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RPAとAIの未来: RPAと汎用AIプラットフォームとの可能性について

2018.06.01

59日~11日の3日間、東京ビックサイトで「AI・業務自動化展」が催されました。注目しているビジネスパーソンの方が多く、会場は非常に盛況でした。その中でも、やはり目に付くのがバズワードとなっている「RPA」の名前を冠した商品やサービスの数々です。猫も杓子もというのは少々大袈裟ですが、それほど多くのソフトウェア企業がRPA+●●という切り口で、ビジネスを開拓していこうとしています。今回ご紹介するのは、そのようなRPAの名前を掲げているわけではありませんが、将来的にRPAとの連携、応用があるのではないのかと思わせる機械学習プラットフォームの話です。

 

まずAI・機械学習について

皆さんAIというとどのようなものをイメージされるでしょうか。日常で、普段我々が接しているAIというと、スマホの音声認識技術であったり、チャットボットに見られる言語解析、あとはFaceBook等で使われている顔認証や、自動運転や医療現場で病気の早期発見に使われている画像認識技術などでしょうか。あとは世界王者に勝ったことで有名な「AlphaGo」を思い出される人も多いかと思います。これらのAI技術、厳密に言うと機械学習になりますが、これが精度を高めるに何といっても膨大な「教師データ」が必要です。教師データは簡単に言うとインプットとなるデータと、それに対するアウトプット/結果がセットになっているものを指します。

例えば、「ツバメが低く飛ぶ」というのに対して「雨が降る」というのがアウトプット/結果です。これを人事採用評価に活かすとすると、「(本人が提出した」各種の履歴書情報」「SNS上での情報」「SPSテスト結果」「面接での発言内容」「面接での顔の表情・動き」といったものがインプット情報であるとすれば、アウトプット/結果は「採用/非採用結果」「(入社した場合の)3年後の人事評価」というものに例えばなります。このデータが膨大にあれば、AIに機械学習をさせることにより、入社面接時の情報で「●%の確率のこの方は有望な人材」といった予測をさせることができるようになるということです。倫理上の善悪は置いておいて、今まで人間が勘や経験知で取り扱っていた分野が機械に取り代わる脅威と機会を兼ね揃えた技術と言えます。

ただ、このAI・機械学習の技術ですが、その「インプット」と「アウトプット/結果」の予測精度をどうすれば高められるか、というのは未だ日進月歩の世界であり、世界の知能が鎬を削って開拓している状況です。TensorFlowに代表されるようなディープラーニングもその中の1モデルです。パーセプトロンを使ったニューラルネットワーク理論もあれば時系列に強いリカレントニューラルネットワークといった理論もあります。そのようなモデルの選定もあり、更にその予測モデルの中の細かいパラメータ設定の問題もあります。なので、「インプットとアウトプットデータは揃った。で、最適な予測ができるようになる為には、どのモデルとパラメータ値を採用すればいいの?」といった課題に直面することになる訳ですが、そのような時に登場するのが、昨今脚光を浴びているデータサイエンティストと呼ばれる技術者たちです

 

機械学習プラットフォーム「DataRobot」について

そこで、今回のコラムでご紹介したい「DataRobot」と呼ばれるツールの話になります。DataRobotは、スキルレベルにかかわらず、すべてのデータサイエンティストがより良い予測モデルをより速く生成し、ビジネスに展開することのできる機械学習のプラットフォームです。つまり先ほど述べたAI・機械学習技術を企業が活用するときに直面する「どの予測モデルをつかうか」「パラメータ値をどうするか」といったことや、更に「そのようなモデルをプログラミングできる技術者がいるのか」といった課題を大幅に軽減するツールです。即ち、それは簡単に言ってしまうと、広く多くの人/企業に対してビジネス上でAI技術が使えるようにするためのツールと言えます。

 

DataRobotoの日本語サイト

 

企業名はサービスと同名のDataRobot, Inc.で、2012年に米国マサチューセッツ州ボストンにて設立し、現在は米国のほか、日本、イギリス、ウクライナ、シンガポール、オーストリア、ベラルーシ、インド、アメリカ、インドなど世界に営業拠点を置いてビジネスを行なっており、スポーツ、金融、ヘルスケア、小売ほか、幅広い業界で同社のサービスが採用されています。公表情報によると、日本では大阪ガス、トランスコスモス、パナソニック、三井住友カード、リクルートなど様々な業界での導入実績が既にあるようです。東京ビックサイトで行われた「AI・業務自動化展」でもDataRobotのブースでは、ローンの貸し倒れリスクの予測モデルについて実演をされていました。

