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金融業界におけるRPA導入事例

2018.11.06

 

 

総務省が発行するメールマガジン「M-ICTナウ」の20185月第2号でも語られている内容ですが、

RPAには三段階の自動化レベルがあるとされています。

 

 

クラス1

定型業務の自動化

クラス2

一部非定型業務の自動化

クラス3

高度な自律化

 

 

これは、あくまでもRPAの将来像を示したもので、

現実的には一部クラス2のレベルを含んだ事例が出始めているといった程度で、まだまだクラス1が中心です。

 

 

RPAの導入には、コストも掛かりますが業務の整理・見直しも大変です。

しかし、その分うまく適用できれば大幅なコスト削減につながることも少なくありません。

 

 

今回は、金融業界におけるRPAの導入事例を通じて、業務整理の重要性をお伝えさせて頂きます。

 

 

 

1.対象業務

金融業界では、その業務の重要性・法的制約から多くの証跡を必要とされます。

 

例えば、銀行が行う顧客の本人確認の記録は、

口座を閉鎖した日から7年間は保持しなければならないと定められており、

その他多くの証跡について、一定期間の保持義務が定められています。

 

 

今回、RPAによる自動化業務の対象となったのは、顧客からの審査請求に関する書類の印刷操作に関するものです。

 

 

もともとは顧客や営業店窓口で作成した紙の審査請求書を、FAXや郵送で事務オフィスに集約させ、

そこでオペレータがシステムに入力するという流れで業務を行っておりました。

 

 

システムで取り扱う情報は、審査請求の経緯や結果のみで、

 

実際の審査業務については、個別の担当者が行うので、

オペレータが紙の情報を入力した後は、その紙と一緒に各種書類がファイリングされて審査業務に回されます。

 

 

 

 

2.新システムの構築

このたび、顧客および営業店窓口の利便性向上のために、

Webシステムによる申請を可能にするためのシステム構築が行われることになりました。

 

 

このシステムの実現により、顧客や営業店の業務効率が上がるだけではなく、

 

書類の受け渡しに要する時間的なロスも軽減され、さらにはオペレータ業務も縮小できることで、

大きなコストメリットが期待できました。

 

 

 

 

3.まとまらない業務要件

このシステムの実現に向けて、営業店や重要顧客からのヒヤリングを重ねて要件定義が着々と進み、

システム構築は順調に進んできたのですが、1つだけ整理のつけられない業務が出てきてしまいました。

 

それが後続の審査業務です。

 

 

審査業務では、審査請求書の書面をもとに、様々な情報を紙面で集めてファイリングし、

その最終成果として審査請求結果(合否のようなもの)を決定します。

 

これをシステムの中で実現しようにも、どんな情報を記録するかが定まらず、

すべてを実現する場合のコストがシステム化によるコストメリットを上回ってしまったのです。

 

 

加えて、先に挙げた情報保持に関する法令上の制約もあり、

何らかの形でシステム内の記録を残さなければならないのですが、

 

システムサイドでは法的な制限事項までを考慮することが難しく、

また法務関連の部門までを業務整理に巻き込む余裕が無かったため、システム構築計画は暗礁に乗り上げつつありました。

 

 

 

 

4.業務を変えないためのRPA

ここでシステム化計画を大きく見直すことになりました。

 

顧客や営業店が使用するための入力機能は用意しつつ、

その入力された情報は事務オフィスで従来の審査請求の書類として印刷し、

その後の審査業務は従来通り紙のファイリングにて業務を進めることで、従来通りの業務が進められるというものです。

 

 

ここで、審査請求の書類の印刷作業はRPAを活用することになりました。

 

Webシステム上に登録されている情報を自動で拾い集め、

従来の審査請求書類のフォーマットに埋め込んで印刷する、極めてオーソドックスなロボットです。

 

 

 

これまで、FAXや郵送で届いていた書類は、すべてプリンターに出力されることになりますが、

これをオペレータが定期的に回収しますが、すでにシステムには登録されているため、

入力業務は不要でファイリングのみを行います。

 

 

 

 

