2018.11.30
参考記事:https://news.mynavi.jp/article/20180928-698714/
近年、日本国内労働力の不足へ対応や生産効率を向上するために、RPAを導入する企業が急増しています。
民間企業はもちろん、地方自治体での導入も多く聞かれています。
それらの事例は、すでに記事で多く紹介せていただいておりますので、ご参考にしてください。
さらに、近日、東京都葛飾区も源泉徴収精算処理業務に対するRPA導入に本格的に展開しました。
9月27日、みずほ情報総研は東京都葛飾区源泉徴収精算処理業務に対するRPA導入支援業務を受注したことを発表しました。
“同区のテスト環境下で源泉徴収精算処理業務のRPAロボット構築から効果検証までを実施した結果、RPAによる自動化で、年間444人日の作業工数の削減効果が見込まれ、職員の労働時間削減による生産性の向上、事務ミス削減による事務品質の向上、既存システム改修のコスト削減などの効果が得られたことから、本番環境での受注に至ったという。
”
実際に、昨年同じテスト環境において、葛飾区は、すでにRPAによる自動化で、大きな実証効果が得られたそうです。
これから、葛飾区はみずほ情報総研と協力し、今まで得られた実験結果に基づいてさらなる効果の高い実施法へ進んでいきます。
2018.11.29
参考記事:大津市、市役所業務などでRPA・AI活用–富士通と有効性を共同検証
地方自治体のRPA導入が進んでいます。
下記記事では、茨城県つくば市や、京都府の事例をご紹介しています。
そんな中、滋賀県大津市も、RPA導入へ向けてPoC(概念実証)に動き出したことが紹介されています。
滋賀県大津市と富士通は11月8日、「政策検討・立案へのデータ利活用」「保育所入所選考へのAI活用」「市役所業務へのRPA適用」の3分野で連携協定を締結したと発表した。2018年11月から2019年3月まで、有効性を共同で検証する。
大津市は、上記の3分野について、富士通と契約を締結し、RPAでは特に市役所業務への適用を検証するようです。
市役所業務へのRPA(Robotic Process Automation)適用では、大津市が業務を洗い出し、その業務の中から富士通がRPA適用する業務を選定。RPAツールによるシナリオとロボットを作成し、両者で効果を検証する。具体的には、内部事務システムに臨時・嘱託職員の勤務記録データを入力する業務での業務改善効果の検証を行うほか、国民健康保険料に関する所得申告書のデータから公的年金収入および給与収入の金額を基幹システムにデータ入力する業務での効果などを検証する。
業務洗い出し部分については、コンサルタントが担うこともありますが、
本件では大津市自身が行ったようです。
その業務洗い出し結果をもとに、富士通が業務選定のコンサルティングを行ったようです。
具体的なPoC業務としては、臨時職員や嘱託職員の勤怠管理システムへの入力業務や、基幹システムへの保険料収支の入力業務となっているようです。
どちらも、OCRなどの高度なRPA施策ではなく、
データ入力業務において検証していることから、PoCとして、一旦大津市役所内でRPAが馴染むかどうかを検証していることが窺えます。
自治体のRPA施策の進捗状況としては、PoCフェーズが今後とも増えていくものと考えられます。
2018.11.28
千葉県内の地方銀行、京葉銀行は今年度10月から主に住宅ローンの審査業務でRPAを導入しています。
RPAとはロボティック・プロセス・オートメーションの略で、人間に変わりロボットが単純作業を行うことで効率化を図ろうというものです。
今回京葉銀行で導入された住宅ローンの審査業務ですが、従来であれば仮審査に必要な顧客の勤務先や収入などの個人情報を銀行の行員が手作業で入力していました。
具体的には、一件当たり約40~60分の作業時間が必要であると日本経済新聞は報じています。
この業務をRPA化することで、結果的には一件当たりの作業時間は半減しました。
さらに、今までこの作業に当たっていた行員を営業やコンサルなどに配置しなおすことにより、それらの業務の強化を図るようです。
コンサルタント業務の強化に当たり、コンサルタントや営業の行員を2021年3月までには200人増やす見込みです。
将来的には、住宅ローンにおける審査だけではなく、ファックスなどによる申し込みなどもRPAによって自動化する予定で、年間5333時間の業務時間削減を目指しています。
銀行業務のRPA化は他の地方銀行などでも行われていることです。
京葉銀行と同じ千葉県の地方銀行だけでも、千葉銀行や千葉興業銀行もRPA化を推進しています。
今回の京葉銀行のように住宅ローンの審査のような業務だけではなく、取引の照会業務やオペレーター業務なども自動化を行っている銀行もあります。
業務のRPA化によって、人員削減やミスの低下など多くのメリットが生まれています。
銀行とRPAの関連性については以下の記事に事例なども含めて説明しておりますのでぜひご覧ください。
これからのIT化社会においては、特に銀行の形態は変化していくことが求められます。
フィンテックやブロックチェーン、人工知能などの登場によって今後、銀行の役割自体が変化していく可能性があります。
それらに対応していくためには、まずは業務の見直しや標準化などが大切になってくるでしょう。
時代の流れに取り残されないためにも、今ある業務をもう一度見直すときが来たのかもしれません。
2018.11.27
目次
【前回の記事はこちらから】
前回は実験の概要を紹介するまでの流れだったので、本日は具体的な実験結果に対し考察したいと思います。
下記に実証実験のURLを載せていますので、参照にしていただければ幸いです。
※日本電気株式会社_RPA実証実験結果 (PDF 3.8MB)
RPAを導入することとは、ロボット中心の運用フローが必要となります。
日本のアニメに慣れ親しんだ人にとって、ロボットを人間に近い姿形をしたものを想像しますが、
RPAはどちらかというと産業ロボットの事務バージョンと考えた方が良いかもしれません。
産業ロボットは、工場の組み立て業務を人間に代わってやってくれる、
一方、RPAはオフィスで事務作業を人間に代わってやってくれます。
産業ロボットを導入すれば、組み立て方も変わることがあります。
同様に、RPAを導入すれば、運用フローも変わります。
今回の実証実験の流れは
※運用前
個人を特定(人)
↓
住民税システムへ入力(人)
↓
確認帳票の出力(人)
↓
入力内容の確認(人
※導入後
OCR装置でのイメージファイル化(人+OCR)
↓
OCRソフトウエアでデータ化(ロボット)
↓
個人を特定(ロボット)
↓
住民税システムシステムへ入力(ロボット)
↓
未処理分の特定、入力(人)
↓
確認帳票の出力(人)
↓
入力内容の確認(人)
となります。
一見、RPAを導入すると行程が増えているように見えますが、
NEC者の担当も処理時間が短くなるように組み立てているかと思います。
例えていうなら、昔のマヨネーズ工場などの卵を大量に使用する工場では、
はるか昔、人間が卵を割りつつも血や殻が入っていないか確認していました。
現代では、割卵機で割れた卵をセンサーと人がチェックするという流れに変わりました。
卵割機やセンサーが取りこぼしたものを人がチェックするだけになります。
人の役割として、ロボットやセンサーの取りこぼしをチェックするだけになります。
RPAを導入すると似たような感じ、ロボットの取りこぼしを人間がフォローするような結果になります。
この流れの中で、ロボットが取りこぼした「未処理分の特定、入力(人)」、
この作業をいかに減らすのか、いかに人が業務時間を減らすかがポイントとなります。
ここで発生する業務はOCRの精度などが原因のため、費用対効果も含めて考察する必要があるかと思います。
精度の高いOCRというのはかなり高額になるため、中々購入しようという決断は難しいかと思います。
実験結果では、特定方法を、
A個人を特定する番号
B事業所を特定する番号
C上記以外(職員による確認)、
と3つに分けて実施したとあり、結果的にRPAが検索できたものの内訳がRPA60%、人力40%とあり、
自動検索できたものが少ないように思われます。
「個人を特定する番号」とありますが、個人番号(マイナンバー)なのか、それとも氏名・住所・生年月日なのか、
具体的にどの情報で特定したのかが不明なので、因果関係は不明です。
実証実験の個人特定フローでは検索結果が1件かどうかで分岐しています。
1件になるまで特定したのかどうか、どのように絞ったのか気になる所であります。
住民税システムで検索する場合、宛名番号ですることも多いのですが、個人番号(マイナンバー)を記載しているのであれば、
個人番号で特定するのが一番ですが、個人を特定する番号での検索率40%だとするとなぜ40%しか検索できなかったのか、
検索できなかった理由を明確に知りたいところではあります。
OCRの課題については、OCRの性能に基づく点が多いので、
他社のものを使えばより精度が上がるようになるかと思います。
今回の実証実験で使用したOCRは、手書きに対応しているもののAI-は搭載されておらず、
精度が上がっていかないものかと思います。
他社のAI-OCRはAIが学習することで読み取り精度が上がっていくので、40%の精度が更に上がっていく可能性があります。
記入する枠がせまい問題や点線については、異動届の様式の問題なので、
本導入する際に変更すれば対応できるようになる問題です。
しかし、市民課などの窓口業務でOCRを導入するにあたり、住民票などの申請書の多くは、
A4を半分にカットしたA5であるので、文字が小さくても読み取れる性能が良いかと思います。
RPA×OCRの導入ハードルは比較的高いようですが、効果は出ると思いますので、
RPAを導入するにあたり、業務フローの見直しを含めて検討する価値はあるかと思います。
異動届の仕訳については、1週間あたり340件の処理で職員の作業時間が15分なので、
RPA化をあえてしなかったように思えますが、個人的にはここもRPA化してもいいかなとは思います。
15分の時間を短縮する目的というよりは、
人間による仕訳ミスをなくすという意味ではRPA化した方が仕訳のミスそのものはなくなるかと思います。
未処理分の特定及び入力の職員の作業時間が436分、これについては多いという印象を受けます。
この436分を減らしていくこと、PDCAを回しながら工夫していくことが一つの課題かと思います。
NECの報告でも帳票定義の追加で436分が312分に短縮されるような提案がなされています。
今回の目的は実証実験なので問題はないかと思いますが、RPA関連に関わる方で、RPA導入を目的となり、
作業時間を減らすことをおざなりになっているような人達を多く見受けます。
また、ユーザーが継続的に利用することを念頭に置かず、複雑なフローにしてしまうことも多く存在します。
今後、そういった技術者、コンサルタントがRPAの未来を奪わなければ良いのにとは強く願います。
実際ユーザーであるお客様の声として大変貴重な意見ですが、好意的な意見が多いので、
ネガティブなこともあればと個人的には思いますが、NECの担当者が開発や対応も含めてよかったのであろうかと思います。
あくまでも実証実験なので、期間も短く、PDCAを回すような余裕もない中、裁量の結果が出たのかと思います。
RPAとは大げさなものでなく、Excelなど同じで、少し手を伸ばせば誰でもある程度は使えこなせるツールの一種です。
現在、RPAは百花繚乱時代で色んなRPAが出てきており、
ユーザーにとってはどのツールが良いのか分からない時代かと思います。
まだまだ各社でRPAの開発がなされており、今後も新たなRPAが出てくるかと思います。
ある程度出揃えば、RPAも淘汰されていくのではないかと思っています。
そうなった時は、ユーザーがシナリオ作成しにくいものというのは淘汰される対象になりやすいので、
ユーザーが使いやすい点も考慮しなければなりません。
現在、導入時には開発事業者に委託することが多いのですが、
開発事業者はユーザーでもあるクライアントがRPAを使用しやすい環境づくりも求められると思います。
今回の実験はRPA×OCRという実験だったので、大変意義のあるものです。
OCRはRPAが今後ツールの一種として認知されるためには必須のものかと思います。
実際、RPA導入を検討する方々にお会いするとOCRについてはかなり意識しています。
手書き対応のOCRについては、近年商用化されてきてはいるものの読み取り精度がユーザーの期待度を大きく超えないため、
もう少し定着に時間がかかるであろうかと思います。
OCRを導入するにあたっては、運用も含めた業務改善が必要になるかと思いますが、
手書きに拘らず、活字の帳票があるのであれば、活字帳票からRPA化を進めるのも良いかと思います。
2018.11.26
ご存知のとおり、RPAの大きい特徴としては明確なルールがり、かつ大量重複な作業に向いていると言わている。
また、ソフトによっても異なるが、導入時が発生する導入費用やランニングコストがあるため、当然RPAの作業量が多ければ多いほど費用対効果が優れるだろう。
そのため、現在多くの大中企業が積極的にRPAを導入しようとし、RPAのメリットを最大限活用しようとしている。
勿論、RPAの導入により、大中企業の場合特にインパクトが大きいが、大中企業の特性により、RPA導入時が起こるかもしれないトラブルもある。
今回のコラムでは、ある大企業がRPA導入にあたって起きているトラブルを紹介し、読者の参考になれればと思う。
今回事例となった企業は日本国内の大手企業A社だ。
業員数は約15,000人を超え、ITのメイン業務以外、金融などにも進出している総合グループだ。
この規模になると、当然RPAに向いている業務はたくさんある。
例えば、A社社内に複数の情報を確認システムが使われているため、特定の業務を遂行するためにシステム間のデータ交換が頻繁に発生する。
また、各グループ会社から特定な情報を集めて、集中て処理結果したりする業務もたくさんある。
これらの業務は今まですべて従業員がマニュアルで行っているが、すべてRPA化の良い業務だとA社が判断し、今年から全社範囲の大規模RPAプロジェクトを始めた。
しかし、プロジェクト組織体制のところでトラブルが起きた。
A社のRPAプロジェクトの組織体制がとても複雑な事になっている。
プロジェクトを担当するのは社内のIT部門になっているが、表1をご覧になると、IT部門以外に、とにかく色んな会社がこのRPAプロジェクトに関わっていることがわかる。
それぞれの役割を簡単に説明する。
RPAソフト選定するために、B社のコンサルティングを受けた。
RPAソフトを選定後、導入がよりスムーズにできるのと社内IT部門がRPAソフトを取得するためにC社と契約し、顧問を入れた。
そして、開発目標業務の選定やヒアリングなどは極めて工数がかかる業務なので、元々契約していたB社と社内IT部門以外、D社とE社と契約し、業務ヒアリングを入れた。
ヒアリングのあと、如何でRPAを開発するかというRPA開発設計をする必要があるが、A社内にリソースがないため、B社とE社が担当するとなった。
最後の開発段階だが、B社がヒアリング、設計をした業務を自らのチームで開発をしている。
それ以外は元々C社の指導を受けて、自社IT部門が開発するという方針だったが、社内IT部門のトレーニングスピードが遅くかつリソースが足りないため、単価の安い海外F社にアウトソーシングしている。
ただし、F社は選択されたRPAソフトの開発経験が足りないため、C社の指導のもとで開発をしている。
ここで、まずとして、外部からの組織が多い。
もちろん、一つの会社にすべての段階をサポートしてもらうのが良いが、様々な原因があって、特に大企業の場合、実際複数の外部会社と契約している場合も多い。
複数と会社と契約するほうがコストが安い場合もある。
A社の大きい問題点は複数の会社と契約していることではなく、これらの会社を統括できていないところにある。
