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内閣府の「数理・データサイエンス・AI」に関する教育目標から見えてくるプログラマー活躍に対する期待

2019.07.31

デジタル分野で活躍する人材を育てるために近年情報の授業が実施されているのは誰もがご存知の話かと思います。

小学校でパワーポイントを使ったプレゼンテーションや、高校生でHTMLのタグ打ちでホームページの制作を授業で実施することは10年以上前からあるかと思います。

また授業ではありませんが、情報分野を専門としない大学の研究でもLaTeXで資料作成を求められることがごくわずかですがあるようです。

このように、情報分野を専門としない学生にもITに当たり前のように触れる機会が多いなか、情報内閣府の統合イノベーション戦略推進会議は20193月に設定した、デジタル社会の基礎知識である「数理・データサイエンス・AI」に関する教育の目標から、今後学生がプログラミングに触れるのはもちろんのこと、より発展してAIやブロックチェーンなどの最先端の技術を開発する未来が期待できるのではないでしょうか?

 

(以下抜粋)

デジタル社会の基礎知識(いわゆる「読み・書き・そろばん」的な素養)である「数理・データサイエンス・AI」に関する知識・技能、新たな社会の在り方や製品・サービスをデザインするために必要な基礎力など、持続可能な社会の創り手として必要な力を全ての国民が育み、社会のあらゆる分野で人材が活躍することを目指し、2025年の実現を念頭に今後の教育に以下の目標を設定:

  • 全ての高等学校卒業生が、「理数・データサイエンス・AI」に関する基礎的なリテラシーを習得。また、新たな社会の在り方や製品・サービスのデザイン等に向けた問題発見・解決学習の体験等を通じた創造性の涵養
  • データサイエンス・AIを理解し、各専門分野で応用できる人材を育成(約25万人/年)

(以上抜粋)

 

さらに、小中学校に対する目標・取り組みも発表されました。

 

(以下抜粋)

  • 学校のICT環境整備の加速化を図るため、関係省庁が連携し、学校間のデータ連携や利活用の促進を念頭に、学校におけるネットワーク及びクラウド活用の在り方、ICT環境モデル、必要十分な機能を有するICT機器の調達等の具体的方策を検討・提示(2019年度)
  • 児童生徒用端末、ソフトウェア、通信デバイス等の購入・貸与・管理・更新等に関するルールの検討・提示(2019年度)
  • 最終的に児童生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち、ICTを十分活用することのできる、ハードウェア・ネットワーク等の環境整備を達成するため、クラウド活用、低価格パソコンの導入、ネットワーク・5G通信の活用、BYODを視野に入れた目標の設定とロードマップの策定(2019年度)
  • ICT環境の整備状況やICTの活用状況などの見える化及び、確実な整備促進のための具体的な方策の検討・実施(2019年度)

(以上抜粋)

 

高校生から基礎的な教育を実施することはもちろんのこと、小中学校に対して児童生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち、ICTを十分活用することのできる、ハードウェア・ネットワーク等の環境整備を達成するため、クラウド活用、低価格パソコンの導入、ネットワーク・5G通信の活用を視野に入れた検討を行っていることが注目すべき点ではないかと思います。ある大学の情報系の専門科目ではWiiリモコンを使った課題を出すことがあるようですが、今後ゲーム機やスマートフォンを使ったプログラミングや簡単なゲームやツールを制作するといった課題が小中学校で実施されるような日がくるかもしれません。

近年日本の高校生プログラマーが企業で活躍する事例が見られます。

 

「高校生でドワンゴのエンジニアに!?山中勇成氏の人生を変えた、14歳でのプログラミングとの出会い。」https://careerhack.en-japan.com/report/detail/146

高校1年生でドワンゴにエンジニアとしてスカウトされ、アルバイトを始めた山中勇成氏。

山中氏は中学2年生の頃放映されていたドラマブラッディ・マンデイの天才ハッカーである主人公に憧れ、C言語のテキストを買って勉強を始めたのがきっかけだったと語っています。

現在は大学卒業後サイバーエージェントで活躍しているようです。

 

「天才はこうやって育つ——Appleが認めた高校生プログラマーの日常」

https://www.buzzfeed.com/jp/yuikashima/yuji-sasaki-is-a-programmer

Appleが開く開発者向けのイベントWWDCにスカラシップとして日本人の高校生が招待されました。

 

