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RPA導入でホテル業界の業務負担を解消!~予約管理編~

2019.03.13

 

 

 

 

イントロダクション


 

現在、「働き方改革」でPRAに注目が集まっています。

PRAとは、Robotic Process Automationの略で、一般的なパソコン上の定型作業をソフトウェアによって自動化することです。RPAが可能といわれている業務は、バックオフィス、情報収集、調査、電子取引、業務代行、マーケティングといった分野が挙げられます。

 

今回は、以前ビジネスホテル運営をしていた筆者の経験を活かし、手間がかかりヒューマンエラーが起きやすいホテルの予約管理業務において、RPAを導入した場合に適応できそうな箇所と、どのくらいの時間短縮が見込めるかをお伝えしていきます。

 

 

ホテル業務の説明


 

予約受付方法とホテルシステムへの反映

 

ホテルの予約受付は施設にもよりますが、一般的にネット予約サイト(ホテルの公式サイト、他社の宿泊施設予約サイト : じゃらん、楽天トラベル、るるぶ、アゴダ、Booking.comなど)、フロント、電話、FAX、メールからの予約を受け付けています。

  • 予約の大半がネット経由で入ります。
  • ネット予約のデータ反映は、ホテルシステムと連携されている予約サイトからの取得については、取り込み機能で半自動的に取り込めますが、ホテルシステムと連携できていない予約サイトからの予約は、予約FAX(またはメール)を見ながらホテルシステムへ手入力していく形となります。
    • 予約が多いサイトは大抵ホテルシステムへ連携されていますが、予約数が比較的少ないサイトからの連携はされていないことが多い傾向です。
    • しかしながら、連携されていない予約サイトにて特集を組んだ際に普段より多く流入してくることもありますし、外国人向けの旅行サイトからのインバウンドの予約が多い首都圏の店舗では予約のFAXから手入力でシステムに打ち込む件数が多く、日々の業務の手間となっています。
    • 施設によっては全てのネット予約を手入力している施設もあるでしょう。

 

 

RPAで効率化できるホテル業務

 

 

 

 

  • 予約者チェック

日々の運営業務の一環として、ホテルシステムに入っている翌日分の予約者リストの大元のデータ内容の確認を行います。ネットであれば各サイトから明日の予約者リストを表示し、ホテルシステム内の内容と相違がないか一つずつ付け合わせていきます。

これを各サイト分と、電話やFAXまたはメールでの予約を、予約カードなどを基に確認していきます。

 

チェック作業は100室規模の店舗で約30分程度かかります。チェックしやすいよう、一度宿泊者リストをそれぞれの予約サイトから印刷したものに、一つ一つ目視で確認し、相違がなければマーカーや横線を引いて消込んでいきます。

 

そして、最後にホテルシステム上のリストまたは予約の大元データに残るものや、内容が違うものを洗い出し、一件ずつ予約状況や変更履歴を再確認していきます。そこで間違いや予約の消し忘れや入力ミスが見つかれば修正します。

 

 

<RPA導入可能箇所>

PRAが導入できるのは、PC上で行える作業となりますので、ホテルシステムの予約者リストと各サイトからの予約状況の付け合わせ作業が対象となるでしょう。

その後、消込みがされなかった残りの予約分については、電話・FAXの予約のカードから更に消込みを行い、最後に残った予約を確認する作業は人が行うこととなります。これだけでも、30分かかっていた作業が510分に短縮されると思われます。

 

 

  • 予約重複チェックと連結作業

例えば21日~1泊、22日~1泊と分けて予約を入れている同じ人がいるとします。日ごとにチェックアウト、再度チェックイン手続き、となるとホテル側もお客様側にも手間となります。また、お客様にとっても翌日も同じ部屋に泊まれた方が、荷物をお部屋に置いたまま外出ができますので旅行の荷物をまとめる手間が省けるのは大きなメリットです。

 

そこで、これらのバラバラの予約を一つに集約する作業が伴います。ホテルシステムで自動化できているのは繋げられそうな予約の候補を洗い出す検索機能だけで、これも設定した数日間の中で予約者名が近しいものを洗い出す機能となっており、実際につなげる予約はそのリストから人が目視で探していきます。