B社はヒアリングから開発までのリソースを持っているため、チーム内で完結をしている。
D社は業務ヒアリングや書類作成が得意な会社なので、その部分のみを担当する。
E社はRPA開発設計ができるが、D社と社内IT部門のヒアリング結果に基づいてRPA開発設計を行う。
最後E社が開発設計書類をF社にレビューし、開発を行う。
各社が自らの部分を担当しているが、プロジェクト全体の進捗などを共有する場がないため、各社も実際どこまで進んでいるかも把握していないのが結果になっている。
また、各社のコミュニケーションはA社のIT部門経由で行っているため、非効率な場合がある。
例えば、D社は業務ヒアリングなどは得意だが、RPAに対する理解度が浅いため、ヒアリング時RPA開発に必要な情報が揃っていない場合やそもそもRPA開発が困難な場合がある。
そして、この情報がE社のところに届いたら、開発設計がスムーズに進められず、D社に再度の問い合わせが必要となる。
もしD社がヒアリングしている際にE社との連携がうまくできていれば、効率がよくなるだろう。
もう一つ統合できていないのは書類の管理だ。
開発ラインを大きく分けるとB社が一つチームで、DEF社が一つチームになるが、この二つのチームが使っている書類のフォーマットもそろっていなければ、保存場所も異なる。
要するに、同じプロジェクトで同じステップの業務をしているにも関わらず、ノウハウなどはあまり共有されていない。
RPA開発では、異なる業務でも似たような操作などがあり、とても参考になるだろう。
また、書類フォーマットが統一されていないと、後日のメンテナンスも大変なことになり得る。
解決策として、もちろん、外部組織をすべて統合するPMを設けるのもできるが、外部と契約する場合構造を変えることも方法の一つだと思う。
表2のように、各機能層ごとに一つの会社と契約し、そして社内IT部門は勉強しながら外部の会社と一緒に業務を行う。
この場合責務もはっきりしているし、各機能を担当する会社が内部でリソース調整やノウハウ共有もよりスムーズにできるだとう。
RPA化業務選定の段階から、各部署にヒアリングしに行くことか必ず発生する。
ヒアリング対象は基本選定された業務の担当者が適任だが、A社の場合もこの方針だ。
ただし、問題点としては、各部署にRPA化に対応する担当者を明確には設けていなかった。
勿論RPA対応担当者が必要ではない。
例えば、部門間のコミュニケーションが簡単に取れれば、IT部署が他部署にヒアリングしに行くことも簡単だろう。
そして、実際開発する際に、色々と追加の確認事項や仕様変更の相談も必ずあるので、随時に確認することも難しくない。
ただし、A社の場合、規模が大きいため、部門間のコミュニケーションは普段十分にとられていない。
A社の業務ヒアリングは通常ユーザー部署が対象業務のマニュアルを用意し、会議の形で開発部署にプレゼンする。
しかし、ユーザー部署はあくまでRPAに詳しくないため、RPAに合わせて業務フローを修正することが十分にできないだろう。
したがって、追加の確認事項がたくさん出てくるが、ユーザー部署の従業員が自分の業務が忙しく、それ以外のことを対応しきれないなどの原因で、なかなか確認取れない。
これの対策としては、一定期間で特定な従業員をRPA対応担当者に指定し、期間内でRPA開発に必要なことを優先的に協力するようにしたら効果的だろう。
すると、例えば、RPAに合わせて現在業務フォローの改正やファイル書式変更などRPA対応担当者が集中に対応し、業務ヒアリングと開発がよりスムーズにできると予想する。
今回はA社がRPA導入時発生したトラブルのもとに、大中企業特に起こり得る組織体制問題を紹介した。
外部組織と複数契約する場合最大限各組織を活かすためにうまく統合するか、役割別の組織構造を作る必要がある。
内部に関して、各部署間のコミュニケーションがうまくいかない場合、RPA推進する役を各部署に選定したほうが有効だろう。
全てのRPA導入プロジェクトが起きる問題ではなければ、これらの対策も正解ではないが、参考になれれば幸い。
2018.11.22
本コラムでは、RPAの導入機会を増やすために有効な、周辺ITツール/ソフトウェアの話をします。
RPAはその性質上、PC上で行われる作業しか対象となりえず、すなわち扱うデータ・情報は「電子化」されているものが基本的には前提となります。
今日のコラムでご紹介するITツール/ソフトウェアの数々は、通常の業務上で扱う情報を電子化する意味合いをもっており、それにより今まで紙等で行われた状況ではRPAの対象となりえなかった業務に対し、RPAによる自動化の機会を増やすことに繋がります。
このITツール/ソフトウェアはかなり広範囲の業務について、既に各ベンダーが製品を提供しております。
ただ、今回のコラムでは、特にRPAの対象として初手をつけやすい経理、人事、総務周りの業務で使われるものを紹介します。
また、奉行や弥生といった会計ソフトなど、通常どの企業様も使っているものについてはここでは割愛させていただきます。
今回紹介するITツール/ソフトウェアについても、既に「うちでは既に使っているよ。。」というものも多いかもしれません。
ただ、RPA導入コンサルティングの現場での経験から、実際にまだ未導入で紙や簡易的なメールのやりとりで済ましている企業様も多くいるものを選んでみました。
参考: RPAの導入を促進させるITツール/ソフトウェア
まず最初に取り上げたいのは、有給申請や婚姻などの各種申請を電子化するツール、通称ワークフローツールです。
これらの申請は後述する経費申請や勤怠管理のツールでも同様の機能をもっていたりしますが、「経費」や「勤怠」というカテゴリーには含まれない、社内申請も多く世の中には存在します。
例えば、総務に対する名刺の新規・追加印刷の申請や、保養所などの社内施設の利用の申請、そして、お客様の弔事に送る電報や花の申請というように、数多い細かな申請が世の中に存在します。
これらの申請は、通常はサイボウズなどのグループウェアを使っている企業様であれば、その機能から電子化することは可能です。
そのようなものは使っていない企業様の場合であってもGoogleのG Suiteと連携したワークフローツールを使用したりもできます。
RPAへの活用例としては、このワークフローツールで来た電子化された情報をもとに、担当者が承認ボタンを押せば、名刺や花の会社などに自動で発注メールが飛ぶように仕組みをつくることができます。
また、企業によっては受注案件や諸々の決裁について稟議書を回しているところもあります。
そのような稟議書もワークフローツールにより情報を電子化することで、転記作業などを自動化することは可能です。
次に取り上げたいのは、社員の旅費・交通費などの経費申請についてです。
社員が立て替えて支払うもの代表は出張等に付随する交通費、宿泊費などですが、企業によってはそれ以外の諸々の経費申請が発生するケースもあります。
このような申請を簡易化するためのツールとして有名なのはコンカーや、楽楽精算といったサービスになります。
特に、コンカーでは、社員は領収書をスマートフォンで撮り、その画像で申請をすることも可能になります。
紙の証書も規則上、提出することが求められますが、電子帳簿保存法の施行により、かなり領収書管理の手間を省くことが可能になります。
これはRPAによる効果とは別の話になりますが、経費精算はどの企業も負担に頭を悩ます業務ですので、一考の余地はあるかと思います。参考までに横浜ゴムでの事例を紹介します。
参考: 領収書電子化を急げ!電子帳簿保存法対応の先陣を切る横浜ゴムの狙いとは
(https://www.concur.co.jp/newsroom/article/case-study_yokohama-rubber-ebunsho )
この経費精算ツールとRPAの連携についてですが、主に会計ソフトへの転記作業が中心となります。
経費申請をするときに、社員番号や、費目情報、そして部門コードやプロジェクトコードも入れさせることにより、会計ソフトへの転記が自動化できる余地が広がります。
もちろん、何でもかんでもチェックなしで申請を認めるわけではないので、上長など担当者による承認がなされたもののみを転記対象とします。
社員の日々の勤務時間や、有給消化、代休や振休の管理は、ほぼ全ての企業が行っている業務と言えます。
これらの企業活動に欠かせない業務を扱うのが勤怠管理ツールです。
これらのツールには打刻システムと連動したり、シフト管理や労務時間を案件ごとに割り振ったりできる機能もついていたりします。
これらのツールで有名なのは、チームスピリットやジョブカンといったサービスになります。
筆者の所感でいうとチームスピリットは案件管理に強く、B2B向けの事業を行う会社に有効、ジョブカンはシフト管理等ができやすいので小売業などB2C向けの印象です。
RPAの活用シーンとしては、これらの勤怠情報から残業手当などの金額を算出したり、残業過多の社員のリストを作ったりしますが、それらの作業を自動化する際によく使われます。
こちらも先述の勤怠管理と同様、所轄で言うと人事部周りのツールになります。
人事評価の管理であったり、各社員の所属、組織変更などに対応して人材管理を行うためのツールです。
既に社内にいる人材についてはワークデイやカオナビといったツールが存在しますが、その他にも数多いソフトウェアが存在します。
特にワークデイは、統合型であるので組織図や従業員の管理もできますが、その他に給与明細や休暇申請、そして経費や財務の管理なども行えます。
また、その他に人事部の業務の大きなものとして採用活動が挙げられると思います。
このように新卒や中途などの応募者の管理については、現状リクナビやマイナビといった採用活動支援サイト運営事業者が提供するツールを使うことが一般的です。
特にマイナビはAOL(アクセスオンライン)と呼ばれる採用管理システムを持っており、多くの企業が利用しています。
RPAの活用シーンとしては、これらの人事管理ツールへの情報入力や抽出・エクセルへの転記といった作業が挙げられます。
特に、採用活動については、多くの企業がリクナビとマイナビを併用しており、両者のデータ連携作業、例えばリクナビのデータからマイナビのAOLへの打ち込み作業といったものが発生しています。
このような単純ですが量の多い業務はまさにRPAに打ってつけの領域となっています。
最後に、ご紹介するのはOCRです。
OCRは紙面上にある文字情報を電子テキスト化する技術を指します。
このOCRの技術は筆者経験上、どのRPAプロジェクトでも必ず一度は話題に挙がるトピックです。
バックオフィスでのパソコン業務の多くが、実はこの紙の帳票にある情報を入力することであったりするからです。
例えば、お客様からの申込書や、各種ベンダーから請求書、そして先述した社員の経費精算からの領主書などなど、紙上の情報は日本で溢れています。
もっとも良い方法は、これらの紙を電子請求書システムや、電子申込システムに置き換えることですが、慣例上、印鑑の捺印が求められたりするとなかなか難しかったります。
筆者がコンサルティングの現場でまずおすすめするのは、紙情報での申し込み・届出自体を電子化することですが、それが上記の理由により難しい場合は、OCRの検討を提案します。
このOCRの読み取り精度は日進月歩の世界であり、どの会社の製品を選ぶかが非常に重要になります。
特に、お客様からの申し込みなどの「手書き」を読み込ませたいのか、ベンダーから請求書などの「活字」を読み込ませたいのかで適したソフトウェアは異なります。
例えば「手書き」であればAIインサイドなどの手書き読み取りにAI-OCRがお勧めです。
また「活字」の場合、重要なのは一文字一文字の読み取り精度というよりか、帳票フォーマットの特定や、その中にある必要情報の抜き出し技術になりますので、ABBYY社のような製品が適していると言えます。
このOCRツールとRPAの連携シーンについては言わずもがなでしょう。
OCRにより電子化されたテキスト情報を各種システムに入力するところをRPAが担います。
お分かりの通り、このOCRとRPAの相性は非常に良く、今後もRPAのプロジェクトが世の中に浸透するにつれて、同時にOCRの取り扱いノウハウもコンサルタントに求められてくると予想されます。
今回は経理・人事・総務周りで使われるツールを紹介しましたが、営業事務ではセールスフォースなどのCRM、SAPなどのERPツールのようなものもよくRPAの対象となります。
ただこれらのCRMやERPは事業の根幹を担うものであり、既に導入されている企業は多いです。
一方、今回ご紹介した経理・人事・総務周りのツールは導入が後手になっている、もしくは導入済であっても使っている部署とそうでない部署が混在していたりと標準化が不十分なケースが散見されるものです。
業務効率化、働き方改革の推進に興味を持つ企業様はこの機会にぜひ導入を検討し、RPAと併せて業務負荷低減の果実を狙うことをお勧めいたします。
2018.11.21
RPA業界で最大手の一つであるUiPathは11月15日に中国北京市内にて初の顧客向けセミナーを開催した。
UiPathは日本でも多くの企業に導入されているRPAツールである。
そのツールの使いやすさと、教育ツールを無料で開放しており開発者の育成コストが低いことがUiPathが多くのユーザーを取り込んでいる点の一つだ。
さらに、限定的ではあるが「UiPathコミュニティエディション」を使用する際は導入コストが0円で使用することができる。
これにより、まずは試験的にRPAツールを使用することが可能な点もメリットの一つだろう。
もっと詳しくUiPathについて知りたい場合は、弊社のエンジニアが二か月間UiPathを使用しての感想やメリットなどをまとめているので以下の記事をご一読願いたい。
さて、今回中国でUiPathはセミナーを行ったわけだが、ここには中国での市場拡大が狙いであるという見方ができる。
実際、UiPathのアジア太平洋地域の営業を統括している金少陵バイスプレジデントは「この1年間で、アジア太平洋地域で500社以上のユーザーを新規開拓し、このうち160社以上が中国のユーザーだ。」と紹介し、今後中国市場はますます大きくなっていくとの見方を示している。
確かに、現在ではアリババもRPAに意欲的な見方をもっており、「アリクラウドRPA」という名のロボットも開発している。
他にも、国営最大手航空会社である、中国南方航空もコスト削減のため、Ernst & Youngとコラボをし、車内の財務システムをRPA化することを図っている。
それ以外にも多くのRPA化を行っている企業が存在する中国。
中国国内でRPA化した企業の詳しい業務内容や他の企業については以下の記事にて記載しているのでよろしければ読んでいただきたい。
従来は人件費が他の先進国の国々に比べて低かったため、削減できる費用には限界があった中国。
しかし、今後人件費が上昇することにより企業側も何かしらの対策を必要とするのではないだろうか。
今回のセミナーでも現在の中国の人件費が毎年上がってきており、そこにRPAの入り込む余地があるのではないかという意見も出ているようだ。
今後、日本の人口減少や移民の受け入れによって社会情勢が変化していく中で、中国でのRPA市場も目が離せない。
2018.11.20
今年可決されたばかりの「働き方改革法案」。
以前から「日本人は働き過ぎ」と言われてきましたが、なかなか改革が進みませんでした。
しかし、ここにきて労働環境が一気に変わろうとしています。何故、労働環境が変わろうとしているのでしょうか。
そもそも、働き方改革は何故始まったのでしょうか。
具体的な事例を紹介しながら「働き方改革とは何か?」改めて考えていきたいと思います。
2016年頃から政府主導による働き方改革が進みだしました。この改革の背景にあるのは、今日本の置かれている状況にあります。
日本の総人口は今後も減少が予想されており、2050年には国内人口が1億人を下回ると言われています。
人口の減少にともない、労働人口も当然急速な勢いで減っていきます。
労働人口が減るとどのようなデメリットが発生するのでしょうか?
