2019.03.29
RPAソリューションツールといえば、株式会社エヌ・ティ・ティ・データが提供する国内シェアNo.1の「 WinActor ®」やRPAテクノロジーズ株式会社の提供する「BizRobo!」がありますが、通信キャリアのソフトバンクもその1社で、「SynchRoid(シンクロイド)」というRPAソリューションを法人向けに販売しています。
ソフトバンクのHPでは以下のように紹介されています。
“「SynchRoid(シンクロイド)」は、ソフトウェアロボットが業務を自動化するRPAソリューションです。処理手順を登録するだけで、単純な事務作業や膨大な書類業務などを自動化し、業務の効率化、スピードアップ、コスト削減を実現します。”
従来のRPA開発画面は専門的なスキルが必要なものが多かったのですが、SynchRoidは開発画面をGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)で提供することによって、直感的な操作が可能となりました。 それによって、ITの知識が少ない人でも簡単にロボット開発などの幅広い業務に利用できるようになっています。 さらに月額600,000円の「ベーシックパック」の他に年額900,000円の「ライトパック」という2種類のコースが用意されています。
導入を検討されている方は試しにライトパックを使ってみてはいかがでしょうか。
ピップエレキバンなどで知られるフジモトHD株式会社では、人手不足により負担がかかっていた各部署の単純作業を自動化することによって、わずか4ヶ月で月間約220時間の業務時間を削減しました。
住宅設備機器大手の株式会社LIXILは建設大手5社が合併したことによって、システムの統合がIT部門の優先事項となり、現場毎のシステム改善が十分に出来ていませんでした。そこで、業務部門主導でRPAを活用できる運営体制を整えたことで、現場社員自ら必要なロボットを開発できるようになりました。 結果、導入1年以内で250名の社内RPA開発者を育成し、250種類のロボットが開発されました。
施設管理業務を請け負う株式会社日本ファシリティは、管理施設が増えるたびに事務処理が増加して、報告書の登録など社員の業務負荷が高まっていました。 登録作業は人が行うと1回約2〜3分かかることもあり、その作業は年間で約6万件発生していました。 そこで、事務処理を自動化することによって1回の登録は20秒程度になり、2,000時間以上の業務時間削減に成功しました。
いかかでしたでしょうか。ライトプランや直感的な操作性など導入しやすい「SynchRoid」はこれからもっと普及していくのではないでしょうか。
参照記事
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1903/22/news078.html
https://www.softbank.jp/biz/other/rpa/menu/
https://www.softbank.jp/biz/case/
2019.03.28
こんにちは、今回は、ある学校法人で成果が出たUiPathの活用事例についてご説明させていただきます。
学校法人RPA化対象の業務は、「財務フロントシステム登録業務」でした。
実のところ、今回紹介するRPA化の事例は、もともとRPAありきでの業務改善ではございませんでした。当初は、財務部にて各部門の経費を一元管理するための、専用のフロントシステム開発のプロジェクトでした。ですが、フロントシステムの評価・検証を進めていく中で、以下の問題が発生することが判明いたしました。
これらの問題についてフォーカスしていきます。
財務フロントシステムへの登録業務を行うのは人間で想定していました。もし人間が入力するとなると、業務フロー上、確認も含めると一件入力するのに10分程度かかることが判明しました。経理処理の業務で一件にこれだけの時間をかけることは業務時間内に行うことは難しく、現場から不満の声が上がっていました。
また、実際に入力する担当者の多くは派遣社員です。現場で入力方法との教育を行うとなると、教育するための時間が発生してしまいます。現場で教育のための時間を捻出することが難しく、問題となっていました。
どのような業務でも起こりうるのですが、人間が介在する業務にはミスがつきものです。お金を扱う業務であるため、入力するときにミスが起こらないようにすることは明白です。この業務を実際に現場で運用しようとした場合に、いくらマニュアルを作っても、部門間で業務の質が変わってきてしまいます。最悪、入力業務が属人化してしまい、担当者がいないと把握しきれない、という部門が出てきてしまうでしょう。もしそのような運用になってしまった場合、決まった人がいないと入力自体ができない、もしできる人がいなくなってしまった場合の引継ぎ等で他の業務が滞ってしまう可能性があります。
また、以上の問題は、間接的ではありますが、残業の発生や人件費コスト増になる要因であるということです。これらの問題に対応するだけでも現場の作業効率が大きく落ちてしまい、大きな負担となってしまいます。
上記の理由から、専用のフロントシステムを導入することによるメリットが薄くなっていたところ、RPAの技術を導入することで改善できるということとなり、RPAの検証をいたしました。複数あるRPAツールの検証結果から、UiPathが最もRPAシステムとして優れているとし、UiPathでRPAの開発を進めていくこととなりました。
今回の業務RPA化対象となった、業務フローについてのおおまかな流れは以下のとおりです。
これらのフローについて説明いたします。
まず、事務員の教育という部分で、新たにSAPの使用方法を覚えていただくのでなく、普段から業務で使用する機会の多い、Excelを使用して伝票を作成することといたしました。
伝票用のExcelはフォーマットを統一し、入力内容の簡易的なチェックもできるプログラムを組み込んでおります。ユーザーはこのExcel伝票に必要事項を入力していきます。完成したら、最後に印刷行うことでDB管理のための管理番号を付与しExcel伝票の名称も管理番号をもとにした名称に書き換わります。
作成されたExcel伝票を、各部門で指定されたフォルダに投入します。
投入する先は部門毎に予めフォルダ分割されていて、ユーザーは決まったフォルダにExcelの伝票を投入して作業完了となります。
ここからロボットの動作となります。
あらかじめ、ロボットの設定について説明いたしますと、ロボットはBORで動作するタイプで、orchestrator上で事前に起動時間を設定しております。
ロボットが起動すると、まず各部門のフォルダ見に行って、Excel伝票が存在するかどうかを確認します。次に、Excel伝票を見つけた場合に、その伝票を読み取る工程(4にあたります)の処理を行います。もしフォルダにExcel伝票がなかったばあいは、次のフォルダに移動します。この動作は、すべてのフォルダを確認し終わるまで続きます。
複数のロボットが同時に実行しているため、ロボットが同じフォルダを見に行って処理してしまうと、二重登録となってしまいます。その場合、別のロボットが処理中のフォルダを取得してしまわないように、排他制御をかけています。
取得したフォルダの中のファイルを、一件ずつ処理していきます。必要情報を読み取りSAPのブラウザ上に転記していきます。転記が終了したら登録し、次のファイルに進みます。
以上が業務フローです。このうち、3~5の処理をロボットで行うのですが、同様の動作を行うロボットを複数台配置し、ロボットに不具合があった場合に業務が停滞しないようにしています。
また、ロボットが、間違った情報をフロントシステムに入力してしまうことを防ぐために、以下の対策を行っております。
複数の工程で対策を講じることより、間違った情報が入力されることがないように細心の注意を払って運用しております。
運用管理については、担当者が常に一人常駐しており、ロボットが処理している途中にエラーが発生した際に、人力での対応を行っております。管理担当者については一人いれば十分で、難しい対応になる場合には担当の上長にエスカレーションして対応する業務フローが構築されています。
この業務のRPA化の成果としては、半年間運用した結果は、件数換算で約10万件、処理時間換算で約20,000時間の業務効率化となりました。また、実際に人間の手で行った場合の入力ミス等による訂正や、ダブルチェックの時間を考慮していないため、実際よりも多くの効果が出ていると考えられます。このRPA化で成果が出たため、今後も他の業務のRPA化を進めてくこととなりました。
