得意分野であり、RPA導入方法すると以下のように、営業確認の段階以外、ほぼ全てRPA化可能です。
このように、請求書情報はRPAがメールの中のExcelファイルを取得し、システムの中の情報と照合します。
そのあと、事前に定義した書式に変換し、金額計算のシステムにインポートします。
終わったらそのまま計算結果をシステムに取り込みます。
そして、仮請求書PDFを発行し、定形メールを各担当者に送ります。
この一連の作業はほぼ中断せずにRPA化することが可能です。
経理担当者はただRPAが処理できないエラーやイレギュラーなどを対応すればよいので、大幅に時間を節約できます。
B社はA社と異なり、元々のシステムでは請求書発行の機能は含まれ、中間ファイル変換の回数もそれほど多くありません。
図のように、まず各営業担当が入力した請求書情報を社内のシステムから取得します。
発行段階前に、すでに金額等を確認済みのため、もう一度確認する必要はありません。
そして、システムから未入金一覧リストCSVを出力し、編集しやすくするために書式変更等もします。
また、そのなかから請求書発行対象外(未来日付のもの等)を消します(請求書発行対象リスト作成)。
作業量が多く、この段階までで、毎月40時間以上かかっています。
また、一部の請求書は取引先のご要望により一枚を複数枚に分割することもあります。
そして、請求書を印刷し、郵送します。
一部は取引先の要望によりPDFで発行し、メール送付します。
この印刷段階では一つの問題として、システム上印刷は一括でできず、20枚単位の印刷しかできません。
そのため、人が複数回操作しないといけないので、他の作業に集中するのが難しいです。
この流れを見て、やはり完全にRPA化するのが難しいかもしれませんが、
うまく使って効率向上させる方法はまだあります。
図のように、請求書情報取得から請求書発行対象リストまではRPA化可能です。
なぜなら、これらはExcelやシステム操作がメインだからです。
発行対象外業務のピックアップも事前に定義すれば、RPAも対応可能となります。
請求書分割はやはり基準があいまいなので、手作業で行うしかありません。
また、請求書印刷も簡単に自動化可能です。
印刷対象を選択し、印刷ボタンを押すだけのロボットがホントに必要なのか?という疑問があるかもしれませんが、
実際、B社は毎月印刷だけで5時間かかっています。
事実、この作業はRPAを夜中で完了させられたら、とても楽になると担当者もおっしゃっていました。
郵送は手作業になりますので、RPA化は難しいです。
また、その中の一部はPDFになっているため、こちらに関してはPDF発行をし、
そのあと取引先のメールアドレスで定型文を自動送信することはできます。
ただし、現状送付する前に一度目視確認が必要のため、やはりRPA化しないという方針で進めました。
A社とB社双方とも自社のシステムを有していますが、
現在のシステムは全ての経理業務をスムーズに対応できるかと言ったら、実際そうではありません。
特にA社の場合、システムが様々な機能があるように見えますが、
中間ファイル変換など、色々と手で操作しないといけないため、時間がたくさんとられてしまいます。
もちろん、システム丸ごと変える方法もあります。実際A社も検討してはいました。
そうすると請求書発行業務を全て電子化するなどが実現でき、RPA等がなくても現在より効率よく動くでしょう。
ただし、いくつかの問題が生じます。
まず、このシステムは今回紹介した業務のみではなく、全社の各部門が使われているシステムになります。
システムを変えるというのは、全社的に今までの業務プロセスを全て見直さなければならないことを意味します。
また、従業員が操作を覚えるのに時間も必要であるため、すぐには導入できないでしょう。
加えて、システムを全てリプレイスする費用も大きくなります。
以上の原因があり、なかなかすぐシステムを変えることができない場合が多々あります。
この場合、RPAを導入すれば、現在の業務プロセスを大きく変更せず、効率向上することが実現できます。
RPAの導入期間は短く、操作を覚えるのも簡単です。
B社も場合は、まさに一部の作業を自動化することにより、効率向上を図る良い例です。
RPAは苦手な部分こそありますが、使い方次第で柔軟にもなり、様々な業務で活躍できるでしょう。
2018.06.26
RPA(Robotic Process Automation-ロボットによる業務自動化)は、近年のBPOの最前線でよく聞かれるワードの一つです。
これまで人間が行ってきた定型の作業や業務をPC内のロボットが仮想知的労働者(=Digital Labor)として代行することで、
業務効率化と品質の向上、コストダウンが期待できます。