想像しやすいことだと、「働き手」が若者を中心に減っていくので、我々の実生活にも影響が出てくることが挙げられると思います。
さらに、働き手が減少することで国の生産力も落ち「世界から見た日本の経済力」という観点でも非常に悪い状況になります。
他国が経済的に伸長する中、日本だけが取り残されていってしまうかもしれません。
働き方改革とはこのような背景から、「総人口が減り、少ない労働人口の中でも効率的に日本の経済を回す方法」を考えています。
もちろん少子化対策や社会福祉制度もあわせて考えていかなくてはいけませんが、働き方改革では労働における効率化を中心に議論されています。
①労働の効率化:残業して長時間働くのではなく、労働生産性を上げる
②労働の多様化:ITやクラウドツール等を利用しオフィス以外で仕事ができる環境をつくる
③労働の一般化:高齢者の雇用、育児中の女性の労働参加促進
という3つの視点で働き方が見直されています。
それでは、具体的な事例をご紹介しながら働き方改革を考えていきましょう。
かつて日本では「モーレツ社員」といって長時間働く者が優秀とされてきました。
極端な例ですが「10時間働いて10万円分の成果を出す人」と「6時間働いて10万円分の成果を出す人」では、前者の方が「残業をしていてがんばっている」と評価されました。
しかし、これは本来の評価の視点では不公平です。
「長時間残業をしている人が偉い」という考えを無くし、どれほど効率よくアウトプット(=成果物)を生み出せているのかを図ろうという動きに変わってきています。
労働生産性を上げる方法のひとつとしてテレワーク(在宅勤務)の制度を導入する企業が増えつつあります。
オフィスでなければできない仕事なのか?という視点で仕事を見直します。
例えば営業先の店舗からオフィスに戻り、日報を書いて提出する。
当たり前のように行っている業務ですが、日報を書く業務は本当にオフィスでなければできない仕事なのでしょうか?
最近では、クラウドを使いオンラインで日報を作成して共有できるツールもあります。
訪問先からオフィスに戻らず家で日報を作成することも可能です。
さらに、訪問の予定が無ければ、ビデオ会議やチャットツール等を使って出社せずとも仕事をする事が可能です。
企業にとってもアウトプットだけを評価すれば良く、交通費の削減などのメリットもあります。
既に大部分の企業で取り組まれている制度ですが、女性だけではなく男性へ育児休暇取得を促進する企業が増加しています。
男性社員が育児休暇を取得し子育てに参加することで家族とのコミュニケーションも高まります。
また、女性の活躍という視点でも男性の育児休暇取得は有効です。
日用品の大手メーカーである花王では子どもの生まれた男性社員に対して、育児休暇取得の促進を行っています。
対象の男性社員本人だけではなく、その上長に対しても育児休暇のリーフレットを配布して取得を啓発しているようです。
育児休暇と同様に既に多くの企業で制度導入が見られていますが、この制度でも男性社員への時短勤務も視野に取り入れてみましょう。
制度自体は多くの方が知っている内容だと思いますが、育児や介護にたずさわる社員を対象にして勤務時間を通常より何時間か短縮する制度です。
通常は8時から17時までの就業時間だった場合、例えば8時から15時までになるなど、就業時間が短くなる制度です。
現在は小さい子どもがいる女性社員の取得が圧倒的に多いのですが、今後は男性の育児参加も視野に入れて取り組む制度となりそうです。
また、8時から15時までと固定するのではなく、10時から16時までの勤務であったり、午前中までの勤務であったりと柔軟に設定する企業も多いようです。
近年では小さい子どもを育てる社員だけではなく、社員の両親の介護を目的とした時短勤務取得者も増えていくことが予想されます。
フレックスタイム制度も働き方改革が進む前から浸透している制度ですが、今後より一層期待される制度です。
時短勤務と異なり総労働時間は短くなりません。
しかし、1ヶ月の範囲内で始業の時刻と終業の時刻を柔軟に変更できる仕組みです。
9時~18時までが終業時間だった場合、1時間早く出社して1時間早く帰宅することも可能ですし、昨日1時間残業したから今日1時間早く帰るというように日を跨ぐことも可能です。
「昨日頑張ったから今日仕事早く終わってしまったけど、18時までが終業時間だから座ってないといけない。」という非生産的なことが減少します。
本当に毎日9時に全社員が集まる必要があるのか、18時に全員で終礼を行って業務を終える必要があるのか今一度考えてみると良いかもしれません。
(https://work-holiday.mhlw.go.jp/material/category1.html#subcategory1)
身近なITを使った働き方改革への取り組み例をよく聞きますが、ハードなツールだけじゃなく、企業風土に合わせて活用していかなければなりません。
ノー残業デーを導入してみたが形だけで終わっている、男性の育児休暇取得推進も人事が盛り上がっているだけで実態としては誰も取らないという声が多く聞かれます。
そのためにはまず管理職自ら率先して行動する事で、組織に制度を馴染ませてあげる必要があります。
他社から転職してきた部下、年下の上司、外国人の同僚など、従来の年功序列型日本企業には無かった社員の多様化が進んでいます。
また、ITを利用することで直接相手と話をしたり、議論したりする機会も減り、組織内で個人間の意思のすれ違いが発生しています。
こうした状況の中、人事が現場に入り個人と個人の関係に着目した「組織開発」に注目が集まっています。
近年の環境変化の激しい状況の中、企業は生産性の高い機動的な組織の構築が求められています。
経営者は持続的に成長できる「組織力」をどう作り上げるか、という事に大きな問題意識をもっています。
組織開発に注目が集まる背景には、働き方が変化したことにあります。
従来の日本企業では一度新入社員として入社すると、その企業だけでキャリアを過ごす事となるため、社員の同質性が高く価値観がずれるなどは発生しにくい環境にありました。
いわゆる「同じ釜の飯」を食べる、家族に近い組織で構成されていました。
しかし、現代においては社員の多様化が進み、転職してくるもの、上司が年下や女性、あるいは外国人が同じ組織に所属している、というケースも珍しくありません。
こうした環境の変化を背景として、個人ではなく、個人と個人の関係性に着目し、組織全体の変化に対応するにはどう変革すべきか、というアプローチが組織開発です。
2018.11.19
参考記事)スカイコムとRPAテクノロジーズ、OCR不要のBizRobo! Paper-free
RPAテクノロジーズ株式会社(以下「RPAテクノロジーズ」)は、株式会社スカイコム(以下「スカイコム」)と協業を行い、新サービス「BizRobo! Paper-free」を2018年11月14日より提供開始しました。
RPAテクノロジーズはRPA業界最大手の一つである、RPAホールディングス株式会社(以下「RPAホールディングス」)の子会社であり、RPAのベーステクノロジーを提供している企業です。
RPAテクノロジーズが提供しているサービスの一つに「BizRobo!」があります。
従来の「BizRobo!」のサービスについて詳しく知りたい方は、以下の記事で細かく説明していますのでよろしければご覧ください。
スカイコムは自社開発のPDF技術を保有する純国産のPDF産業メーカーです。
スカイコムが提供している製品シリーズには「SkyPDF」「SkyAgent」「SkyPAS」が存在し、それぞれの製品ごとに特徴があります。
その中でも、今回「BizRobo!」と連携するシステムは「SkyPDF」というサービスです。
「SkyPDF」は様々な状況に想定したオプション製品も提供しており、ワードやエクセル、パワーポイントなどへの変換やWindowsタブレットによる手書きの文字入力の補助など、他にも多くのオプション製品が存在しています。
そして今回新しく提供されるのが「BizRobo!Paper-free」です。
その内容は多岐にわたり、従来の申告書などの仕分け作業の代行業務だけでなく、その先のシステム管理から二次・三次利用に至るまでを人間の手から解放してロボットが代行してくれるという内容です。
(引用:RPAホールディングス株式会社、BizRobo!Paper-freeによる文書関連業務のデジタル化イメージより)
具体的な業務内容としては、経理業務などによる請求書からの記帳や紙媒体から電子データへの移行という業務内容が想定されます。
簡単に言うと「(紙をやめるなど)BPRを先にやろうぜ、そしたらRPA化しやすいからさ」というサービスのようです。
経理や税理の業務については以下の記事にて詳しく説明しております。
経理・税理の業務内容の中でRPAをフルに活用できる分野を説明しておりますのでよろしければご覧ください。
さらに、筆跡鑑定可能なストローク情報を暗号化して保存する技術によって電子サインとしての機能も実装しているようです。
2018.11.16
本コラムでは、RPAの導入をする上で欠かせないコンサルタントの話をします。
筆者自身もそのような仕事をしている人間の一人でありますが、果たしてRPAコンサルタントの仕事とはどういうものでしょう。
エンジニアとの違いも含めて説明したいと思います。
まずRPAの導入プロジェクトの工程ですが、以下になります。
参考:RPA導入プロジェクトの工程
このうち、RPAコンサルタントが支援するのは主に最初の対象業務選出からプログラム設計書作成までです。
プログラム設計書については、一見エンジニアの仕事だろ。。。と思われるかもしれません。
確かに、大規模プロジェクトの場合、リソースにも余裕がありますので通常はエンジニア側の仕事になりますが、中規模・小規模になるとエンジニアには開発に専念してもらったほうが良い場合があります。
その場合、コンサルタントが設計書まで書き、開発エンジニアにロジックを説明する、といったこともしばしば起こるのです。
また、プログラム(RPAのシナリオロジック)の設計をする際に、都度、業務側つまりユーザー側との仕様変更やフロー変更等を詰めていく必要があります。
その場合、エンジニア→コンサルタント→ユーザーと重層的なコミュニケーションをとるよりか、コンサルタントがプログラム設計書まで書いてしまい、都度、ユーザーと確認するほうがスピードも増します。
それでは、RPAコンサルタントとしてプロジェクトを回すためには、どのような知識・スキルが必要でしょうか。
それは大きく言って3つあります。
RPAコンサルと、通常の業務改善を試みる業務コンサルタントとの大きな違いとして、まずロボットに関する理解が挙げられます。
RPAというのは、一種のITツールでしかありませんが、それを導入するとなった場合には、
ITシステムとして捉えるよりか、ロボットという一個の特殊な人格が入社してきたと思ったほうがイメージがつきやすいことがあります。
このロボットは融通が利かなく、全くもってして決められたマニュアル通りの作業しかできませんが、ただその代わり、処理速度は高速でかつ正確無比、そして24時間働けるといった特徴を持っています。
このような特徴を持った人格が最大限にパフォーマンスを出すためには、既存の人間達はどのように彼/彼女に接すればいいのか、指示の出し方はそうするのか、仕事の分担・棲み分けはどうすればいいのか、考えることになります。
あたかも動物園の職員たちがライオンはどういう生態をしているのか、キリンはどういう生態をしているのかを熟知して飼育をしているのと同じように、RPAコンサルタントもロボットというものがどのような特徴をもっているのか知る必要があります。
既存の業務フローをロボット用のシナリオに解釈しなおす必要があり、その時には最低限のプログラム知識が必要です。
また、先述したように、コンサルタントがプログラム設計書を書くケースも増えています。
RPAコンサルタントとして自身の市場価値を高めたいと思うのであれば、やはり自身の手である程度のRPAの設計が行える程度の知識はあったほうが良いと言えます。
次に、RPAの対象業務の選定等を行う際に、ユーザー部署の業務知識が求められます。
これは現実的にはユーザーとのアリング前に100%知識武装して臨むのは難しいですが、ある程度の一定水準の業務知識が求められます。
特に以下の業務/業界についてRPA化を進めるのであれば事前の知識があったほうがヒアリングは捗ります。
これは相手との話を円滑にスピーディーに進めるためだけでなく、業務選定をするためのヒアリング段階で相手の抜け漏れや、追加業務の存在を気付かせる上でも有効になります。
専門知識のいる業務(経理・財務業務など): 経理の関係の業務はRPAにおける一大分野となっています。
「まず試しに一部署から。。。」というクライアント企業が、経理部を対象に挙げることも多いです。
そして、この経理部の業務というのは、大きな流れでいうと各社で差ほど業務内容の相違がない領域でもあります。
従って、RPAコンサルタントがまず業務知識を習得しようとする場合、真っ先にこの経理業務の知識を増やすことをお勧めしております。
経理・財務では、買い掛け・売り掛けの計上やその消込、源泉徴収などの専門用語が良く出てきます。
このあたりの言葉の理解、そして一般的な経理業務のフローを聞き手側のコンサルタントが抑えておくと、ユーザー部門側のストレスも減じると思われます。
専門知識のいる業界(医療/金融/不動産など): これは、これらの業界の全ての業務で必要なわけではないですが、例えば、製薬会社の治験業務のRPA化を図る場合、PMDAへの申請のための標準フローなどを知っておくことが求められます。
また、不動産や金融機関のRPA化の場合、ローン審査などが対象業務に挙げられることが多いですが、そのあたりの規約や届出に必要な書類の知識も事前にあったほうが望ましいです。
最後に、これはコンサルタントとしての必須の素養ではありますが、ユーザー部門の相手から情報を聞き出し整理するためのヒアリングスキルが挙げられます。
ユーザー部門の方々は、日々自身が行っている業務は誰よりも詳しいはずですが、必ずしも整理されている訳ではありません。
例えば、最初にRPA対象業務の選定をする段階で、大まかに各ユーザー部門の方々から自身の部署が行っている現業務項目を洗い出してもらいます。
その時に、大きな括りから小さな括りまでバラバラの形で自身の業務を話される方もいます。
このようなときに業務項目を大・中・小レベルくらいに構造化して頭の中で整理しておかないと後で、エクセルに業務リストとして落とした時に非常に読みにくいものになってしまいます。
また、このRPAのプロジェクトは大きな範疇で言うと「業務改善」の施策の一つになります。