当初はRPA化とは関係のないところでのプロジェクトでありましたが、実際に現場側の負担が検証されていたので、RPA化による効果が明確であったことが、成果の要因であると考えられます。
今年に入り、実際にRPA化した事例が数多く展開されてきています。RPAによる業務効率化の波は、今後もますます盛り上がっていくでしょう。
2019.03.27
この数年間、嫌でも「RPA」という言葉が耳にはいるでしょう。年間XX万時間作成に成功などのニュースが相次ぐ。RPAは現在日本の「人手不足問題」や「働き方改革」の対策にとても相性が良いとこと以外、「開発が簡単」、「導入するハードルが低い」、「ゼロ経験でもすぐ開発できる」というイメージもあるため、多くの企業が導入しているか、しようとしている。では、RPAの開発は本当にとても「簡単」でしょうか。多くの企業の中、「現場開発」、すなわち現場の従業員が直接開発するという導入方法を選んでいる企業もたくさんあるが、すべてうまくできたでしょうか。今回はいくつかの事例を紹介しながら、現場直接開発よくある問題を説明する。
RPA開発する前に、欠かせないのはRPAの仕様設計、あるいは業務フローの設計だ。つまり、業務を選定し、この業務をいかにRPA化すること。当然、現場の従業員は業務の流れや細かい作法などに一番詳しいので、普通に考えれば、仕様の設計にはとても向いているでしょう。もちろんこれも正しいことだが、必ずしもそうとは限らない。
ECサイト運用企業のA社は現場スタッフの開発とプロのエンジニアによる集中開発両方を展開している。当初の狙いとしては、現場が身近にある比較的に簡単な業務を開発し、プロのエンジニアはより複雑なものを開発することだった。現場開発案件中で、とても典型的なものがあった。業務の内容を簡単に説明すると、毎日(平日)対象顧客分のクーポンを作成し、配信を行うということで、流れは下記のようになる:
この業務の作業内容は一見シンプルなので、開発も簡単ではないかと思い、現場スタッフがこの流れを洗い出し、自らRPAの設計を行った。また、この業務は現状手作業により平日のみ行っているが、土日や連休分の業務は休み明けにまとめて作業している。本来なら休日問わず、毎日作業するのが好ましいので、「RPAならできるのでは?」と思って、現在のフローを変えて、RPAによる毎日実行というフローに変えた。
このように、現場のスタッフがすぐ開発着手にした。業務に詳しいので、開発仕様などにも柔軟に対応できた。例えば、今までは3日~5日分先配信分のクーポンを申請していたが、RPAは毎日稼働できると思い、毎日の朝に当時配信分を作成することにした。理由としては、3~5日分先のものを申請したら、作成と配信の日付が異なるので、RPAが開発や運用しにくいと思った。
ところが、いざ開発完了し、検証実験にはいると、トラブルが発生した。ある土曜日にRPAが稼働しなかったので、月曜日に来たら、スタッフが慌てて手作業で土曜日分のクーポン作成しようとした。しかし、過去分のクーポンを作成する前例がないので、クーポン発行システムに問い合わせて、とても手間をかけて、ようやく作成できて、追加配信を行った。そして、現場のスタッフたちは当初リカバリーについて認識不足のことに気づいた。平日はスタッフがいるので大丈夫だが、RPAの動作は100%の保証がない以上、万が一休みの日にとまった場合今までよりかなり複雑なやり方でリカバリーしないといけなくなる。そして現場スタッフが慌てて集中開発を担当しているエンジニアチームに相談にした。エンジニアチームはリカバリーの難易度を考慮した上の対策は簡単で、今までと全く同じロジックで、休日配信せず、平日のみ行うことで開発し直した。これにより、リカバリーの手順や難易度は今まで通りで、過去分のクーポンを作成する必要ないため、大きく負担をかけずに済んだ。
一見簡単なことだが、現場スタッフの開発経験が足りないため、いかに実現することのみを考えて、リカバリーの難易度などを考慮しなかった。実は現場で開発する前に、最初に上がった意見は今までと同じように休日RPA稼働しないようにしたかったが、日付の設定や実行項目特定などの部分に開発困難だと感じて、毎日稼働を選んだ。結果、一度開発したものが実装できず、開発し直しとなってしまった。
同じA社の別部署の現場スタッフがRPA開発にチャレンジをした。業務の内容は非常に簡単で、毎日特定のシステムにアクセスをし、そこから指定のパラメータを設定した上で、CSVファイルをダウンロードして、指定の共有フォルダに保存する。まさにRPAが最も得意な部分だといえるでしょう。
RPA化がスムーズに進められるよう、現場スタッフが工夫をして、下記の「指示書」(イメージを作成した:
作業日付 |
作業時間 |
格納先Path |
メール送信先 |
URL |
パラメータ1 |
パラメータ2 |
パラメータ3 |
03月10日 |
10:00 |
XX |
@ |
http |
XX |
XX |
XX |
03月10日 |
10:00 |
XX |
@ |
http |
XX |
XX |
XX |
03月11日 |
14:00 |
XX |
@ |
http |
XX |
XX |
XX |
「指示書」はExcelファイルとなり、作業に必要な情報は全て格納されている。RPAは実行時「指示書」を読み取り、内容を判断した上で作業を行う。しかし、この業務がダウンロードするCSVファイルには時効があるため、必ず規定時間にダウンロードしないといけない。多少のずれは許されるが、例えば10時ダウンロードする予定のファイルは14時にダウンロードすると意味がなくなる。また、週単位で「指示書」が作成されるため、同じファイルの中にある各行のデータの実行予定日も異なる。例として、3月10日ダウンロードするものもあれば、11日ダウンロードするものもある。
この状況に基づいて、現場スタッフが設計したロボットはまず毎日実行し、その後日付は当日かと判断する、その後また作業時間を判断する。この二つの情報に満たしている場合はダウロードを実行するが、それ以外の場合はスキップして、次の行を見るこのように繰り返す。ロジック図は下記のようになる:
とても分かりやすくてシンプルな設計になっていますので、開発もうまくできた。実装するある問題が生じた。
このロボットは作業時間の問題で、毎日複数回実行する必要がある。指示書は1週間分で1000行から2000行程度存在する。量がとても多く実行するには時間が必要だが、問題は10:00実行する予定のものは12:00までも終わらなく、規定時間を大幅に超過したため、意味なくなる。そして、またエンジニアチームに助けを求めた。
このロボットが一番時間を無駄にしているのは作業日付と作業時間の判断の部分にある。すでに気づいたと思うが、現場スタッフが作ったロジックだと、仮に指示書に1000行あって、作業日付と作業時間の条件に満たしているものは10行だけだとしても、1000行を全部チェックすることになる。とても効率よりとは言えない。そして、エンジニアチームが指示書を読み取る際に条件付けで読み取る機能を付けた。要するに、RPA稼働する時点で、日付と時間が処理対象になるもののみを指示書から読み取ることだ。処理対象が10行の場合は10行のみを処理するため、効率は大幅によくなる。
もちろんこの機能はA社がつかっているRPAソフトには標準装備されているわけではないが、経験のある開発者なら作れる。現場スタッフは経験が足りなく、効率よくないロボットを設計することになってしまった。
今回紹介した二つの案件は一見大したことがないかもしれないが、現場スタッフが開発時実際起きていることだった。業務に詳しい分、RPA開発経験が足りない場合似たようなことが起き兼ねない。現場開発する際にきちんと経験豊富な開発者にサポーターしてもらったほうがよいでしょう。
2019.03.22
予算や事業計画を作成する際に、損益計算書を作成し利益計画を立てますが、貸借対照表やキャッシュフロー計算書の予測表を作成することはあまりないと思います。損益計算書と比べ、より会計的な知識や、各事業部の動きを反映させる必要があるため作成されることが少ないようです。しかし利益計画のみでは、将来の黒字倒産や財務バランスの健全性などについて把握することはできません。ここでは、キャッシュフロー計算書を作成するための予測貸借対照表の作成方法を解説します。
貸借対照表とはBalance Sheet(略称:B/S)と呼ばれ、一定時点(月末や決算日など)の企業の財産及び債務などのストック情報がわかり、財務状況を把握することができる財務諸表の中の一つです。大きく左右に分かれ、さらに右側が2つのパートに分かれる構造になっています。
