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日本型RPAとは――考察と事例

2018.08.06

ここ数年で欧米を中心に浸透し、日本でも2017年には導入企業が相次いだ「RPARobotic Process Automation)」。

 

労働人口の減少に直面している日本にとって、

ロボット(デジタルレイバー)による業務自動化技術であるRPAはぜひとも取り入れたいシステムです。

 

 

産業界からの注目度や導入実績では、依然として海外が先行していますが、

RPAの扱い方には国や地域によって違いがあります

 

理由として、世界各国のビジネス環境や企業文化は当然ですが大きく異なっており、

自動化を求められる作業内容や、それを実現するためのソリューションも同様ではないためです。

 

今回は日本型と呼ばれるRPAと海外との違いについて考察し、具体的な事例についてご紹介していきます。

 

RPAの基本的な仕組み

まず初めに、RPAの基本的な仕組みについて、触れておきます。

 

RPAは、簡単に言うと、人間が行っている定型業務を記憶し、

自動的に24時間365日働き続けることができるロボットです。

 

マクロと違う点として、RPAは複数アプリケーションを使った作業を得意としています

 

例えば、取引先から届いたメールの発注書ファイルを取り出し、データを会計ソフトに反映したり、

販売管理システムへ反映したり、ということが可能となります。

 

 

ただし、イレギュラーに対しては、あらかじめ設定された判定基準、

対処方法によるもののみにしか対応することができず、

導入時の設定やリスクの洗い出しを十分に行う必要があります。

 

人事・経理・総務・情報システムなどの間接部門(バックオフィス)の事務・管理業務、

販売管理や経費処理、アプリケーションをまたがった入力処理などに向いていると言えます。

 

では、具体的に欧米と日本との違いはどのようなものがあるのでしょうか。

 

 

欧米におけるRPA

欧米におけるRPA導入のキーワードは「業務の標準化」です。

 

例えば、多民族国家であるアメリカは多様なバックグラウンドを持つ人々が共通して理解できることが伝統的に重視されます。

 

そのため、ビジネスの場面ではできるだけ文字要素を減らして視覚的にわかりやすく作られたツールや、

業務手順を標準化するといった配慮がなされており、RPAに関してもそうした傾向が見られます。

 

 

具体的には「オペレーター1,000人の入力画面操作を1カ月間すべて記録し、その結果をベースに標準化した手順を整備してRPAで自動実行する」というような導入パターンが多くあります。

 

 

また、欧州は言語の異なる国家の集合体であり、

各国でこれまで運用されてきたシステムを一体化する必要に迫られています。

 

この場合の導入では、システム統合のための時間と費用があまりにも大きすぎると見込まれた際、

各システムの連携を自動化するツールとして、RPAが検討されます。

 

このため、欧州でのRPAは人が介在しない完全自動のシステムとなることが大半です。

 

 

日本におけるRPA

反対に、日本でのRPA導入では「ロボットと人間の共存」が求められます。

 

理由としては、日系企業では“現場”が力を持つとされており、

その背景には絶え間ないカイゼンで品質向上を図っている設計・生産工程や、

個別の事情にきめ細かく応じる受発注業務など、職人芸が尊敬される日本の文化が深く関わっていると考えます。

 

 

また、加えて「終身雇用制のもと、職務内容を厳密に取り決めることなく採用された従業員が、実際の必要に合わせて柔軟に対応してきたこと」なども理由の一つとして挙げられています。

 

現在の仕事を「人間+RPA+機械」という3層構造にしてRPAを使いこなしていくには、

企業全体でRPAに任せられそうな業務を洗い出し、どの業務にRPAを使うのかを決めておくことが重要です。

 

例えば、経理業務で言うなら、日々の伝票入力などのルーチンワークはRPAを導入し、

人間の仕事は収支表をもとにした経営戦略の考察など、企業の経営において本当に必要な情報を提供することに注力させることなどです。

 

ここで、日本におけるRPAと人間の共存事例をいくつかご紹介します。

 

 

・日本生命保険

RPAの導入事例として最も有名なのは、大手生命保険会社である日本生命保険の「日生ロボ美」です。

 

日生ロボ美とは導入されたRPAの名前で、請求書データのシステム入力作業を担当する社員として配属されています。

 

同社では、保険契約者から保険金の請求書が郵送されてくると、

記載されている10桁近くある証券記号番号などを入力して処理しなければならず、現在ではその業務をロボ美が担当しています。

 

ロボ美が入社したことで、それまで業務にあたっていた社員は、証券記号番号をスキャンするだけで良くなりました

 

RPAが社内システムを横断し、データの収集から業務システムへの入力までを代行できるようになった結果、

1件あたり数分かかっていた処理時間が、20秒程度に短縮

 

それで浮いた人的リソースを振り分けて、パターンに応じた柔軟な対応が必要な業務など、

人間でなければできない仕事にマンパワーを割けるようになりました。

 

 

・サッポロビール

サッポロビールでは、国内各エリアに取引先小売業への提案営業支援を行うリテールサポート担当者を配置しています。

 

POSデータの分析は、営業担当者や取引先小売業に対して販売チャンスの発掘や実施した施策の検証などの情報提供を行う上でリテールサポート担当者には欠かせない営業ツールの一つであり、

これまでは各担当者が1社当たり1日約1時間かけて、POSデータを手作業でダウンロードしていました。

 

手作業のためヒューマンエラーもまれに発生しており、さらに当初は数社だったPOSデータ開示も、現在は十数社に増加。

タイムリーな分析を必要とする半面、手作業では追いつかない状況となってきていました。

 

 

そこで、同社ではPOSデータの読み込みにRPAの導入を決定。

その結果、現在は1社当たり平均約30分でダウンロードが可能になりました。

 

 

さらに、手作業では作業工数抑制の観点から一部カテゴリーは週次取得にとどめていましたが、

導入後はすべてのカテゴリーで日次取得が可能となったため、日程が固定している催事についても、

よりきめ細やかな分析や提案が可能となりました。

 

 

RPA導入の注意点

前述のように導入メリットの多いRPAですが、その成功のためには、実際にそのRPAを動かす“現場の理解”が不可欠です。

 

いくつもの企業で導入の成功事例が相次ぎ、その名が普及してきたRPAですが、

企業で働く社員ひとりひとりが、その効果を十分に理解しているとは限りません。

 

しかし、RPAを最大限活用するのに何よりも大事なのが、これまでその業務を行ってきた社員ひとりひとりの知識・経験なのです。

 

 

そのため、導入を決めるにあたっては、RPAに任せる業務内容の洗い出しと同時に、

現場の社員全員への丁寧な説明も必須事項と言えます。

 

「RPAが従業員の作業を奪うのではなく、単調な作業や時間外の作業をRPAに代行させることで、従業員をより付加価値の高い業務へ移行させてくれる」ということをしっかりと時間をかけて説明し、

決してリストラへの布石など、マイナスの効果をもたらすものではないということを理解してもらって初めて、RPAと人間の共存が叶うのです。

 

 

これまで、日本の大手企業を中心に「ロボットと人間の共存」を実現してきた日本型RPAは、

今後中小企業や地方の企業・団体へと、徐々にその活躍の場を広げていくと予測されます。

 

人事、経理、営業サポート……etc. どのような業務においても、

これまで現場で働いてきた社員の方々の知識・経験をRPAによって最大限に活用し、

より働きやすい環境で社員ひとりひとりが輝ける職場になることを期待します。

 

 

 

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