業務改善というものは、本来なら現場職員の方々の負荷を軽減するためのものですが、一つ情報の見せ方を間違えると「人減らし」の施策にも映ってしまいます。
また、現場で日々目の前の業務に勤しんでいる方々からすると、良きにしろ悪しきにしろ自分が今までしていた仕事のやり方を変えられるのは抵抗を生むものです。
そのあたりの人間心理を理解し、円滑に現場ユーザー部門の方々と話をし、一緒にロボット向けの仕事のアイデアを考えていくような協力的な関係を構築するには高いコミュニケーション能力が求められます。
それでは、RPAコンサルタントとして必要な各知識・スキルの習得の仕方について述べたいと思います。
こちらについては弊社の社員のトレーニングプログラムでも使っている実績のある手法をご紹介します。
こちらについては、まずは各種RPAソフトが出しているチュートリアル・トレーニングツールを活用することをお勧めします。
弊社では、RPAソフトの中でもUiPathに特に力を入れておりますが、そちらではUiPath Academyというサイトがあり全14レッスンを受けることで資格取得ができます。
参考: UiPath Academy (https://www.uipath.com/ja/rpa/academy から登録)
こちらは動画でのチュートリアルがありますが、基本的に「自主学習」で進める内容になっています。
これはプログラマーの方は全員同意していただけると思いますが、特にプログラミングの世界ではこの「自主学習」の姿勢こそが大事になります。
自分でプログラミングしてみて、うまく動かない時に、仮説を持ち検証し、それでも分からなければ外部サイト等を参照しながら別の打ち手を考えます。
その工程を繰り返すことで、知識が身につくことになるからです。座学形式の聞くだけ講座では決して身につきません。
例えば、Web画面からSelectorを使って情報取得する場合や、PDFやエクセルの帳票から情報を取得するの為のロジックを想像するには自身でプログラミングした経験をつけることが一番です。
えてして同じ帳票タイプ(同じ会社からの請求書など)であっても物によって微妙に記述内容が変わったりします。
その法則性を見つけ、ロジックに落とし込むといったことはコンサルタントであっても身に着けるべき素養であると考えます。
次に、コンサルタントとして習得すべきは、「業務選定」のやり方です。
ここでは、ある程度の業務知識も求められるので、比較的使いまわし良い「経理業務」についてのヒアリングを想定します。
最初に一般的な経理業務というものを棚卸したひな型テンプレートを用意し、それをもとにトレーナーをクライアントに見立てて、ヒアリングしていく練習をしていきます。そして最終的にそのクライアントに合った業務リストを再整理・精緻化していきます。
また、その際に①で培ったプログラミング知識を活かして、結局どの業務がRPAに向いているのか評価する練習も重要になります。
また、RPAの効果を最大限化するためには既存のフローの変更も提案しなければなりません。このあたりのスキルは一朝一夕で見につくものではありませんが、まずは果敢に自身で考えて提案していく姿勢を醸成していくことが肝要になります。
最後に、To-Beのフローについてクライアントと話した結果を設計書にフロー図として落とし込む作業です。
正確には、前述の業務選定と設計書作成の間にAs-IsとTo-Beフローの作成を行うのですが、最終的にプログラム設計書が書けたらこれらのものも同様にできるので割愛しています。
プログラム設計書の場合は、よりロボットの深い知識に基づいたフローの作成が必要です。
でないとエンジニアが開発できないからです。最終的には成果物としては以下のようなものができます。
参考: プログラム設計書例
以上が、RPAコンサルタントになるための必要知識・スキルについての説明になります。
正直、このあたりの知識・スキルは簡単即席で見につくものではないと思いますが、とはいえOJTに任せてばかりだと習熟のスピードが神頼みとなってしまいます。
コンサルタントを目指す個人にしろ、コンサルタントを育てる企業側にしろ、受注案件だけに頼らない育成の仕組みが求められます。
2018.11.14
RPA(ロボティック・プロセス・オートマティック)は、既存システムと異なり、
比較的低コストで業務プロセス自動化を実現できるのが最大の強みです。
RPAを活用すれば、従来はROI(投資収益率)面で見合わないなどの理由で
IT導入が見送られ人海戦術でカバーしてきた業務プロセスにも光が当たります。
イギリスのブルー・プリズム社がRPAを立ち上げて15年、ようやく日本国内でも普及が進んできました。
総務省のレポートによると国内では20.4%が導入済又は導入中、19.1%が検討中です。
企業もバックヤード業務の生産性向上のため、重い腰を上げつつあるのです。
とはいうものの、RPAは万能ツールではありません。
今回の記事ではRPAで効率化できる(又はすべき)業務と難しい業務について、経理業務を事例に解説します。
事務の派遣さんを使ったことがある方はお分かりだと思いますが、派遣さんは契約により定められた業務をこなすのが仕事です。
勝手にお茶くみやコピーをお願いしてはいけません。
定型業務をマニュアル通りに進めるのが原則で、マニュアルに載っていないような事態には対応できません。
突発的に判断を要する場合、派遣さんは必ず正社員に指示を仰ぎます。
派遣会社から、そうするように厳しく指示されているからです。
RPAも、派遣社員と同じです。
ここでは、仮に「ロボ山さん」としましょう。
ロボ山さんが担当するのは、「単純なパソコン操作」だけで、他の業務は指示できません。
ペーパーを扱う業務も、NGです。
その代わりパソコン操作、例えば複数システムの立ち上げ・ログイン・エクセルファイルへのデータ抽出・転記・金額の照合・共有フォルダーへの保管や更新・添付ファイルのメール送信といったタスクは大の得意です。
人間が数時間かかるような一連の作業を、ロボ山さんは2-3分でこなします。
しかも、他の派遣さんと違ってミスしません(指示が間違っていれば別ですが)。
残業規制も関係ないので、夜中でも働けます。
風邪をひいて休んだり、ある日突然会社に来なくなる、なんてこともありません。
まとめると、RPAとは「パソコン操作」中心の「定型的な業務」を、ソフトウエアロボットにより代替するソフトウエアなのです。
RPAベンダーのプレゼンでたまに紹介されるのが、以下のような事例です。
確かにこうした業務は、定型的な業務ですのでRPAには向いています。
ただし、こうした業務は処理件数が膨大で高いROIが期待できるので、すでにIT化している企業も多いのです。
むしろRPAに向くのは、処理件数が少ないようなニッチな仕事です。
例えば、経費精算で過剰請求があった場合の返金処理です(ちなみに経理は、過少請求を見つけてもそのままスルーします)
最近の経費精算は、担当者が申請し所属長が承認したら即転記・振込みというケースが多く、経理のチェックは事後というケースが増えています。
ですから、過剰請求があった場合、経理担当者は申請者に過剰分の返金を求めなければいけません。
経費精算システムはこうした事態に対応していないので、以下のようなハンドリングの処理が必要です。
一連の作業は、全て人手でカバーせざるを得ません。
経費精算業務は、業務負荷が膨大ではないにしても、そこそこ手間がかかる「IT化されていないプロセス」を数多く抱えています。
そうしたプロセスこそ、RPAに適しています。
消費財メーカーでいえば、得意先に対する一連の取引、受発注・納品・請求回収といった業務はEDI(電子的データ交換)により自動化されています。
一方で、返品(売れ残りや不良品)処理に関しては、EDIには乗っているものの、入力データの不整合・返品データ処理と現物返品タイミングの不一致・返品ルートの輻輳などの問題があり、照合・返品データ登録に関しては手作業に頼っているのが現実です。
もちろん照合・登録したデータは会計システムにインターフェースされていないので、こちらもハンド入力せざるを得ません。
その他、メーカー側から供給する販促ツールの費用処理も、システム化が難しい業務の1つです。
販促物といっても、商品サンプル・販売什器・カレンダーなどの配布物など実に多種多様です。
ツール・得意先によって供給ルートがさまざま、費用負担(得意先請求またはメーカー負担)もケースバイケース、社内決裁が必要な場合もあり、システム化が難しいのです。
こうした「統一処理が難しい業務プロセス」こそ、RPAによる自動化に向いています。
一方、RPAにも苦手とする業務プロセスがあります。紙を取り扱う業務です。
ここ数年、政府や税務当局によるアナウンス効果もあり、決算帳票(決算書・補助簿・伝票等)の大部分はペーパーレス化が進みました。
一方で、領収書・請求書は昔から殆ど変わっていません。
スマホによる画像がタイムスタンプ付という前提で証憑として認められるようになりましたが、領収書を見ながら申請データ(支払日・使用目的・発生部署・予算区分等)を入力するやり方は同じです。
最近のRPAベンダーはスマホ撮影・文字認識API(アプリケーションプログラミングインターフェース)をセットで提供し、領収書の自動申請を売り込んでいます。
最近の文字認識は性能が良く、手書き文字でない限りはほぼ完ぺきにテキスト化できます。
ただし、領収書のフォーマットは多種多様です。
フォーマットがバラバラのデータを「非構造化データ」と呼びます。
残念ながら現状のRPAは非構造化データを認識できないので、さすがに完全自動申請とはいきません。
しかも経費精算自動化の決め手は、文字認識の高度化ばかりではありません。
現金大国日本でも、最近ようやくキャッシュレス化の機運が高まっています。
社員にスマホを支給しているケースでは、スマホ決済を通じた支払いデータの自動取り込みも視野に入ってきます。
そうした点を踏まえると、今慌てて文字認識APIを導入するのが得策かどうかは、よくよく考える必要があります。
現状のRPAは「第1世代」と呼ばれ、テリトリーは定型業務に限られます。
前述の領収書のような非構造化データ認識や例外対応の自動化は、第2世代によって可能になるとされています。
さらに第3世代では、例えば予算編成・売上損益実績のモニタリング・差異分析といった管理会計分野や、決算報告資料のドラフト作成や適正性チェックといった監査・ガバナンス分野など、人の判断を要する処理も可能になると言われています。
将来的にはこうした進化も期待できますが、それはAI(人工知能)のコグニティブ(認識系)機能を飛躍的に向上することができるかにかかっています。
ただし第2世代・第3世代の主役はAIであり、RPAは補完的な1機能に過ぎなくなりますが。
経理部門としては、将来世代の登場も想定しつつ、当面は第1世代RPAをフル活用して定型業務の自動化に注力するのが賢明です。
2018.11.13
RPA(Robotic Process Automation)は現在、「RPA女子」などのワードがgoogleのトレンドに載るなど、RPAを現在の資源と組み合わせることで推進していこうという流れがあります。
そんな中、株式会社アーネストキャリア(以下アーネストキャリア)は株式会社RPA NEXT(以下RPA NEXT)との提携によって、「発達障害者×RPA」の人材育成を行っていくと発表しました。
RPA NEXTは2017年に創設された企業で、RPAの人材育成を目的としたカリキュラム構築を行っています。
主にホワイトカラー系業務の効率化を図るために導入するRPAですが、
多くの場合、RPAのエンジニアでない一般の人々にも簡単にわかりやすいプラットフォームが多いです。
そのため、非エンジニアの方々がいくらか研修のプログラムを受けて、シナリオを書いている方も実際いらっしゃいます。
そこに、シニアの方々や地方勤務を希望する方、さらには障害者の方々にもRPA技術を学んでもらおうと考えているのがRPA NEXTの方針のようです。
障害者の方々は何かしらの機能や能力を欠如、または不得意とする人たちのことだというのが多くの人の認識だと思います。
しかし、そこには多くの見えていない部分があります。
例えば、視覚障害をお持ちの方は生活していく上で他の感覚器官によって情報を得ていますので、音に関する情報を非常に精密に扱うことができます。
全身赤い服の人を見て、自己主張の激しい人だなと思うことは出来ないですが、声のトーンの細かい変化や言葉の選び方で相手の情報を得ることができるでしょう。
この特性を活用しようというのが今回の取り組みです。
アーネストキャリアは特に「自閉症スペクトラム障害」という特性を持っている人材に目を付けました。
自閉症スペクトラム症とは、脳の一部の異常などによって社会性が伴わない、コミュニケーションがうまく取れない、想像力の欠如のような症状が現れる障害です。
RPAのシナリオ設定において、業務の標準化なども勿論大切ですが、シナリオ自体をあいまいに設定してしまうとうまくいきません。
そのような側面で見えれば、あいまいなことが苦手である自閉症スペクトラム障害者と高い親和性があります。
さらに、自閉症スペクトラム障害をお持ちの方の中には、自分では自覚していないケースもあるようで、アーネストキャリアではそのような人材の発掘と正当な評価を得られるシステム作りを課題としています。
また、日本の企業の中にはある一定数障害者を雇用する枠がある企業があり、そこに企業の利益をもたらすことができる優秀な人材として雇用してもらうことを目指しているようです。
このようにターゲットを明確にした人材育成はこれからも様々なものが出ていくでしょう。
それらの先にはRPAの多くの普及、さらには人間の雇用に対する新しい形態が生まれてくるでしょう。
参考記事)発達障害者の特性を活かしたRPAエンジニアの育成プログラムを開始
2018.11.12
参考記事)RPAテクノロジーズ×エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート 「開発効率」、「人とロボットの協働」、「全体の最適化」を実現 BPM活用できるRPAサービス「BizRobo! PRO」を提供開始
現在、ホワイトカラーのバック作業の効率化などに伴って、RPA(Robotic Process Automation)は大きな市場になっていきつつあります。
その市場は、OCRの市場を超えており、2022年には400億円規模にまで広がる見込みです。
そんな現在、RPAツールは様々なものが存在していて、それぞれにそれぞれの特徴がある中、業界最大手の一つである、RPAテクノロジーズ株式会社(以下RPAテクノロジーズ)は新しいRPAツールを発表しました。
RPAテクノロジーズは株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマートとパートナー協力をすることによって、「BizRobo!PRO」を11月中旬よりリリースします。