 

東京ビックサイト「AI・業務自動化展」におけるDataRobotのブース

 

 

もう少し、DataRobotの仕組みついて述べますと、DataRobotでは世界でも有数の優秀なデータサイエンティストを内部に抱えており、彼らのモデル構築する上での知見を活用できるのがウリとなっています。それにより「誰でも簡単に超高精度の 予測モデル生成を行える」と謳っています。この事の利便性は、実際にPhyson等で予測モデルのプログラミングを試した経験を持つ方なら分かっていただけると思います。筆者も実際にAIプログラムを自分で提供できるようになろうと、幾つか教材で試したことがありますが、このAI・機械学習の領域は、行列等の数学知識に加え、統計学、プログラミングといった複数の高度な技術が求められ、一回習ったからと言っておいそれと応用・活用できるものではないと肌身に感じたものです。しかもモデル理論も日進月歩で進化しており、覚えたことが来年には古い概念になっていたりするリスクもあります。つまり「この分野は一部の天才達に任せたほうがいいや」という心情になります。そうなると次に考えるのは「そのような天才達(=優秀なデータサイエンティスト)を雇おう」ということになりますが、彼らは非常に高額ですので一部の大企業でなければとても費用対効果でペイできる存在ではありません。必然、中堅・中小企業の方々はAIを使いたいと思っても、ベンダーからパッケージ製品/サービスを購入するしかありませんでした。しかし、RPAの脚光で明らかになったように、企業にはそれぞれ抱える課題・悩みは千差万別であり、「自分たちの課題にピンポイントに合った解決策を作り出したいんだ」という声は常に中小企業の潜在ニーズとして存在しています。今回のDataRobotのデモを見て感じたのは、そのような中堅・中小企業にとって自社に合ったAIの活用ができるようになる地平が見えてきたと共に、RPAと組み合わせることでより高度な業務についても広く多くの会社で自動化できる世界がやってくるのではないかいかという期待を抱かせた事です。

 

DataRobotの得意/不得意領域

次に、このDataRobotが有効に活用される上での得意/不得意とするデータタイプの説明をしたいと思います。ガートナーカスタマー360サミット2017における新日鉄住金ソリューションズの発表によると、以下になります。

 

ガートナーカスタマー360サミット2017 新日鉄住金ソリューションズ報告資料 

 

こちらの情報に、最新のDataRobotVer4.0の情報を加え、下記に更新してみました。

 

DataRobotの得意領域

 

 

簡単に要約してしまうと、DataRobotが現在最も強い領域は定量情報についてです。テキスト情報や画像分析、音声認識を一般企業が気軽に使うには未だ敷居があるようです。ただ、一般企業にとってRPAと組み合わせた「自動化」の効力が最も発揮されるのが、これらの発展途上の分野ではないでしょうか。定量情報の分析だけだと、精度は落ちますが、エクセルで回帰分析をすることもできなくもありません。今回のコラムでは、将来的にDataRobotのようなAIモデル構築のプラットフォームが定量情報のみならず自然言語や画像、音声認識にまで活用可能になった際に、RPAと連携することで中小企業でもどのような事ができるようになるのか考察していきたいと思います。ただここで挙げたアイデアは、正直将来の可能性のほんの一端にしかすぎません。考えれば考えるほど、色々な可能性が皆様の頭の中にも更に浮かんでくると思います。まさにこの「個社カスタマイズが容易」なAIRPAとが融合することで、近い将来、一大ビジネス機会が生まれることを感じ取っていただければと思います。

 

RPAと汎用AIプラットフォームとの連携可能性

 

1Webマーケティングの施策アドバイス

現在、B2CのみならB2Bの企業にとってもPCやスマホ等のインターネットを介しての宣伝・広告活動の重要性は増すばかりです。これは主にGoogle Analyticsにあるような定量情報の扱いがメインにはなりますが、各社社内の人材もしくは広告代理店、Webマーケティング専門会社等の外部に依頼して、どのような施策を打つべきか日々格闘しています。例えば、どのようなコラムをどのくらいの頻度で書くとSEO上効果的か、バナーのデザインはどのようなものがいいか、サイト内の文言やページ構成、ボタンの配置・色、など様々な施策を試しPDCAを回しています。

