2018.02.28
働き方改革を実現するために、多くの会社がRPAに注目しています。導入の成功事例もありますが、失敗事例も目立ってきているのも実情です。RPAの市場規模も年々右肩上がりで、NECやNTT、三菱電機といった大手企業もRPAソリューションを題して、事業を拡大しています。
今回は、大手企業が送るRPAソリューションについてまとめてみました。
2017年1月にNTTデータは、RPA分野におけるソリューションチームが稼働中です。ソリューションチームは、「WinActor(ウィンアクター)」の提供だけでなく、NTTデータ社内の知識や経験を集約させ、サポート力の強化を図り、RPA導入企業へコンサルティングやシナリオ作成など、単純なRPAロボットから、AIを活用した高度なRPAソリューションまで可能とのこと。
最近はMacのシェアも拡大してきましたが、オフィスワークはWindowsマシンの方が主流なため、ホワイトカラーの業務改善が見込めそうです。
NECは、企業における働き方改革を実現するため、RPAソリューションの提供を始めると2017年7月に発表がありました。独自のRPAソリューションソフトウェアだけでなく、これから導入を検討している企業の業務適合における検証サービスと導入後の支援サービスも始めました。
当たり前のことですが、RPAを導入すれば良いというのではなく、どの分野にどういった形で導入すればいよいか。それを考えるのがRPA成功の鍵になります。
5年で30億円という販売目標を立てており、2021年には80億円を超えると言われているため、2022年には100億円と推測すると、シェアの約3分の1を取ろうという勢いです。
三菱電機のグループ会社のひとつである、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)もRPAソリューションに乗り出しています。
MDISが提供するRPAソリューションは、RPAツールにOCRやERP、AIなどを組み合わせたものです。画像認識技術により、独自で開発したアプリケーションにも対応するのが特徴的で、ユーザーの直感的な操作をベースに容易に業務シナリオを自動化することができます。
その他、業務可視化ツールとコンサルティングでRPA導入企業の業務効率化を促進することが期待できます。
RPAソリューションを提供する会社は年々増え続けています。ベンチャー企業も大手企業もRPA業界に参入し、市場規模が拡大しているようです。
大手は独自のメリットを活かしながら、RPAソリューションを提供していくことでしょう。
導入前の適性検査など行い、失敗しないRPAを組み上げたいですね。
2018.02.26
RPAに関するセミナーは、最近増えてきています。働き方改革という政府の方針を元に、労働環境の改善から始まり、少子高齢化による将来的な労働力確保の困難、それだけでなく、ヒューマンエラーの削減やコスト削減など、導入することをメリットと考える企業が出てきています。
人手が足りないなら、AIやロボットに業務を代行させようという動きもあります。
しかし、業務の自動化やロボット・AIを使った業務に慣れている企業ならまだしも、ITに疎い(もしくは弱い)企業からすると、ついていけない内容です。では、どうしたらいいでしょうか。
RPAセミナーに足を運び、メリットやデメリットなども踏まえて、情報を集めるところから始めましょう。今回は、開催されたRPAセミナーについてまとめました。今後の開催はわかりませんが、開催企業を知ることで、問い合わせも容易になります。そのような使い方をしていただければ幸いです。
2018年2月16日に行われた『RPAの落とし穴〜失敗しない業務の自動化とRPA導入手法とは?〜』。経営コンサルティング会社のAIMCが、RPAに適合する業務や選定、導入から運用にかけて起こる課題や解決方法について事例を交えて解説した内容です。
当初、応募より多くの方が参加することになり、急遽拡張しての開催となり(定員120名)、RPAに関する注目度は高まっているように感じます。
当日の模様もAIMCの公式ホームページに記載されていますし、当日の資料も請求することができます。これからRPAについて、情報を集める企業様にとってプラスになる内容です。
http://www.aimc.co.jp/seminar/past/?myPost=1586
株式会社エル・ティー・エスのシニアコンサルタント吉野貴博氏による、RPAの無料セミナーが2018年2月27日に行われました。定員20名と小規模での開催。このRPA無料セミナーは『失敗しないRPA導入』と題して、RPAの基礎的なお話から、どのようにすれば効果的に活用できるのか。失敗事例を交えながら、RPAの重要な基盤について説明するといった内容です。
複数の導入経験を元に、講師がRPAについて解説します。
公式ホームページから問い合わせることで、RPAに関する必要な情報を収集することができるでしょう。
https://lt-s.jp/service/detail/rpa
『【RPAコンテスト優勝チームの講師が教える】RPAエンジニア育成セミナー』と題して、エンジニア向けのセミナーも存在します。RPAを導入するのは予定しているけれど、細かくカスタマイズしていくためにはエンジニアが必要です。
こちらのセミナーでは、RPAツールのインストール方法からプログラム作成まで、解説したセミナーです。RPAを導入した結果など、ビジョン的なセミナーが多い中、実際にどう動かしていくのかを語られているセミナーは少ないです。ある程度、社内でできる人材を育成していくためにはエンジニア系のセミナーもチェックしておく必要があるでしょう。
http://www.bigtreetc.com/services/
RPAセミナーに関して、過去に開催されたセミナーを紹介させていただいました。RPAのセミナーは定期的に行っています。どういったことを知りたいのか。基礎的なことなのか、応用なのか。導入事例や失敗事例は?など、気になることを直接講師に聞けるセミナーは、学ぶ場所としてかなり良いです。
今回、取り上げたセミナー主催者(ほとんどがコンサルティング会社だが)に問い合わせを行い、有用な情報や今後のセミナー開催日程など、収集してください。
2018.02.20
RPAやAIに関して、世の中的にも関心は高く、多くのコンサルティングファームもサービス提供に乗り出しています。
世界最大の経営コンサルティングファームのアクセンチュアもRPAの波に乗るだけでなく、リーディングカンパニーとして評価されるなどRPA分野における活躍は目覚ましい。
特に金融機関に向けたデジタル変革の支援を通じて蓄積した知識や技術を集約したフレームワーク「ACTS(Accenture Connected Technology Solution)」は、業界を一変させるサービスです。
様々な分野・産業に精通し、戦略立案や業務改善など、コンサルティングを提供しているアクセンチュアだからこそできるソリューションといえるだろう。
日本国内の金融機関の動きは欧米諸国に比べてかなり遅いものがある。金融サービスを受ける際に、デジタルの波に乗り遅れていると感じる瞬間はありませんか?