ただひと口に「自動化」といっても、
抽象的すぎてどんな業務にRPAを導入できるのかいまひとつ想像がつきにくいかもしれません。
今回は多くの企業で実際にRPAの導入が進められている業務のうち、
経理財務業務でのRPA導入機会を前回の記事に引き続いてご紹介させていただきます。
今回は、これまた手作業が多く発生しがちな経費精算業務フローの自動化を検討してみます。
各部署から日々回付される経費精算申請。
1件1件には大した労力がかかりませんが、締切前になって申請が集中し、
その分、一時的な労働力が注ぎ込まれていることが多いのが事実。
その業務を効率的かつ正確に処理するには、
自社の経費申請の仕組みとそれに適合するロボットの開発が肝要です。
手軽かつ安価な業務効率化の手段として活用されることの多いクラウド型経費精算システム。
実際に導入している企業様も多いのではないでしょうか。
この場合ロボットは、システム内を巡回しその後の処理に必要なデータを都度取得する役割を担います。
加えて申請内容の正当性や、照合に必要な領収書添付の有無を判断するような「承認機能」を付与することで、
一定の照合作業を代替することも可能となります。
(最終的な金額の整合性や費用科目の正誤は人間による目視で要確認)
経費精算システムを利用するうえで最も重要なのは、システム上に登録されているマスタ情報の管理です。
例えばロボットが後段で必要とする各社員の振込先口座情報は、
日ごろから最新の状態にしておかなければなりませんし、
また一事業単位で収益を算出する必要がある場合は、それぞれの事業コードの管理が必要です。
また、申請内容の正確性の担保も必要。
各社員が入力した申請金額や費用科目は、その後ロボットがそのまま流用することになります。
システム上の承認フローで決裁者もしくは経理財務担当者が照合し、
場合によっては差戻すなどしてロボットが正確なデータを取得できるようにしなければなりません。
要するに「ロボットが精密に業務を遂行できる環境づくり」が前提となってくるわけです。
中小企業や老舗企業の中には、申請書を介して申請内容をやりとりする企業も多いのではないでしょうか。
現在のOCR(光学的文字認識)技術は日々機能の発展が目覚ましいものの、完全な紙媒体のみの業務自動化はまだ困難な状態です。
そのため、申請書をExcel形式で入力/データ提出させる方法を検討するのが一般的です。
予め全社で統一のフォーマットを作成し、申請方法や入力内容のルールを定義づけ社員に共有します。
申請されたExcelを任意のフォルダに集積しておくことで、ロボットは一つ一つを確認して回り、
決められたセルにある各種情報(金額/費用科目/申請者名(ID)/部署名など)を取得し、
当月分の経費精算内容を一覧データとして作成します。
この一覧データが後段の振込/仕訳工程のデータベースの役割を担うのです。
申請書のみの情報では網羅できない情報は、別途マスタを作成しロボットが一覧データ作成時に情報を取得できるようにしておきます。
(例えば振込先口座情報。マスタ上で申請者の社員IDと振込先口座情報を紐づけ一覧データに別途入力させる)
経費申請が承認されたものから発生金額を「未払金」として会計ソフトに計上していきます。
決裁者/経理財務の承認が得られた申請は、
この承認履歴をトリガーとして作動したロボットによって自動的に会計ソフト上に計上されます。
この時申請時に入力された費用科目を基に仕訳を実施するため、
入力間違いはそのまま反映され、間違った処理が実行されてしまいます。
金額の入力ミスは言うまでもありませんね。
特に費用科目の定義は経理財務にとっては常識でも、
その他の社員にとっては意外と曖昧になっているケースが往々にしてあります。
そのため前段で述べた承認/差戻の徹底が不可欠になってくるのです。
この部分を徹底してシステムを運用していくと、
社員は費用科目の知識が身について自然と入力の正確性が上がっていくでしょう。
経費精算申請時に作成した一覧データを基に会計ソフトに仕訳を実施します。
月次で一覧データを作成しているためシステム利用のケースと違い、
こちらは任意のタイミングでロボットを起動させる必要があります。
(毎月〇日〇〇時と日時指定を組み込む or 起動時に特定のキーワードを入力したメールを送信するなど)
処理方法は原理的にはシステム利用のケースと同様で、ロボットが申請金額と費用科目を一覧データから抽出して入力します。
1件ごとでなく費用項目ごとの合計で入力する必要がある場合は、
一覧データ上で金額を集計するロジックをロボットに組み込んでおく必要があります。
決められた振込日に向けてバンキングサイトへの振込手続きを実行します。
ここでの業務はとってもシンプル。
