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地方自治体におけるBPO【vol.2】・・・受託側

2018.08.23

地方自治体BPOを受託する企業はおおよそ300社ぐらいです。

 

しかし、私の情報は古く、年々増えているとも言われています。

それはなぜかというと自治体BPOは参入障壁の低く新規参入がしやすく、

中小のBPO業者がこぞって自治体BPOに参入するからです。

 

 

そして、参入障壁が低いため、運営能力を著しく欠く業者の存在を許し、

そのような業者によって優良業者が自治体BPOから撤退するなどにより、

民間BPOと比べて、生産性の低い民間委託となってしまっています。

 

生産性が低いのであれば、増員でカバーできるのですが、生産性以外の問題もかなり生じます。

今回は、受託側について記述していきたいと思います。

 

 

【前回記事】

地方自治体におけるBPO【vol.1】・・・概要

 

 

1.入札制度

 自治体BPOで運営能力が大きく欠ける業者がなぜ存在するかというと、

その理由の多くは入札制度にあります。

 

 

入札制度とは、自治体が民間委託する際に、一般から公募する制度です。

道路工事や建築工事などの入札で業者が談合したなどと話題になったことがありますが、その制度です。

 

 

なお、自治体BPOでは入札の談合という問題が起きたということは聞いたことはありません。

 

入札制度は、一般競争入札、企画競争入札、指名競争入札、公募と4つほどに分けられます。

 

さらに細かく分類すると一般競争入札の中で、自動落札方式と総合評価方式があります。

自治体BPOは一般競争入札で執り行われることが多いのですが、それが問題の要因となっています。

 

自動落札方式とは、単純に安い金額で入札した業者が落札できる制度のことです。

 

総合評価方式とは、金額以外の要素である運営能力を企画書などで加味し、

最終的に金額と企画書の点数で決める制度です。

 

 

企画競争入札は企画だけの勝負になります。

建築物、例えば新国立競技場のデザインのコンペにあたり、企画さえ良ければ予算はかなり付けられます。

 

一般競争入札の場合、単純に安い金額で入札すればいいだけでなく、

最低落札価格にも注意しなければいけません。

 

 

分かりやすく言うと、「〇〇業務を上限1,000万円で募集します」とあれば、

公表されない最低落札価格が設定されており、

BPO業者は落札最低価格がいくらぐらいか読もうとします。

 

仮に落札最低価格が800万円に設定されていれば、800万円を下回らない限り、

800万円に近い金額を提示したBPO業者が選ばれます。

 

以前なら上限に近い金額でも落札出来ていたのですが、

ここ数年はBPO業者のダンピング化が始まっており、最低落札価格を下回るBPO業者が増えてきました。

 

 

どんなに素晴らしい会社でも1円でも800万円を下回っても失格になりますし、

1円でも1位の会社に負けていれば、落札できません。

 

能力がなくても、やる気がなくても落札できてしまう、それが自治体BPOの恐ろしいところです。

 

総合評価方式であれば、企画書を作成させ、運営能力も含めて、

BPO業者を選定することが可能ではあります。

 

しかし、多くの自治体BPOは一般競争入札であり、

業務運営能力の皆無な業者が落札することも多くあります

 

 

2.BPO業者の事情

 BPO業者の成り立ちとして、派遣会社を母体としている業者

コールセンター(マーケティング)を母体にしている業者

事業会社を母体としている業者、以上の3つに分類することができます。

 

 

派遣会社を母体としている業者について

 派遣系の業者はあまり自治体BPOには参入しません。

業務的に同じことをやっていても、

利益が民間BPOと比べると大きく落ちるからだと言われています。

 

受付などの業務で派遣は見掛けることは多いのですが、業務委託という形は少ないと聞いています。

 

派遣会社を母体としている業者でも、大規模な自治体で、

かつ総合評価や指名競争入札などある程度利益が見込めるような案件であれば、

参入してくることが多いようです。

 

 

また稀に行われる指名競争入札などで参入してくるケースもあります。

また、業務委託契約ではなく、労働者派遣契約で自治体BPOを契約しようとします。

 

労働者派遣契約だと契約金額そのものが大きく変わり、

また業務委託だと自治体BPOのノウハウがある程度必要になりますが、

労働者派遣契約だと派遣社員の教育は自治体でやってくれるので、

労務管理をするだけでよいため、手間もかからず、利益も大きく見込めるものとなります。

 

 

②コールセンター(マーケティング)を母体とする業者について

コールセンター系でもアウトバウンドを主戦場とするテレマ系の業者は、

かなり自治体BPOに参入する傾向は強いです。

 

バブル崩壊後、財政的に厳しく税金などの徴収率をあげるために、

徴収業務に特化したコールセンターを10数年前にある自治体が民間委託として構築し、

税金などの徴収率の回復に成功しました。

 

その成功により、この10数年で徴収業務の民間委託が全国の自治体では標準化されていきました。

 

併せて、貸金業法の改正により、サラ金が取り立てを厳しくできなくなったため、

サービサー関連のコールセンターで従事していた人達が自治体BPOに流れてきたというのもあるかと思います。

 

ただし、コールセンター系は自治体BPOでも事務系などには参入しないことの方が多いです。

 

 

③事業会社を母体としている業者について

事業会社を母体としている業者の参入は目を見張るものがあります。

 