会社が事業資金・財産をどうやって集めて、どのような形で保有をしているかを表しています。事業資金・財産をどうやって集めたかを、負債・純資産で表し、どのような形で保有しているかを資産で表します。よって、「資産=負債+純資産」の関係が成り立っています。
損益計算書は利益の大きさで企業の経営状況を表しています。貸借対照表は「どんなふうに儲けているか」という利益の「質」を表しています。貸借対照表は経営の健全性を示す財務諸表と言えます。
資産とは、会社が集めたお金をどのような状態で持っているのかを表すもので、これらの資産は1年以内に現金化することが出来る「流動資産」と長期にわたり会社が保有することになる「固定資産」とに分けられています。
貸借対照表の資産は、原則として現金化しやすいものから順番に並んでいますので、上の段に「流動資産」、下の段に「固定資産」が表示されています。
負債とは、返さなければならない会社のお金を表すもので、他人資本とも呼ばれます。負債も資産と同じように、1年以内に返さなければいけない「流動負債」と1年を超えて返さなければいけない「固定負債」とに分けられています。
貸借対照表の負債は、原則として返済、支払期日の早い順番に並んでいますので、上の段に「流動負債」、下の段に「固定負債」が表示されています。
純資産とは株主が会社に入れてくれた資金や利益の積み上げを表すもので、負債と違い返す必要のないお金で、自己資本とも言います。純資産がマイナスであれば債務超過の状態であり、倒産のリスクが高いと判断されます。
純資産は株主のお金が関係してくる「株主資本」とそれ以外の「株主資本以外」の2つに分けられます。
貸借対照表は上記図1の通り、大きく左右に分かれた形をしていますが、月次の予測貸借対照表を作成する上では、勘定科目はすべて1列に並べた方が作業効率は上がります。(図2 予測貸借対照表のフォーム)
勘定科目名は直近の決算書や試算表を基に必要な勘定科目を配置します。
また、表の一番下にはバランスチェックの項目を設けることにより、貸借差額が0になっているかの確認が容易になります。バランスチェックの計算式は「=IF(資産合計のセル=負債純資産合計のセル,”OK”,資産合計のセル△負債純資産合計のセル)」のように簡単な計算式で問題ないです。
期首から作成を始める場合は、直近決算の貸借対照表の金額をエクセルフォームの繰越列に入力します。期中から作成を始める場合は、直近月の試算表の貸借対照表の金額をエクセルフォームの繰越列に入力します。
現金・普通預金勘定の予測残高は以下の計算式で求めます。
「現金・普通預金=負債純資産合計△現金・普通預金以外の資産勘定の合計」
売掛金、受取手形勘定の予測残高は以下の計算式で求めます。
「売掛金、受取手形=PL計画の売上高×売上債権回転率」
※売上債権回転率=売上高÷(売掛金+受取手形)
売上債権回転率は、過去のPL月次推移表などから計算します。事業がいくつかある場合は、セグメント別の回転率を求めた上で季節変動などを加味し、PL計画の売上高に乗じていきます。
棚卸資産勘定(商品、貯蔵品など)の予測残高は以下の計算式で求めます。
「棚卸資産=PL計画の売上原価×棚卸資産回転率」
※棚卸資産回転率=売上原価÷棚卸資産
棚卸資産回転率は、過去のPL月次推移表などから計算します。棚卸資産の種類がいくつかある場合は、種類別に回転率を求めた上で季節変動などを加味し、PL計画の売上原価に乗じていきます。
前払費用は、前払費用の項目ごと(補助科目)に計算します。
予測貸借対照表の「補助科目」欄に償却すべき項目を記載し、「項目1」欄には毎月の償却額を入力します。
各月の計算方法は、「前月の残高△項目1」となります。家賃は前払い契約の場合が多いので、その場合は毎月定額が計上されることになります。
前払費用は、別途エクセルなどで残高管理している場合もあると思いますので、その場合は、合計行に、そのエクセルから転記すればいいと思います。
期中で何か新たに前払費用が発生することも多いため、PL計画との整合性がとれるように補助科目や予測額を計上していきます。
仮払消費税は、PL計画や設備投資計画から計算します。PL計画の一番下の行などに以下計算式を入力します。
「=課税対象セル*(8/100)」
※税抜き経理で消費税率8%の場合
また、有形固定資産を取得する場合には課税仕入れが発生する可能性もありますので、設備投資計画からも仮払消費税額を拾います。
さらに、前期の消費税申告の状況によっては中間納付消費税が発生する可能性もありますので、その金額も加味する必要があります。中間納付消費税の金額がわからない場合は顧問税理士に確認してみてください。仮払法人税等についても同様です。
その他の流動資産(未収入金、立替金、仮払金など)については、過去の実績値から自社事業の特性や季節性を把握し、金額計上します。例えば、年末調整の還付未済金(立替金や未収入金などで仕訳処理されることが多いです)などは毎期年末調整終わりに発生しますので、その時期に計上していくことになります。
有形固定資産・無形固定資産の表示については、間接法を採用した方が残高推移は確認し易くなります。日々の経理は直接法でも結構ですが、予測貸借対照表作成上は間接法で表示することをお勧めします。
計上額は、設備投資計画を基に各月に予測額を計上します。減価償却累計額の増加額は、PLの減価償却費と同額になるように予測額を計上します。
投資その他資産(敷金、保険積立金など)は、オフィス移転計画があるか、どのような保険契約があるかなどの契約関係によって、予測額を計上していくことになります。オフィス賃借時の保証金(敷金)の償却額の経理処理も影響していきますので、賃貸借契約書や保険契約書などを改めて確認しながら進めることが重要です。
繰延資産(株式交付費、開発費など)についても、資本政策や投資計画を基に各月の予測額を計上します。
今回は資産科目の計上方法を中心に解説しました。次回は負債科目について予測額の計上方法を解説しようと思います。
2019.03.16
本記事では、オートメーションラボ株式会社が去年12月上旬にローンチリリースした請求書の会計処理の自動化を可能にしたサービス『sweeep』について取り上げていきたいと思います。今回は、代表の村山 毅さんにインタビューさせていただきました。
オートメーションラボ株式会社 CEO 村山 毅 様
まず、今回『sweeep』を開発しリリースしたオートメーションラボについて紹介したいと思います。CEO村山 毅さんは、オートメーションラボ株式会社を設立前は、バックオフィスを対象としたコンサルティングやシステム開発を行う会計系コンサルティングファームにて10年以上従事していました。そこでの経験から、バックオフィスの非効率さを改善したく、バックオフィスにおける自動化のコンサルティングを主な業務内容とする当社を設立しました。ミッションとして、“バックオフィス革命”を掲げ、RPAを使った業務コンサルティングを行っています。
オートメーションラボのプロダクトである「sweeep」について詳しく紹介する前に、経理部門における課題について述べていきたいと思います。経理業務の自動化を進めるなかの課題として挙げられるものの中の一つに、紙帳票の取り扱いが挙げられます。具体的に言うと、経費申請の領収書であったり、取引先からの請求書処理などが挙げられます。もちろん、本来請求書発行段階からデータ化したものを頂ければ問題はないですが、取引先は取引先の論理があり、請求書発行段階からのデータ化は不可能でした。つまり、経理の処理として、債務の計上を支払いにつなげなければいけませんが、それが紙媒体であるがゆえに経理部門に非常に負荷をかけているという課題が発生していました。この請求書の課題を解決するのが『sweeep』になるのです。
オートメーションラボが開発した『sweeep』は、請求書の会計処理を自動化するAI技術を搭載しており、請求書をスキャンすれば自動でOCR(Optical Character Recognition/Reader・光学的文字認識)によって情報を読み取り、仕訳データへ変換することができます。科目変換、会計データ作成、会計システム登録などの会計処理を行うことが可能です。スピードも100枚の請求書を処理するのにかかる所要時間はたったの3分間になります。
本プロダクトの強みとして、どのようなフォーマットの請求書でもAI技術によって読み取ることが可能です。従来のRPAのOCRバンドル機能では、ものによって文字化けが起こり得るため精度に課題がありました。さらに、企業によって請求書は異なるフォーマットを採用しているため、非定型の請求書をRPAが読み取っても必要なデータを抽出することは不可能でした。しかし、本プロダクトでは、従来から使われているアナログの各社各様の請求書を自動データ化することができます。