ある程度の機械化、オートメーション化、IT化は進んでいるもののもっとスムーズにサービスが受けられたらと思う人もいるでしょう。
欧米の金融業では、10年間で非デジタル人員を70%も削減しようと動いているにもかかわらず、日本はゆっくりしている。
RPAを導入することで業務改善は、人員削減・コスト削減を促します。しかし、部分的に自動化処理をしても焼け石に水であることが多く、数々の業務と情報が連動して自動化処理をする必要があります。
アクセンチュアのACTSは、それが実現可能で、業務改善を大幅に促進させます。
アクセンチュアは、大手海外銀行における海外送金プロセスを見直したところ、22の類似プロセスを5つに集約させることができたとのこと。その結果、大幅な業務効率化が実現できたそうです。
RPAを活用した変革は、高度なイノベーションとしてHfSリサーチ社に評価され、『2016 RPA Premier League Table』において、ナンバーワン企業として選出されました。
名実ともにRPA分野のリーディングカンパニーとして数々の業界を変革していくでしょう。
RPAを導入したとしても、うまく活用できないということが問題になり、思った以上の成果が見られていないことがあります。活用すべき情報を統括し、効果的に処理していくことが重要です。
RPA分野のリーディングカンパニーとして名実ともに評価されたアクセンチュアは、デジタル変革支援フレームワーク「ACTS」を武器に金融業界の大幅な改革を行いました。
実際に導入する金融機関も増えており、成果を上げ続けています。
RPAの導入を考えている企業様は、中途半端に採用するのではなく、大幅な改革が必要だと考えられます。
2018.02.17
RPAの導入を検討している企業が年々増えてきています。RPA導入の目的は労働時間の短縮や働き方改革など、ルーティン化できる業務を自動化することです。RPAツールで設定した仮想知的労働者(デジタルレイバー)に業務を任せることで、人間であれば起こり得るミスを減らし、業務時間や人的リソースも圧縮させることが実現可能です。
しかし、RPAを導入しようと考え実行している企業は相次いで想定していた以上の効果を得られず、プロジェクトが炎上し、失敗に終わってしまっているという話も聞きます。なぜ、失敗に終わったのでしょうか。失敗から学び、RPAを導入する際は、大事にすべきポイントを理解しましょう。
RPAロボットは自分の代わりに全ての業務を代行してくれる。そういった夢のような話をイメージするかもしれません。しかし、そんなことは実現的に困難です。理由としては、RPAツールによって処理を支持されたロボットは、高い精度の自動化には不向きで、業務を代行する労働者的な位置づけをイメージする必要があります。
というのも日本の業務は、かなりカスタマイズ化されており、例外処理の連続です。ロボットからしたら、単純処理ではなく高度な設定になります。これを自動設定することを考えると多くの分岐点が発生し、処理しきれないものはエラーを吐き出してしまいます。
ITやAIは万能だから全てのことが解決できる。そういった考え方はゼロにし、RPAでできることをしっかり把握してから、導入を検討すると良いでしょう。
そのためには、自動化したい業務内容を細かい所まで把握することが大事ですし、RPAが認識できるオブジェクトや座標にあるものを実行する(ボタンであればクリックするなど)程度のものです。
「単純なことしかできないのか。」と疑問に思う人もいるでしょう。しかし、拡張すればできることは増えていきます。例えば、画像認識技術と連動させることができれば、目と認知の機能が備わったことになるため、可能になります。
「RPAにどういったことをやらせたいのか。それは実現可能か。」をしっかり念頭においてから、RPAの導入に踏み切れば良いでしょう。
RPA導入を成功させるために、RPAの特性だけでなく、業務における人事的観点も理解しておく必要があります。一見、単純な繰り返し作業を行っているように思えても、実行する前にその人だからできる高度な処理を行っている場合は、再考した方が良いです。
例えば、その業務を別の方に簡単に教えられる内容であれば、RPAの代行は容易になります。RPA導入となるとシステム側の側面が強いかもしれませんが、人事的な観点で業務に落とし込んでいくことが、結果的に成功に繋がるのです。
RPAの導入を考えている方向けに、失敗事例を交えて考察してみました。まず、RPAを導入すれば全てロボットが解決してくれるという考えは捨てましょう。単純作業でも、業務担当者が複雑な処理を行っている可能性もあります。
例外ばかりの複雑な処理を行っている場合、RPAはエラーを吐き出し、例外の設定を行い続ける必要があるため、導入は困難という判断を下さざるを得ない状況が待っています。
そうならないためにも、業務の自動化だけに注目するのではなく、人事的観点からその業務は自動化できるのかを判断するのが良いのです。
2018.02.16
労働人口が急激に減少している日本で今、RPAの導入が盛んです。
既存の仕事の流れを簡単に自動化出来るのが利点です。
これからますます増えるであろうRPAの導入事例をもとに、各業界のメリットや課題を見ていきましょう。
RPAってなに?
RPAとはRobotic Process Automationの略称で、ホワイトカラー職向けのロボットです。
ロボットと言っても、自動車工場でボディの塗装や溶接をしているようなものではありません。
PRAはオフィスでパソコンに向かう人の代替えとなる存在です。
例えばデータ集計を、エクセルや専用ソフトなど複数のソフトウェアを用いて行うとします。
その際、作業画面を行ったり来たり、コピー&ペーストを繰り返しますね?
この工程を始めから終わりまで自動で行ってくれるのです。
エクセルのマクロはエクセル内でしか機能しませんが、RPAならソフトウェアを跨いで利用できます。
しかも複雑なプログラミングが必要ありません。
RPAツールのフォーマットにフローチャートを記述すれば、誰でも作業を自動化出来るのです。
最大の強みは、全従業員が共通のフォーマットで仕事をするのではなく、各々オリジナルで作業フローを構築出来る点です。
RPAを導入したその日から成果を出し易いという魅力があります。
事例1 三菱東京UFJ銀行
メガバンクの一つである三菱東京UFJ銀行では、RPA開発を自社内で行ってきました。
3〜4年前から作業効率化ツールの開発、検討を実施しており、2017年頃から実用が始まりました。
事例として、送金時のデータ不備チェックや、住宅ローン申込書の確認、保険会社への送付票作成があります。
将来的に、送金依頼に関する人間の作業は、ロボットの処理結果を確認し承認するだけになる見込みだそうです。
その結果、人間が作業に関わる時間は、従来比でわずか10%程度に収まる試算が出ています。
今後の展望ですが、他の業務に置いても、例えば外部委託していた業務をRPAによってスリム化し、内部業務として遂行する見立てです。
現在、RPA導入により、約9500人分の工数削減が実現したそうです。
言い換えれば、既に9500人がリストラ対象になりかねません。
また、RPAを実施した領域は20種に上り、さらに増えていく事が予測されます。
さらに工数削減すれば、反比例的に余剰人員が増加するでしょう。
世間の予想通り大規模リストラを敢行するのか、銀行以外の新たな事業に向けて投資するのか。
今後の動向に注目です。
引用:RPAを活⽤したデジタルトランスフォーメーション 三菱UFJフィナンシャルグループ
事例2 大和ハウス工業
大和ハウス工業では、RPA(BizRobo!)を7つの領域に先行導入、現在も対象領域を拡大しています。
7つの領域は以下の通りです。
・勤怠状況が社内規則に沿っているか、確認すべく勤怠情報を自動取得し、照合する
・業務が法令遵守しているか、情報の収集と整理
・社会保険加入状況の定期的な分析
・連結決算のデータ連携作業
・定型的な日常会計業務
・財務会計データの収集・分析、および管理会計のレポート作成
・公開データの情報収集
大和ハウス工業では、特に工数のかかる情報の吸い上げにおいてRPAを活用していることがわかります。
大和ハウス工業に限った話しではありませんが、RPAは他の事業にも順次、横展開されていくでしょう。
このときにRPAのバージョンがアップされると、これまでのバージョンとは勝手が異なる場合が発生しかねません。
Microsoft officeの場合ですと、更新頻度は少ないですが、RPAとなると、同じようにはいかないでしょう。
引用:アビームコンサルティングとRPAテクノロジーズ、大和ハウス工業のRPA導入プロジェクトを支援 日経新聞
事例3 損害保険ジャパン日本興亜
損害保険ジャパン日本興亜(以下:損保ジャパン)は2018年1月より、RPAを本格導入しました。
これにより年間40万時間以上の工数削減を宣言しております。
保険会社は、電話対応や書類の照合、および発行作業が多い事が特徴であり悩み種です。