1億調達した16歳天才プログラマーは日本復活をかけて東京で戦う」

https://www.businessinsider.jp/post-107078

この記事の中で当時16歳の山内奏人CEOは「東京のGDPは世界一で、巨大市場にも関わらず、圧倒的に日本のキャッシュレス化は世界から遅れている」ことを指摘しており、スマートフォンにインストールすれば、店舗は専用端末を導入せずとも、顧客のカード決済が可能になるアプリ「ONE PAY」を開発しています。

 

なお、海外では、15歳の時に自作のニューラルネットワークを構築したことがある高校生がAIに関する論文を発表しました。

17歳の高校生が人工知能の研究論文を発表!その驚きの内容とは」

https://aizine.ai/paper-0331/

 

彼らが初めてプログラミングに触れた時期は様々ですが、小中学生の頃に初めて触れたというのが多いようです。

小中学校でプログラミングに触れる機会が増えることで、学生時代から企業で活躍するだけなく、論文の投稿などで評価される事例もより多くなるかもしれません。

弊社RPA-Bizが、船井総研様とRPA対談をいたしました

2019.07.25

RPA-Biz運営責任者の平田(左)と船井総研士業支援部の鈴木GM、坂田TL

 

 

7月24日、このRPA-Bizを運営している弊社アーツアンドクラフツ株式会社に船井総研の士業支援部の鈴木GMと坂田TLがお越し下さいました。

船井総研士業支援部様は、会計士や税理士など中小企業の経理業務を支援する士業の方々に向けて各種ソリューションの提案や研究会の開催を行っています。今回の対談では中小企業のおける経理業務についてのRPAの可能性についてお互いの意見交換をさせていただきました。

中小企業の方向けにサービスを提供する会計士・税理士様がRPAを活用する上で重要な課題となるのが

・標準化

・(ベンダーに頼らない)内製化

の2つが挙げられます。

対談では、そのあたりについての話が多く出ました。

 

もともと、経理業はPC内での定型業務が多く、RPAに最も適した業務の一つと言えます。弊社の過去の開発実績からしても、まず多くの大手企業様がRPA化に手を付ける際に対象とするのが経費精算や旅費申請、請求書管理や支払処理、月締といった経理業務になることが多いです。

しかし、税理士事務所・会計士事務所様が、複数顧客の経理業務をアウトソースとして請ける場合、RPA化のためにまずその複数企業の経理業務を「標準化」する必要があります。一つの顧客のフローに特化したRPAだとコスパが合わないため、1ロボットで複数の顧客企業の業務を担えるようになるのが理想ですが、税理士事務所・会計士事務所様の立場上、そのように「自分たちのフォーマット・ルールに合わせろ」とお客様に言うのは中々難しいのが現状です。この「標準化」の取組をどれだけ本気に取り組めるかでRPA化の成功・失敗が大きく変わってまいります。

また、規模が比較的小さい税理士事務所・会計士事務所様が自社にRPAを取り入れる場合、ベンダーに開発を頼むと金額的にペイできないケースが多く、必然的に「内製化」の必要性も高まります。このRPA-Bizのブログで何度かお伝えしていますが、世の中にある多くのRPAツールは「玄人プログラマーが扱うには易しいが、素人が扱うには難しい」という微妙な難易度になっています。もともとプログラミングリテラシーがあるわけでは無い士業の皆様がいきなり「明日から自分たちで開発する!」とするのはいささかハードルが高くなってしまいます。

このように、「標準化」と「内製化」は、中小企業向け税理士・会計士様がRPAを導入するにあたって必ず立ちはだかるする壁になりますが、そのような壁を船井総研様のようなコンサルティング会社が支援していくことが肝要なのではないかと考えます。

先述した通り、もともと経理業務はRPAに非常に向いた領域です。

コンサルティング会社が、RPAに向いた経理業務一覧のようなものを業界別にパターン化してあげたり、RPAを導入する場合の標準フローおよび一部RPAプログラムのモジュールのようなものを媒介してあげたり、内製化のためのプログラミングトレーニングを開催することができれば、今後士業の皆さまもRPA導入がしやすくなるのではないでしょうか。

今後のRPAの浸透に益々期待していきたいと思います。

 

 

2019年Japan IT Week(春)に出展いたしました

2019.07.15

弊社アーツアンドクラフツ株式会社は、20195810日に東京ビックサイトにて行われた「Japan IT Wee【春】後期」AI・業務自動化ゾーンに出展いたしました。

 