また、従来のOCRツールでは必須であり、尚且つ設定に長時間有していた帳票定義が短時間、尚且つ簡単になりました。本プロダクトを使用することで、読み込んだ請求書から勘定科目の情報を一度入力することによって完了できます。以下の画像のように、取り込んだ請求書を見ながら作業ができ、入力画面も決して難しいものではありません。さらに、一度入力してしまえば、以降は学習機能によって自動で行ってくれるので余計な手作業を必要としないのは本プロダクトの強みの1つでもあります。今まで経理業務と何ら変わりはないため、担当者も特に新しい技術を習得しなくとも対応可能になります。さらに、経理に馴染みのない人でも行えるようになりました。
このように、帳票定義が一度勘定科目を入力するのみで済む背景には、AI技術があります。AIがレイアウト定義をせずに請求書内の必要となる情報を自動判別できるようにするため、テキスト認識と標準的な請求書の配置に則った座標を組み合わせて学習させました。そうすることで、従来は必要であった帳票定義が短時間で容易に行えるようになりました。
さらに、本サービスは請求書に特化している強みとして、会計システムのフォーマットに変換することが可能です。汎用性に富んだ帳票を読み取れるサービスを展開する競合他社のように請求書を読み取りテキスト化までは同じですが、本サービスでは経理業務として必要となる勘定科目や課税・非課税などの会計に関わる情報の付加まで行います。他社の読み取りサービスを利用すれば、仕訳データへ変換するためのシステムを別途利用しなければなりません。これまで2つ以上のシステムで成しえていたことが、本サービスのみで請求書を読み取り仕訳データに変換することができます。
もう一つの特徴として、クラウドでサービスを提供しています。そのため、ソフトのインストールや環境設定、また初期費用も低コストに抑えることができます。クラウドということから、請求書をクラウド上にアップロードすることに懸念を抱く人は少なからずいるかと思います。しかし、セキュリティーには万全の対策を取っています。最近では、クラウドもセキュリティー面での信頼性は評価が確立されつつあります。例えば、売上1兆円以上を超える規模の企業でさえ、SaaS(Software as a Service)と呼ばれる必要な機能をカスタマイズして利用できるクラウド上で提供されるソフトウェアを利用しているようになってきています。さらに、個人情報や機密情報を扱う人事系の業務でもクラウドの採用が進んできています。現に、本プロダクトは、人材系、不動産、IT系や会計事務所などでも導入されている実績を持っているようです。
このように、非定型フォーマットの請求書に対応し、会計データと連携でき、クラウドで提供されているサービスは、国内では本プロダクトでしか体験できないサービスになっています。例えば、それは月次決算のリードタイムの短縮に繋がります。経理の月締めの業務は、月初の営業日に集まってきた請求書を数日で処理しなければなりません。請求書を届くまでは手の施しようがなく、請求書の到着が遅れたら成す術もなく決算の締めが遅れてしまいます。しかし、sweeepなら100枚の請求書を3分で処理してしまうため、決算早期化が実現可能になります。他社製品と処理スピードで比較してみても、本サービスでは1枚読み込むのに1.5秒以下、なおかつ帳票定義の簡略化、自動で会計システムへ取り込めるデータへ変換などスピード面の強さも持ち合わせています。また使用料も月額10万円からスタートなのも企業にとって嬉しいポイントなのではないでしょうか。
このオートメーションラボのサービスは「請求書」というカテゴリーに特化していますが、その市場規模はどれくらいでしょうか。日本国内で流通しているといわれる請求書の数は、月間5億枚。年間だと、単純計算でも60億枚にのぼります。年間の人件費コストは3兆円。請求書だけにフォーカスしても比較的大きい市場があります。さらに、請求書に関連する作業は、
など多岐にわたります。また、これが紙ベースだと、ファイリングや探し出すのに手間暇がかかりますが、デジタルだったらこのような作業時間を削減することが可能です。さらに、どの企業においても請求書を使っているので、ターゲットも全ての企業が当てはまります。このように、マーケットも大きく、ターゲットも業界関係なしの領収書を扱うすべての企業となっています。そのため、これからにも益々期待ができそうです。
今後は、SaaSのサービスやSAPなど基幹システムとの連携強化を視野に入れているそうです。さらに、あるRPAベンダーと協働でロボットを作る計画も動き出しています。
最後になりますが、このような請求書に特化したAI機能を搭載した『sweeep』の登場と普及によって、企業の経理部門の働き方に変化が起きるのもそう遠くはないのではないでしょうか。
参考
https://rpahack.com/sweeep?fbclid=IwAR3jdMRO2goqOHMpoRwZ4XLcdAxLWPybSXzIrqQR5eMVcejJpngnKMWxotg
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000040079.html
https://sweeep.ai/
https://marvin.news/5788
2019.03.15
RPA元年といわれた2016年から早3年。金融機関における業務効率化で高い実績を挙げたのを皮切りに、多くの企業で導入が進み、話題に事欠かないRPAテクノロジー。
一定の作業ルールを基に定型作業を自動で繰り返す「Class1」に対し、非定型業務の自動化を可能にする「Class2」の実現も、近年期待が高まってきています。
反面、多くの企業でRPAの導入が進む一方で、当初ロボットによる置き換えを期待されていた「自動化可能な定型業務」のうち、約20%しか自動化が達成されていないといわれる現状があります。
原因は、定型業務と言いながらも、部分的に人が介在するなどして作業ルールに収まりきらない「例外処理」が多く発生しているためであり、それによりRPAによる働き方改革、デジタルレーバーの実現を阻害されているのです。
こうした「例外処理」をRPA×AIの組み合わせで対応できるようにするのが、「Class2」での自動化。近頃は、このような高度化したRPAソリューション、いわば「自動化対象業務の拡大」が大きなトレンドとなっています。
「単純作業の業務自動化」を第一段階(Class1)とすると、AIの搭載はそのNEXT STEP、「経験・ノウハウに依存する業務の自動化」です。
ディープラーニングや自然言語・画像・音声処理を搭載することで、構造化されていないデータからの情報取得や、蓄積された情報からルールを作成した上での処理業務、はたまたナレッジをベースとした問い合わせ対応など、自動化領域がぐんと広がることになります。
一般的なRPAツールは、頭脳に当たるAI機能を本来有していません。
RPAツールベンダーの中には、積極的にAI機能を取り込んで製品をリリースしているところもありますが、すべての要件をカバーできるものではないため、自動化対象業務によって柔軟に組み合わせが可能なRPAツールとその業務にあったAI技法を選択することが必要です。
以下、自動化対象業務とそれに見合ったAI技法の組み合わせの例です。
より単純な作業、ルール化可能な業務については、ルールベースAIを用いて自動化が可能です。
ルールベースAIとは、判断を要する処理に際し、ある条件に対して行う処理を予め登録しておき、ロボットに対応させるものです。プログラムとしては、「If~than~」といった基本的なIf文形式のものが該当します。
If文やSwitch文を使用して場合に応じた処理方法を記述しておけば、状況に応じた判断を指定しておくことが可能に。加えてこうした構文に「else」を用いることで、条件に当てはまらない場合のアクションを選択することができるようになっています。
設定するルールの数が、Excelでテーブル化できるレベルであれば、マクロやVBAプログラムで簡単に作成が可能。こうした処理をRPAで実行する際は、RPAツールにキーボード・マウス操作のみを設定し、ルールのコーディングについてはExcel等の表計算ソフトに記述し参照するようにすれば、多くの判断を要するデータ処理が可能になります。
推論エンジンは、ルールベースを発展させた知識ベースのインプットを基にワーキングメモリを利用して推論を可能にしたものです。
