2018.09.12
【前回記事】
これまで、BPOの委託業者と自治体側について述べてきました。
本ブログはRPAに関する情報サイトなので、RPAについて述べていきたいと考えていましたが、
オペレーター側のこともと要望があったため、オペレーター側について述べていきたいと思います。
ネットなどで、「BPO」と検索すると、
Broadcasting Ethics & Program Improvement Organization(放送倫理・番組向上機構)
がヒットし、情報収取するとそちらのBPOの情報がヒットするため、
BPOに関係ない分野の方から『BPOって面倒』とご指摘を受ける場合があります。
BPO関連について検索する際は、【BPO 業務改善】など、単語と組み合わせて検索すると良いでしょう。
そもそもBPOとは、business process outsourcingの頭文字から取っているだけで、
BPO(ビーピーオー)と呼び人もいれば、アウトソーシングと呼ぶ人もいます。
BPOを受託する会社のことをBPO業者とも呼んだり、アウトソーサーなどと呼んだりもします。
業務委託といった方が通用する場合もあります。
中には派遣と勘違いされる方もいますが、派遣と業務委託には大きな壁があり、
実際、働く人にとっては、BPOでも常駐型BPOになると
BPO業者が一切入らない派遣では働き方は大きく異なります。
給与計算代行サービスやNHKの収納代行サービスなどもBPOの一部として以前よりも定着してきましたが、
中々理解を得られないので、経済産業省でもBPOの市場規模が一番大きい
としているコールセンターを例えに説明すると理解を得られやすいかと思います。
BPO業者がBPO業務を分類する際、直接業務や間接業務に分類が一般的ですが、
他にも様々な分類方法があります。
本ブログでは、
フロント業務(受付・窓口)、バックヤード業務(事務)、中間業務(コールセンター・カスタマーセンター)
と分類させていただきます。
確かに営業や研究開発もBPO業務の一種なのですが、雇用形態が正社員をメインとしているため、
BPO関連業務で働くオペレーター目線に立つと、
フロント業務、バックヤード業務(事務)、中間業務(コールセンター)が妥当なところかと思います。
一般的なBPO業務として、コールセンターが代表的なものであるというのは先で述べた通りです。
例えば、コールセンターで想像が付きやすいのは、通販業界の受注センターかと思います。
特にTV通販は電話での受注が多く、TV通販の番組など時間帯に合わせて増員をかけたりする必要があります。
名物社長がよくテレビに出ているような大きな会社はさておき、
中小規模の会社が受注センターを運営しようとするとかなり大変です。
TV通販は扇動的に商品アピールをし、なおかつ購買層が高めなので、
電話注文が多く、コールセンターに頼らなければいけません。
一方、世界的なネット通販の大手などでは、電話での注文を受けることはしません。
その要因としては、注文データのデジタル化までの時間にあります。
電話だと電話を受けたオペレーターが電話で聞いた注文情報を発注システムに登録するまでに10分程度、
短くても登録前のチェックも含めて5分程度かかります。
しかし、ネットだと顧客がデジタル化する作業や確認まで顧客自らがやってくれるため、
通販業者のデジタル化にかかる時間は0分になります。
世界的なネット通販の大手は効率性を重視し、その代わりに安い値段設定をするよう、企業努力をしています。
大企業が本気でやっている効率化というのは見習うべき点も多いと思います。
先ほど述べた世界的な通販サイトだと効率化が図られており、事務系職が極端に少ないと聴いています。
世界的な通販サイトの話は極端すぎますが、中小の通販サイトでも電話での受注を受ける場合、
電話での受注が多ければ受注センターを外部に委託したり、
受注事務があるようであれば、受注事務も合わせてアウトソーシングをしたりしています。
話はそれましたが、
日本のBPO業界というのは特殊なものを除けば、コールセンターを中心として回っていて、
それに付随しバックヤード業務(事務)があるという形態が比較的多いようです。
一方で内閣府から各地方自治体に対し、窓口業務を委託するようにと通達があり、
各地方自治体の担当者はアウトソーシングするにあたり、頭を悩ませているようです。
BPOで働く人達の雇用形態は、パート、派遣、契約、以上の3つの雇用形態に集約されるかと思います。
以前であれば、BPOの雇用形態のメインとなっていたのはパート社員でした。
