2019.07.01
開発されたRPA(Robotic Process Automation)ロボットの売買が自由に行えるRPAのマーケットプレイスが各社のサービスに取り入れられ、大きなトレンドとなっています。
なぜ、現在このようなトレンドがあるのか、マーケットプレイスの具体的な利点や特徴はどのようなものか、今後どのように展開されていくのかなどを分かりやすくご説明していきます。
RPAマーケットプレイスとは(概要)
・ユーザーがRPAの機能拡張、追加のためのパーツを提供・利用できる場
・テンプレート化したRPAロボットのやり取りが気軽にできる
RPAマーケットプレイスが取り入れられた背景
2017年頃からRPAツールによる業務自動化・業務改革が進められてきた中で、実際にRPAを使っている企業や人からの声としてこんな意見が多くみられるようになりました。
「どの業務からどの業務までをRPAで自動化していいかわからない」
「自動化したい業務は決まっているがどのようにロボットの開発を進めていいかわからない」
RPAのロボットは導入するだけではなく業務に合わせてロボットの開発をし、運用していくことがとても重要です。そこで、テンプレート化されたロボットのニーズが急激にあがりました。2018年7月にRPA BANKが国内初となるRPAマーケットプレイス「RPA BANKマーケットプレイス(α版)」をリリースしたことを皮切りに最近では多くの企業がマーケットプレイスを設け、RPAを業務に用いたい人と開発したRPAロボットを保有している人をつなぐための場として提供しています。
次に、Blue PrismとUiPathのマーケットプレイスについて、また次世代の働き方へのヒントになりうるとして注目を集めているBizRobo!のマーケットプレイスについてご紹介していきます。
Blue Prism Digital Exchange(DX)
Blue Prism株式会社が提供する「Blue Prism Digital Exchange(DX)」はBlue Prismのマーケットプレイスです。2018年11月からサービスを開始し、多くのユーザーに利用されています。
Blue Prism自体にはAI機能やOCR機能は搭載されていません。そこで機能を拡張する際にBlue Prism Digital Exchangeを利用することができます。Blue Prismに追加できる機能(パーツ)のことをスキルと呼び、スキルを提供しているのはMicrosoftやIBMなどをはじめとする様々なパートナーです。
マーケットプレイスに参加できるのは、Blue Prism社の審査を通過したアクターのみで、スキルのクオリティーに関してもBlue Prismによって安全性・品質が担保されています。
実際に画面上でスキルをBlue Prismに追加する際の手順は以下の通りです。
以上3つのステップだけでもともとのRPAの機能を拡張することができます。
2019年6月現在では、社内で所有するスキルを管理するためのプライベートアセット機能なども追加され、マーケットプレイスの充実化がはかられています。
また、Blue Prism Digital Exchange上でダウンロード数の多いスキルは、ユーザーからのニーズが高い機能であると考えられるため、Blue Prism社が新しいサービスや商品を開発していく上での参考にもしているそうです。実際に、ダウンロード数の多いスキルの一つにAI文書処理のスキルがあるため、新しくインテリジェント文書処理ソリューションとして「Blue Prism Decipher」が発売される見通しです。
今後の方向性としては、パートナー同士がマーケットプレイス上でソリューションを販売できるようにeコマース機能を充実させていくことも検討されているようです。
UiPath Go!
UiPath株式会社が提供している「UiPath Go!」はUiPathのマーケットプレイスです。2018年10月からサービスが開始され、各アクターがRPAパーツをマーケットプレイスに共有したり、ダウンロードしたりすることができます。UiPathに追加する機能(パーツ)のことをコンポーネントと言い、ユーザーがそれぞれ作成したコンポーネントがマーケットプレイス上でやり取りできる仕組みとなっています。
「UiPath Go!」でコンポーネントをダウンロードして自分のRPAの機能を拡張する方法は以下の通りです。
2019年6月現在では437の様々なコンポーネントがUiPath GO!上でやり取りされています。
BizRobo!マーケット
2019年4月からRPAテクノロジーズ株式会社が提供するRPAツール「BizRobo!」のマーケットプレイスとして「BizRobo!マーケット」が新たに開設されました。
「BizRobo!マーケット」を運営しているのは、株式会社MAIAという次世代の働き方を提示して実践している会社です。
株式会社MAIAは、「RPA女子プロジェクト」というフリーランスの女性RPA技術者を輩出するプロジェクトを行っています。様々なスキルを持つRPA技術者とRPAを導入したい、運用したい企業をマッチングさせて彼女たちがオンラインで仕事を行います。具体的な仕事内容としては、企業内でRPA人材を育成すること、RPAロボットの開発などです。2019年3月の時点でRPA女子の数は1,000人を超えていて、現在も増加しています。
そんなRPA女子が作成したRPAロボットのパーツを提供しているのが「BizRobo!マーケット」です。提供されているパーツは主に企業の基幹システムの業務効率向上のための機能を有していて、各企業が必要なパーツを必要な分だけダウンロードして自分たちのRPAに機能を追加することができます。
「BizRobo!マーケット」でダウンロードできる主なパーツは以下の通りです。
また、ユーザーはRPA女子のオンラインサポートを受けられるため、不明点などがあった際に助けてもらうことができます。
「BizRobo!マーケット」を利用するユーザーは4つのプランの中から自分に合ったプランを選ぶことができます。RPA機能をどれくらい追加したいか、どれくらいサポートを受けたいかによって月々の価格が変わってきます。
まずはトライアルとして無償版をダウンロードして、そこから必要に応じてグレードを上げていくことも可能です。
数あるRPAマーケットプレイスの中でも「BizRobo!マーケット」が注目を集めているのは株式会社MAIAが今後求められる働き方改革に大きく貢献しているからです。
そもそも、RPAが普及し始めた背景には日本の少子高齢化による労働力不足があり、多様な働き方を認める社会を作っていこうという流れがあります。そして、RPAによる自動化の位置づけは代替労働力としての「digital worker」として考えられることが多いです。
MAIAが輩出するRPA女子の中には育児や介護などで一度職場を離れた女性たちも多く、彼女たちの復職の場として大きく貢献しています。完全に自宅で仕事をすることができるため、柔軟な働き方が認められる環境となっています。
“Digital Workerの増加”× “復職できる女性の増加”
この様な取り組みが今後も増えて、日本の労働力不足の解消に役立つことが期待されます。
まとめ
Blue Prism、UiPath、BizRobo!の3つの異なるマーケットプレイスについてご紹介しましたがいかがでしょうか。ご紹介した3つのマーケットプレイスはどれも追加パーツのダウンロードからロボットへの機能追加がとても簡単で、初心者でも操作しやすい仕様となっています。また、取り扱われているパーツも日々更新され、マーケットプレイス自体も世間のニーズに合わせて改良されています。
効率よくRPAロボットを開発するためにマーケットプレイスから必要な部品を取り入れることはとても効果的です。業務の効率化のためのRPAロボット、その開発のプロセスにおいてもマーケットプレイスを用いて効率良く行えるとよいでしょう。
参考文献
https://it.impressbm.co.jp/articles/-/17772
https://news.mynavi.jp/article/20190606-838374/
https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1189084.html