あらかじめ可能な限り知識ベースにルール群を登録し、一方でワーキングメモリを独立させて、課題に関するファクトデータや特徴を表すデータを格納しておきます。こうすることで、知識ベースのルール群とワーキングメモリに蓄積された情報を推論エンジンが照合し、回答を吐き出すシステムです。
前述したルールベースAIのほぼ断定に近い回答から、推論エンジンではやや抽象的な内容の判断も可能になるのが特徴であり、事象に対する判断としてある種曖昧性・不確定要素を持たせることで、より人間らしい動き・思考を実現しています。
これにより、断定しにくい判断がつきまとう業務・処理についても自動化できる可能性が広がりました。
蓄積された知識を基に判断を要する業務は、最新のデータを常時リアルタイムで追跡・追加し、それらを判断材料としなければならないため、機械学習を用いることがあります。
一口に機械学習といっても、それは特定のプログラム/アルゴリズムを指すわけではなく、様々な技法があります。
たとえば、対象範囲の中で似ている性質の集合データを取り出す手法である「クラスタリング」。
Try & Errorを通じて「現時点で価値を最大化できる行動」を学習する「強化学習」。
さらに、最近画像認識やデータマイニングに用いられる「ニュートラルネットワーク」。
「ニュートラルネットワーク」は、その名の通り神経伝達の仕組みを倣った手法で、学習によりデータの相関性(シナプスの結合強度)を変化させ、問題解決能力を持たせています。それにより、多次元量のデータ(画像や統計など)を対象にした問題に対し、比較的軽い計算量で解を得られる特徴があります。
膨大なデータ(たとえば大規模チェーン各店の購買データ、ユーザーの移動データ、IoTの通信データなど)を学習・処理させるには、コンピュータ自体が自律的に処理をしなければなりません。
よく機械学習とディープラーニングが一緒くたに語られてしまうことがありますが、そもそも機械学習の多くは、いわゆる「教師あり学習」という人間が与えていたデータ処理の指示やパラメータによるアルゴリズムの調整などを必要とします。
つまり、データを処理させようとすると、まずコンピュータにデータ分類させるべく、それぞれの特徴の指示を必要としているのです。
その点、ディープラーニングは、前述した「ニュートラルネットワーク」(教師なし学習)を多層化して学習し、コンピュータ自身が特徴となるデータ・要素を抽出できるようになっています。これが自律型のAIであり、自動運転や音声検索など、ヒトの能力に依存していた画像認識や音声認識を必要とするフィールドで活躍する部分です。
本来、自己学習=自律を可能にするのに、コンピュータの膨大な学習時間や、処理のためのコストを必要としていましたが、コンピュータの処理能力の向上によって、近年実用化が積極的に進められています。
ディープラーニングの台頭は、ビッグデータ活用の存在感の高まりを意味し、各企業で従来活かしきれなかったデータを有効活用できる期待が集まっています。
RPAは、定型作業における自動化で、ヒトに代替する労働力(あくまで作業補完)として活用されてきました。そこに非定型作業におけるAIを掛け合わせることで、より高度な知的処理を可能にします。
特に、ビッグデータの分析・活用は、2020年以降も重要なキーワードになり、どの企業にもその実践が求められてくるでしょう。
ヒトがよりクリエイティビティの高い業務にシフトできること、或いは働き方改革、業務負担軽減で利用されることの多いRPAのテクノロジーですが、AIを組み合わせることで、事業機会の創出や新しい切り口によるマーケティングを可能にし、直接的に企業収益増大に貢献することも可能です。
これからRPAの第一歩を踏み出す際は、将来的に対象範囲の拡大を見越して、柔軟性の高い導入支援企業、RPAツールを選択していくのが望ましいでしょう。
2019.03.14
3大メガバンクがそろって新卒採用数を削減するとみられる2019年春。各社とも、急激な収益環境の悪化が顕著になり、各種デジタルソリューションによる業務効率化を推進しています。
こと業務効率化、RPAに熱心に取り組んできた金融機関での採用数削減に、「コンピュータに人間の仕事が奪われる」と考える向きも少なからずあるでしょう。
昨年末、全行あげて定型業務のRPA化を進めていた三井住友銀行は、本格導入が始まった2017年4月からの1年間で、のべ110万時間以上のPC作業の削減に成功したと発表しました。
今回はそんな三井住友銀行のRPAの取り組みと、活用されたプラットフォームUIPathについて述べていきたいと思います。
2019年春の新卒者採用数は、3大メガバンクトータルで2,300人ほどと、前年比3割減まで縮小する見込みです。3社に共通しているのは、事務作業・窓口業務を担う特定職の採用をかなり絞るという点であり、全体の採用数を大きく押し下げているといわれています。
そもそも就活生にとって高額な報酬とその安定性から、かねてから人気の高いシティバンクは、毎年1,000人以上の採用枠を設け、新卒就活市場を長らく牽引してきました。
もともと業界全体として、有名大卒の優秀な人材を早期に抱え込みたがる傾向が顕著であり、かたや膨大な事務手数を伴う業務の性質上、比較的単純な作業に労力を傾け、業務効率化の余白が大きかったのも事実。
そこに、折からのマイナス金利の影響で収益確保が困難になる市場環境と、定型業務を自動化するRPAの台頭が重なったため、業務効率化・省人化への流れにむかうのは、ある種自然であるといえるでしょう。
金融業界を志す学生にとっては、門戸が狭まりあまりいい知らせとは言えないものの、労働市場全体としてみれば、成長力の高いベンチャー、有力中小企業に能力の高い人材が流れ、生産性向上につながるとして期待する声もあります。
三井住友フィナンシャルグループは、17年4月からの3か年中期経営計画で、ITソリューション、デジタル技術を活用した生産性向上・業務効率化や、ペーパーレスを推進した次世代型店舗の展開を大きく掲げていました。
マイナス金利の状況下では、新規事業の拡大は急務。従来の業務を効率化し、新規事業に注力できる体制を構築することを目的に、切り札としてRPAが用いられました。
18年9月時点で、同社が稼働させているソフトウェアロボットの数は、実に約1,000体。
導入から半年でここまで急速に推進できたのは、RPAプロジェクト時に秘訣としてよく云われているように、トップダウン&ボトムアップの両軸で対処できたからだといわれています。
トップマネジメントを中心とする、RPAプロジェクトチームを発足し、本社の1フロアに実に150人もの外部の「専門家たち」を招集。集められたのは、大手コンサルティング会社複数社、RPAツールを提供するUIPath社、AI-OCRソフトを提供する日本IBMなどのITコンサルティング・エンジニアです。
課題解決のために複数社のコンサルタントを取り入れることは、往々にしてあり得ますが、同社では、より効果的な施策を打ち出すこと、チームの定着を図ることを目的として、部門や業務区分での担当分けを行わず、それぞれに「市場営業部門」、「リテール部門」、「ホールセール部門」、「国際部門」に対するRPA活用提案を求めました。
単年の投資対効果のより高い提案を採用し、その施策の実施主体を提案した企業に委ねるというものでした(いうなれば社内コンペ)。各社は競い合ってRPAの活用提案を行ったため、対象業務も多岐に渡ったばかりか、非常に投資効果の高い内容を多く提案が行われたのです。
その上で、RPA導入に連関する情報共有は企業の枠を超えて行われる環境づくりをしたために、同時にプロジェクトメンバーの定着を図ることにも成功しています。
トップダウンで強力にプロジェクトが推進される一方で、ボトムアップ施策も積極的に進められてきました。
その一つに、行員向けのRPA研修制度の整備があります。行員が自らRPAツールを駆使し、ロボットを開発し、各部署で主体的に業務改善が進められることを狙ったものです。
そこで役立てられたのが開発ツール「UIPath」が備える録画機能です。開発画面の「録画」ボタンを押した上で、Webブラウザを操作すると、一連の操作を自動的に記録し、動作手順に役立てる機能です。
行員は、普段何の気なしに体が覚えている操作を、録画機能を使うことで簡単に「業務の見える化」が可能になり、業務を見直すことに繋がりました。こうして各種研修プログラムを重ねた結果、行員自らロボットを開発する土壌が整い、現在までに約500体の開発に成功しています。