RPAの導入により、書類作成やメール配信、さらに承認業務が自動化されます。
・コールセンターへの入電記録を基にした各種書類作成の自動化
・海外再保険システムへのエントリー業務の自動化
・現場からの照会案件の分析機能の向上
・口座振替依頼書の不備メール配信の自動化
・社宅申請・承認業務の自動化
保険会社は人口減少の煽りを直接的に受ける企業です。
RPAによるコストカットは一時的な対策に過ぎません。
いずれリストラの敢行、他業界への参入が必要になるかもしれません。
引用:RPAの本格導入による生産性向上 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
事例4 西濃運輸
人材不足が最も深刻な宅配業界でもRPAの波が押し寄せています。
西濃運輸では2017年8月より、RPAをバックオフィス業務向けに導入しました。
フロントオフィス業務とはマーケティングや営業、受付など、企業と外部を繋ぐ仕事を示します。
フロントオフィス業務を支えるのがバックオフィス業務であり、主務や事務作業などが該当します。
また購買管理や、西濃運輸に限って言えば輸送状況や在庫管理なども該当するでしょう。
人の手でパソコン上をあちこち探す手間が自動化によって省かれるのです。
宅配業界は最もロボット化が進む世界と考えられるでしょう。
ブルーカラーの業務においても、トラックの自動運転を積極的に導入する姿勢が見られます。
この業界への投資は、ベンチャー企業において、有する実力を世間にPRする機会とも言えるでしょう。
まとめ
業界大手4社における事例を紹介しました。
どの事例においてもRPAを使用する上で共通の課題が存在します。
RPAを稼働している最中は同じパソコンで他の作業ができなくなります。
RPAを稼働させる時間が制限され、労働生産性の低下にも繋がりかねます。
また、導入コストが必要なため、大手と中小企業の実力格差が拡大する懸念もあるでしょう。
2018.02.15
注目されているRPAの背景
2017年に内閣府が発表した資料によると、日本では2030年にかけて生産年齢人口が減少し、労働参加が増加しても就業者数は減少する見込みとなっています。民間企業の発表によれば、2025年には労働人口は、最大で1,255万人不足する見込みだそうです。出生率が年々下がっている現状を考慮すると労働者の確保は今後、全ての企業において課題になると考えられます。
労働人口の低下に対する対策として、労働人口増加を図ることがまず考えられています。特に日本においては、高齢者の就業意欲は他国と比較して高いだけでなく、体力・運動能力のスコアも2000年と2015年を比較すると、2015年が上回ることから高齢者も労働力として換算できます。
高齢者だけでなく、女性の労働参加促進も労働人口増加のための施策として考えられます。
日本女性の20歳代後半から30歳代にかけて比率が落ち込むいわゆるM字カーブを描いていることが特徴的であり、これは晩婚・非婚化の進行や共働きの増加などが要因と考えられています。
この特徴はアメリカやヨーロッパでも1970年代に見られた現象ですが、現在では台形型となっています。日本も欧米と同じく台形型になれば労働人口の供給増加が見込めます。
労働人口増加以外に、人でなければ難しいような仕事については従来通り「人」が行いますが、それ以外についてはITツールなどを駆使して、極力「人」が行う仕事を減らすこともまた施策として考えられます。
昨今、様々なITツールやアプリが発表され、世間に浸透してきており、今後もその流れは続くと予測されています。今までなら考えられなかったようなことも機械で代替できるようになってきており、労働力としての人が不要となるケースも増えてきています。
その一方で、まだ開発段階で実用化には至っていないものも多く、どのツールが使えそうなのか、具体的にそのツールを実際の業務で簡単に使うことができるのかが曖昧なものも多いです。そこで、この記事では数あるITツールのなかでも汎用性があり、導入が手軽なRPAについて紹介してきたいと思います。
手軽なRPA導入とは?
RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティクスプロセスオートメーション)の頭文字をとったものです。ロボティクスと聞くと、物理的な存在を伴った機械が自動で動くイメージを思い浮かべる人も多いかもしれません。機械が勝手に動いてくれるものとしては、掃除してくれるロボットやペット用犬型ロボットなどがすでに販売されているのでなおさらです。
しかし、RPAはそういった物理的実体を持ったロボットが人間に代わって働いてくれるわけではなく、コンピューター上で人間ができる作業を行ってくれるITツールです。実体を持っていないため、仮装知的労働者(デジタルレイバー)と呼ばれることもあります。
仮装知的労働者といわれても、具体的にどういう働きをするのかわかりにくいかもしれません。例えば、エクセルのマクロ機能を使ったことがある人はいるでしょうか。マクロはエクセル上で複数の手順を記憶して、それを自動的に実行してくれるツールです。マクロはあくまでエクセルの一つのツールでしかないため、エクセルでできることしかできせん。つまり、例えばインターネットからデータを入手してエクセルに入力して計算する、というようなことはできない、ということです。
RPAに関してはマクロのような限定はありません。パソコン上で人ができる作業についてはRPAで行うことができます。
例えば、あなたが毎日、複数社の株価を入手して、エクセルに入力し、最終的にはグラフにしてレポートを上司にメールで送信しなければならないことがあるとします。
このような場合、RPAに手順を記憶させれば株価の入手からメールの送信まで全てRPAが自動で行ってくれます。それだけでなく、条件によって手順を変更することも可能です。一株5,000円以上の銘柄のみグラフにすることもできますし、担当者が承認した後のみ上司にメールを送信するなど、手順の分岐は様々です。
しかも、RPAのいいところは大量の処理をあっという間に行ってくれるだけでなく、ミスがないというところです。もちろん、処理の内容によっては、パソコン上だけで行うことができなかったり、パソコン任せだとそもそも精度が低いため、人間によるチェックが必要な場合もあります。そういった人が介在する必要がある処理については従来通り、人が必要となるがそれ以外の処理はパソコン上でRPAが自動で処理してくれます。
これだけ聞くと、人が行う仕事はほとんどRPAで行うことができ、人はいらなくなるのではないかと疑問に思われる人もいるかもしれない。いくら労働人口が今後不足する見込みであり、労働力を確保する必要があるとしても、人がほぼ必要なくなると、今度はロボットに職を奪われてしまう恐れがあるのではないでしょうか。
RPAのメリットとデメリット
とても便利なRPAなのだが、現段階においては強みと弱みがあります。RPAはあくまで記憶した手順でしか作動しないという点です。条件を複数つけて場合によって処理を変更することはできるが、記憶していない例外事例については対応できません。また、判断基準があいまいな条件を定義するとRPAが処理できなかったり、間違った処理を行うことがあります。これは、RPAがあくまでルールベースで動くソフトウェアであることに依存しています。
RPAはRPA自身が判断ルールを見つけて動くわけではないため、AIとは少々ことなります。将来的にはRPAにもAIが搭載されて自律的に判断を行うようになる可能性もありますが実用化にはまだ至っていません。
従って、ある程度の仕事については人が行わずRPAが代替処理するため人は不要になりますが、ルール化できない判断や自由な発想が必要とされる仕事についてはなお人が必要とされるため、ロボットに職を全て奪われるという心配は不要です。むしろ何かを判断するために必要なデータを集めて一定のルールに従って整理することはRPAの得意とするところであり、力強い味方になるといえます。
以上のようなRPAの特徴に鑑みると、オフィスで行われる定型作業が最も向いています。RPAのいいところは、疲れ知らずで休憩をとる必要もなければ、睡眠も必要ないため、従業員が全員退社して誰もいないオフィスで夜、与えられた仕事を処理してくれる点です。従業員は朝出社すればRPAが処理した仕事を前提に仕事を進めることができます。
日本では主に、金融業界などでRPAの導入が進められてきたが、定型業務は多くの業界で発生するものであり、適用範囲は限定されていません。ベンダーによっては勉強会を定期的に開催しているところや、スモールスタートが可能なところも多いため、まずは簡単な作業からRPAを導入し、自社に合っているとなればさらに導入範囲を広げていくということも考えられます。
団塊世代が高齢者となる一方、少子化が進み労働人口が不足する可能性がある未来はすぐそこまできています。パソコンでの業務が多い企業にとってRPAは強力な労働量確保のためのツールとなることは間違いないです!
