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予測貸借対照表の作成方法1

2019.03.22

 予算や事業計画を作成する際に、損益計算書を作成し利益計画を立てますが、貸借対照表やキャッシュフロー計算書の予測表を作成することはあまりないと思います。損益計算書と比べ、より会計的な知識や、各事業部の動きを反映させる必要があるため作成されることが少ないようです。しかし利益計画のみでは、将来の黒字倒産や財務バランスの健全性などについて把握することはできません。ここでは、キャッシュフロー計算書を作成するための予測貸借対照表の作成方法を解説します。

 

1.貸借対照表

(1)貸借対照表とは

貸借対照表とはBalance Sheet(略称:B/S)と呼ばれ、一定時点(月末や決算日など)の企業の財産及び債務などのストック情報がわかり、財務状況を把握することができる財務諸表の中の一つです。大きく左右に分かれ、さらに右側が2つのパートに分かれる構造になっています。
会社が事業資金・財産をどうやって集めて、どのような形で保有をしているかを表しています。事業資金・財産をどうやって集めたかを、負債・純資産で表し、どのような形で保有しているかを資産で表します。よって、「資産=負債+純資産」の関係が成り立っています。

 

 

(2)貸借対照表でわかること

損益計算書は利益の大きさで企業の経営状況を表しています。貸借対照表は「どんなふうに儲けているか」という利益の「質」を表しています。貸借対照表は経営の健全性を示す財務諸表と言えます。

(3)資産

資産とは、会社が集めたお金をどのような状態で持っているのかを表すもので、これらの資産は1年以内に現金化することが出来る「流動資産」と長期にわたり会社が保有することになる「固定資産」とに分けられています。
貸借対照表の資産は、原則として現金化しやすいものから順番に並んでいますので、上の段に「流動資産」、下の段に「固定資産」が表示されています。

(4)負債

負債とは、返さなければならない会社のお金を表すもので、他人資本とも呼ばれます。負債も資産と同じように、1年以内に返さなければいけない「流動負債」と1年を超えて返さなければいけない「固定負債」とに分けられています。
貸借対照表の負債は、原則として返済、支払期日の早い順番に並んでいますので、上の段に「流動負債」、下の段に「固定負債」が表示されています。

(5)純資産

純資産とは株主が会社に入れてくれた資金や利益の積み上げを表すもので、負債と違い返す必要のないお金で、自己資本とも言います。純資産がマイナスであれば債務超過の状態であり、倒産のリスクが高いと判断されます。
純資産は株主のお金が関係してくる「株主資本」とそれ以外の「株主資本以外」の2つに分けられます。

 

2.予測貸借対照表の作成

(1)貸借対照表フォームの作成

貸借対照表は上記図1の通り、大きく左右に分かれた形をしていますが、月次の予測貸借対照表を作成する上では、勘定科目はすべて1列に並べた方が作業効率は上がります。(図2 予測貸借対照表のフォーム)
勘定科目名は直近の決算書や試算表を基に必要な勘定科目を配置します。
また、表の一番下にはバランスチェックの項目を設けることにより、貸借差額が0になっているかの確認が容易になります。バランスチェックの計算式は「=IF(資産合計のセル=負債純資産合計のセル,”OK”,資産合計のセル△負債純資産合計のセル)」のように簡単な計算式で問題ないです。

 

 

(2)繰越残高(開始残高)の入力

期首から作成を始める場合は、直近決算の貸借対照表の金額をエクセルフォームの繰越列に入力します。期中から作成を始める場合は、直近月の試算表の貸借対照表の金額をエクセルフォームの繰越列に入力します。

 

3.資産科目の予測額の計上方法

(1)現金預金残高の予測額

現金・普通預金勘定の予測残高は以下の計算式で求めます。
「現金・普通預金=負債純資産合計△現金・普通預金以外の資産勘定の合計」

(2)売掛金・受取手形の予測額

売掛金、受取手形勘定の予測残高は以下の計算式で求めます。
「売掛金、受取手形=PL計画の売上高×売上債権回転率」
※売上債権回転率=売上高÷(売掛金+受取手形)

売上債権回転率は、過去のPL月次推移表などから計算します。事業がいくつかある場合は、セグメント別の回転率を求めた上で季節変動などを加味し、PL計画の売上高に乗じていきます。

(3)棚卸資産の予測額

棚卸資産勘定(商品、貯蔵品など)の予測残高は以下の計算式で求めます。
「棚卸資産=PL計画の売上原価×棚卸資産回転率」
※棚卸資産回転率=売上原価÷棚卸資産

棚卸資産回転率は、過去のPL月次推移表などから計算します。棚卸資産の種類がいくつかある場合は、種類別に回転率を求めた上で季節変動などを加味し、PL計画の売上原価に乗じていきます。

(4)前払費用の予測額

前払費用は、前払費用の項目ごと(補助科目)に計算します。
予測貸借対照表の「補助科目」欄に償却すべき項目を記載し、「項目1」欄には毎月の償却額を入力します。
各月の計算方法は、「前月の残高△項目1」となります。家賃は前払い契約の場合が多いので、その場合は毎月定額が計上されることになります。
前払費用は、別途エクセルなどで残高管理している場合もあると思いますので、その場合は、合計行に、そのエクセルから転記すればいいと思います。

期中で何か新たに前払費用が発生することも多いため、PL計画との整合性がとれるように補助科目や予測額を計上していきます。

(5)仮払消費税等・仮払法人税等

仮払消費税は、PL計画や設備投資計画から計算します。PL計画の一番下の行などに以下計算式を入力します。
「=課税対象セル*(8/100)」
※税抜き経理で消費税率8%の場合

また、有形固定資産を取得する場合には課税仕入れが発生する可能性もありますので、設備投資計画からも仮払消費税額を拾います。
さらに、前期の消費税申告の状況によっては中間納付消費税が発生する可能性もありますので、その金額も加味する必要があります。中間納付消費税の金額がわからない場合は顧問税理士に確認してみてください。仮払法人税等についても同様です。

 

 

(6)その他の流動資産

その他の流動資産(未収入金、立替金、仮払金など)については、過去の実績値から自社事業の特性や季節性を把握し、金額計上します。例えば、年末調整の還付未済金(立替金や未収入金などで仕訳処理されることが多いです)などは毎期年末調整終わりに発生しますので、その時期に計上していくことになります。

(7)有形固定資産・無形固定資産

有形固定資産・無形固定資産の表示については、間接法を採用した方が残高推移は確認し易くなります。日々の経理は直接法でも結構ですが、予測貸借対照表作成上は間接法で表示することをお勧めします。

計上額は、設備投資計画を基に各月に予測額を計上します。減価償却累計額の増加額は、PLの減価償却費と同額になるように予測額を計上します。

(8)投資その他資産

投資その他資産(敷金、保険積立金など)は、オフィス移転計画があるか、どのような保険契約があるかなどの契約関係によって、予測額を計上していくことになります。オフィス賃借時の保証金(敷金)の償却額の経理処理も影響していきますので、賃貸借契約書や保険契約書などを改めて確認しながら進めることが重要です。

(9)繰延資産

繰延資産(株式交付費、開発費など)についても、資本政策や投資計画を基に各月の予測額を計上します。

 

今回は資産科目の計上方法を中心に解説しました。次回は負債科目について予測額の計上方法を解説しようと思います。

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