チェックアウト日とチェックイン日が同じであり、宿泊者名と電話番号が同じ予約は連結対象になります。

 

そして連結作業に至っては、これこそボタン一つで自動化できれば良いものの、残念ながら、片方の予約に、もう一つの予約内容を反映させて繋げていくといった人の手作業となっています。

 

 

 

<RPA導入可能箇所>

上記の検索機能は、日程が重なった不審な予約を見つけ出す為にそのまま残す形で良いとして、検索結果から繋げられそうな予約を選定する部分はPRAに置き換えられそうです。そうすることで、繋げるべき予約を見逃すことが防げます。ただし、繋げる前に一度人が確認したほうが良いでしょう。

 

繋げられる予約が確定したら、システム上で予約の情報を拾い上げ、予約を繋げる作業と、不要になった予約の取消作業はPRAで自動化できるでしょう。人が行うと時間もかかりミスも起きがちですが、ロボットなら正確にかつスピーディーにこなせます。

 

  • イールドマネジメント

イールドマネジメントとは、部屋の料金を調整し、売上を最大化する販売戦略のことです。ほとんどのホテルは日々イールドマネジメントを行い、収益を最大化する努力をしています。

  • 曜日によって混みあう傾向が違う為、曜日ごとに基本の値段を設けているケースが多い
  • イベントや大型連休などで稼働が見込める日は料金を上げる
  • 日曜日は稼働が落ち込む為、料金を落として宿泊客を呼び込む
  • 早割・直前割などの割引プランを用いて、稼働率の底上げと調整を図る
  • 日々の入れ込みの変化に応じて料金を微調整する
  • 残室数が少なくなってきたら、21室プランや連泊プランにしぼり、収益を上げるかフロントの手間を減らす方向性をとる
  • また同時に、比較的手数料が安い予約サイトに絞り、予約を受け付ける

 

 

イールドマネジメントは人の判断で行うことが大半です。企業によっては、システム画面上で昨年の業績結果が今年の予約状況と照らし合わせられるようになっています。

それを基に予約状況を見ながら、一度設定した料金から上げ下げを行い、より高い単価でより高い稼働率を目指すかがポイントとなってきます。

 

しかし、料金を変更するにあたり、自社サイト、じゃらん、楽天トラベルなどの料金管理画面の操作が非常に手間であり、この日は○円上げる、という場合、宿泊プラン毎に料金をベタ打ちして変更していく必要があります。ホテルの宿泊プランは施設により異なりますが、大抵平均で1020個程度あるものと思われますので、プラン数(1020個)×変更する日数×販売サイト数の料金入力が必要となります。

 

プランによって料金が異なるため、ベーシックプランからの料金差額を配慮し入力していく必要があります。手入力ですので、場合によっては入力ミスも生じ、思わぬ金額で販売してしまう事態も起こります。(しかし、常識を逸脱した金額で予約された場合は民法95条で取り消しが可能)

 

サイトコントローラーを利用している施設は一ヶ所での管理で各サイトの料金が変更できるため管理作業がだいぶ楽になると思われます。しかし、それが導入されていない店舗については、プラン毎の料金コピー機能をうまく利用したり、プラン毎の料金計算や各サイトのプランの並びをExcelで揃えたりして、なるべくミスなく効率的に作業が進められるよう工夫を行います。それも非常に骨の折れる作業となりますので、究極の手は割引プランを作り、開け閉めを行うことで最低料金の調整を行います。

 

 

<RPA導入可能箇所>

しかしながら、一番効果の高いイールドマネジメントを行うとなれば、日ごとの料金を細かく変更していくことが理想と言われています。海外では、AI技術で地域毎の宿泊需要を分析し、一日に何度も空室の料金コントロールを行うことで、需要と供給に応じた宿泊料金を最適化し物凄い勢いで発展を遂げているホテル運営会社(OYO)もあるくらいです。AIに任せられれば一番良いのですが、まだその技術まで追い付かないという場合がほとんどだと思われます。