2018.02.14
Robotic Process Automation、いわゆるRPAは近年急速に普及し始めています。
海外製を含め、約40種類のRPAツールが存在するといわれています。
積極的に導入しようとする企業が多いですが、
RPAツールそれぞれ共通点もあれば相違点もあるため、
選ぶときは決して簡単とは言えません。
本文ではRPAの種別を説明した上で、主要なRPAツールの5種類を分析していきます。
本文ではRPAの分類を二つの軸に基づき設定します。
ここでいうシナリオは、ロボットがソフトウェアの起動、
操作や結果の出力など一連の流れを定義したのも。
分類する前に、まずこの二つの軸の意味を分からなければならなりません。
シナリオの作成難易度は単純に難易度を表しますが、ここでは実行環境に関して詳しく説明しましょう。
サーバー型は、個々のソフトウエアロボットをサーバーで集中管理する方式を指します。
RPAのシナリオは、サーバーアプリケーションが提供するスケジューラーなどを使って実行します。
人間のオペレーションを介在させないデータ加工・集計といった、
バックヤードにおける作業の自動化に向きます。
これに対し、クライアント型では個々のソフトウエアロボットをクライアントPCにインストールして実行します。
シナリオを人間のオペレーションによって実行する点もサーバー型とは異なります。
シナリオの実行中に、ダイアログの選択やファイルの指定といった人間の判断や処理を介在させることができるため、
業務部門の担当者が自身の事務作業を自動化し、業務効率化を実現する用途に向きます。
今回紹介する主要なRPAツールは以下の5種類となります。
まず、横軸をシナリオの作成難易度にし、縦軸を実行環境に定義します。
そして、この5つのRPAツールをそれぞれ位置付けすれば、以下の図が得られます。
(http://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/column/17/080700333/101900003/?SS=imgview&FD=-927835360から引用)
従って、Blue PrismとAutomation Anywhereは「サーバー型/専門的」、
UiPathは「サーバー型・クライアント型のハイブリッド/専門的」、
WinActorは「サーバー型・クライアント型のハイブリッド/簡易」、
ベーシックロボは「サーバー型/簡易」となります。
Blue Prism社は2001年に成立したイギリスの会社であり、
同名のRPAツールも開発しています。
2017年7月、Blue Prism社は東京に拠点を設立し、日本で事業強化をしています。
大まかにいうと、エンタープライズ向けの大規模ロボット集中管理を可能にしているほか、
モジュラー型の設計を可能にするアーキテクチャーや充実したセキュリティー機能を備えているというのがBlue Prismの特徴と言われます。
また、Blue Prismはサーバー型であり、ロードバランシングや暗号化、監査などの機能を提供し、
大量のソフトウエアロボットによる作業で生じる大量のトランザクションに対応しています。
また、Blue PrismはPCI-DSS、サーベンス・オクスリー法、HIPPA(Health Insurance Portability and Accountability Act)といった法規制に対応が実現できるため、
高度なセキュリティーという特徴もあります。
現在、特に医療や金融業界で活躍しています。
この業界の中では、例えば健康保険金請求処理やデータの記録などが挙げられます。
また、プログラムを再利用できるモジュラー型の設計を可能にするアーキテクチャーが利用できます。
詳しく述べると、操作したいアプリケーション、業務プロセス、操作定義それぞれ分けて開発できるため、保守性が高いといえます。
アメリカにあるAutomation Anywhere社という会社が元々ソフトウェア開発時のテストを自動化するためのツールでしたが、
現在は「Automation Anywhere」という名がつけられ、世界第1位の評価スコア(フォレスター・リサーチの調査による)のRPAツールになっています。
サーバー型のAutomation Anywhereは機械学習と自然言語処理技術を使った「IQBot」と呼ぶボットを利用して、作業の自動化を実現できます。
Automation Anywhereには録画機能があり、開発した部品が再度利用可能という特徴で、
シナリオ開発効率がよく、保守性も高いです。
UiPathは同名の会社が開発したRPAツールです。
現在本社はニューヨークにあり、日本にも積極的に展開しています、
UiPathはハイブリッドと言われ、クライアント型のようにローカルでできればサーバー型のように集中管理も可能です。
そのため、運用範囲がとても広くなっています。
特に医療や金融分野でよくご利用されています。
例えば医療ではシステムにおける患者の症例管理などがあります。
UiPathのオリジン開発は録画機能があると同時に「Microsoft Visual Studio」と類似UIになっています。
そのため、Workflowが直観的であり、効率よく開発ができます。
WinActorは、日本製のRPAツールです。
NTTグループが主導しているツールでありますが、
具体的に言うとNTTアクセスサービスシステム研究所が開発、NTTアドバンステクノロジが商品化、NTTデータが導入支援ということになります。
WinActorはクライアント型のため、今まではクライアントPCにインストールするのがメインでした。
2017年9月、NTTデータにより管理・統制用ロボットが新しく開発され、
ソフトウエアロボットやシナリオをサーバー上で一元的に管理・統制できるようになりました。
これにより、複数のロボットを使い、多数のシナリオを同時処理が可能です。
現在、WinActorは金融機関、商社など特に利用されています。
シナリオ開発もオペレーション録画機能に対応しますが、
画像解析技術もあり、画像の特徴を解析して操作対象を特定することができるようになります。
よって、操作性の高いフローチャートの作成ができます。
また、開発する際にプログラミングの知識などが必要なく、ハードルが低いという特性があります。
それ以外に、日本製であるため、ベンダーからの支援もとても強いといわれています。
日本では知名度の高いBasicRoboはRPAテクノロジーズが「BizRobo!」シリーズとして開発されたRPAツールの一つです。
BasicRoboの最も大きい特徴としては、複数のロボットが同時に稼働し、Excelなどを並行処理することにあります。
小売、金融、運輸、製造から、政府などまで、幅広く利用されています。
シナリオ開発はオペレーション録画と「スニペット」と呼ばれる部品が使われ、
開発効率向上を図ります。
日本語マニュアルがあり、さらにシナリオ開発画面の一部も日本語対応になっています。
以上、5つのRPAツールを紹介しましたが、実際導入する際にはツールそれぞれの特徴と対象業務の特性を併せて検討しなければなりません。
注意点はたくさんありますが、ここではいくつかを例として挙げます。
以上4つはRPA導入に際し、特に注意しなければならない点ではありますが、
実際にツール選定をする際には、より詳しく検討する必要があるでしょう。
RPAツールの選定、RPAシステム化については、ぜひ弊社にお問い合わせください。
2018.02.13
「技術が進化しているのに、頭を使わない作業が増えるのはなぜなのか」と住友林業のシニアマネージャーを務める成田裕一さんは4年前のある出来ことでそう思った。
2013年、丁度全社がMicrosoft Officeのバージョンアップを行っていた。互換性問題でExcelファイルがきちんと新しいバージョンでも動作するよう、事前にファイルを確認しなければならなかった。当時集めたExcelファイルの数は5000も超えたことに成田さんは驚かされ、スタッフが月半分以上の時間をExcel作業に使っていることに気づいた。IT技術を使って業務進化しようとしているが、業務の時間が減らず、むしろITがらみの作業が増える一方だという事実から、成田さんは本格的に効率向上を図ろうとした。