それぞれの働きかけによって、どのようなツールになるのか今から大変気になるところです。
RPAテクノロジーズ株式会社はRPAホールディングスの子会社で、RPAにおけるベーステクノロジーを提供しています。
RPAテクノロジーズが国内のRPAのパイオニア企業として、提供しているサービスの一つが「BizRobo!」です。
このサービスは2008年よりサービス開始されたものであり、日本国内でも多くのユーザー数をほこるサービスとなっています。
誤解しがちなのは、「BizRobo!」というのはアプリケーション名ではなくて、ソフトウェアやサポートをセットにしたサービスの名前であることです。
また、さらに「BizRobo!」について詳しい内容が知りたい方は記事をまとめておりますのでこちらの方をご覧ください。
そんなRPAテクノロジーズとパートナー契約を行うエヌ・ティ・ティ・イントラマート(以下 NTTデータイントラマート)ですが、「IM-BPM for Accel Platform」というシステム共通基盤を提供しています。
ここに出てくる、IMは企業名のintra-martの頭文字です。
今回ここで重要になってくるのが、BPMについてです。
BPMとはBusiness Process Manegementの略称で、いわば業務プロセスのことで、
営業・販売、生産、物流などの今まで分割のシステムとして考えてきた業務を全体の一連のプロセスとして管理していこうというシステム手法のことです。
さらに詳しい内容については、NTTイントラマートのサービス紹介ページにてご覧ください。
システム共通基盤/PaaS【intra-mart Accel Platform】(NTTイントラマートより)
https://www.intra-mart.jp/products/iap/
このBPMプロセスを「BizRobo!」に組み込もうと開発されたのが、今回の「BizRobo PRO」です。
「BizRobo PRO」は部分部分で処理を止めることなく、人とロボットをつないで、業務全体として処理を継続させることを目的としたサービスです。
これによる業務プロセス改善によって業務の最適化をしようというのが目的のようです。
サービスの価格は以下のようになっています。
BizRobo! PROサブスクリプションライセンス(サポートデスク問い合わせ込)
・IM‐BPM for Accel Platform
・BizRobo! BasicRobo Rental型(1Unit)
・契約期間:年間契約(一年毎に契約更新が必要)
・契約費用:9,500,000円/年
*リリース開始時は、「BizRobo!」および、「IM-BPM for Accel Platform」の提供ノウハウを保持する、
BizRobo! PRO取り扱いパートナーからの提供となります。
これをきっかけにRPAを導入を検討される方は、お気軽にお問い合わせください。
2018.11.09
目次
最近RPA界隈を賑わせているキーワード「RPA女子」。
皆さんは聞いたことありますか?
今回のコラムでは、現在注目されている「RPA女子」の概要についてご紹介したいと思います。
「RPA女子(※1)プロジェクト」とは、以下の4社が2018年5月7日(月)より開始した、
RPAを活用したい企業や団体に対して、RPAスキルを身に着けた女性をマッチングすることで、
子育て・家族の転勤・介護等女性の復職を支援するためのプロジェクトのことです
(株式会社MAIA Webサイトより引用)。
・RPAテクノロジーズ株式会社
RPAのベーステクノロジー(BizRobo!)を提供
・株式会社MAIA
RPA人材の教育及び現場支援のリーディングカンパニー
・株式会社Waris
女性の復職支援のリーディングカンパニー
・株式会社ブイキューブ
国内 Web 会議市場シェア No.1カンパニー
※1「RPA女子」とは、家事や子育て等でフルタイムでは働けないが、
仕事への意欲が高く、RPAに関する専門のトレーニングを積み、高いスキルを持った女性のことを言います。
RPA女子プロジェクトが始動した目的としては、
「RPA活用ニーズへの対応」と「女性の多様な働き方の環境整備」の2つがあります。
・目的1: 「RPA 活用ニーズへの対応」
現在、日本国内においては、急速な少子高齢化に伴う労働生産人口の減少により、
全国の企業で働き方改革にともなう生産性向上の取り組みを行っています。
その取り組みの一つとして、今注目を集めているのが、RPAです。
しかし、注目が集まる一方で RPA を推進する人材の確保と育成が追いついておらず、
企業や団体が求めるニーズに応えきれていない現状があります。
・目的2:「女性の多様な働き方の環境整備」
テクノロジーの進化により労働力の補完が行われているにも関わらず、
子育て・家族の 転勤・介護等により、貴重な労働力である多くの女性が、本人の望む形で働けない現状があります。
MAIA Webサイト(https://www.maia.co.jp/rpa-women)より
「RPA女子」のメインとなるサービスはロボット構築支援です。
MAIA Webサイトによると、「RPA女子」のサービス内容は
「ライト」「スタンダード」「プレミアム」「セルフ」の4種類があり、
価格は「RPA女子」の支援時間によって異なるようです(300,000円/月~)。
サービス内容は、以下のRPAツール/Web会議ツールのライセンスとロボ開発支援が含まれています。
・BizRobo! Basic(RPAテクノロジーのRPAツール)の開発ライセンス:1個
・V-CUBE(ブイキューブのWeb会議ツール)のライセンス:5個
・「RPA女子」によるロボ開発 30H/月~
※「RPA女子」は企業のニーズに合わせて、遠隔リモート、時短常駐など様々な形式にてサービスを提供
ここからは、「RPA女子」になることを検討されている女性の視点で、教育面での説明をしたいと思います。
研修対象者は下記のような方を想定しているようです。
・育児などの事情で離職期間があるが、少しずつ仕事を再開したい方
・配偶者の海外転勤等で離職し、現在海外在住の方で、完全リモートで仕事を再開したい方
・IT経験は未経験でも問題なく、むしろ総務/人事/経理などの管理部門の実務経験者歓迎
「RPA女子」になる為には、研修を受講しOJTを経験してから、実際の仕事を行えるようになります。
・ステップ1:MAIAに「RPA女子」研修受講の申込
・ステップ2:オンライン研修の受講(約20~30時間(1か月程度))
研修内容:オンラインセミナー1回、演習問題12回、検定試験1回
受講料:定価100,000円(応募期間によっては割引がありそう)
・ステップ3:OJT(約60時間(1か月程度))
研修内容:オンラインセミナー1回、デザイナーと一緒にロボット開発
①基本
ロボットの作成方法:基礎的なロジックを使ったロボットの作成
ループ処理:繰り返しができるロボットの作成
条件分岐処理:場合分けができるロボットの作成
ファイル作成:ファイルを作成できるロボットの作成
②応用
ファイルの読み込み:ファイルを読み込めるロボットの作成
HTML解析:Webページの作りを意識したロボットの作成
複数の条件分岐処理:指定した条件に合う情報を取得するロボットの作成
任意のループ処理:複数ページの情報を持ち帰れるロボットの作成
③発展
基本・応用スキルの再確認
交通費精算のチェックが行えるロボットの作成
複数の条件指定に合う情報を取るロボットの作成
キーワードをもとに複数サイトから情報を取ってくるロボットの作成
エラーハンドリング:エラー発生時の判断ができるロボットの作成
④実践
他アプリケーションの操作
メーラーからメール送信できるロボットの作成
複数のファイルを操作できるロボットの作成
Excelを直接編集できるロボットの作成
PDFファイルを読み込めるロボットの作成
①IT初心者でも学べるコンテンツ ※2
・RPAとは何かを教育の導入部分に配置
・プログラミング、HTML等初歩的なIT知識をインプット
・基本問題、応用問題は1問ずつテキストと動画を用意し、視覚的に把握しやすい工夫
・実践問題では、実際のプロジェクトケースを用いて実践力を高めていく
② オンラインによるQA対応
・チャットやOnlineでの質問受付を実施
・理解度の高い女子が他の女子をサポート
③オンラインコミュニティーの形成
・「RPA女子」をチャットワークやFacebookでグルーピング、相互連携を強化
④ 実践的なOJT
⑤ その他
・定期的にRPA女子会を開き、意見交換
・RPAに関する要望、新しいアイデアなどを発散
※2 研修内容としては、プログラミングの基礎から始めることができるため、
IT初心者の方でも短期間でスキルアップできそうな印象です。
事実、株式会社MAIAが行ったRPA女子プロジェクト実態調査によると、
RPA講習者の約50%がシステム開発未経験だったようです。
<参考Webサイト>
【RPA女子プロジェクト実態調査/第1期RPA女子報告】 RPA講習者の約50%がシステム開発未経験だった!~RPAを学ぶ理由は、副業、現場の業務改善、子育てとの両立など多様~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000035957.html
10月28日時点では第3期の募集が終了しており、第4期の募集が間もなく始まるようです
(既に、RPAプログラム講習を受講している人数は、2018年9月19日現在150名になり、
「RPA女子」としてロボット開発から導入コンサルティングまで幅広く全国で活躍しているとのこと(MAIA Webサイトより))。
「RPA女子」にはどのようなキャリアステップがあるのでしょうか。
MAIAのWebサイトによると、キャリアのスタートはロボットの作り手(開発者)からとなります。
そして、ある程度ロボット作成のノウハウや経験が蓄積された後はコーディネーターとして、
ロボットのデザインを行うポジションに就くことができます。
最終的には、アドバイザーとして、どのような仕事をRPAで効率化できるか提案ができるようになります。
ここまで来たらもうRPA導入コンサルとやることが同じですね。
<「RPA女子」のキャリアイメージ>
ロボットを自分で開発できる
ロボットをデザインできる
ロボットの作り手のサポートができる
会社のどんな仕事が効率化できるか提案できる
<参考Webサイト>RPAエキスパート育成講座 | 派遣の仕事・人材派遣サービスはパソナ
https://www.pasona.co.jp/careerup/rpa.html
2018.11.08
近年、労働人口の減少に伴い、急速に人手不足が進行しているのが接客業です。
実際、東京都における有効求人倍率(2017年11月時点)を職業別に見ると、
「サービス(接客・給仕)」は8.98倍と群を抜いて高く、全職業の1.8倍を大幅に上回っている現状があります。
また、最低賃金の上昇に伴いオペレーションコストが急増。
そのため、
少ない人数でシフトを回す⇒一人あたりの業務負担増⇒労働環境の悪化
⇒雇用の安定化につながらない⇒採用活動が思うように進まない
といった負の連鎖を引き起こしています。
こうした背景から、政府の推し進める「働き方改革」も、
接客業の最前線に立つ現場スタッフにとっては、他人事のように感じてしまうことも多いのではないでしょうか。
今回は、接客業の業務効率化や労働環境の改善に寄与するべく開発された「接客業向けAI技術」を
利活用した事例を基に、今後の接客業動向を探っていきたいと思います。
こと接客業において、人が人に対して行うサービスは多岐に渡り、
AI技術で賄うにはまだ十分技術革新が進んでいるとは言い難いです。
……などなど、現状超えるべき課題は多々あります。
もちろん上記すべてをAIで代替してしまうのは、
人同士のコミュニケーションを奪ってしまうことにほかならず、接客業の本来の良さが失われてしまいます。
AIの求められるのは、「人が行わなくても特段不都合がなく業務負荷が重い業務」を代替し、
その分人が新たなサービスを創出し、より顧客一人ひとりに寄り添ったサービスにシフトできるようにする
といった柔軟性の高い機能なのではないでしょうか。
ここからは実際に接客業の最前線に取り入れられているAI技術について、個別の事例を交えてご紹介します。
今回は、特に宿泊業にスポットを当てていきたいと思います。
日本屈指の温泉地・箱根の人気旅館でAI活用が始まっています。
AIを活用するのは自社ホームページ上のFAQ(よくある質問)、つまり顧客対応の部分です。
ここに利用者からの質問や、回答の検索を最適化するAI機能と、
サイト訪問者がFAQで疑問を解決できるように導くWebセルフサービス機能などを含むクラウドサービスを導入しました。
箱根湯本の「ホテルおかだ」では、FAQの表示を工夫し、SEO効果で自社サイトへの集客を増やすことと、
利用者が自己解決をすることで入電回数を減らすことを目的にAIを導入し、
運用から5か月で予約件数を10~15%増加させることに成功。
集客と効率化を同時に達成することができたといいます。
工夫点として、FAQを自動的に表示したことが挙げられています。
同一ページで日本語版であれば30秒、英語版であれば15秒滞留した場合に、
そのページに関連する質問項目を先回りして表示。
また、そもそも質問事項が浮かばないであろう新規顧客については、従来の宿泊客からのアンケートを元に、
知っておきたいであろう情報を随時プッシュする仕掛けを施しました。
同ホテルでは、サイト閲覧の内4割が電話予約の対応時間外であることが分かっていたため、
HP予約への誘導は、非常に有効的な施策であったといえます。
同じく、箱根・塔ノ沢の老舗温泉旅館「一の湯」では、AI対応をインバウンドの取込みに繋げています。
FAQで検索されるキーワードとその頻度を調べたところ、
訪日外国人が温泉に入る際に気にするタトゥーについての質問が予想以上に多いことが判明。
悩みの強さを把握したことで、今までなんとなくネガティブに捉えていたタトゥーに対する受け答えを、
プラスに受け止めるようになりました。
同館では、露天風呂付客室を多く設けているため、
このメリットを自信を持って勧めることで、訪日外国人の効果的な取込みに成功しています。
また同館では、アメニティの選別や新商品の開発のきっかけとしても有効活用。
例えば「コーヒーは飲めますか?」という検索の多さを踏まえ、
銀座「TORIBA COFFEE」との共同でオリジナルの「一の湯珈琲」を開発したり、
「パーキング」の検索が多い場合は、駐車場設備の増強や提携駐車場の拡大をしたりして、
常にニーズの掘り起こしを行っています。