今回お話した企業様のほとんどが、各業務に付随する事務処理系の部分を自動かし、空いた時間を他にまわすことや、人的ミスを防ぐ等の希望が多いように感じました。また、こういったものを自動化したいが、その業務は自動化に適しているのか判断がつかないという声も多かったように思います。

 

 RPAのロボットは人工知能(AI)とは異なり、人間が行うような複雑な判断が必要な業務は向いていません。RPAのロボットは「単純化された作業」に特化しているので、「一定時刻にファイルを社内システムにアップロードする」といったような業務が向いているかと思います。

 そういった視点でまずは自動化したい業務から向いている業務をピックアップしてみるのも一つの手段ではないかと思います。

 

 

さて、ここからは私が今回の展示会に出展して思ったことを書いていこうかと思います。

 

  • OCR

手書きの文字や印刷された文字を読み取り、データと照らし合わせ文字を判断し、電子テキスト化する装置

 

AI・業務自動化ゾーンでは、やはり最近よく耳にする「OCR」を押している企業様が多かったです。その中でも特に「手書きの文字を認識可能」となるとブースの周りには多くのお客さんが集まっていました。手書きの請求書や書類をデータ化せずそのまま扱えるならば、紙ベースのやり取りをデータで管理するためのシステム開発コストや、現場の人たちの作業手順を変更しないで済むのであれば便利そうです。

 

  • 画像検知

 防犯カメラに移っている人物の特徴(歩き方、服装等)をとらえて個人を特定できるというシステムがありました。探したい人物を設定すると、AIが複数枚の画像を使用してどの防犯カメラに写っていたか判断し、対象の人物がどんなルートを歩いたか特定できるというものでした。はじめのうちは、人が56枚の対象人物を画像から選択しますが、それ以降はAIがすべてのデータを解析し対象人物と特徴が一致するかどうか判断しているとのことでした。デモンストレーションでは、少なくとも50人ほどの人が移っている動画から15秒ほどで対象の人物の行動ルートが特定できました。処理速度が速いこともですが、精度の高さにも驚かされます。

 

 

 今後、自動化の技術が進んでいくのはとても良い事だとは思いますが、精度が上がっていくロボットの処理速度に追いつけるよう、業務システムやネット環境、PCの処理速度なども改善しなければならず、そのあたりの連携に今後の開発課題がありそうな予感がします。

「大手自動車メーカー」研修プロジェクトの事例紹介

2019.07.08

 製造業界では何年も前から工場の作業工程をロボットが行うようになり、効率化が進められてきました。そして、3年ほど前から製造過程以外の部分での効率化にも焦点が充てられ、経理や人事の業務がRPA化されてきました。さらに次の段階として、製造現場における事務作業をRPA化しようという動きが盛んになっています。

 

RPAトレーニングのニーズの増加、その背景は

RPAの浸透が進んでいく中で、RPAの開発をシステムベンダーに依頼せずに自社の現場社員が開発・運用していこうという動きが出ています。それに伴い、比較的ITリテラシーのない現場社員の方々に対してRPAトレーニングをするニーズが増加してきました。

 

 RPAの開発を自社内で行うメリットは以下の通りです。

 

  • 開発にかける時間を圧倒的に短縮できる

システムベンダーに開発を依頼した場合、RPA化したい業務をベンダーに伝える、設計してもらう、希望通りならば開発、テストを行い、リリースという一連の流れにおいてベンダーとのやり取りが何度も続きます。解釈のずれなどがあった際にはもう一度やり直さなければならないため、多くの時間を要します。気軽に業務を自動化できるのがRPAの特徴ですが、ベンダーに依頼しているとその特徴がうまく活かし切れません。そのため、現場の実務を理解している社員がそのままRPA化することで最も効率良く業務を自動化することができます。

 

  • コストを抑えられる

当たり前のことですが、システムベンダーに開発を依頼した場合、ベンダーに代金を支払わなければいけません。自社内の人材を使ってRPA化することができたら、その分の経費を削減することができます。

 

  • RPA人材を増やすことが長期的な会社への利益貢献につながる

システム開発を完全に外部委託した場合、現場社員はRPAについてほとんど無知のまま、業務が自動化されていくという状態になります。それに対して、現場社員がRPA技術を身に着けた場合、どの様なプロセスを経て業務がRPA化されたかを理解している状態となります。そのため、他にRPA化できそうな業務にはどの様な業務があるかの検討をつけて、実際にRPAロボットを開発することができます。また、そもそもビジネスプロセスに問題が合った場合にはそれに気づくことができる可能性も上がります。