特に多かったのは育児中の女性でした。
子育てをしているとどうしても時間的な制約があり、
サービス残業も少ない(ないとは言い切れないのが日本の実情です)仕事を探すと、
比較的BPO関連業務になります。
パート社員でも中小企業の直雇用だとサービス残業が多いため、
時間的融通が利く業種や業態を選ぶ傾向があります。
また、配偶者控除が変更され、BPO関連業務に従事する方の中でもフルタイムで働くより、
扶養の範囲内で働きたいという方が以前より増えています。
BPOを運営する事業者にとって、短時間勤務で就労する方をどのように戦力化するかは腕の見せ所となります。
実際、地方自治体BPO関連で応募をかけるとこの数年で応募状況はかなり様変わり
しました。
実際上記添付の資料を見ていただければすぐに分かるかと思いますが、
18歳未満の子供がいる世帯は年間1%ずつ減っています。
追い打ちをかけるように求人倍率がバブル期を超えており、
転職バブルという言葉もあるように求職者と企業のバランスは崩壊しています。
ただし、女性から人気がある事務職の有効求人倍率は0.5以下なので、
事務職に関しては競争率がかなり高いです。
事務系職の少ない地域で事務系の求人を出せば、
応募者が多くてBPO事業者が勘違いし、人が辞めても次に採用すればよいと安直に考えてしまいます。
業務によって数値はかなり異なりますが、BPO関連で働くパート社員1年以内の離職率は3割と言われています。
実際、次のステップに進む人もいれば、職場が嫌になって退職する方もかなりいます。
特に地方自治体BPOだと、BPO業者と自治体の契約が終われば雇用も終わるため、
将来的な雇用状態を考えると退職しやすい環境です。
5.BPO関連で働く人のキャリア
BPO関連で働く人のキャリアモデルとしてコールセンターも事務センターも多くは下記の通りです。
OP(オペレーター)→LD(リーダー)→SSV(サブスーパーバイザー)
→SV(スーパーバイザー)→MGR(マネージャー)
LDかSSVぐらいで契約社員、SVかMGRぐらいで正社員、といった流れでなるのですが、
それはあくまでも民間BPOでかつ長期でセンター運営がなされている場合のみです。
自治体BPOだと委託の契約期間が1年や、中には半年ぐらいもあります。
また数名ぐらいの規模なので、上記のようなキャリアモデルが形成されているとは言い難い状態です。
民間BPOと違い、自治体(市役所内)に入っていることが多く、そのようなキャリアモデルが築くことができません。
怖いSVが圧政を敷いている現場が比較的多いです。
運営能力の低いBPO業者で働くと、すぐにSVになれることはあるかもしれませんが、
基本的にSV教育はほぼないと考えるとよいでしょう。
募集要項などに教育体制が充実していると表現している企業で
本当に教育体制が充実しているところは極稀です。
キャリア形成を考えて、この企業では無理だと判断して辞めるケースが多く、
優秀な人であればあるほど退職までの期間は短くなります。
BPOの目的はあくまでもコストカット目的です。
ノウハウの活用を目的にBPO業者に委託するというのは建前です。
コストカットを目的に委託しているので、教育に費用はかけません。
BPOで教育が充実しているのは、金融業界と生保業界です。
どちらも中途半端な教え方をすると間違った案内や処理をすると後で大問題になるからです。
採用企業もダイバーシティ(多様性)ということで雇用形態を多様化することで、
応募者の掘り起こそうとしていました。
その結果、BPO関連で働く人のメインの雇用形態はパート社員が一時増えました。
最近は地方自治体BPOでも契約社員にするケースが増えましたが、
雇用情勢の変化の波も、遂に地方自治体BPOまで来たかというところだと思います。
最近話題になった2018年問題もあり、有期契約社員(パートや契約)の正社員化が進んでいるようです。
どちらかというと契約社員を採用する企業は、
試用期間という意味合いとキャリアアップ助成金の受給が目的だったりします。
BPO関連でも今後は契約社員から正社員化というキャリアアップが出来るような時代が来るかと思います。
オペレーターで働く人の動向は今後かなりシビアになってきます。
BPO関連業務の市場規模は拡大する一方ですが、その現場で働くオペレーター不足がすでに起こっており、
比較的高収益な専業代行(給与計算代行・経理代行)を除けば、
コールセンターや事務センターなどの人的BPOの運営は過渡期に入ってきています。
次回、RPAについて述べていきたいと思います。
【次回記事】