変なホテルは、エイチ・アイ・エスグループが展開するホテルブランドで、
ハウステンボス内にオープンした1号店を皮切りに、都内・都市部を中心に9店舗展開されています。
変なホテルは、「変わり続けることを約束するホテル」をコンセプトに館内全域にわたってロボットを配備。
徹底した業務効率性の高さと、最新テクノロジーの粋を集めたホテルというエンターテイメント性を両立した
ホテルとして、人気を博しています。
変なホテルのフロントで出迎えるAIは、本来人が行うチェックイン機能を担っています。
基本的な挨拶はもちろん、チェックイン端末の操作の誘導、荷物が多い場合はロボットクロークへの案内など、
肌理細やかなサービスを提供しています。
AIを手掛ける各社は、近年人手不足が進行するホテル業界向けのAIソリューションをこぞって展開しています。
株式会社空が提供する「ホテル番付」は、従来従業員が主要業務の傍ら行っていた変動宿泊料金の決定に、
特化したマーケティング機能を有しています。
宿泊料金は平日/休日や行楽シーズン、イベント、周辺ホテルとの料金比較などにより決定しますが、
「ホテル番付」はそういった情報を全国2万軒以上のホテル情報を自動精査することによって抽出。
最も利益の見込める最適価格の設定に寄与し、
マーケティング担当者がホテルの企画、戦略を練る作業に集中できるようなサービスを展開しています。
ビースポーク社が提供する「Bebot」は、
人工知能を用いて訪日外国人向けに旅行に関するアドバイスをリアルタイムに答えるチャットツールです。
iPhoneの「Siri」やAndroid端末での「OK Google」の旅行版のようなサービスで、
かねてから収集していた日本の穴場スポットの情報をユーザーの声としてテキストデータ化し、解析。
解析結果から人工知能が自動的に外国人の要望に応える仕組みです。
旅行者は、LINEやWeChat、Facebook Messengerといった会話ツールを使うことで、
チェックインからチェックアウト時まで相談が可能になり、
近くの観光スポット、話題店の予約、文化体験予約、道案内まで対応し、地元の人しか知らないような役立つ情報
を24時間簡単に手に入れることができます。
宿泊施設にとっては、常時回答が可能になったことで、宿泊者の満足度を高められるだけでなく、
外国語対応に不安がある場合でも、人工知能のサポートしてくれるメリットがあります。
これにより、近い将来各国言語に対応するスタッフを常駐させることなく、
訪日外国人旅行者へのローカル案内を行うことが可能になるというわけです。
人手不足が進み、ホスピタリティサービスが重視され、なかなか業務改善につながらない宿泊業界。
今後更なるサービス・ソリューションの開発が期待されます。
利用者と直接向き合うAIと、バックグラウンドで提携業務をドライブするRPAによる業務効率化の恩恵は、
利用者にとっても新たなサービス、快適性の向上といった点で顕れるでしょう。
2018.11.07
2017年11月銀行に関する大きなニュースが駆け巡りました。
みずほフィナンシャルグループは、傘下のみずほ銀行の支店など国内拠点の2割に当たる約100店舗を削減、
2026年度末までにグループの従業員を19,000人減らす方針を打ち出しました。
三菱UFJフィナンシャルグループも2023年度末までに9,500人分の”業務量”を削減、
三井住友フィナンシャルグループも2019年度末までに4,000人分の”業務量”を削減するとしています。
3グループ合計で32,500人分の人員・”業務”削減を目指しています。
なぜこのような方針が揃って打ち出されたのでしょうか。
まずは、マイナス金利政策による金利の低下で金利差によるビジネスモデルが急速に儲からなくなっていることが考えられます。
帝国データバンクが2018年6月に公表した、
国内主要112行(大手銀行7行、地方銀行64行、第二地方銀行41行)の預金・貸出金実態調査の結果は以下のようになっています。
2018年3月末の国内主要112行の預金は743兆7824億8800万円となり、2017年3月末比で24兆6647億円増加(3.4%増)。
大手銀行、地方銀行、第二地方銀行の3業態すべてで増加し、112行中96行(構成比85.7%)で増加
112行の貸出金は511兆3156億2000万円となり、2017年3月末比で6兆1486億3300万円増加(1.2%増)。
112行中102行(構成比91.1%)で増加
2018年3月期の112行の収支<貸出金利息(収入)-預金利息(支出)=本業利ざや>は、
5兆5469億6400万円となり、2017年3月期比で331億8800万円減少(0.6%減)。
3業態すべてで減少し、112行中80行(構成比71.4%)で減少
国内主要112行の2018年3月末の預金は2017年3月末比で3.4%増、貸出金は1.2%増となった。
112行の貸出金の前年比の増加率は、2014年、2015年と4%台で推移していたが、2016年は2.6%にダウン。
低金利環境にありながら、2018年はさらに1.2%にまで落ち込んだ。
地銀(4.1%増)、第二地銀(3.1%増)の貸出金は増加したものの、大手銀行(1.3%減)の減少が大きかった。
しかし、地銀においては、2017年秋以降、投資用不動産業者向けローンが社会問題化しており、
今後は銀行業界全体が同業界、関連業界に対する融資に慎重になるとともに、他の融資においても手続き、
審査などがこれまで以上に厳格になることも予想され、収益確保がより難しい環境に置かれる可能性がある。
こうした問題をどのように克服し、地方銀行、
第二地方銀行を中心とした金融機関が収益確保、再編の道筋をつけていくのか、注目される。
上記レポートのとおり金利差(本業利ざや)は減少していますが、
さらに、預金と貸出金の伸び率の差から想像がつきますが預貸率も減少しています。
以下は預貸率に関する東京商工リサーチが公表した内容です。
“2016年2月に日本銀行がマイナス金利を導入し、2年を経過した。
銀行114行の2018年3月期の単独決算ベースの預貸率は、65.53%(前年同期66.47%)で、前年同期を0.94ポイント下回った。
2011年以降の3月期本決算での預貸率は、2011年が68.59%、12年68.40%、13年68.00%、14年67.90%、15年67.74%、16年67.59%と推移した。
マイナス金利導入後の初の通期決算となった17年も66.47%と低下が続き、18年は調査開始した2011年以降で最も低い比率となった。
114行の2018年3月期の総預金残高は前年同期比2.7%増だったが、総貸出金残高は同1.2%増にとどまった。
また2018年3月期の「預貸ギャップ」(預金+譲渡性預金-貸出金)は、278兆4,182億2,900万円に膨らみ、貸出金に対する預金の大幅超過が続いている。
こうした「預貸ギャップ」の拡大は、マイナス金利導入後も伸び悩む、大手銀行を中心とした貸出状況を反映した。”
預貸率の低下は景気が悪くて企業の資金需要がないと思われがちですが、
中小企業の設備投資は緩やかな増加基調にあり、大企業においても設備投資は増加しています。
設備投資の動向が順調でありながら預貸率が減少している理由としては資金調達手段の多様化があり、
金融機関の役割が減少している可能性もあります。
資金調達などの構造的な変化が起きており、
金利が上昇し始めれば銀行の収益力は元に戻るということが断言できるわけではありません。
二つ目は、AI、フィンテック、ブロックチェーンを利用した仮想通貨などの金融技術の進化によって
銀行が担ってきた決済サービスなどが新しい仕組みに置き換わりつつあります。
このような新たな金融技術に対応して銀行のビジネスモデルを変えられなければ、
銀行の収益力はさらに低下することが想像できます。
このような環境変化に対応するため、
支店閉鎖や定型的な業務をAI・RPAの活用により業務量を削減することにより、
収益力が高いサービスに注力でき新たなビジネスの機会を創出できるようになるかもしれません。
融資事務センターでの住宅ローン団体信用保険申告書の点検業務です。
担当者が紙で一枚ずつ確認する形式を取っていた保険会社へ提出する書類のチェックと、
住宅ローンの明細との突合作業が対象です。
申込書をスキャンで電子化したものをOCRでデータとして抜き出し、そのデータをロボットが点検する形に変更しました。
ロボットが結果をExcelに落とし、不備があるものをオペレーターが見るという形になりました。
住宅ローンの明細との突合作業も同様にロボットが行い、
不備があるものだけをオペレーターがチェックする形に変更しました。
これにより2500時間の作業時間削減が確認されました。
RPAを適用する取引状況の照会業務は、地方公共団体からの取引状況の照会文書にもとづき、
預金残高や取引明細などを照会し、回答書を作成・返送する業務です。
全体の作業のうち、管理表の作成や顧客番号の特定、取引内容の照会といった作業をロボットによって自動化します。
RPAの適用で、年間6,552時間分の業務量削減が見込まれるといいます。
各支店の融資残高や来店客数の取りまとめのほか、インターネット経由の口座開設業務などを自動化します。
年間7,680時間の業務時間削減につながる見通しで、
浮いた時間は顧客サービス向上に向けた企画の業務などにあて生産性を高めます。
60超の支店から集約する融資残高や来店客数の集計、ネット経由の口座開設のメール対応などを自動化。
同行のニュースリリースの新聞報道なども自動で収集します。
公的機関からの取引照会業務においてRPAを導入することとしました。
本業務では、RPAの導入と一部業務プロセスの見直しにより、年間 3,680 時間分の作業量削減と業務の精度向上が期待できます。
今後は効果検証を行いながら、他の本部業務にも順次導入を進めていく方針です。
2017年10月から自動化できる定型業務の洗い出しを進め、報告書の作成や集計業務を含めた92項目を特定したと言われています。
既に融資に関する月次報告資料の作成業務を自動化し、年間80時間以上の削減効果を見込んでいます。
順次業務へのRPA適用に関する検証を行っており、2018年度上期にはローン実績や各種資料の作成、
支店の営業報告集計などを含めた13の業務にRPAを適用する予定です。
期待する削減効果は最大6019時間で、定型業務を効率化し顧客サービスの強化を図る方針です。
RPAの導入で月1,700時間の業務効率化を実現しています。
特に住宅ローン業務では、審査結果情報を取得してから顧客にメール通知するまでの一連作業を
多い日には1日200~300件、すべて手作業で実施していました。
アイティフォーのRPA業務自動化ツール「ナイス・デスクトップオートメーション」の導入により、
1件につき10~15分かかっていた作業が約1~2分となり約90%の作業負担を削減しました。
さらに5~6名を要していたスタッフを1~2名に削減することで、より効率的な要員配置が可能になりました。
2018.11.06
総務省が発行するメールマガジン「M-ICTナウ」の2018年5月第2号でも語られている内容ですが、
RPAには三段階の自動化レベルがあるとされています。
クラス1 |
定型業務の自動化 |
クラス2 |
一部非定型業務の自動化 |
クラス3 |
高度な自律化 |
これは、あくまでもRPAの将来像を示したもので、
現実的には一部クラス2のレベルを含んだ事例が出始めているといった程度で、まだまだクラス1が中心です。
RPAの導入には、コストも掛かりますが業務の整理・見直しも大変です。
しかし、その分うまく適用できれば大幅なコスト削減につながることも少なくありません。
今回は、金融業界におけるRPAの導入事例を通じて、業務整理の重要性をお伝えさせて頂きます。
金融業界では、その業務の重要性・法的制約から多くの証跡を必要とされます。
例えば、銀行が行う顧客の本人確認の記録は、
口座を閉鎖した日から7年間は保持しなければならないと定められており、
その他多くの証跡について、一定期間の保持義務が定められています。
今回、RPAによる自動化業務の対象となったのは、顧客からの審査請求に関する書類の印刷操作に関するものです。
もともとは顧客や営業店窓口で作成した紙の審査請求書を、FAXや郵送で事務オフィスに集約させ、
そこでオペレータがシステムに入力するという流れで業務を行っておりました。
システムで取り扱う情報は、審査請求の経緯や結果のみで、
実際の審査業務については、個別の担当者が行うので、
オペレータが紙の情報を入力した後は、その紙と一緒に各種書類がファイリングされて審査業務に回されます。
このたび、顧客および営業店窓口の利便性向上のために、
Webシステムによる申請を可能にするためのシステム構築が行われることになりました。
このシステムの実現により、顧客や営業店の業務効率が上がるだけではなく、
書類の受け渡しに要する時間的なロスも軽減され、さらにはオペレータ業務も縮小できることで、
大きなコストメリットが期待できました。
このシステムの実現に向けて、営業店や重要顧客からのヒヤリングを重ねて要件定義が着々と進み、
システム構築は順調に進んできたのですが、1つだけ整理のつけられない業務が出てきてしまいました。
それが後続の審査業務です。
審査業務では、審査請求書の書面をもとに、様々な情報を紙面で集めてファイリングし、
その最終成果として審査請求結果(合否のようなもの)を決定します。
これをシステムの中で実現しようにも、どんな情報を記録するかが定まらず、
すべてを実現する場合のコストがシステム化によるコストメリットを上回ってしまったのです。
加えて、先に挙げた情報保持に関する法令上の制約もあり、
何らかの形でシステム内の記録を残さなければならないのですが、
システムサイドでは法的な制限事項までを考慮することが難しく、
また法務関連の部門までを業務整理に巻き込む余裕が無かったため、システム構築計画は暗礁に乗り上げつつありました。
ここでシステム化計画を大きく見直すことになりました。
顧客や営業店が使用するための入力機能は用意しつつ、
その入力された情報は事務オフィスで従来の審査請求の書類として印刷し、
その後の審査業務は従来通り紙のファイリングにて業務を進めることで、従来通りの業務が進められるというものです。
ここで、審査請求の書類の印刷作業はRPAを活用することになりました。
Webシステム上に登録されている情報を自動で拾い集め、
従来の審査請求書類のフォーマットに埋め込んで印刷する、極めてオーソドックスなロボットです。
これまで、FAXや郵送で届いていた書類は、すべてプリンターに出力されることになりますが、
これをオペレータが定期的に回収しますが、すでにシステムには登録されているため、
入力業務は不要でファイリングのみを行います。
顧客・営業店:
