2018.05.25
RPAホールディングス<6572>の株式評価について、
RPAについての総合情報サイトを標榜している本サイト独自の視点で分析します。
2018年5月24日の終値で15,290円となっています。
ここから分かることは、あくまで値嵩株(1株当たりの金額が高い)であるということのみです。
すなわち1株当たりの金額が高い≠評価が高いということです。
株価の推移としては、IPO後の初値が14,280円であるため、現時点では初値を上回っています。
ただし、上場後に19,990円まで急騰後、株価はやや軟調気味に推移しています。
5月に入ってからは、一時初値を割り込む場面も見られました。
割安株(株価の評価が低く抑えられている状態の株)かどうかの判断のために使用される指標として、
PER、PBRという指標があります。
PERは株価収益率とも言い、「時価総額÷純利益」で求めることが出来ます。
会社予想の2019年2月期純利益から算出すると、PER 181倍になります。
PER〇〇倍とは、換言すれば、〇〇年分の純利益でようやく時価総額と同じ利益を生み出すことが出来る会社、となります。
RPAホールディングスで言うと、現在の時価総額は181年先取りしているとも言え、
PER基準では相当程度割高であるということが出来るでしょう。
例えば、日本の代表的な企業であるトヨタ自動車<7203>のPERは10倍ほどです。
また、同じく割安性を算出できるPBRという指標も見てみましょう。
PBRは、株価純資産倍率とも言い、株価÷1株あたりの株主資本で求めることが出来ます。
PBRは解散価値とも呼ばれ、その会社が現時点で解散したら株主にどれだけ還元されるかを推し量ることができることから、割安性の指標として利用されています。
PBRが1倍の時、会社が解散したとしても、株主は株価と同じだけの金額を受け取ることが可能です。
RPAホールディングスのPBRは46.75倍となっています。
これは、仮にRPAホールディングスが即解散した場合、1/46.75の金額しか戻ってこないことになります。
日本株のPBRは1倍を割れることも珍しくなく、
PBR基準でも相当程度割高であるということが出来るでしょう。
PER・PBR基準では割高感があることが分かりました。
それでは、RPAホールディングス株は割高なので手を出さないのが良いでしょうか?
ここにはもう一次元の情報を、考慮に入れる必要があります。
それは、成長性です。
会社が急成長すればPERもPBRもすぐに低下していきます(特にPERが顕著)。
従って、若くて成長が期待できる株の多い新興市場(マザーズ・ジャスダック)には、
比較的割高な株が多く残存しています。
トヨタなどの旧態依然とした業態の銘柄(オールドエコノミー銘柄)は、今から急成長ということもなかろうということで、PERは10倍程度なのです。
そこで、成長性を加味した割安性を推し量る指標として、PEGレシオというものが存在します。
PEGレシオはPER÷1株当たり利益成長率で求めることが出来ます。
RPAホールディングスの場合、181÷45.6(今期経常利益成長率)となり、
PEGレシオは3.97倍となります。
PEGレシオは1倍以下で割安、2倍以上で割高と言われています。
従って、RPAホールディングスはPEGレシオの観点でも相当程度割高であるということが出来るでしょう。
ここまで、機械的に算出することができる割安性指標について述べて来ました。
ここからが当サイト独自の観点となります。
いずれの割安性指標でも割高となっているということは、高い成長持続性が期待され、高成長を先取りして株が買われているという論理かと思われます。
それでは、RPAホールディングスの成長持続性はどのように考えられるでしょうか。
RPAホールディングスの成長持続性=RPA市場の成長持続性と換言して差し支えないでしょう。
RPAにフルコミットで邁進している上場企業はRPAホールディングス社のみであり、
他の「RPA関連銘柄」と呼ばれる銘柄は、すべて「RPAもやっている銘柄」でしかありません。
RPA市場は、まさに活況であり、目先の成長について疑う余地はありません。
RPA最前線の現場から見ていても、市場は全くもって赤丸急上昇といった具合です。
これまでのRPA市場は概ね以下の通り主体導入企業が推移して来ました。
外資系金融機関
↓
大手金融機関
↓
国内大企業(非金融) ←今ココ!!
↓
国内中小企業
RPA市場の主体は、ここから1年ほどかけて、国内中小企業へと移って行くことが予想されます。
従って、導入主体の裾野が広がるこの1,2年は成長が続くであろうと予想することができます。
その後の成長持続性はどうでしょうか。
RPAにはClass1~Class3まであります。
簡単に言うと、RPAと自律性の強いAIが融合することにより、
RPA化対象業務の範囲が大きく広がるというものです。
現在はRPA Class1に位置しており、AIとは融合できていません。
(個人的にはやや眉唾ですが)Class3まであと数年で到達するという観測もあります。
これが事実であれば、RPA市場ひいてはRPAホールディングスの成長持続性はかなり有望であると結論付けられます。
RPAホールディングスへの投資は、
自身が成長株(グロース株)投資家か、割安株(バリュー株)投資家かによって、
大きく評価の異なるものとなりそうです。
上記はかなりファンダメンタルズ分析(財務諸表や業績に基づく分析)に偏った意見となりましたが、
世の中にはチャーチストと呼ばれる、株価チャートから株価予想をする人もいます。
(比較的、短期のトレードを行う人に多いと思われます。)
14,000円割れを2回経験した後に急上昇しています。
典型的な日柄の早いダブルボトム(株価の底を2回打った後に上昇を開始すること)の格好となっています。
ただし、5日移動平均線が25日移動平均線を上回ることができず、ミニゴールデンクロスのチャンスを逸して下降を開始してしまいました。
また、25日移動平均線は下向きであるため、株価は下降トレンドであるということができるでしょう。
ボリンジャーバンドとは、統計学に基づいて算出されているテクニカル指標で、
95.44%の確率で±2σに収まると言われています。
従って、-2σラインに近づいたら買い、+2σラインに近づいたら売る、といった手法を採用することが可能となっています。
ボリンジャーバンドを見ると、RPAホールディングスの株価は25日移動平均線と-1σラインの間にあり、
フェアバリュー(妥当な株価)であることを示唆しています。
また、出来高が漸減傾向であることも気になります。
短期投資家の遊び場でなくなった銘柄の株価は大きく下がることが多いように思います。
筆者が個人的に有料会員となっている四季報情報によると、
RPAホールディングスの四季報業績予想は以下の通りとなっています。
単位/百万円 | 売上高 | 営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 | 1株益 | 1株配 |
18年2月期 | 4,188 | 465 | 450 | 293 | 60.7 | 0 |
19年2月期 | 5,600 | 660 | 660 | 440 | 85.1 | 0 |
20年2月期 | 6,000 | 700 | 700 | 480 | 92.8 | 0 |
これを見ると分かるのは、
四季報としては、今期については会社予想をほぼ踏襲している。
ただし、来期については、かなり成長が鈍化すると見ている。
ということです。
筆者個人としては、四季報予想はかなり保守的な予想だと見ています。
現在のRPA市場拡大の勢いから考えて、来期についても30%成長は堅いだろうというのが筆者の見方となります。