 

 現場社員に対してRPAトレーニングを進め、自社内で開発することのメリットが分かったところで、研修事例の紹介にうつっていきます。

 

研修の基本概要

今回ご紹介するのは、大手自動車メーカーの研修プロジェクトで、研修を受けるのは製造工場の現場社員です。主に対象となる業務はサプライヤーへの受発注業務などです。

 

研修期間は6週間程度で、遠隔地であったので週1回講師が現地に赴き、1日約2時間×2回の計4時間のセッションを行いました。それ以外の時間帯で不明点などがあれば、オンラインでのサポートを実施しました。

 

どうしても講義に参加できなかった人に対してはフォローアップの資料を用意し、次週以降の講義の内容についていけるように細かい対応を行いました。

 

研修内容

 まずはRPAツールを扱っていくにあたり、RPAの基本的な概念やRPAで実現できること、実現できないこと、RPAのメリットなどを説明して基礎知識を身に着けてもらいました。次に、画面や用語の説明をしてそれ以降の講義がスムーズに行えるようにしました。

 

次に、自社ホームページから連結損益計算書などの情報をダウンロードして、それをエクセル処理(ダウンロードデータの加工と連結売上高・利益ブックを作成)、結果のメール送信までを実践形式で教えていきました。ダウンロード、エクセル処理、メール送信それぞれの段階において各パートでエラー処理の仕方も併せてレクチャーしていきました。

 

 例えば、メール送信設定を読み込むという動作のシナリオを作る際は以下のような手順を踏む必要があり、講義では講師が実際に作成しているのを見ながら、社員も同じようにRPAツールを操作していきます。

   

 

今回の研修で工夫した点

  • 現場実務を題材に

 基本的にもともとプログラミングなどの経験がない人が対象であるため、分かりやすくイメージしやすいようなアプローチで研修を進めていきました。

 

研修で作成するシナリオは身近な現場実務を題材として、RPAが導入された際に自分の業務が効率化されるイメージを持ってもらえるようにしました。先ほどの連結損益計算書のダウンロードなども普段自分たちが使っているHPから情報を持ってきて、実践的な業務をRPA化する作業を行いました。

 

 

  • 開発支援

実際に現場社員が開発しているRPAシナリオをチェックし、エラー対応やセキュリティ管理の仕方などのアドバイスをしました。特に、業務を自動化するにあたっての業務選定のアドバイスに力を入れました。ご存じの方も多いかと思いますが、全ての業務がRPAに適している訳ではありません。自動化するにあたってRPAツールを使わなくても、Microsoft Office Excelのマクロ機能を使った方がお手軽に簡単に自動化できる場合もあります。

 

Excelのマクロ機能はExcelの標準装備として搭載されている機能です。Excel上での動作を記録・保存して同じ動作を行いたい時はワンクリックするだけでExcelが同じ動作を自動的に行ってくれるという機能です。Excel上での繰り返し作業を自動化するならばマクロ機能を使うことが最も有効的であると言えます。

 

例えば、このプロジェクトの中では、エクセル情報を加工して別のエクセルファイルに入力する作業はマクロ機能を使った方が効果的であると考えられたため、アドバイスとしてマクロ機能による自動化を勧めました。(例:納品書(エクセル)にある指定の範囲をコピーして別エクセルに貼り付ける作業)

 

  • 受講者のレベルに合わせてコンテンツをカスタマイズ

 現場社員のスキルレベルは人それぞれであるため、受講者のレベルに合わせて内容をカスタマイズしました。社員がコードを自分で入力してシナリオを作ることは困難であると判断したため、できるだけアクティビティ(決まった動作)を使って作成しました。アクティビティのアイコンを作業フローの図にドラッグアンドドロップするだけでシナリオが作成できるような内容にしました。

 

また、レッスンにおける進行ペースはITリテラシーがない人に合わせるということを現場担当者と取り決めし、全員が理解したら次に進むという形をとっていました。ITリテラシーがない方が多かったため、基本的な言葉の確認にも時間をかけ、きちんと知識の土台を作ってから難易度の高い操作をすることを重視していました。

 

研修の成果

 6週間の研修を経て、ほぼ初心者の状態でスタートした現場社員はRPAの基本的な知識を身に着け、使い方をマスターしました。また、そのメンバーの中でも簡単な開発が進められるようになりました。