紙面記入の手間が省け、郵送などの場合と比べて審査請求の結果判明までの期間が短縮されました。
事務オフィス:
10名のオペレータが対応していた内容が2名で対応できるようになり、人件費としては年間数千万の削減が期待できます。
審査業務部門:
何かメリットがあったといわけではありませんが、
「従来通りの業務が可能」というデメリットの無い形で対応できることになりました。
この件ではシステム構築の業務整理という観点から、改めて振り返ってみたいと思います。
今回の1番の目的は、顧客満足度の向上にありました。
紙面でのやり取りには煩わしさもあり顧客からは不満の多かったポイントです。
営業店も同じで、顧客に記載してもらった書面をまとめて事務オフィスに郵送するだけなので、
顧客の不満をダイレクトに受け取ります。
また、システム化することで、書面ではできないチェック(入力不備など)を事前に行えるため、
書面の記載誤りによるタイムロスを大幅に削減できることも、顧客満足度の向上につながるわけです。
事務オフィス側のコスト削減は副次効果的なものでしたが、年間数千万というコスト削減は、
システム導入コストの捻出に大きく貢献したことは言うまでもありません。
審査部門の業務整理の都合から急きょ抜擢されたRPAですが、大きな功績を残しております。
Webシステムでは、その仕組み的な問題からプリンターに直接印刷物を出すような仕組みはあまり得意ではありません。
一般的には、PDFファイルをダウンロードさせて、それをユーザーが印刷操作する方式となります。
しかしながら、紙での従来型の業務方式を実現するために、
直接プリンターに出力できる仕組みを必要とされる場面はまだまだ多く、
今回のケースはまさに典型的な例では無いでしょうか。
ペーパレス化が唱えられてかなりの年数が経過しておりますが、まだまだ不十分な業界は多数存在します。
その原因の多くは、紙面を使っての業務の変革に対応するコストと時間から来るものです。
今回のような、システム化の目的の中心でもない部分に対してペーパレス化のためのコストをかけることは、
企業のIT投資の面から考えても避けるべきものであり、
自動でプリンター出力するための仕組みをRPAで実現するというのは、ある意味で帳票ソリューションの新たな形と考えられます。
本件はRPAが人の代わりに仕事するという他に、
「システムの不完全な部分を埋め合わせるという使い方もできる」という良い例では無いでしょうか。
特に、「クライアントのプリンターに直接印刷物を出す」というのは、
Webシステムが最も苦手とするものですので、これが代替えできるのは大きなアドバンテージです。
ただ、今回のような事例では、本質的には審査部門も紙面型の業務から脱却し、
ペーパレス化に進むことが望ましいものですし、
情報保持の点でも紙にこだわらずに柔軟な対応をするべきであったと考えられます。
(情報保持は紙面を必要とするわけでは無く、電子媒体でも可)
そういった意味では、今後は審査業務の改革として業務整理を行い、
いずれはペーパレス化されるのが本来のシステムの在り方でしょう。
そして、そのときにはここで活躍したRPAの役目は終わることになります。
業務が変われば人の仕事も変わるわけですから、RPAの役割も当然変わります。
RPAのライフサイクルは、業務の変革に合わせて常に変化するものです。
通常RPAを導入するときは、「現在人がやっている業務をロボットに置き換える」という発想で考えますが、
今回は「システムの穴埋め」という形で導入した例で、ちょっと珍しいケースかも知れません。
人に得意・不得意があるように、システムにも得意・不得意があります。
そしてRPAにも得意・不得意があり、これらは微妙な違いがあるので、
これらの特性を生かして業務改善につなげられると良いのでは無いでしょうか。
2018.11.05
目次
最近、ソフトバンクのロボット「Pepper」をソフトバンクショップ以外の場所でもよく見かけるようになりました。
まだまだスムーズではありませんが、多少ながら音声で会話もできるなど、
これまでのロボットよりも身近な存在として私たちの生活に溶け込んでいます。
こうしたロボットの進化の裏には、AI(人工知能)やクラウドネットワークなどの技術の進化があります。
ネットを介して膨大な情報を処理することができるため、使い続けることで様々なことを学習して、
行動や会話に反映させることができるのです。
ここでは、代表的なロボットを見ていきましょう。
ココロエンジンを搭載したロボット掃除機「COCOROBO」のボカロコラボモデルは、
VOCALOIDの技術によりボカロキャラクターの声で会話できたり、ボカロ楽曲を再生したりしてくれるというもの。
ソフトウェア更新には最大46分ほどの時間がかかります(Wi-Fi利用時、LTE利用時)。
ソフトウェアの更新中はロボホンは使用できません。
富士通の「RoboPin」(ロボピン)は、クラウドに接続され、人と音声でコミュニケーションできるロボットです。
首、各腕、胴体の根本部分にモータを配置し、体全体を使ったダイナミックな動きを実現し、
顔のLEDの色と連動して感情の表現も可能なロボットです。
受付やガイドのほか、様々な場面での活用可能です。
2018年5月に開催されたイベント「富士通フォーラム2018東京」の「RoboPin World」コーナーで、
複数台のロボピンによるダンスや、ユーザーの動きに合わせてロボピンが踊るデモンストレーションが展示されました。
これらのデモンストレーション用の制御にはソフトウェアが使われています。
遠隔ソフトウェアを利用することで、複数台のロボピンの同時制御や、音楽と同期した滑らかな動きなどを実現しています。
三菱UFJ銀行の「NAO」は、店舗で客の簡単な案内を行える二足歩行の人型ロボットです。
高さ58cmほどの人型ロボットで、複数の言語を聞き分け、話す能力が特徴です。
現段階ではATMへのご案内などを行いますが、
将来的にはAIとの連携などにより、より高度なご質問にも対応可能となります。
将来的には複雑な会話にも対応できることを目指しています。
JTBの「コミュ―」もNAOと同様、接客用に開発された人型ロボットです。
音声によるコミュニケーションに加え、豊かに動く表情が親近感を感じさせます。
このコミューの登場により、JTBではロボットだけの無人店舗の展開も視野に入れています。
トヨタの「KIROBO mini」は、持ち歩ける小型のコミュニケーションロボ。
ほかのロボットとは違い移動機能を備えていませんが、
持ち運んでリビングに置いたり運転時に助手席に座らせたりすることで、色々な場面で会話が楽しめます。
価格は3万9800円で、コミュニケーションには、スマートフォンと専用アプリが必要となります。
KIROBO miniは座った姿勢で高さ100mm、体重は183gと、手の平に収まる小さなサイズです。
自宅ではもちろん、お出かけにも連れて行くことができ、いつも私たちのそばに寄り添うことができます。
2014年にソフトバンクから発表されたAI(人工知能)ロボットPepperですが、今ではすっかりお馴染みになってきました。
ちょっぴり不思議な動きと愛嬌のある表情から「ペッパーくん」と呼ぶ人も多いのではないでしょうか。
これまで、ペッパーくんはソフトバンクショップなどの店頭に配置され、
自身が持つAI(人工知能)機能を使った案内役として活躍してきました。
お店の入り口に立つ受付役として業務をこなすことができるので、
皆さんの中でも実際に店頭でペッパーくんに話しかけたことがある人も多いのではないでしょうか。
このように、AI(人工知能)案内ロボットとしてかなり認知されてきてはいますが、
実はこのペッパーくん、かなりのポテンシャルがあるAI(人工知能)案内ロボットです。
そこで今回は、誕生から4年経ったペッパーくんにスポットを当て、今まで見たこともない実力について解説いたします。
Pepperは世界初の感情認識パーソナルロボットで、「感情エンジン」と「クラウドAI」を搭載しました。
これらの機能により、ペッパーくんは表情を持ち、
より人間らしい受け答えができるAI(人工知能)ロボットとして開発が進められました。
そして、2014年6月に家庭向け人間型ロボット「Pepper」としてリリースされます。
その後、ソフトバンクショップを中心に配置され、ペッパーくんは認知度を上げてきました。
スペックを簡単に言うと、高スペックのパソコンと多くのセンサーがついているロボットと言えるでしょう。
パソコンと同様に、CPU、メモリ、記憶領域、モニターなどのハードウェアが搭載されており、
ソフトウェアも専用のOS(オペレーションシステム)が搭載されています。
さらに、頭、胸、手、脚にはカメラや赤外線センサー、さらに、柔軟に動く関節が搭載されており、
これらが連動してペッパーくんの働きを担っています。
中身は基本的にはパソコンなので、プログラミングをすればカスタマイズすることができるのです。
このプログラミングの開発環境は、ソフトバンクから公開されており、誰でもペッパーくんの開発に携わることができます。
また、開発は複数の言語に対応しており、初心者からプロフェッショナルまで多くの言語に対応しております。
Android studio(Googleが提供するAndroid開発用プラットフォーム)、PythonやC++などの言語だけではなく、
シンプルなGUIの開発ソフトも付属しているため、プログラミング未経験者や子供でもプログラミングが可能です。
一見、かわいい顔したペッパーくんですが、かなりのポテンシャルを持ち、私たちのプログラミング次第では、
人間を大きくサポートする可能性が秘められています。
今後は、さらなる音声認識技術の発展や、データの蓄積により、
ペッパーくんがAI(人工知能)案内ロボットしてますます活躍することで期待できそうです。
講談社、手塚プロダクション、NTTドコモ、富士ソフト、VAIOの5社が、
日本が世界に誇るロボットキャラクター・鉄腕アトムの精神を受け継いで、昨年2月に立ち上げた「ATOMプロジェクト」のご紹介です。
それぞれの強みを生かし、最新の技術が注ぎ込まれた家庭用コミュニケーション・ロボット『ATOM』の
完成版が、10月1日より全国一斉発売となりました。
希望小売価格は21万2900円(税別)で「家族の一員となるロボット」を目指します。
漫画「鉄腕アトム」の作者、手塚治虫さんの生誕90年を記念し企画されたATOMは身長約44センチ、体重約1.4キロです。
二足歩行し、アニメの主題歌などを歌い踊るほか、最大12人の顔と名前を見分けて励ましたり慰めたりするなど、
多彩なコミュニケーション機能を備えています。
日本初の本格的コミックキャラクター型コミュニケーション・ロボットとして最新の人工知能を搭載しています。
インターネットを通じ有料のAIサービスにつなげば、会話相手の関心事や好みを把握し、思い出を共有します。
ATOM本体のAIは、インターネット経由でNTTドコモの自然対話プラットフォームと接続し、
クラウド上でのアプリケーション「成長する会話力」と連動します。
ATOMの性格は「みんなが大好きで好奇心旺盛、ちょっとおちゃめな現代っ子」と設定されています。
頭部に搭載されたカメラで、正対した人の顔を見分け、子ども、成人男性、成人女性、お年寄りの4属性を判断し、
顔写真やニックネームなどを登録できる友だちは最大12人までです。
登録された友だちには伝言を残すこともできます。
そのほかにも、
絵本や音楽、映像を再生する2.4インチ液晶ディスプレイ(タッチパネル付き)、
世界的に有名な拡張性の高い小型コンピュータ「Raspberry Pi3」や頭部や首、両腕、両脚など全18個のサーボモーター
を搭載しています。
ATOMの声は、2003年のアニメ『鉄腕アトム』で担当していた津村まことの声をもとに音声を合成しました。
「あくび」や「くしゃみ」をふいに行うなど、人間らしいしぐさにもこだわっています。
以下にそれぞれの機能などをまとめておきましたので、よろしければご覧ください。
自己紹介をする、自己診断をする、あいさつをする、ラジオ体操をする、励ましたりなぐさめたりする、時刻を教える、アラーム機能、歌う、踊る、きょうは何の日かを教えてくれる、アトムポーズをする、年齢当てゲームをする、県名当て・プロ野球・すもうのクイズをする、旗揚げゲームをする、百人一首を読む、落語を演じる、『鉄腕アトム』のアニメ5話を映す、二足歩行をする。
メールを読む、伝言を伝える、写真を撮り胸に映してメールで送る。
誕生日を名前入りで祝う、思い出を共有する、今週のおすすめ情報を教えてくれる、語彙検索をする、スケジュールを教えてくれる、60ヶ国のあいさつを教えてくれる、行楽情報を教えてくれる、流行語について教えてくれる、特売情報を教えてくれる(「Shufoo!」「Mapion」と連携)、世界のロボットやAIを教えてくれる、スポット検索をしてくれる、留守番をしてくれる、早口言葉を話してくれる、きみまろ格言を話してくれる、手品をしてくれる、占いをしてくれる、心理テストをしてくれる、音楽を聞かせてくれる、しりとりで遊べる、なぞなぞで遊べる、鉄腕アトムや手塚作品のキャラクターを解説する、手塚漫画の傑作10本が読める、手塚先生のエピソードを話す、「朝日小学生新聞」のコンテンツを読む、自分からつぶやく、四択チャレンジ、家族カレンダー、棋譜を読み上げる(アドオン機能)。
旬な世間話をしてくれる(毎日更新)、天気予報を教えてくれる(毎日更新)、ニュースを聞かせてくれる(毎日更新)、絵本を読み聞かせしてくれる(毎月作品が増える)、レシピを教えてくれる(毎月レシピが増える)、キッズボンボンを見せてくれる(毎月作品が増える)、日録20世紀・21世紀を読む(3ヶ月更新)。
ロボットが活躍する社会は、もはや未来の世界の話しではなく、
数年後には、家庭や職場など色々な場所でロボットが使われているかもしれません。
ロボットが話し相手や友人になってくれる日も、もうすぐそこまで来ています。
人間型のロボットは『ヒューマノイドロボット』(Humanoid Robot)と呼ばれていて、
PepperとATOMはまだヒューマノイド化していませんが、
ロボットを人型にするのは、ユーザーに受け入れられるための手段の1つにすぎないという見方もあります。
香港のハンソン・ロボティクス(英語版)による
世界史上初めて市民権を与えられたロボット「ソフィア」もヒューマノイドロボットです。
ソフィアについてはこちらの記事で紹介していますので是非ご覧ください。
2018.11.02
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最近では大企業のみならず、自治体や中小規模の企業にも導入が進んでいるRPAですが、
実際にRPAを導入することによってどのくらいの効果が期待できるのでしょうか?