大手企業が自分たちの業務の委託先として、

BPO専門の子会社などのグループ会社を設立していきました。

 

企業買収もかなり多かったとは聞いています。

 

その大手企業のグループ内専門のBPOを行っている業者が業務の拡大を考え始めると、

大手企業の取引先にまず進出し、その後、自治体BPOに参入してきます。

 

私も何社か相談されたことがありますが、大手企業の人事的な問題もあるそうです。

 

 

3.BPO業者の更なる事情

自治体向けアンケートでは、自治体BPOを導入する目的は、

「民間ノウハウを利用する」などと書かれていることがあります。

 

残念なことにBPO業者で自治体向けのノウハウを蓄積できているところは少ないようです。

BPO業者の社員が個人でノウハウを蓄積していることを稀に見かける程度です。

 

コールセンター系はコール業務についてはノウハウはありますが、自治体業務を知らないため、

自治体BPO業務としてのノウハウはごく僅かしか蓄積されていません。

 

 

なぜそのように蓄積されないことになるかというと、

自治体BPOは民間BPOと比べても利益が少なく、

利益が少ない所には社内で優秀と言われる人材を置かない

 

更には、社員の稼働率を上げるために、複数案件を担当させるなどが日常茶飯事で行われており、

社員がノウハウを蓄積し辛い環境になっているためです。

 

 民間BPOをやっている業者は、エース級の人材は当然、

更にミドルクラスの人材も自治体BPOの担当としてアサインしません。

 

社員でも能力的に懐疑的な社員に担当させることが多く、

BPO業者の何社かはそのような組織構造にしていると言っています。

 

詳細はお伝え出来ませんが、そのような社内で問題ある社員を管理しきれず、

民間だと契約破棄になるような事件が多々発生しているような状態です。

 

 ノウハウがない事業者に決まり、ノウハウも能力もない社員が担当する。

そのような現場をいくつも見てきましたが、かなり悲惨な状態でした。

 

 業務内容にもよりますが、KPI(重要業績評価指標)を民間と比べると、

生産性は20~50%ぐらいです。

 

そもそもKPIの設定すらされていないことが多く、

成果が出ようが出まいが、許されてしまうのが自治体BPOです。

BPO業者は自治体を軽視してしまうのです。

 

 

4.BPO業者の採用活用

  自治体BPOは基本的に人的BPOです。

入札し、落札が決まれば、その業務で働くスタッフを採用します。

 

 

7/31に発表された有効求人倍率は1.62倍です。

http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0301.html

 

既にバブル期を超えており、人事や採用の担当をされていらっしゃる方は、

採用活動が厳しくなってきていることをご存知かと思います。

 

 

数年前なら媒体広告を打てば、かなりの応募が来ましたが、現在では半分以下です。

ダイバーシティということで人材の掘り起こしをしてきましたが、

もはや枯渇している状態です。

 

 

更に地方自治体では大都市圏に人が流れてしまっており、地方ほど採用活動に苦労をします。

 

特に自治体BPOでは配置予定人数を揃えるだけでも苦労します。

 

数年前までなら能力の高い求職者がいたので、そういう人を採用し、

自治体BPOの現場の中心に置くだけで成功したようなこともあります。

 

それが派遣会社を母体とするBPO業者であれば配置予定人数を難なく揃えることが出来るかと思います。

 

 

自治体BPOでは1年や3年などの年単位の委託になるので、

スタッフは有期労働契約者となり、無期労働契約ではない点も採用活動に苦戦する理由です。

 

このあたりでも派遣会社を母体としているBPO業者は、

自治体BPOが終了後もすぐに派遣先を提供できるので、

優秀な人材には無期労働契約を提示したりしています。

 

 

そのように苦労して採用したスタッフも管理能力不足の社員が担当し、

ブラックBPO化し、離職率100%という最悪な環境を作り出してしまいます。

 

 

採用で苦労し、その苦労して採用した人材が退職してしまうような企業は、

ブラック企業だと言えます。

 

 

雇用情勢を鑑みれば、この数年でブラック企業が淘汰されていくと言われています。

 

BPO業者も含め、企業はこの数年でコーチングなどの育成手法、

評価なども含めた人材マネジメントの切り替えを求められているように思われます。

 

 

また、ノウハウがないBPO業者がよくするのは、

自分達が受託する前のBPO業者の管理下で働いていたスタッフの採用をしたりします。

 

ノウハウもなく、管理能力がないBPO業者にとって自治体BPOを成功させるには、

以前からその業務を担当しているスタッフを採用するという方法は一番簡単な方法です。

 

BPO業者にとって採用コストを節約し、スタッフにとっては同環境で労働が継続され、

自治体担当者にとっては前年と同じような民間委託が継続できるので、

3者にとって良い結果が生まれるというわけです。

 

私の経験上、前年度以上の結果を望まない限りは、この手法は成功します。

ただし民間と比べて生産性50%以下という現場を改善しようとするとその自治体BPOはほぼ失敗します。

 

 

5.まとめ

 書けない部分も多いのですが、地方自治体の職員の方は民間業者を知らず、

最終的に苦労しています。

 

複数の業者からヒアリングするなどして、

発注主としてどのような仕様書にした方が良いのかと事前準備をした方が良いかと思います。

 

 

【次回記事】

地方自治体におけるBPO【vol.2】・・・受託側

 

 

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