もちろん、打ち手がことごとく成功したわけではなく、実際に何度もロボットが停止したり、思うように動かなかったりする事態も発生。しかし、Try&Errorを繰り返し、事態に対処するようプログラムを変更し続けたことで、最適かつ効率的なロボットの活用を可能にしました。
三井住友銀行では、RPAの活用をより拡大し、今後業務量が増加しても、ロボットに割り当て自動処理できるような仕組みを作るとして、20年3月には、累計で300万時間の余裕創出を目指すとしています。
【三井住友銀行がRPAを導入した主な業務】
営業担当がその当日に訪問する顧客について、金融商材の運用レポートを始業前にロボットが作成するように設定。ロボットが各営業担当者のスケジュールから訪問先の情報を収集し、他方で社内管理システムからその顧客が運用する商品にまつわる情報も収集。これらを総合的にひとつにまとめ、顧客に提示するレポートを自動生成できるようになりました。
従来、人力で数十分かかっていた業務を削減し、余った時間でよりよい提案ができるよう内容の検討に使う時間を創出することに成功したとしています。
同社のある部署では、社内管理システムから販売実績データを取得して、1件1件その内容を精査する業務を行っています。その業務は、膨大かつ単純な流れ作業同然であったため、重要な業務ながら担当する行員のモチベーションは下がりやすいものでした。
そこで、ロボットに流れ作業(思考を要さない確認作業・照合の部分)を担わせ、最終的な精査および定型的でない照合の部分を行員が行うようにしています。
加えて、行員はロボットのコントロール・モニタリングを行い、ロボットが適切に処理できているか、どの観点に基づいてデータを精査しているのかを逐次管理させた結果、現場からより効率的なロボットの配置や、業務量の増加による追加ロボット開発の提案が行われるようになり、モチベーションの向上に一役買うことにもなりました。
こと主に地方銀行とのコミュニケーションを担う部署において、人手不足が特に大きな課題でした。それにより、地方の企業が海外進出を図る際に必要な、地方銀行からの海外送金依頼をしぶしぶ断っていた現状があります。年々拡大傾向にある海外送金依頼は、手数料収受が期待できる案件であったにも関わらず、受け入れができない状態が続いていたのです。
この事態の解決に、RPAが取り入れられました。
この業務に必要な技術だったのが「AI-OCR」。行員が複合機でスキャンした海外送金依頼書を、OCRツールに読み取りさせ、データ化する業務をロボットに担わせ、さらにそのデータを勘定システムに転記する行程を組み込みました。通常は、参照する依頼書の書式・構造は統一させなければうまく読み取りができませんが、AI-OCRを活用することで正確性を向上。
こうして、依頼を受け入れられるキャパシティを確保することに成功しています。
2019.03.13
現在、「働き方改革」でPRAに注目が集まっています。
PRAとは、Robotic Process Automationの略で、一般的なパソコン上の定型作業をソフトウェアによって自動化することです。RPAが可能といわれている業務は、バックオフィス、情報収集、調査、電子取引、業務代行、マーケティングといった分野が挙げられます。
今回は、以前ビジネスホテル運営をしていた筆者の経験を活かし、手間がかかりヒューマンエラーが起きやすいホテルの予約管理業務において、RPAを導入した場合に適応できそうな箇所と、どのくらいの時間短縮が見込めるかをお伝えしていきます。
ホテルの予約受付は施設にもよりますが、一般的にネット予約サイト(ホテルの公式サイト、他社の宿泊施設予約サイト : じゃらん、楽天トラベル、るるぶ、アゴダ、Booking.comなど)、フロント、電話、FAX、メールからの予約を受け付けています。
日々の運営業務の一環として、ホテルシステムに入っている翌日分の予約者リストの大元のデータ内容の確認を行います。ネットであれば各サイトから明日の予約者リストを表示し、ホテルシステム内の内容と相違がないか一つずつ付け合わせていきます。
これを各サイト分と、電話やFAXまたはメールでの予約を、予約カードなどを基に確認していきます。
チェック作業は100室規模の店舗で約30分程度かかります。チェックしやすいよう、一度宿泊者リストをそれぞれの予約サイトから印刷したものに、一つ一つ目視で確認し、相違がなければマーカーや横線を引いて消込んでいきます。
そして、最後にホテルシステム上のリストまたは予約の大元データに残るものや、内容が違うものを洗い出し、一件ずつ予約状況や変更履歴を再確認していきます。そこで間違いや予約の消し忘れや入力ミスが見つかれば修正します。
<RPA導入可能箇所>
PRAが導入できるのは、PC上で行える作業となりますので、ホテルシステムの予約者リストと各サイトからの予約状況の付け合わせ作業が対象となるでしょう。
その後、消込みがされなかった残りの予約分については、電話・FAXの予約のカードから更に消込みを行い、最後に残った予約を確認する作業は人が行うこととなります。これだけでも、30分かかっていた作業が5~10分に短縮されると思われます。
例えば2月1日~1泊、2月2日~1泊と分けて予約を入れている同じ人がいるとします。日ごとにチェックアウト、再度チェックイン手続き、となるとホテル側もお客様側にも手間となります。また、お客様にとっても翌日も同じ部屋に泊まれた方が、荷物をお部屋に置いたまま外出ができますので旅行の荷物をまとめる手間が省けるのは大きなメリットです。
そこで、これらのバラバラの予約を一つに集約する作業が伴います。ホテルシステムで自動化できているのは繋げられそうな予約の候補を洗い出す検索機能だけで、これも設定した数日間の中で予約者名が近しいものを洗い出す機能となっており、実際につなげる予約はそのリストから人が目視で探していきます。
チェックアウト日とチェックイン日が同じであり、宿泊者名と電話番号が同じ予約は連結対象になります。
そして連結作業に至っては、これこそボタン一つで自動化できれば良いものの、残念ながら、片方の予約に、もう一つの予約内容を反映させて繋げていくといった人の手作業となっています。
<RPA導入可能箇所>
上記の検索機能は、日程が重なった不審な予約を見つけ出す為にそのまま残す形で良いとして、検索結果から繋げられそうな予約を選定する部分はPRAに置き換えられそうです。そうすることで、繋げるべき予約を見逃すことが防げます。ただし、繋げる前に一度人が確認したほうが良いでしょう。
繋げられる予約が確定したら、システム上で予約の情報を拾い上げ、予約を繋げる作業と、不要になった予約の取消作業はPRAで自動化できるでしょう。人が行うと時間もかかりミスも起きがちですが、ロボットなら正確にかつスピーディーにこなせます。
イールドマネジメントとは、部屋の料金を調整し、売上を最大化する販売戦略のことです。ほとんどのホテルは日々イールドマネジメントを行い、収益を最大化する努力をしています。
イールドマネジメントは人の判断で行うことが大半です。企業によっては、システム画面上で昨年の業績結果が今年の予約状況と照らし合わせられるようになっています。
それを基に予約状況を見ながら、一度設定した料金から上げ下げを行い、より高い単価でより高い稼働率を目指すかがポイントとなってきます。
しかし、料金を変更するにあたり、自社サイト、じゃらん、楽天トラベルなどの料金管理画面の操作が非常に手間であり、この日は○円上げる、という場合、宿泊プラン毎に料金をベタ打ちして変更していく必要があります。ホテルの宿泊プランは施設により異なりますが、大抵平均で10~20個程度あるものと思われますので、プラン数(10~20個)×変更する日数×販売サイト数の料金入力が必要となります。
プランによって料金が異なるため、ベーシックプランからの料金差額を配慮し入力していく必要があります。手入力ですので、場合によっては入力ミスも生じ、思わぬ金額で販売してしまう事態も起こります。(しかし、常識を逸脱した金額で予約された場合は民法95条で取り消しが可能)
サイトコントローラーを利用している施設は一ヶ所での管理で各サイトの料金が変更できるため管理作業がだいぶ楽になると思われます。しかし、それが導入されていない店舗については、プラン毎の料金コピー機能をうまく利用したり、プラン毎の料金計算や各サイトのプランの並びをExcelで揃えたりして、なるべくミスなく効率的に作業が進められるよう工夫を行います。それも非常に骨の折れる作業となりますので、究極の手は割引プランを作り、開け閉めを行うことで最低料金の調整を行います。
<RPA導入可能箇所>