 

研修自体は6週間で終了しましたが、この研修の効果を最大限にするためには現場社員がRPAツールに継続的に携わり、自分たちのツールとして運用し続けることです。将来的に、長期的な視点で見たら、今回講義を受講した社員が他の社員に対して研修を行えるレベルまでスキルアップしたら社員同士での研修も可能になるでしょう。

 

まとめ

 以上、大手自動車メーカーにおける製造現場の社員を対象にしたRPA研修についてご紹介してきました。短期間であっても基本的なRPAの知識やツールの操作方法については習得することができることが分かります。

 

 これまでRPAは本社管理部、経理や人事、そして営業事務などへの適応が主流でしたが、製造現場にもRPAの導入が普及しつつあります。今後もこのような遠隔地型の研修プログラムの需要は拡大していくでしょう。

 

RPAマーケットプレイス

2019.07.01

開発されたRPARobotic Process Automation)ロボットの売買が自由に行えるRPAのマーケットプレイスが各社のサービスに取り入れられ、大きなトレンドとなっています。

なぜ、現在このようなトレンドがあるのか、マーケットプレイスの具体的な利点や特徴はどのようなものか、今後どのように展開されていくのかなどを分かりやすくご説明していきます。

 

RPAマーケットプレイスとは(概要)

・ユーザーがRPAの機能拡張、追加のためのパーツを提供・利用できる場

・テンプレート化したRPAロボットのやり取りが気軽にできる

 

RPAマーケットプレイスが取り入れられた背景

2017年頃からRPAツールによる業務自動化・業務改革が進められてきた中で、実際にRPAを使っている企業や人からの声としてこんな意見が多くみられるようになりました。

 

「どの業務からどの業務までをRPAで自動化していいかわからない」

「自動化したい業務は決まっているがどのようにロボットの開発を進めていいかわからない」

 

RPAのロボットは導入するだけではなく業務に合わせてロボットの開発をし、運用していくことがとても重要です。そこで、テンプレート化されたロボットのニーズが急激にあがりました。20187月にRPA BANKが国内初となるRPAマーケットプレイス「RPA BANKマーケットプレイス(α版)」をリリースしたことを皮切りに最近では多くの企業がマーケットプレイスを設け、RPAを業務に用いたい人と開発したRPAロボットを保有している人をつなぐための場として提供しています。

 

次に、Blue PrismUiPathのマーケットプレイスについて、また次世代の働き方へのヒントになりうるとして注目を集めているBizRobo!のマーケットプレイスについてご紹介していきます。

 

Blue Prism Digital ExchangeDX

Blue Prism株式会社が提供する「Blue Prism Digital ExchangeDX)」はBlue Prismのマーケットプレイスです。201811月からサービスを開始し、多くのユーザーに利用されています。

 

Blue Prism自体にはAI機能やOCR機能は搭載されていません。そこで機能を拡張する際にBlue Prism Digital Exchangeを利用することができます。Blue Prismに追加できる機能(パーツ)のことをスキルと呼び、スキルを提供しているのはMicrosoftIBMなどをはじめとする様々なパートナーです。

マーケットプレイスに参加できるのは、Blue Prism社の審査を通過したアクターのみで、スキルのクオリティーに関してもBlue Prismによって安全性・品質が担保されています。

 

実際に画面上でスキルをBlue Prismに追加する際の手順は以下の通りです。

 

  • 追加したいスキルをマーケットプレイスからダウンロードする
  • ダウンロードしたスキルが自分のRPAのプロセス開発マップの画面右側に表示されているか確認する
  • プロセスマップの中でスキルを追加したい部分に、右側に表示されているスキルのアイコンをドラッグアンドドロップ

 

以上3つのステップだけでもともとのRPAの機能を拡張することができます。

 

20196月現在では、社内で所有するスキルを管理するためのプライベートアセット機能なども追加され、マーケットプレイスの充実化がはかられています。

 

また、Blue Prism Digital Exchange上でダウンロード数の多いスキルは、ユーザーからのニーズが高い機能であると考えられるため、Blue Prism社が新しいサービスや商品を開発していく上での参考にもしているそうです。実際に、ダウンロード数の多いスキルの一つにAI文書処理のスキルがあるため、新しくインテリジェント文書処理ソリューションとして「Blue Prism Decipher」が発売される見通しです。

 

今後の方向性としては、パートナー同士がマーケットプレイス上でソリューションを販売できるようにeコマース機能を充実させていくことも検討されているようです。

 

UiPath Go!