成田さんはIT部門の中にチームを作り、技術を使って作業時間短縮の方法を模索していた。解決方法を探していた成田さんが2年前、IT展示会で出会ったのがRPA テクノロジーズの「BizRobo!」だった。このサーバー型のRPAを使い、自動化が実現し、さらに他の部門や会社全体にすぐ普及できる。しかも当時「ノンプログラミングでロボットを開発できる」という宣伝があり、成田さんはすぐこのRPAツールの可能性に確信し、導入活動に入った。
RPAを導入するには、コストも高ければ直後利益を出す訳でもない。会社を説得するために、成田さんは慎重に検討し、以下のシナリオを提示した。
ステップ1:社内の生産性を上げる。それだけでも費用は十分にペイできる
ステップ2:社内実践でノウハウを蓄積した後には、グループ会社に展開し、グループ全体の生産性を高める。
ステップ3:RPAで作ったロボットを外販する。これで収益も挙げられる。
また、失敗し時のことを考え、最初はRPA製品を購入するわけではなく、レンタル契約する型になった。
成田さんの努力により、導入が本格的に動き始めた。
早速、住友林業情報システム社内での検証を開始した。最初は即効性のあるロボットを開発し、知識やノウハウを蓄積する狙いであった。また、「ノンプログラミングでロボットを開発できる」を検証するため、開発者をSE以外のスタッフにした。
そして、3人のメンバーが選出され、「業務効率○○時間の効果出すこと」という目標も与えられた。目標の設定し、ロボット化する前と後で作業時間がどれほど短縮したか、短縮した時間を人件費に換算すればそれぐらいのコスト削減が実現したのかを可視化にした。
開発チーム3人は「現場の役に立ちたい」と競争しあい、高いモチベーションを保ち、開発を進めた。1年をかけてデータ収集、書類のデジタル化、定期メール配信など26業務、70以上のロボットが開発され、月に約160時間の作業時間が節約できた。
成田さんの話によると、こんな短期間で成果が上げられたポイントは「業務全体を見直すのではなく、作業の部分最適をすること」だった。
業務全体を最適化しようとしたら、どうしても業務の関連部署の方々を集め、ミーティングから始まる。すると、部門それぞれの立場から「マニュアルはあるの?」「この業務の意味は?」というような質問が繰り返され、話が進まなかった。
成田さんは方法を変え、具体的な作業に集中した。効率化したい業務があったら、そのプロセスに沿ってそれぞれの担当者に作業にかんして詳しくヒヤリングをする。チェックリストを作り、作業の各ステップ内容と時間、繰り返し状況などを可視化する。このプロセスで、「すぐ自動化できる作業」があれば、即効でロボットの開発に取り込み。こうして、無理に業務全体を自動化するわけではなく、できるところから少し少しロボット開発をする。結果、3日間ほどの開発で、30分の業務が2分となる。積み重ね、短期間で即効性のあるロボットがたくさん開発され、業務時間が大幅に短縮された。
このやり方はもう一つのメリットは、開発者が「必ずしも業務プロセスを理解しなくてもいい」。もちろん開発者が業務全体を理解していたら一番だが、これもまた時間かかるし、開発経験の豊富なエンジニアしか対応できないため、コストも上がる。一方、成田さんの方針であれば、開発難易度とコストも高くないし、短期間で即戦力となるロボットが開発できる。
RPAの導入が順調に進み、社内各部署からロボット開発の依頼が殺到した。成田さんの開発チームも正式に「ロボ・ラボ」という名称に変更した。しかし、成田さんはすぐロボットの管理とメンテナンスに膨大な時間が必要となり、このまま開発が進まれたらロボットの運営が難しくなるということに気づいた。よって、現在ロボ・ラボは「ロボットを管理する仕組み作り」に力を入れている。
ロボットを効率的に管理するには、擬人化管理システムが作られた。すなわち、人間の勤怠管理のように、ロボットは現在どこで稼働中」なのか、いつまでメンテナンスをするのかを可視化できるシステムを開発した。こうして、一つのロボットが現在、どんな状況にあるのかを詳しく把握できるようになった。
擬人化管理の理由は大きく二つある。一つは改修履歴と稼働場所をわかりやすくするためであった。
ロボットはWebやExcelなどの操作を自動で行うことになり、ベースの仕様に変更があると作動できなくなる不具合が発生するリスクがある。そのため、ロボットそれぞれの機能、変更の履歴、働く場所など人間の履歴書のような情報を常に把握しておかないと管理するのが難しくなる。履歴書で管理すれば、システムに改修が加えられたら、その改修の影響を受ける可能性のあるロボットを抽出し、動作確認をすることがより簡単にできる。さらに、各ロボットのエラー情報を開発者に知られる「上司ロボット」も開発された。あるロボットが正常に稼働できない場合、この上司ロボットが情報を開発者に送り、対応の要請をする。
もう一つの理由は、「そのロボットを単なるソフトウェアとはみなさず、あえて人間に置き換えてみたほうが、管理方法をイメージしやすいのではないか」という成田さんの考えだった。
誰かが病気などで休むと、部署内の誰かがその仕事を分担しなければならない。人間にしては当たり前の話だが、ロボットでも同じことができるようにならないといけないと成田さんは気づいた。ロボットを人間にイメージして管理すると、この考え方がわかりやすく、従来の勤怠管理の仕方で数多くのロボットを管理することもイメージしやすいであろう。
RPA将来の可能性に関して、成田さんは「ITシステムの開発基盤にもなりうる、「世間ではユーザー部門主導で導入するケースもあるが、むしろIT部門が積極的にリードしてRPAを導入したほうがいい」と考えている。
現在、各企業はクラウドサービスを導入しているが、汎用なサービスであり、自社の業務に最適化していない。すると複数のクラウドを活用する場合サービス間を取り持つ作業を人が行うことになる。
例えば、経費精算のクラウドサービスと会計システムを利用する場合、金額などの項目の転記が必要となり、このプロセスでは上司の承認も含まれる。このシステムを効率化するには膨大なコストをかけて新しいシステムを開発しなければならない。しかし間にRPAを入れれば、実はより簡単かつてコストで実現できる。RPAはクラウドサービスと様々な業務アプリケーションを繋ぐ「ハブ」となると成田さんは考えている。
「即効性」を出すための方法を考え抜いて試し続け、経験から得た知見は、他の導入検討企業に惜しみなく共有している。「ステップ3」に入った成田さんのもとには今や、さまざまな企業が相談に訪れるという。
2018.02.08
「働き方改革」という言葉が声高に叫ばれていますが、業務量がすぐに減ることはなく、どうにかして業務効率化を図る必要があると頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか。業務自体を見直すというのも一つの手だが、ツールの力を借りるという手もあります。そのために有効な手段としておススメなのがRPAです。
RPAとはRobotic Process Automation(ロボティックプロセスオートメーション)の頭文字をとったもので、Blue Prism社が使い始めたのが最初だと言われています(ガートナー社によるとBlue Prism社は世界のRPA市場を占める3強のリーダ群のうちの一つ)。機械型ロボットが工場で生産業務を行うのと同様に、ルールエンジンや人工知能(AI)などを活用したソフトウエア型の仮想ロボットがパソコン上のルーティンワークを代行・自動化する概念と説明されています。
もっと簡単に言うと、エクセルでいうところのマクロです。あらかじめ記憶させておいた動作をRPAは自動で処理してくれます。マクロはエクセルでできる範囲内でしかルールを覚えさせることができないですが、RPAは、得意・不得意はあるものの、パソコン上でできる操作についてルール化されていれば記憶して、自動処理を行うことができます。一般的にRPAは定型作業が得意なため、バックオフィスで行われる作業に向いていると言われるが、それ以外のことができないわけではないです。使い方次第では広い汎用性が認められています。今回は、RPAで業務効率化をどうやって図るかについて説明しましょう。