このWebマーケティングの取り組みで難しいのが、効果的な施策というものが時と場合によって変わることです。Googleのロジックの変更による影響もありますし、競合他社の状況、商品のタイプや顧客層によっても効果的な施策というものが変わってきます。幾つか王道と呼ばれるような打ち手パターンはありますが、基本的にWebマーケティングはこのように個社ごとの状況に合わせて暗中模索中で取り組んでいるのが実情です。

そこで、個社ごとの取り組みをRPAによってしっかりとモニタリングし、蓄積された施策評価データをもとにAIがアドバイスするようなサービスは考えられないでしょうか。この場合、インプットデータは「環境情報」(現在のPVUU数、滞在時間、直帰率推移、視聴者セグメント構成や、競合サイトのPV推測値等)と「施策情報」に分けられ、アウトプット/結果データは「PVCV上昇値」が考えられます。そのような情報が蓄積できれば、例えば「この直帰率が上がってきている今の状況だと、最もCVに効く施策は●●」といったことがAIによりアドバイスができるようになります。ただ、これは口で言うのは易し、であり実際にはこの「環境情報」や「施策情報」というのを綺麗に意味のあるレベルまで情報整理・落とし込みするのは至難ではあります。

より狭い施策分野に限定すると、もう少し現実性の高い活用ができる可能性があります。例えば、SEO目的で書くブログですが、このテキストデータを上手くその構成要素に分解できれば、過去のブログテキスト情報とそのページのPV獲得数情報をRPAにより自動抽出してAIモデルに蓄積させることで、「今回のブログだとPV数は●●程度獲得できるだろう」といった予測が立ちます。これだけだと予測だけになってしまうので、さらにそこから踏み込んで「●●のような書き方をすればPVは●%の確率で上昇する」といったアドバイスまでできたらより実用性の高いものになります。

 

 

2)チャットボットのシナリオ自動作成

次に、目下様々な企業で対カスタマー向けや社内のQ&A対応として活用しているチャットボットについてです。これらのツールには質問者が入力した情報が一体何のテーマに相当するのか符合させるのに自然言語解析のAI技術が使われています。しかし、このチャットボットを導入検討した方なら分かると思いますが、その質問テーマに対する回答を用意し繋ぎ合わせる作業、つまり「シナリオ作成」と呼ばれる工程は実は人間が作らなければなりません。ニュースで話題となった横浜市資源循環局のチャットボット「イーオ」も、まさに同様に裏では様々な質問について回答シナリオを人間が準備して構築したはずです。

 

横浜市資源循環局のチャットボット「イーオ」

 

 

このシナリオ作成についてですが、ベンダー側で一般的なシナリオ案は持っていますが、質疑応答の内容は正に個社ごとに千差万別、いかにたたき台となるシナリオ案があったとしても、結局は個社ごとに地道に作っていくしかありません。またこのシナリオ作りは1回で終わらず、基本的に日々のメンテナンス・更新はかかせません。

そこで、このシナリオ作成についてAIモデル構築プラットフォームを使って自動化できないでしょうか。膨大な問い合わせフォームやメールの履歴から質問テキストの「インプット」と人間のオペレーターによる回答テキストの「アウトプット」の情報をRPAにより自動抽出して、AIモデルに投入しシナリオを自動で作成・更新していくアイデアです。このようなことができれば、中小企業にとってもチャットボット導入が容易になるのではないでしょうか。

 

 

以上、例えばということで、RPAAIの活用による可能性をご紹介しましたが、アイデアはまだまだあると思います。既にAI適用が進められている分野ではありますが、契約書や請求書の読み込みに使われているOCRに対して、もっと個社カスタマイズしたAIモデルの構築が可能になるかもしれません。また、音声認識のAIモデルが容易に作れるようになれば、会社特有の専門用語等が駆使された会議の議事録作成に使える日がやってくるかもしれません。今後もこのDataRobotのような「個社カスタマイズが容易」になるAIプラットフォームの進化をしっかりと追っていきたいと思います。

 

 

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