今回のコラムでは、RPA導入の費用対効果を出すためのヒントとして、
RPA導入で発生する費用や事例について整理していきたいと思います。
RPAツールの種類や導入方法により費用は大きく異なりますが、
RPA導入において、一般的にかかる費用は以下のようなものがあります。
<RPAの導入・運用保守コスト>
RPAツールによって、ライセンス形態(デスクトップ型もしくはサーバ型)や価格が大きく異なりますので、
事前に確認することをお勧めします。
一般的に、デスクトップ型の方がサーバ型に比べライセンス形態はシンプルで費用も安く設定されています。
一方で、サーバ型は価格が高く、ライセンスの単位(ユーザまたはサーバに対して1ライセンスなのか)が
RPAツールによって異なりますので、注意が必要と言えます。
RPAツールの選定にあたって、デスクトップ型かサーバ型かで迷われている場合は、
デスクトップ型/サーバ型両方の機能を備えているUiPath等のツールを検討すると良いでしょう。
こうしたRPAツールを使用することによって、
例えば、まずデスクトップ型で一部の部署でデスクトップ環境で試験的に導入した後、
全社展開する際にサーバ型に切り替え、開発者を増やしたり実行数を増やす、といったことを効率的に行うことができます。
各RPAベンダーのWebサイトを見ると、ライセンス費用については公開していないベンダーが多いです。
検討されているRPAツールが決まっている場合は、一度ベンダーに問い合わせをしてみるとよいでしょう。
RPAは、基幹システムと比較して導入しやすいですが、とはいえある程度の専門スキルが必要なため、
社内人材のみで導入することはハードルが高いと言えるでしょう(下記「RPAの導入ステップ」参照)。
その場合、外部のSIerやコンサルタントへのRPA導入支援を依頼するための費用も検討する必要があります。
”
<参考>RPAの導入ステップ
1.業務ヒアリング/導入範囲検討
対象部署の社員に対して、業務内容の詳細ヒアリングを行い、対象業務のRPA化の可否を判断する。
2.各種ドキュメント作成
対象業務をRPA化するにあたり、ベースとなるドキュメント作成を行う(例:業務フロー、マニュアル、業務一覧など)
3.対象業務のRPA化
RPA化が可能な業務について、RPAツールで自動化する。
(こちらは、各部署のユーザが行うケースもあるが、最初から自動化を行うにはプログラミング知識やツールの慣れ等が必要なため、教育が必要なため、外部のSIerやコンサルタントが行うことが多い。)
4.RPA運用方法の確立
ロボットの構築ルールや運用フロー、保守体制等、各部署にRPAを浸透させるための運用を確立させる。
5.RPA運用の定着化
各部署でRPAを使用するための環境面の整備や社員教育等を行う。
6.RPA導入効果の把握
RPA導入の費用対効果を追跡する。
”
RPAを稼働させるための専用端末や、ロボットを集中管理するためのサーバ等の費用についても検討が必要です。
RPAの稼働が始まると、次はロボットのエラー対応等のメンテナンスが必要になります。
IT部門など、ITに精通する部署があれば、そちらの部署でRPAの保守が可能ですが、
通常業務と並行して保守を行ったり、社内でRPA専門部署を立ち上げることは簡単ではないでしょう。
その場合の選択肢の一つとして、RPAの保守を外部企業に委託するケースがあります。
参考に、以下にRPA保守の実施事項を紹介します。
”
<参考>RPA保守の実施事項
・ロボットの障害時対応/問い合わせ管理
ロボットの起動ができない時など、各部署のユーザからの問い合わせ対応を行う。
・ロボットの開発
各部署からの要望をもとに、対象業務のRPA化の可否判断からロボットの開発までを行う。
・ロボットの改作
インプット情報の変更などがあった際、ロボットの内容を変更する。
・ロボット管理
全社で使用しているロボットを管理台帳等を使用して一元管理する。
・RPAツールのライセンス/ユーザ管理
ライセンス管理台帳等を使用してRPAツールのライセンス/使用者の管理を行う。
”
RPAの導入効果を試算する際にポイントとなるのは、
①対象業務で現状どのくらいの業務時間を要しているのか
②RPA導入でどのくらいの業務時間を削減できるか
を正確に把握しておくことです。
こちらのやり方としては、あらかじめ、業務ごとの時間を把握するためのフォーマットを作成することをお勧めします。
このフォーマットは、最終的に導入効果を算定する際の重要な根拠になります。
フォーマット作成に当たっては、以下のサイト内「業務一覧」を参考にしてみてください。
<参考Webサイト>
(2)RPA導入に向けた初回業務ヒアリング ~ まずはRPAに拘らず現状業務を客観的に分解(RPA biz)
最後に、多くのRPA導入企業が定量的効果として期待する人件費削減効果について整理するために、ある事例を紹介します。
A社では毎月3,000件程度発生する作業があります。
それはA社の顧客からコールセンターにクレームがあった際に、顧客管理システムを更新する作業です。
実際の自動化する作業内容は「クレーム台帳から顧客IDをコピー」「顧客IDを使用して顧客管理システムを更新」の2つです。
これらの作業の一回一回はそれほど多くの時間を要するものではなく、数分の作業ですが、
この作業をRPAで自動化したことによって、月3,000件の業務時間にして50時間も発生していた作業を削減することができました。
月間50時間の工数削減というのは、1日の基本労働時間を8時間とすると約6人日分の削減効果ということになります。
つまり人件費に換算すれば、「毎月6人分の日当を削減している」という計算です。
月給30万円の社員の場合、月間労働時間が160時間だとすると、
この社員の時給は1,875円となり、日当は1万5,000円です。
従ってA社事例の場合、毎月30万円の人件費削減効果があります。
RPAツールを利用するための年間コストが60万円だとすると、一つの業務自動化だけで2か月で費用を回収できてしまう計算になります。
このA社事例では、A社に存在する様々な業務のうちたった一つの業務プロセスを自動化したものです。
従って、このRPAツールの適用範囲を広げれば、さらに多くの人件費削減につながることになります。
いかがでしたでしょうか。
今回のコラムでは、RPA導入で発生するコストや人件費削減効果の事例について紹介しました。
RPAの費用対効果に関してご興味を持たれた方は以下のサイトも参考にしてみてください。
<参考Webサイト>
費用対効果のジレンマを超える!RPAチャットボットでRPA導入時の障壁を解決(Ledge.ai)
RPA導入ROIを明確にする(DEXCAロボティック)
https://dmc-service.com/clarify-rpa-introduction-roi
RPA導入で注意すべき3つのポイント(業務可視化Note)
https://kashika.biz/sps_important_point_of_rpa/
「同僚はロボット」RPAによる人事業務自動化と費用対効果(beyond globalグループ)
https://globalleaderlab.com/rpa?doing_wp_cron=1539406075.5295081138610839843750#tittle5
2018.11.01
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今回の記事では、実際のところ、
RPAを使ってどのような業務がどのように変化するのかを具体的にお伝えしたいと思います。
サンプルとして、請求書作成業務をRPAにより自動化させる方法を簡単にご説明します。
請求書作成業務であれば、会社や業種が違っていても共通する部分が多くあるため参考にしていただけたら幸いです。
*弊社ではRPAはWinactorを使用しているため、この記事ではRPA=Winactorの意味になります。
RPAで自動化するという目線で請求書作成業務の特徴を見ていきます。
上記の点を踏まえてシナリオの作成をしなければなりません。では、どのようにすれば良いのでしょうか。
プログラミングの知識がない筆者(事務員)でもできる方法で紹介します。
「これならうちの社員でもシナリオを作成できる!」という目線で見ていただけたら嬉しいです。
まず、案件のリストを準備します。
エクセルのリストが一番使いやすく、エラーが起きにくいです。
(エクセルはセルの位置が指定ができるため、正確にデータを取ることできます)
独自のシステムを使って管理している会社も多いと思いますが、
そのままのリストを使用する場合は、データ(数値)をRPAが認識できることが条件となります。
認識とは、簡単に言い換えると、データをコピーペーストできるかということです。
独自システムで管理しているリストをCSV変換するのでももちろん大丈夫です。
新しくリストを作成する必要はありません。現在使用している案件リストを利用しましょう。
あくまでも、業務効率化がRPAの使命です。
ここでは、表1のような簡易なエクセルを使って説明します。
上記のような案件リストがあるとします。
赤字部分の請求日・請求書OKマーク・済マークの列が重要となりますので、お持ちの案件リストに追加してください。
使い方は、請求書を作成したいときに「請求日」を入力し、「請求書OKマーク」にOKと入力するだけです。
あとは、RPAが自動で「請求書OKマーク」の列に「OK」が入力されていて、かつ、
「済マーク」の列が空欄の案件を抽出して請求書を作成します。
ここでは、会社整理番号で言うと、A003、A005、A006が該当することになります。
最後、請求書を出力するところまで自動でやってくれます。
(出力の必要がない場合は、特定のフォルダへデータを保存することも、もちろん可能です)
そして、作業が完了すると、済マークの列に「済」と自動で入力し、エクセルを閉じます。
RPA上のシナリオは下記のようになります、簡単ですね(図1)。
エクセルの使い方は分かっていただけたかと思いますが、
一つの案件リストで複数のクライアント宛の請求書は作れるのか?という部分を説明していきたいと思います。
複数のクライアントを管理する場合も、シナリオは1つだけ作成すれば良いのです。
例えば、クライアント毎で異なるフォーマットを使用し請求書を作成したいとします。
この時、シナリオ上は「分岐」という道具を使います。
「分岐」とは、条件式を設定できるパーツです。
例えば、エクセルの「クライアント名」のセルが「あ」のときは、
一番左側のルート(図2)に進むというように設定をすることができます。
この機能を使って、一つのシナリオ内で複数の条件を指定することによって、
無数に進むルートを枝分かれさせることができるのです。
枝分かれさせた後、請求書へどのように反映されるかというと、下の図3をご参照ください。
青い枠の中の情報は、案件リストに入力していた項目になりますので、
シナリオを実行することで、自動でクライアント名や請求日を変更してくれます。
また、請求項目・数量・単価等もあらかじめ案件リストに入力しておけば自動で変更が可能となります。
つまり、どこの情報でもRPAに情報を読ませておけば自動で変更可能となるのです。
そして、人間の仕事は出力された(または保存された)請求書を確認すれば良いだけになるのです。
案件リストに必要な情報を入力していれば、請求書に反映してくれることは分かっていただけたと思いますが、
実は、案件リスト以外からの情報を取ってくることも可能です。
と言うのも、会社によっては複数のシステムを使用していたり、
同じシステムでも他のページに分けて情報を管理していたりする場合もあると思います。
その場合は、RPAが特定の情報については、自動でそのシステムやページを見に行くシナリオを作成しておけば、
一つのリストへ全て情報を集約させておく必要はないのです。
既に他のシステムやページに入力してある情報は、新たに人間が転記する時間をかけるのではなく、
機械(RPA)にデータを探しにいかせるということが効率化への近道です。
では、RPAでクライアント毎の請求書を作成することにより、どんな効果があるのでしょうか。
弊社では実際使用前と使用後では下記の2点が挙げられました。
従来、請求書を作成するときには必ず事務員による転記の作業が発生していました。
例えば、今回例にあげていたクライアント名やクライアントの整理番号等は、人間が手で変更している部分でありました。
そこが、自動化することにより、RPAが正確な情報を持ってきて、入力をしてくれるようになり、人的ミスがなくなりました。
人間が作業していた時間を代わりに機械が担当することにより人間の業務負荷が減りました。
そして、弊社の場合は1人目の事務員が請求書を作成し、他の事務員がダブルチェックを行うという業務フローになっていました。
しかし、自動化することにより、RPAを一人目(請求書作成をする事務員)とみなし、
事務員はダブルチェックのみすればよいことになりました。
そのことにより、2人の人数をかけていた業務が1人でよくなったため、明らかに請求書作成にかける一人当たりの作業時間が短縮することになったのです。
また、従来は、クライアント毎にフォーマットが異なっていたため、その作法を覚えたりマニュアルを見返したりすることにも時間を使っていました。
そういった本来覚える必要のない無駄な情報を扱わなくなることにより、業務負荷が減ったと言えます。
今回は、数ある事務員の業務の中で請求書作成に焦点をあてて説明をしましたが、同じ要領で他の業務も自動化していくことができます。
短縮された時間は、もっと人間らしい仕事(クリエイティブな仕事や専門的な知識を要する仕事)に
割くことができるようになります。
また、人手不足の会社であれば、新たに人を採用するのではなく、
RPAのシナリオを増やすことにより業務をどんどん自動化させていくのも一つの方法だと思います。
実際、弊社では機械ができることは全て自動化する方針ですし、筆者は一事務員としてシナリオ作成に勤しむ毎日です。