なぜなら、大半の経費精算システムで申請一覧データがCSVファイル(全銀協統一フォーマット)でダウンロードできるからです。
このデータファイルを生成してしまえば、あとはバンキングサイトに取り込ませるだけ。
もちろんRPAで代替可能の業務ですが、
業務ステップが他の作業工程より格段に少ないので人力でも大した作業ではありません。
費用対効果を考えて自動化を検討しましょう。
自動化を進める場合でも、振込確定の前に人間の目での最終的なチェックは欠かさない方が賢明です。
ここでも一覧データを活用します。
一覧データの金額と、マスタ上から社員IDで引っぱってきた振込先口座情報を基にロボットがバンキングサイトに入力していきます。
この場合は1件ごとに処理を実行していきますが、
その一覧データをCSVファイル化し、バンキングサイトに取り込ませることも可能な場合が多いです。
いずれにせよロボットが自動的に処理を実行してくれるため、
人間の業務は最終的な入力内容の確認/振込手続内容の確定のみとなります。
振込が確定したら、申請時に計上した「未払金」の消込作業に入ります。
こちらも振込手続時と同じようにシステムから生成したCSVファイルを会計ソフト上に取り込ませます。
会計ソフト上で特殊な処理が必要な経費精算案件(金額の内訳入力や摘要欄への補足情報の入力など)が発生する場合は別ロジックの構築が必要です。
その際は、経費精算システム上の申請入力項目を改造して追加情報を入力させたり、
マスタ上で例外処理を実施する精算案件をマークしてロボットが判別できるようにしたりして、
通常のフローに組み込んでいくことになります。
一覧データを基に会計ソフト上で未払い金を消込みます。
費用科目と金額を抽出して、会計ソフトに反映させるのですが、
上記と同様に例外処理が発生する場合は、ロボットに別のロジックを付与します。
日頃RPA導入される企業様ヒアリングを行っていると、この仕訳の部分に例外処理が発生する事例が多いように感じられます。
事業部ごと、一事業単位ごとのようにそれぞれで収益計上を行っているためです。
その際は1件1件「どんな処理を行うのか」「どんなデータを別途取得しなければならないのか」「そのデータはどこから取得するのか」という観点から開発を進めていかなければなりません。
あまりにも特殊過ぎてその他大半の通常処理フローに組み込めない場合は、
無理にロボットに実行させるのではなく、割り切って人間の業務として残した方がいい場合もあります。
今回のコラムでは経理財務業務におけるRPA導入機会をご紹介しました。
このほかにも人事/総務部門などのバックオフィスでの活用が進んでいます。
RPA導入時まず検討するべきは、
という観点での業務内容の見直しです。
そのため開発の前段階として「業務の棚卸」を実施していくことになります。
今すぐロボット開発/導入は無理でも、一度自社の業務フローを可視化することは、業務効率化の第一歩です。
この際にぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。
弊社でもお見積もりいただけます。
2018.06.22
今回の記事では、実際にRPAを導入することで現場の業務がどのように変化するかを具体例を交えてご説明したいと思います。
読者の方は、RPAが導入された後の業務がどのように変わると考えているでしょうか。
ロボットが完全に業務を独り立ちで実行し、もともとの業務担当の方が不要になり、
人の目によるチェックが全くない状況をイメージしているでしょうか。
確かにRPAに業務が置き換わることで、作業自体の質(速さと正確性)は増しますし、
ロボットが稼働できる時間は、人間が稼働できる時間と比べると大幅に増加します。
ところが、完全に業務から人が自由になるか、といったら実はそうではありません。
では、具体的な大手金融サービスのバックオフィスにおける業務のRPA化の実例を、
導入前と導入後の業務プロセスの変更に着目しながら記載していきたいと思います。
また、業務の変更前、変更後の記述のみではなく、
実際にどのようにRPAの導入が進むかのイメージが湧くように、
時系列を追って解説していきたいと思います。
RPAの導入の“いの一番”は業務選定になります。
そもそもRPA化に向いている業務とそうでない業務を見極める必要があります。
この記事の読者であれば、具体的にRPA化に向いている業務については一定以上の理解があると思いますので、
ポイントとなる点のみを強調します。
一番大事なのは、その業務をRPA化した場合に、短期間で費用対効果が上がるかという点です。
特にRPAのロボット開発を自社で行わない場合(外部ベンダーに委託する場合)、
開発にかかるコストの面で言えば、自社開発に比べ高くなる傾向があります。