そこで、イールドマネジメントで日ごとの料金は人が決定し、その後、各サイトへ反映していく作業をRPAで短縮化してしまいましょう。130分~1時間かかる変更作業がものの数分で済むようになると思われます。

 

 

 

  • 残室コントロール

残室コントロールは、実際の施設の残室状況に応じて、ネットでの予約可能室数を調整する作業です。こちらも、サイトコントローラーを導入している店舗では比較的作業が簡単ですが、そうでない施設はやはり、サイト毎に日ごとの予約可能室数を調整していく必要があります。

 

電話やFAXで予約が入った際、残室数が少なければ、ネットでの予約受付室数を絞って、オーバーブック(施設の室数より多くの予約を取ってしまうこと)にならないようにします。

 

残室コントロールをおろそかにすると、オーバーブックを起こし、お客様に迷惑をかけてしまいます。また、オーバーブックを解消するための近隣宿泊施設への空室問い合わせ、差額の負担、お客様へのお詫びの電話など、対応業務が一気に増えてしまうことは非常に避けたいことです。

 

 

<RPA導入可能箇所>

室数コントロールはイールドマネジメントと同様に、予約期間全体の室数調整を一気に行うことができるようになるでしょう。ホテルシステム上での残室数を参照しながら、サイトコントローラーまたは各予約サイトの管理画面上の数字を反映する作業を自動化します。

サイトコントローラーがある場合は、各サイトをまたいでの室数の絞り込みが可能ですが、それがない場合は、残室数に対し、何室ずつ各サイトで予約を受け付けるかの判断は人が行ったほうが良いかもしれません。その場合、自動化できる箇所は、残室数に十分余裕がある日、もしくは完全に売れ切ってしまった日が対象になります。残室数がゼロなのに、うっかりネット上での予約受付を停止していなかった、という初歩的なミスは大体防げるようになるでしょう。

 

 

 

 

 

  • 月末の延長作業

未来分の予約可能な日数を延ばす作業です。一般的はホテルでは3ヶ月~1年先までの予約を受け付けています。月末には、この予約可能期間を1ヶ月先に延ばす必要があります。その際に料金・プラン・室数を設定するのですが、ホテルの運営上毎日のルーチンがありますので、1日に数時間ずつ時間を割くとして34日~1週間程かかるものと見込んで作業を行います。

延長時には、イベント情報、曜日と休日などを考慮した上で、昨年の結果を参考に料金を決め、各サイトへ入力していきます。この際も、プラン数×日数×サイト数の入力が必要となります。また、予約受付室数の設定や開放作業も伴います。

 

 

<RPA導入可能箇所>

料金決定の行程においては、ホテルシステムから去年の数字を拾い出しExcelに反映させる箇所を自動化し、それをベースに料金設定を地域のイベントや連休状況を配慮しながら人が行います。その後、日ごとに決まった料金を各サイトにて入力する作業はRPA化できるでしょう。今まで34日~1週間かかっていた作業が、数時間に短縮されることが見込めます。

 

ネットワークの安全性を考え、ホテルシステムと通常の予約サイトを扱うPCは端末を分けている場合がありますが、その場合はホテルシステム上のデータをCSVなどで抽出しメールにてもう一台のPCに転送することでデータをまとめ、RPAを適応していくことができるでしょう。

 

 

 

 

 

まとめ


 

ホテル業界は、長時間勤務・重労働、そして何より顧客に気を遣う仕事でありながら、従業員の給料の低さが問題視されています。また、地方の働き手の減少によって人手不足が深刻化し、一人当たりの業務負担が増えています。そこで、予約管理業務だけでもRPAの力を借り、一日何時間も割いていた業務が劇的に短縮されることによって、負担の軽減ができると期待されます。

ホテルシステムの開発・改修となれば全店舗を巻きこみ、莫大な費用と時間を要しますが、RPAソフトであれば、安価に店舗レベルから導入可能と思われます。「働き方改革」の一環として、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

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