しかしながら、一番効果の高いイールドマネジメントを行うとなれば、日ごとの料金を細かく変更していくことが理想と言われています。海外では、AI技術で地域毎の宿泊需要を分析し、一日に何度も空室の料金コントロールを行うことで、需要と供給に応じた宿泊料金を最適化し物凄い勢いで発展を遂げているホテル運営会社(OYO)もあるくらいです。AIに任せられれば一番良いのですが、まだその技術まで追い付かないという場合がほとんどだと思われます。
そこで、イールドマネジメントで日ごとの料金は人が決定し、その後、各サイトへ反映していく作業をRPAで短縮化してしまいましょう。1日30分~1時間かかる変更作業がものの数分で済むようになると思われます。
残室コントロールは、実際の施設の残室状況に応じて、ネットでの予約可能室数を調整する作業です。こちらも、サイトコントローラーを導入している店舗では比較的作業が簡単ですが、そうでない施設はやはり、サイト毎に日ごとの予約可能室数を調整していく必要があります。
電話やFAXで予約が入った際、残室数が少なければ、ネットでの予約受付室数を絞って、オーバーブック(施設の室数より多くの予約を取ってしまうこと)にならないようにします。
残室コントロールをおろそかにすると、オーバーブックを起こし、お客様に迷惑をかけてしまいます。また、オーバーブックを解消するための近隣宿泊施設への空室問い合わせ、差額の負担、お客様へのお詫びの電話など、対応業務が一気に増えてしまうことは非常に避けたいことです。
<RPA導入可能箇所>
室数コントロールはイールドマネジメントと同様に、予約期間全体の室数調整を一気に行うことができるようになるでしょう。ホテルシステム上での残室数を参照しながら、サイトコントローラーまたは各予約サイトの管理画面上の数字を反映する作業を自動化します。
サイトコントローラーがある場合は、各サイトをまたいでの室数の絞り込みが可能ですが、それがない場合は、残室数に対し、何室ずつ各サイトで予約を受け付けるかの判断は人が行ったほうが良いかもしれません。その場合、自動化できる箇所は、残室数に十分余裕がある日、もしくは完全に売れ切ってしまった日が対象になります。残室数がゼロなのに、うっかりネット上での予約受付を停止していなかった、という初歩的なミスは大体防げるようになるでしょう。
未来分の予約可能な日数を延ばす作業です。一般的はホテルでは3ヶ月~1年先までの予約を受け付けています。月末には、この予約可能期間を1ヶ月先に延ばす必要があります。その際に料金・プラン・室数を設定するのですが、ホテルの運営上毎日のルーチンがありますので、1日に数時間ずつ時間を割くとして3、4日~1週間程かかるものと見込んで作業を行います。
延長時には、イベント情報、曜日と休日などを考慮した上で、昨年の結果を参考に料金を決め、各サイトへ入力していきます。この際も、プラン数×日数×サイト数の入力が必要となります。また、予約受付室数の設定や開放作業も伴います。
<RPA導入可能箇所>
料金決定の行程においては、ホテルシステムから去年の数字を拾い出しExcelに反映させる箇所を自動化し、それをベースに料金設定を地域のイベントや連休状況を配慮しながら人が行います。その後、日ごとに決まった料金を各サイトにて入力する作業はRPA化できるでしょう。今まで3、4日~1週間かかっていた作業が、数時間に短縮されることが見込めます。
ネットワークの安全性を考え、ホテルシステムと通常の予約サイトを扱うPCは端末を分けている場合がありますが、その場合はホテルシステム上のデータをCSVなどで抽出しメールにてもう一台のPCに転送することでデータをまとめ、RPAを適応していくことができるでしょう。
ホテル業界は、長時間勤務・重労働、そして何より顧客に気を遣う仕事でありながら、従業員の給料の低さが問題視されています。また、地方の働き手の減少によって人手不足が深刻化し、一人当たりの業務負担が増えています。そこで、予約管理業務だけでもRPAの力を借り、一日何時間も割いていた業務が劇的に短縮されることによって、負担の軽減ができると期待されます。
ホテルシステムの開発・改修となれば全店舗を巻きこみ、莫大な費用と時間を要しますが、RPAソフトであれば、安価に店舗レベルから導入可能と思われます。「働き方改革」の一環として、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
2019.03.12
キリンは国内グループ各社でRPAを本格導入し、2021年に年9万時間の業務削減を目指します。
キリンは、2018年年末までに、RPAを経理や調達部など5部署で導入することで、業務削減の効果を実証しました。
その中で、2017年末に、間接部門などでRPAを試験的に導入し、経理業務では支払先の登録や社内間の費用の振り替え、経費情報の集計をRPAで行いました。また、営業系でも販促ツールのデータベースへの登録作業をRPAに置き換えました。RPAを導入することで、2018年末に年間稼働換算で1万5000時間の業務削減効果がありました。
その結果に基づいて、キリンは2019年からの新中期経営計画に合わせ本格導入を決め、7部署を追加し約20業務でRPA導入を計画しました。主に、各部署で業務システムを使った各種の登録、帳票の更新、データ集計といった考え業を中心にRPAで自動化します。さらに、効果最大化を狙い、最初に、1部署で集中的にRPA化に進むことにします。
サッポロビールのRPA導入事例
同じ業界で、前例として、サッポロビールはRPAの活用により、年間約1100万円の削減効果を獲得しまし。
サッポロビールは、各小売業者から毎週にPOSデータの開示をいただき、その大量なデータに基づいてマーケティング分析を行っています。データの集計はコストをかかるに加え、人工的な操作ミスを発生することもあります。
シニアマネージャーの髙雄氏により
“ダウンロード作業はグループ会社にアウトソーシングしていたのですが、コストがかかることに加え、単純作業を長時間続けることによるモチベーションの低下や集中力の維持も課題でした。実際に、操作ミスも発生していました”
その状況を考え、サッポロビールはRPAを導入しました。RPAの活用によって、POSデータのダウンロード作業を自動化しました。
導入後の効果について、シニアマネージャーの髙雄氏はこのように語っています。
“このソフトの導入により、自動的にPOSデータのダウンロードが可能になりました。また、労力がかかることからこれまで1週間に一度しかダウンロードしていなかったカテゴリーのデータも毎日ダウンロードできるようになり、タイムリーな分析と提案が可能になりました”
RPAの導入により、サッポロビールは労働時間の削減効果は年間約5700時間、金額換算で約1100万円にも達したといいます。
この2つの事例を見ていかがでしょうか。RPAは自社内容に合わせながら導入でき、これにより、コスト削減や品質向上につながる可能性もあります。
参考記事:https://newswitch.jp/p/16519
https://toyokeizai.net/articles/-/177416
2019.03.11
今回のコラムでは、関東の大手スーパーマーケットチェーンマルエツのRPA導入事例を紹介したいと思います。
2019年2月20日、NECはマルエツにRPAソリューションを提供することを発表しました。
マルエツは、本部の経理業務の交通費精算業務と会計システム入力業務にRPAシステムを導入しました。具体的に、社員が申請した交通費を確認する業務と会計システムへ登録する際に行う金融機関との照合等の一連の作業を自動化しました。
今回の導入にあたって、2018年の4月から6月まで、実証実験も実施しました。その結果、2つの業務合わせて200時間を20時間に減らし、工数を約9割を削減しました。
マルエツは、RPAシステム導入を人がより付加価値の高い業務にシフトする「働き方改革」の一環として、店舗・本部業務の再設計を進めていきます。
経理財務業務におけるRPA導入
実際に、定型化業務が多く発生している経理財務分野において、RPAは容易に導入でき、導入効果も発揮しやすいです。その代わりに、労働力をより創造的な仕事を回ることができます。一方、RPA導入で、社員の就労時間を削減し、人材の定着しやすい環境にも構築できます。
経理財務業務におけるRPAの導入機会は多様です。
下記の記事では、経理財務業務におけるRPA導入機会をご紹介いたします。
また、マルエツがRPAシステムを導入した交通費精算業務をRPAシステムにより自動化する具体的な方法について、下記の記事をご参考してください。