例えば、生命保険の申し込みをする際に顧客は保険会社が作成した申込書に必要事項を記入します。保険会社は申込書に書かれた内容を手入力でパソコンに打ち込み、打ち込まれた内容を別の担当者が確認するという業務プロセスがあったとします。どんなにタイピングが早い人であっても、処理が必要な申込書の枚数が多くなれば、全てを処理するのに時間がかかるし、入力ミスや入力漏れなどミスの可能性も高くなります。人によるダブルチェックを経ていたとしても大量のデータを処理する場合はミスが増えやすくなるのは自明のことです。
RPAを使うと、入力作業をあっという間に自動処理してくれます(手書きの申込書の場合、RPAだけで業務を処理することはできないため、画像認識ソフトであるOCRを使ってまずは申込書に書いてある内容を読み込む必要がある)。定型的な入力、確認作業のルールをあらかじめRPAに覚えさせておきます。その際にAという欄にチェックがあればBという動作を行うが、Cという欄にチェックがあればDという動作を行う、というように、条件分けによる別動作を覚えさせることも可能です。入力内容や申込書に不備がなければ基幹システムへ入力し、入力作業が完了すればその旨をメール等で知らせてくれます。不備があったものについても通知するようにルールを覚えさせておけば、担当者は不備があったものだけをチェックするだけで良いです。複雑な判断を伴うような作業についてはRPAは不得意なので人で行うことになるが、ルール化できるようなものであれば、RPAが判断することもできます。
このような業務にRPAを導入することによって某生命保険会社では80人で担当していた業務を十数名でこなせるようになったとのことです。単純に人的リソースが減っただけではなく、業務時間の短縮及び業務内容の高品質化も図れたとのことでRPAが強力なツールであることが実証されました。
他にも、社内にある名簿と外部データを仮名氏名、漢字氏名、生年月日などで照らし合わせ、契約の有無をチェックする業務をRPAが代行するようになり、事務工数の40%が削減され、ミスも減ったという事例が報告されています。
RPAが業務効率化に資するといわれる理由はいくつかあります。
まず一つは、RPAは大量のデータであっても人間が処理するより早く処理することができるという点です。また、大量に素早く処理できるだけでなく、ミスがないことも特徴です。業務の特性上、人が行わなければならない業務もあり全てをRPAに代行させるわけにはいかないが、それでも作業工程数は減るため、人的リソースを他の業務に配分することができ、業務効率化が図られます。
続いて、RPAはシステム開発とは異なるため、コーディングが不要で必要なときにロボットに必要な業務を代行させることが可能である点がメリットです。専用のシステムを開発すれば業務効率化は図られるため、RPAである必要はないが、システムを開発するには時間と費用がかかることが大半であり、システム開発をしている間にそのシステムは不要になったというケースも想定されます。しかし、RPAなら必要なときに必要な業務のみを代行するようロボットに覚えさせれば良いため、迅速な対応が可能です。そこで業務効率化という点だけに着目すればシステムを開発するのと何ら変わりはないが、即効性の点でRPAに軍配が上がります。RPAが代行するシステムが複雑でなければ、導入にかかる時間は数週間程度であり、少しずつ導入範囲を広げていくことも可能です。また、RPAにルールを覚えさせる場合、IT関係の知識がなければ各ベンダーが開催している研修会などに参加して学ぶ必要はありますが、RPAの種類によっては数日間の研修で一定の操作を身に付けることができるため、技術者を別途雇用する必要がないのも魅力です。
RPAは金融業界で使用されてましたが、今やその適用範囲をどんどん広げています。例えば、経理システムと調達システムがそれぞれ独立したものである場合、システム間のデータ連携を人で行っていたものをRPAが代行し、データを一度入力すれば後はRPAが自動的に処理することも可能だ。経理システムや勤怠管理システムなどは、多くの企業が利用しており業界に左右されるものではないため、どの業界でもRPAの導入が可能です。交通費などの経費精算や勤務時間の管理などRPAが代行できる作業は多いです。ルーティンワークが一つの部門に集中している企業ほど、RPAの効果が出やすい傾向にあるともいわれています。
昨今ではITツールの進化が目覚ましく、現段階ではRPAが不得意とする業務であっても数年のうちには不得意ではなくなっている可能性もあります。業務量をすぐに減らすことは難しいがツールの力を借りれば、人の業務量を削減することは可能です。働き方改革が声高に叫ばれている今こそ、ITツールを利用した業務効率化を実現化すべきタイミングなのかもしれないですね。
2018.02.07
最近、RPAという言葉をよく耳にされ、導入を勧められることがありますが、ベンダー候補がどれくらいいて、コストはどのくらいかかるのかわからない、という人はいないでしょうか。働き方改革に貢献する上に、業務効率化が図られるというメリットを聞くと、導入しようかな、と思っても実際に導入するにはわからないことが多すぎてハードルが高いという人のために、今回はベンダーとコストがどれくらいかかるのかわかる範囲で説明していきます。
1.RPAテクノロジーズ社「BizRobo/BasicRobo」
Kofax社の製品kapowの日本語OEM製品をRPAテクノロジーズ社が「BizRobo/BasicRobo」という名前で提供しています。
通常のシステムと違い、ノンプログラミングで導入が可能。想定外の事態に際して処理を間違えた場合は、教え直すことで正しいプロセスを学習し成長することができるのが特徴。
コストはイニシャル50万円、ランニング60万円/月。導入にかかる時間は半年~程度。レベニューシェアなども行っている。導入以外のコストとして研修費用があり、30万円~50万円程度。価格帯としては中位に設定されています。提供形態は買い取り型や年間利用型などいくつかあります。
2.BluePrism社
言わずと知れたRPAの老舗。大手IT企業であるIBMやアクセンチュア、デロイトなどのコンサルティング企業などによる代理店販売による市場拡大を進めているようです。
Blue Prismは、エンタープライズ環境で活用できるロボティック プロセス オートメーション ソフトウェア プラットフォームを提供しており、事業部門が所有し、IT部門がサポートすることを前提に設計した、デジタル ワークフォースを実現するための堅牢で高度にスケーラブル、強力で柔軟なソフトウェア プラットフォームであることが特徴です。
コストはおおよそ3年契約での年間最低金額が600万円程度と価格設定としてはRPAテクノロジーズと同じく中位に設定。テクニカルサービスや研修も提供されています。
3.NICE社
イスラエル発祥の会社でもともと軍が盗聴や監視を行うために作成されたため、コールセンターなどでの利用に強いのが特徴。NICEの強みは、ロボットが分析、教育まで行う点にあります。コールセンターの事例では、どのスタッフが効率良く業務を行っているかを分析し、提示するだけでなく、特定の業務に時間がかかっているスタッフに対しては、ガイダンスを表示するなど教育も行ってくれます。
ロボットの種類は人の判断を必要とするアシストロボット(いわゆるRDA)と人の判断が不要な全自動ロボットの2種類があり、アシストロボットは、人の判断が必要な部分は、 アシストロボットのポップアップから指示・入力することで作動します。また、 プロセスのガイダンス、他システムへの必要項目の入力確認等のアシスト機能を提供しているのに対し、全自動ロボットは全ての動作を自動的に行います。
コストはスモールスタートの場合、イニシャルが500万円とシステム開発費(1か月約140~150万円)で、ランニングはロボットライセンス費用の18%(年間)。ロボットの構築はエンジニアが行うため、研修などなくともすぐに使える点が魅力的であり、導入までのリードタイムはシステムの複雑さに依存するが1つの業務フローであれば、調整も含め1か月~2か月で導入可能。研修も希望者に対して有料で行っています。