UiPath株式会社が提供している「UiPath Go!」はUiPathのマーケットプレイスです。201810月からサービスが開始され、各アクターがRPAパーツをマーケットプレイスに共有したり、ダウンロードしたりすることができます。UiPathに追加する機能(パーツ)のことをコンポーネントと言い、ユーザーがそれぞれ作成したコンポーネントがマーケットプレイス上でやり取りできる仕組みとなっています。

 

UiPath Go!」でコンポーネントをダウンロードして自分のRPAの機能を拡張する方法は以下の通りです。

 

  • コンポーネント一覧の中から自分が使用したいコンポーネントのアイコンをクリックしてダウンロードする
  • アクティビティパネル(プロセス開発画面)の左側にダウンロードしたコンポーネントが挿入されているか確認する
  • 使用したいコンポーネントをメインの画面にドラッグアンドドロップ

 

 20196月現在では437の様々なコンポーネントがUiPath GO!上でやり取りされています。

 

BizRobo!マーケット

20194月からRPAテクノロジーズ株式会社が提供するRPAツール「BizRobo!」のマーケットプレイスとして「BizRobo!マーケット」が新たに開設されました。

BizRobo!マーケット」を運営しているのは、株式会社MAIAという次世代の働き方を提示して実践している会社です。

 

株式会社MAIAは、「RPA女子プロジェクト」というフリーランスの女性RPA技術者を輩出するプロジェクトを行っています。様々なスキルを持つRPA技術者とRPAを導入したい、運用したい企業をマッチングさせて彼女たちがオンラインで仕事を行います。具体的な仕事内容としては、企業内でRPA人材を育成すること、RPAロボットの開発などです。20193月の時点でRPA女子の数は1,000人を超えていて、現在も増加しています。

 

そんなRPA女子が作成したRPAロボットのパーツを提供しているのが「BizRobo!マーケット」です。提供されているパーツは主に企業の基幹システムの業務効率向上のための機能を有していて、各企業が必要なパーツを必要な分だけダウンロードして自分たちのRPAに機能を追加することができます。

 

BizRobo!マーケット」でダウンロードできる主なパーツは以下の通りです。

 

 

また、ユーザーはRPA女子のオンラインサポートを受けられるため、不明点などがあった際に助けてもらうことができます。

 

BizRobo!マーケット」を利用するユーザーは4つのプランの中から自分に合ったプランを選ぶことができます。RPA機能をどれくらい追加したいか、どれくらいサポートを受けたいかによって月々の価格が変わってきます。

 

 

 

まずはトライアルとして無償版をダウンロードして、そこから必要に応じてグレードを上げていくことも可能です。

 

数あるRPAマーケットプレイスの中でも「BizRobo!マーケット」が注目を集めているのは株式会社MAIAが今後求められる働き方改革に大きく貢献しているからです。

そもそも、RPAが普及し始めた背景には日本の少子高齢化による労働力不足があり、多様な働き方を認める社会を作っていこうという流れがあります。そして、RPAによる自動化の位置づけは代替労働力としての「digital worker」として考えられることが多いです。

MAIAが輩出するRPA女子の中には育児や介護などで一度職場を離れた女性たちも多く、彼女たちの復職の場として大きく貢献しています。完全に自宅で仕事をすることができるため、柔軟な働き方が認められる環境となっています。

 

 Digital Workerの増加”× “復職できる女性の増加”

 

この様な取り組みが今後も増えて、日本の労働力不足の解消に役立つことが期待されます。

 

まとめ

Blue PrismUiPathBizRobo!3つの異なるマーケットプレイスについてご紹介しましたがいかがでしょうか。ご紹介した3つのマーケットプレイスはどれも追加パーツのダウンロードからロボットへの機能追加がとても簡単で、初心者でも操作しやすい仕様となっています。また、取り扱われているパーツも日々更新され、マーケットプレイス自体も世間のニーズに合わせて改良されています。

 

効率よくRPAロボットを開発するためにマーケットプレイスから必要な部品を取り入れることはとても効果的です。業務の効率化のためのRPAロボット、その開発のプロセスにおいてもマーケットプレイスを用いて効率良く行えるとよいでしょう。

 

 

参考文献

https://it.impressbm.co.jp/articles/-/17772

https://news.mynavi.jp/article/20190606-838374/

https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1189084.html

 

 

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