また一度、RPA化を行ったとはいえ、ソフトウェアのライセンス料は毎年かかりますし、
業務プロセスを変更したことによるメンテナンス費用も当然発生します。
すなわち、これらの費用の支払いに見合った改善効果(時間短縮)がなければ、
基本的にRPAの導入は不要(コストに見合わない)ということになります。
ただし一方で、現場で働いている人たちには、RPA化が向いている業務などわからないという問題もあります。
この際には、一度実際にRPA化を行った業務のデモなどを見せて、
具体的なイメージ(実感)を持ってもらうことが非常に有効的だと考えられます。
今回のケースではこれらの条件を満たした業務として、
官公庁発表データの速報値取得(守秘義務の観点から特定のページをお伝えできませんが実際に発生している業務になります)という業務が選定されました。
この業務は、
「指定の時間になった時、インターネットに公開される政府発表の速報値をダウンロードして、指定のディレクトリにアップロードしておく」
という単純作業の業務です。
(毎日実行する必要があるが、指定の時間に出ていない場合もあるため、
公開されていない場合は何度も同じページにアクセスして確認する必要がある)
この業務が選定された理由は大きく2点ありました。
1 点目は、この業務が非常にシンプルな業務であって、
業務を遂行する上でアクセスの必要なシステムが一つのみであり、
開発にかかる工数が極小であるという点です。
2点目は、
「部署内におけるRPAを盛り上げるにあたって、
部署内で一番メジャーな業務(新人が必ず行うため、全員が経験する)であるため、
部署内でのRPA化に向けての業務洗い出しのきっかけづくりになる」
という点です。
それでは上記の業務が、業務ヒアリングおよびRPAの設計・開発を通じて、
具体的にどのようなプロセスに置き換わっていったのかを見ていきましょう。
まず最初に紹介するプロセスは、
現場担当の人が自分たちの業務を紹介したときの口頭での業務ステップになります。
上記の1から5のステップを聞いて、RPAの設計ができるでしょうか。
実はこれだけの情報ではRPAのロボットを作成することができません。
この情報をもとに更にヒアリングを実施し、ロボットの設計に落としていく必要があります。
例えば、上記の内容だけですと、「速報値のページがない場合にどうすればよいのか」であるとか、
「当日の速報値を保存するときの内容はどのような内容か(フォーマットは?)」といった点がわからず、
RPAのロボットを設計するための基本的な情報が足りません。
また、実際にヒアリングを進めていくと、
「ファイルサーバーへアクセスするには、特定のツール(ファイルサーバアクセスツール)が事前に起動されている必要がある」とか、
「インターネットにアクセスする際にはCitrixと呼ばれる仮想ブラウザツールを利用する必要がある」といった、
クライアント環境に起因した特別な条件が出てきました。
ヒアリングを実施した後の現在の業務フローは以下のようになりました。
いかがでしょう。違いを感じることができたでしょうか。
業務担当へのヒアリングにより、そもそもいつロボットが起動するべきなのかに加えて、
PCでの操作内容が明確になったことで、RPAのロボットに覚えさせることができる粒度まで業務プロセスを具体的にすることができました。
さて、いよいよ次はこれをRPA化後にどのようなプロセスになったのかを書き出したいと思います。
上記が最終的にRPA化を行った際の業務のプロセスです。
実際には、1-10まではロボットが実行してくれるため、人間の介在は不要となり、
人間が政府の速報値のページにアクセスをするという手間は完全になくなります。
ところが、完全にロボットだけで自立をさせることはできません。
アクセス先のページががダウンしているようなこともあれば、ファイルサーバへのアクセスが失敗することもあります。
そういったことも含めて、RPA化を導入した後であってもロボットが正常に動作していること、
または正常に動作したことを、やはり最後は人間が確認できるようにしていることが大事になります。
今回のケースではロボットが処理した結果(失敗・成功)をメールで通知するという手段でロボットが正常に動作したのかどうかを確認するという設計になりましたが、
「処理結果をファイルに残す」「処理結果を紙に印刷させる」といった別の手段で人間が業務完了を確認できるようにするということも考えられる方法です。
今回の記事はいかがでしたでしょうか。
「RPA化する=人間が不要」とならないと冒頭で宣言したことが、
具体例から感じ取ることができたでしょうか。
この記事を読んだ皆様が、この記事を通じて業務のRPA化に対して、より理解を深めていただければ幸いです。