4.UIPath社
高性能で拡張性のある自動化環境を構築するために設計された、拡張可能なオープンアーキテクチャを提供しています。作業の記録は、単純にアクティビティをワークフローにドラッグ・アンド・ドロップするか、レコーダーという機能を使用するだけで行うことができるのが特徴です。個人向け、オープンソースプロジェクト、研究・教育機関、小規模事業者に対しては無料版が提供される他、法人であっても60日間の無料トライアルが行えます。
スモールスタートの場合(環境開発1、実行環境1)の標準価格は52.5万円程度。大規模な導入の場合でも年間利用料は400万円程度と価格としては低めに設定されています。
5.Automation Anywhere
米Forester Researchの調査によると、世界のRPA市場をBlue Prism社、UIPath社と共に3強としてリーダーの地位にある最大のRPAプロバイダー。
バックオフィス系の業務に強く、中央管理型のシステムを提供しているとのこと。RPAが得意とする一定のルールに従った業務だけでなく、機械学習を用いて柔軟な動作をさせることができるものの、シナリオを設計する部分はやや難度が高いため、専門的な知識が必要とされるようです。
最低利用金額は年間で、1,296万円程度と他社に比べると高めに設定されています。そのため、小規模での導入は難しい可能性があります。
6.NTTアドバンステクノロジ社「WinActor」
NTTアドバンステクノロジ社が開発した国産RPA。Excelやブラウザはもちろん、ERPや、ワークフロー、OCRから個別の業務システムまで、Windows端末から操作可能ならあらゆるアプリケーションの操作手順をシナリオとして学習し、自動化できることを売りにしています。
フル機能版で年間利用料が保守費用込みで90万円程度、シナリオ作成機能がなく、実行機能版であれば年間利用料は保守費用込みで25万円程度と価格帯は低めに設定されています。
7.NEC Software Robot Solution
マウス操作やキー入力などを自動実行させるオペレーション部品と、操作対象の有無による条件判断や繰り返し処理などを指定可能なフロー部品を組み合わせることで、ノン・コーディングでのロボット構築を実現するだけでなく、高度な画像認識機能によって画面上に表示された画像や値を識別し、これまで人手で行っていたあらゆる操作を自動化できる。アーキテクチャに依存しないため、異なるアプリケーション間でのデータ連携なども可能です。
こちらもWinactorと同じく日本産のツールなため、マニュアルやインターフェイスも日本語で分かり易く、NECによるサポートも充実している点が売り。
標準価格で1台当たりの年間利用料が288万円程度と少し高めの設定だが、保守費用も含まれた上での価格設定となっています。
他にもベンダーはいくつかありますが、今回は日本でも代表的なところをピックアップして紹介しました。金額にばらつきがあるのは、各社が提供しているRPAのソフトウェアにはそれぞれ特徴があるためです。HP上などでは書かれていないですが、スモールスタートが可能な場合もあるため、各社に問い合わせすることをお勧めします。
2018.02.05
最近、ニュースなどで「第四次産業革命」という言葉を聞くようになりました。
第四次産業革命とは何かについて内閣府が詳しく説明したページがWeb上にあるのでそれを参照して少し第四次産業革命について考えてみましょう。
(参照:http://www5.cao.go.jp/keizai3/2016/0117nk/n16_2_1.html)。
内閣府によると第四次産業革命では、
「技術革新により、①大量生産・画一的サービス提供から個々にカスタマイズされた生産・サービスの提供、②既に存在している資源・資産の効率的な活用、③AIやロボットによる、従来人間によって行われていた労働の補助・代替などが可能となる」とのことです。
これから革命が起こるのではなく、実は既に革命が始まっており具体的には、
製造業者による自社製品の稼働状況データを活用した保守・点検の提供や、
一般のドライバーの自家用車に乗って目的地まで移動できるサービス、AIを使った自動運転の試行実験、
個人間で送金や貸借を仲介するサービスなど今までとは異なるサービスも生まれています。
では、第四次産業革命で一体何が変わるのか。
ICTの活用によるテレワークの更なる普及や、シェアリング・サービスによる個人の役務提供の機会の増加などで柔軟な働き方が可能になることが考えられます。
また、比較的特殊なスキルや技術の必要のない一部の製造、販売、サービスなどの仕事に加え、
バックオフィス業務などについてはAIやIoTによる代替が可能とする見解もあります。
すべての業務をAIやIoTが代替することは考えられにくいですが、労働の価値がAIやIoTの台頭によって変化することは間違いないです。
AIやIoTによる業務代替で生じるメリットの一つは更なる効率化が図られることです。
効率化が図られることによって、サービスの提供や商品価格の低下が可能となるだけでなく新たな需要が創出される効果が期待されます。
AIや機械によって労働の代替が促されることから、AIや機械の市場が今後拡大されることが予測されます。
AIはまだ実用化に至っていないものも多く、今後の動向が気になるところでありますが、
その他の数あるITツールのなかでも特に注目したいのは、RPA市場です。
RPAとはRobotic Process Automation(ロボティクスプロセスオートメーション)の頭文字をとったものであり、
仮装知的労働者(デジタルレイバー)と呼ばれることもあります。
どういうロボットなのかというと人がパソコン上でできる作業を代わりに行ってくれるという、まさにありがたいものです。
ロボットといえど、自律的な判断ができるわけではなく、人が定めたルールに従って動くため、
ルールを定められないような行為はできないし、
漠然としたルールに従って動くことは苦手(人が意図していない動きをすることがある)など決して万能選手ではないですが、
その代わり定型作業は得意で、人が数分かけて行うこともRPAなら数秒で終わらせることができることすらあります。
いつかはRPAにもAIが搭載されて自律的な判断が必要とされる業務を人の代わりに行うことができるようになるとされていますが、
現段階でも十分にお役立ちツールであることは間違いないです。
2010年頃から一部の企業がRPAを提供しているようですが、
一般に広がったのは2016年から2017年にかけてだと考えられ、特に2018年に至ってはますますその勢いは増すと予想されています。
経産省が発表した資料によれば、RPAを含む産業用ロボットの市場は2025年には5.3兆円、2035年には9.7兆円まで増加すると推測されています。
日本は今後超高齢化社会に突入するため、労働力不足が懸念されています。
RPAは労働力不足を補う一つのツールとして位置づけられています。
そのため、ロボット産業の市場拡大に合わせ、RPA市場も拡大していくと考えられます。
RPAの導入によって労働力不足を補えるとしても、
導入にかかるコストと導入によって補われる労働力が釣り合うものであるかは多くの経営者が不安に感じるところでしょう。
例えば、何かシステムを導入するといった場合、導入までの期間が1年以上かかるだけでなく、
金額も5,000万円と桁違いの時間とコストがかかることもあります。
そうなるとRPAを導入できるのはほんのわずかの大企業だけになり、
日本に数多く存在する中小企業ではとても十分な費用対効果が見込めないことになってしまいます。
しかし安心してください。RPAのベンダーは数多くあり、日本支部があるところもいくつかあります。
RPAはソフトウェアの一つであり、基本的な部分においてはどのベンダーのRPAを導入しても同じことができますが、
RPAにルールを覚え込ませる方法などはそれぞれ違うし、どういう動作に特化しているのかなどそれぞれ特徴があります。