参考記事:https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1902/21/news059.html
2019.03.08
仙台市は株式会社NTTデータ東北と、2019年1月28日、仙台市の行政事務にRPAツールの利用が有効であることを発表しました。
仙台市は昨年9月に、NTTデータ東北と、行政事務におけるRPAツール活用の有効性確認の実証に関する協定を締結しました。11月までに行政事務にRPAツール「WinActor」を適用した場合の改善効果を検証することが協定されました。適用業務は6業務を選定し、以下になります。
出典:NTTデータ東北
参考:https://www.nttdata-tohoku.co.jp/newsrelease/20180914.html
検証の結果として、検証対象となる6業務の業務は全部70%以上の作業時間削減率を得られました。特に、労務課のアルバイト雇用保険料の集計業務は、90%の高い作業時間削減率を達しました。
さらに、情報システム課の「庁内LANにおけるウイルス検知端末のネットワーク切断」業務については、「ロボットが職員に代わってウイルス検知メール受信を常時監視し、有事の際には決められたルールに則って処理を行う」というシナリオを作成・検証し、職員の手を介さずに迅速かつ正確な対処が可能であることが確認できました。
職員アンケートによると
“作業そのものを見直すきっかけとなり業務改善につながる”
“一般的なシステムに比べて容易に導入が可能である”
など好評を得られました。
今回の実証おいて、RPAツールの従来の作業時間削減効果を確認しただけではなく、RPAツールの新たな使用手法の有効性を確認しました。これからも、新たなRPAツール活用手法を位置付けることができるでしょう。
参考記事:https://it.impressbm.co.jp/articles/-/17366
2019.03.07
以前、「RPAの導入事例、業界大手4社の工数削減への取り組み」の記事でご紹介したことがある、損保ジャパン日本興亜は、2018年1月より、RPAを本格導入しました。
その記事は以下になります。
損保ジャパン日本興亜は、大規模災害時におけるRPA導入で、2018年度の単純な事務の削減時間が計約3万8000時間以上であることが分かりました。
2018年6月の大阪府北部地震よりに被害を受けられたお客さまへの早期の保険金を支払いのため、損保ジャパン日本興亜はUiPath 株式会社のRPAシステムを取り込み、災害対応における RPA の活用をし始めました。同年 7 月の西日本豪雨でもお客様対応にRPAシステムを活用しました。主に、お客様へ対応用書類の印刷、 保険金支払いまでのステータスを入力や契約情報等を印刷する作業をRPA導入で自動化してました。
損保ジャパン日本興亜によると
“地震や大雨などの大規模災害時においては、お客さまへ保険金をお支払いするまでには大量の事務処理が必要で、迅速な お支払いにおいて大きな課題となっていました。今般、内部事務の効率化を図り、お客さまへの手続き に関するご連絡や保険金支払を迅速に実施することを目的に RPA を活用しました。”
損保ジャパン日本興亜は、今後も、お客さまの利便性を向上させるために、大規模災害における保険金の早期支払に向けて RPA を活用していきます。
また、その他の事務作業領域においても、積極的に活用していくそうです
実際に、他の損害保険会社も、自社業務に合わせながら各自にRPAの導入を推進しています。
ケース1.あいおいニッセイ同和損害保険 年間1200トンの紙削減と138万時間の余力創出を目指しRPA推進
あいおいニッセイ同和損害保険は2018年11月2日、RPAソフトウェア「UiPath」を導入し、これまで人力で実施していた業務をロボットに代替することで自動化を推進することを発表しました。RPAによる業務のロボット化で自動化を促進し、営業店舗の負荷を軽減することで、経理部における4万時間の削減効果を狙い、年間1200トンの紙削減と138万時間の余力創出を目指しています。
参考記事:https://it.impressbm.co.jp/articles/-/16950
ケース2.三井住友海上火災保険 EXCEL(マクロ)の業務をRPAに変える
三井住友海上火災保険はもともとExcelマクロを使った業務自動化を進めていきました。2007年以降、ソフトウェアロボットが自動でPC作業をするツールを独自開発し、Webシステムを自動操作することで業務処理を効率化してました。それを全社的な取り組みとするにあたり、アクセンチュアが開発したPC操作分析ツールを活用しました。
以前に、三井住友海上のRPA導入事例を詳しく解説したことがあるので、以下の記事をご参考してください。
定型化したかつ入力ミスがあってはいけない業務にRPAシステムは適応性が非常に高いです。保険会社の業務は顧客数が膨大でかつ契約内容を効率的に管理しなければならなりません。そのために、RPAシステムに比較的に適用しやすい業務でもあります。これからも、業務効率化や人手不足を対応するために、保険業界各社はますますRPAシステムを導入するでしょう。
参考記事:https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/mag/nc/18/021300097/021400004/
2019.03.04
RPAに関する展示会は現在、多くのものが開催されていますが、その中でも最大級のものの一つが、
リードエグジビジョン ジャパン社が主催する「AI・業務自動化 展」(開催場所:東京ビッグサイト)です。
この展示会は年2回開催されるものですが、この度、5月に行われる春会において弊社、アーツアンドクラフツ株式会社も出展する運びとなりました。
今回の展示会では、弊社アーツアンドクラフツがRPAの数々のプロジェクト現場で培った知見を来場者の方に御披露したいと考えています。
アーツアンドクラフツでは、業界で言えばRPAの一大セクターである金融以外にも、
不動産や自治体、教育団体、そして製造業や会計事務所、医療事務など幅広い業界でRPA化の取り組みにチャレンジしています。
また、RPAだけの話だけでなく、OCR(AI-OCR含む)や、
他の業務ツール(経費精算、稟議申請、人事ソフト、会計ソフトなど)と連携した取り組みも多く行っておりますので、
ご興味あるかたは是非、下記のURLにアクセスしていただき、事前の面談申請をしていただければと思います。
↓アーツアンドクラフツ株式会社 AI・業務自動化 展(5月8日(水)〜5月10日(金)) 面談受付はコチラ
また、当日の「AI・業務自動化 展 【春】」についての詳細は以下になります。
弊社以外にも数々のRPAやAIの事業者が参加する展示会となっていますので、興味ある方は是非参加をご検討されてはいかがと思います。
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「AI・業務自動化 展 【春】」
会期: 2019/05/08 – 10
場所:東京ビッグサイト
公式サイトURL : https://spring.japan-it.jp/ja-jp/about/ai.html
【出展対象】
AI(人工知能)、ディープラーニング支援、RPA・業務代行ロボット、チャットボットなどを扱う企業
【来場対象】
あらゆる業種の情報システム部門、経営・経営企画部門の責任者・担当者など
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今回の展示会では、アーツアンドクラフツでは、まずお客様の要望に従い、
弊社でのRPA導入の案件事例のご紹介をしていきたいと考えています。
まず業界ごとにRPAに向いている業務というものが変わっていきます。
共通するものとして、経理・人事・総務などの社内業務が挙げられますが、やはり業界ならではのものも多く存在します。
弊社の中では以下の業界の知見があります。
これらの業界の事例のご紹介等を展示会では行っていきたいと考えています。
参考までに業界別に過去のブログの記事を載せておきます。
また、業界別の話だけでなく、RPAと関係のある、連携することの多い、
各種業務ツールについての話もしていきたいと考えています。
展示会当日では、その他にも多くのお話ができるよう、準備してまいりたいと考えています。
RPAだけでなくAIやその他業務効率化ツールが一堂に集まる展示会ですので是非ご参加ください。
↓アーツアンドクラフツ株式会社 AI・業務自動化 展(5月8日(水)〜5月10日(金)) 面談受付はコチラ