5.ステークスフォルダーのメリット

顧客・営業店:

紙面記入の手間が省け、郵送などの場合と比べて審査請求の結果判明までの期間が短縮されました。

 

 

事務オフィス:

10名のオペレータが対応していた内容が2名で対応できるようになり、人件費としては年間数千万の削減が期待できます。

 

 

審査業務部門:

何かメリットがあったといわけではありませんが、

「従来通りの業務が可能」というデメリットの無い形で対応できることになりました。

 

 

 

 

6.システム構築を振り返って

この件ではシステム構築の業務整理という観点から、改めて振り返ってみたいと思います。

 

 

システム化の目的はどこにあったのか

今回の1番の目的は、顧客満足度の向上にありました。

 

紙面でのやり取りには煩わしさもあり顧客からは不満の多かったポイントです。

 

営業店も同じで、顧客に記載してもらった書面をまとめて事務オフィスに郵送するだけなので、

顧客の不満をダイレクトに受け取ります。

 

 

また、システム化することで、書面ではできないチェック(入力不備など)を事前に行えるため、

書面の記載誤りによるタイムロスを大幅に削減できることも、顧客満足度の向上につながるわけです。

 

事務オフィス側のコスト削減は副次効果的なものでしたが、年間数千万というコスト削減は、

システム導入コストの捻出に大きく貢献したことは言うまでもありません。

 

 

RPAの果たした役割

審査部門の業務整理の都合から急きょ抜擢されたRPAですが、大きな功績を残しております。

 

Webシステムでは、その仕組み的な問題からプリンターに直接印刷物を出すような仕組みはあまり得意ではありません。

 

一般的には、PDFファイルをダウンロードさせて、それをユーザーが印刷操作する方式となります。

 

 

しかしながら、紙での従来型の業務方式を実現するために、

直接プリンターに出力できる仕組みを必要とされる場面はまだまだ多く、

今回のケースはまさに典型的な例では無いでしょうか。

 

 

 

ペーパレス化が唱えられてかなりの年数が経過しておりますが、まだまだ不十分な業界は多数存在します。

 

その原因の多くは、紙面を使っての業務の変革に対応するコストと時間から来るものです。

 

今回のような、システム化の目的の中心でもない部分に対してペーパレス化のためのコストをかけることは、

企業のIT投資の面から考えても避けるべきものであり、

自動でプリンター出力するための仕組みをRPAで実現するというのは、ある意味で帳票ソリューションの新たな形と考えられます。

 

 

あくまでもつなぎの仕組みであること

本件はRPAが人の代わりに仕事するという他に、

システムの不完全な部分を埋め合わせるという使い方もできる」という良い例では無いでしょうか。

 

 

特に、「クライアントのプリンターに直接印刷物を出す」というのは、

Webシステムが最も苦手とするものですので、これが代替えできるのは大きなアドバンテージです。

 

 

ただ、今回のような事例では、本質的には審査部門も紙面型の業務から脱却し、

ペーパレス化に進むことが望ましいものですし、

情報保持の点でも紙にこだわらずに柔軟な対応をするべきであったと考えられます。

(情報保持は紙面を必要とするわけでは無く、電子媒体でも可)

 

 

そういった意味では、今後は審査業務の改革として業務整理を行い、

いずれはペーパレス化されるのが本来のシステムの在り方でしょう。

 

 

そして、そのときにはここで活躍したRPAの役目は終わることになります。

 

業務が変われば人の仕事も変わるわけですから、RPAの役割も当然変わります。

 

RPAのライフサイクルは、業務の変革に合わせて常に変化するものです。

 

 

 

 

7.まとめ

通常RPAを導入するときは、「現在人がやっている業務をロボットに置き換える」という発想で考えますが、

今回は「システムの穴埋め」という形で導入した例で、ちょっと珍しいケースかも知れません。

 

人に得意・不得意があるように、システムにも得意・不得意があります。

 

そしてRPAにも得意・不得意があり、これらは微妙な違いがあるので、

これらの特性を生かして業務改善につなげられると良いのでは無いでしょうか。

 

 

 

 

 

 

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