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中小企業経理業務におけるRPAの活用事例

2018.05.18

中小企業経理業務におけるRPAの活用事例

 RPARobotic Process Automation)とは、ロボット(ソフトウェア)による業務自動化を実現することです。すなわち、ソフトウェアのロボットを開発し、様々な業務を自動で実行させることになります。パソコンがほぼすべてのオフィスに浸透した現代社会では、RPAはオフィスワークの効率向上、コスト削減の重要な手段になり、新たなオフィス革命となります。今まで「自動化」などは大企業が膨大な資金をかかって複雑なシステムを導入するイメージはありましたが、現在そのような状況は変わっています。本文では、中小企業2社について簡単にRPAを導入する事例を紹介していきます。

 経理業務はオフィスワークの重要な一環として、毎月の業務負荷は大きい一方、Excel入力、会計システムなどの操作が多く、実際これらの作業はRPAとの相性がとても良い部分があります。例えば、仕訳作業は特定のExcelや会計システムにデータを転記することがメインの作業ですが、ルールと手順などが基本決まっていますし、ソフトウェア操作が得意なRPAと相性がとてもよいです。今回はA社、B社の「請求書照合・計上業務」と「入金・出金情報の会計システム入力業務」を紹介していきます。

請求書照合・計上業務

 請求書照合の業務はどの企業でも行うことです。沢山の中小企業と同じように、A社とB社は毎月数十時間をかけて行っていますが、会社の成長に伴い、作業量がどんどん増え、作業時間も必要な人員も増える一方でした。

まずA社の請求書照合業務の流れは以下の図1のようになります:

図 1 A社の請求書照合・計上業務

 

まず請求書は紙ベースになっていますので、取りまとめるために一旦エクセルに入力して、そして会計システムにインポートするためにフォーマットの編集やデータ加工をします。続きまして会計システムに取り込みます。そして、支払するために、インターネットバンキングに請求の情報を登録し、最後に振込を実行します。よくある業務の流れですが、すべての段階でも手で操作していることが現状になっています。件数が多くなる場合、一行一行入力、編集作業が非常に長くなります。 

 請求書情報の入力についてですが、情報入力は紙から行うため、完全自動化は難しいでしょう。OCRという方法もありますが、精度が問題になり、結局人間がチェックや修正することが必要となります。もう一つの選択肢として、入力代行(BPO)業者に依頼することもありますが、こちらについては量が極めて多くなる場合はおすすめします。そして、最後の振込実行段階は振込前の最終確認となりますので、人間が目視で確認したほうが好ましいです。この二つの段階以外はデータの編集、データを他のソフトウェアに入力の作業になりますので、RPAの出番です。いったん手で紙請求書をパソコンに入力した後、決まったルールでRPAがデータを編集し、会計システムに取り込みます。RPAは各種類のパスワードやIDを保存する機能もありますので、自動でインターネットバンキングにログインし、振り込み情報を登録することまでできます。そして、RPA化した後のA社の請求書照合・計上業務は図2となります:

図 2 A社の請求書照合・計上業務(RPA導入後)

 

RPAの導入により、半分以上の作業が自動化できます。しかも、夜中でもRPAが作業できるという強みがあるため、昼間請求書をエクセルに入力し、翌日出勤したら既に振込情報がインターネットバンキングに登録済になり、確認して実行するのみです。量が増えれば増えるほど効果が大きいです。

 B社の請求書照合・計上業務はA社と極めて似ています(図3)。

図 3 B社の請求書照合・計上業務

 

違うところは営業が社内のOAシステムで稟議申請する段階があります。また、上長確認が間に入ります。RPA導入向けに分析すると、OAシステムに稟議申請しているということは請求書の情報は既にデータ化されています。しかし、現状書式が統一されていなく、精度も低いため、会計システムに入力する場合は紙請求書をベースで行っています。逆に言うと、社内で稟議申請の差戻ルールを厳密化し、申請データの信頼性を高められば、RPAが活かせるデータとして使えます。上長確認の段階も目視確認になりますが、順番調整が可能でしょう。そしてRPA導入した後の流れは以下となります。

図 4 B社の請求書照合・計上業務(RPA導入後予想)

 

こうして、営業の稟議申請の段階で情報の正確性を保障できれば、経理部門作業の大半がRPA化できます。RPAが社内OAシステムから営業が入力した稟議申請データを取得し、エクセルに入力すればその後の一連の業務は全部自動化可能となります。上長確認は振込直前に行えば、RPAの作業も中断されず、スムーズに行います。

 

入金・出金情報の会計システム入力業務

 次に、入出金情報を会計システムに入力する業務に関して述べます。大手企業などの会計システムは既に銀行システムとリンクして、自動化を実現しているかもしれませんが、中小企業の場合はまだ銀行サイトの入出金情報を目視して会計システムに手入力する場合が多いです。今回紹介するA社とB社も手入力になっていました。まずは業務流れから説明します(図5):

図 5 A・B社の入金・出金情報の会計システム入力業務

 

 まず、利用中のインターネットバンキングから入金・出金の履歴をダウンロードします。ファイルはPDFCSV二種類あり、銀行の口座も複数あるため、各ファイルをダウンロードし、全てを一つのファイルにまとめる必要があります(エクセル編集・まとめ)。その後、B社の場合はまとめた入金・出金リストを見て、会計システムに手入力をすますが、A社はファイルの形式を変換、修正などをし、会計システムにインポートをします。会計システムに取り込んだら、最後結果の確認をします。

 この流れを見て、作業の内容は複雑ではないが、特にB社の場合はすべて手入力のため、とても時間かかります。ここではRPAを導入すると流れは以下のようになります(図6)。

図 6 A・B社の入金・出金情報の会計システム入力業務(RPA導入後)

 

インターネットバンキングから情報をダウンロード、エクセル編集とまとめはすべてRPAがカバーできます。その後会計システムに入力する段階はインポート用のファイルを作成した後会計システムにインポートもできれば、前段階で編集したエクセルの入金出金情報を参照しながら会計システムに入力することもできます。勿論いずれの方法もRPA化可能です。こうして、二社とも最後の確認以外に、全ての段階で自動化を実現するため、大幅に時間短縮できました。

まとめ

 今回紹介したRPA候補となる経理業務は、複雑な業務ではありませんが、地味に時間かかり、現場担当者様の負担となっていた作業でした。人間作業とRPAを比較すると以下の表になります。

こうして、RPAのメリットが明らかです。特に、一つのロボットを導入するコストを一定であれば、作業の量が多ければ多いほど、RPAの単価コストが低くなります。それに対して、人間作業の場合その逆です。しかしRPAにも苦手な業務があります。例えば、今回紹介した一連の業務の中でもいくつかの段階はRPA化できませんでした。大きく以下の二つがあります:

 ①紙請求書のデータ化(OCRツールの精度向上が将来的に成れば、RPAと連携可能性有)

 ②最終確認(紙請求書とデータの照合)

①に関してはもはやOCR技術の進歩を待つしかないでしょう。②関して、場合によって技術的にRPA化が可能ですが、やはり支払計上など100%の精度が必要になるため、最後目視確認したほうがよいです。

 今回はとても小さい業務を紹介しましたが、導入するととても効果的と考えられます。一気に全ての業務ではなく、このように業務の一部をRPA化することは社内の業務フローを大きく変更せずに済むため、ハードルは比較的に低くなりです。今回紹介した業務以外に、請求書発行業務などもRPA化対象として多くの企業が検討している領域ですが、そちらについては次回コラムにて紹介します。

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