また、コストが高い方が良いのかというと、それも一概に肯定できるものではないです。
RPAが労働力不足を補うためのツールであると考えると、労働不足に陥っているといっても、
各々の企業によって不足している部署や職種は異なるはずです。
従って、労働力不足やより効率化を図りたい部署や業務内容が何かを考慮した上で、
コストに見合うだけの効果が得られるRPAを選ぶことが重要となってきます。
低価格帯のRPAだとランニングコストだけを見ると年間数十万円で済む場合もあり、中小企業にとっても強い味方となることは間違いないです。
RPAが大変便利で良いものであることは理解してもらえたのではないかと思いますが、一つ注意をして欲しいことがあります。
それは、導入前にきちんと体制を整えておくということです。
実はRPAの導入だけならそれほど難しくなく、最短で数週間で導入することも可能な場合があります。
目先のことだけを考えるならば低コストで早く導入できるならばそれに越したことはないのですが、
RPAの汎用的な能力を十二分に活用しようと思うのであれば、事前準備に時間をそれなりにかける方が望ましいです。
中長期的な視点で見れば、結局は最初の準備にしっかり時間をかけることで予想していた以上の効果を期待できるかもしれません。
人間がいきなり運動しようとすると怪我をするのと同じで、
RPAも導入前にしっかり準備運動をしておいた方が、より良いパフォーマンスが生まれます。
RPAの導入についてお困りであれば、ぜひとも弊社にご相談ください。
2018.02.02
RPAという言葉を聞いたことはありますか?これはRobotic Process Automation(ロボティクスプロセスオートメーション)の頭文字をとったもので、2016年から様々な企業が導入しているソフトウェアの一つです。
インターネットが整備され、パソコン一台で様々なことができるようになった現代では、ソフトウェアがますます重要な地位を確立しています。今回はそのなかでも今後様々なところで利用が可能であり、また、強力なツールとなるRPAについて紹介していきます。
RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティクスプロセスオートメーション)の頭文字をとったもので、日本では仮装知的労働者(デジタルレイバー)と呼ばれることもあります。れっきとしたソフトウェアの一種で、おおざっぱに言うと、人がパソコン上で行う作業をソフトウェアが自動で行ってくれるというものです。
エクセルのマクロと同じようなものだと思ってもらえればイメージがつきやすいかもしれません。マクロはエクセル内で記憶させた手順に従って処理を行いますが、RPAはエクセルに限定されず、パソコン上でできる作業であれば記憶した手順に従って自動で処理を行います。
RPAのソフトウェアを販売しているベンダーはだんだん増えてきています。RPA協会もすでに設立されており、セミナーなど頻繁に開催されているものの、希望者が多く参加は抽選になることもあるといいます。各社が出しているRPAはそれぞれに特色があるため、導入する際には複数のベンダーに話を聞くと面白いと思いますが、その前にRPAをそもそも導入するメリットがあるのか、について少し考えてみましょう。
RPAはソフトウェアであるから24時間365日疲れ知らずに働くことができます。つまり、夜中や早朝に大量であっても仕事を処理してくれる。人間があらかじめ定めたルールに従ってRPAは処理を行うため、定めたルールに誤りがなければ、ミスなく短時間に処理してくれるわけです。退社する前にRPAに頼んだ仕事は次の日の朝には出来上がっており、それを使って次の作業に移ることができます。
続いて、RPAは複数のアプリケーションにまたがったワークフロー上で稼働してくれるため、適用できる業務の範囲が広いという点です。最初にインターネット上にある会員ページにログインして情報を入手した後、入手した数字をエクセルに貼り付け、計算式にしたがって計算して結果をメールで一層配信する、ということも可能です。
API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)が数多く公開されていることもRPAの普及に一役買っています。シュミュレート可能な業務範囲が一気に広がったためです。
さらに、RPAの導入は大規模なIT投資不要で行うことが可能であり、資金にそれほど余力がなくとも導入できる点が大きな魅力です。
以上の点が主なRPA導入のメリットです。
次は、ベンダーについて述べていきたいと思います。
RPAという言葉を使い始めたと言われているのが、イギリスのBlue Prism(ブループリズム)だ。2001年に設立されており、RPA業界では老舗にあたる。実績としてはNY Mellon、Commerzbank、ING、Nordea 、Raiffeisen Bank、Westpac、Zurich、Aegon、IBM、Maersk、Nokia、Procter & Gamble、Siemens、Co-operative Banking Group、Shop Direct、RWE npower、Fidelity Investments、NHS(イギリス国民保健サービス)、O2 など数々の実績があり、ガートナーに「Cool Vendor」と評価されています。
BasicRoboはKofax社の製品kapowの日本語OEM製品として提供されており、BizRoboが提供するソリューションの一つだ。日本語に対応しているため、わかりやすいのが特徴で、日本生命などでの実績があるのが特徴です。特に日本生命の事例では、80人の人員で対応していた処理がたった十数名で対応できるようになったというから驚きです。BasicRoboはRPAテクノロジーズが提供しているが、RPAテクノロジーズでは他のRPAソフトウェアも提供してます。
UIpathは「The Forrester Wave™: Robotic Process Automation, Q1 2017」においてRPA業界のリーダーに選ばれた企業で使いやすさが売りです。UiPathは、業界で最も直感的に操作できる豊富な機能を備えた自動化開発環境を提供しており、ロボットワークフローの構成を素早く簡単に構築できる点が魅力です。実際に導入するまえに2か月間お試しで無料で使うことができ、Youtubeなどで手順を公開しています。最近、日本語のチュートリアル動画がアップされたことからよりわかりやすくなりました。BBC Studioworks Productionsでの導入事例では、処理速度が3倍になっただけでなく、顧客受注残の減少率が100%という結果を出しています。ニューヨークに本社があり、様々な業界で導入されています。
Winactorは2010年にNTTの研究所で産まれた国産のRPAソリューションです。Excelやブラウザはもちろん、ERPや、ワークフロー、OCRから個別の業務システムまで、Windows端末から操作可能ならあらゆるアプリケーションの操作手順をシナリオとして学習し、自動化できることを売りにしています。金融業界での導入事例が多いようだが、民間企業だけでなく公共でも導入実績があるようです。(HP上において近日公開とのこと)。NTTデータはソリューションを提供しています。NTTデータといえば日本でもよく知られている企業であるだけに、NTTが開発したWinactorにも期待ができそうです。
ここではこれ以上、紹介しないですが他にもRPAを提供しているベンダーは数多くあり、世界中で開発が進められています。そのため、今後新しいソフトウェアは次々出てくるためこの記事の内容もすぐに古くなるかもしれません。新しいソフトウェアが出てくると、できる業務も広がる可能性があるため、大変楽しみですね。
最後にRPAの可能性について少し紹介したいと思います。
現段階でRPAができることは事前に定めたルールに従って業務を処理することです。RPA自身が何かを判断して業務を処理することは今のところできません(2018年1月現在)。自律的な判断を行うのはAIであり、まだRPAにAIが搭載されていないためです。AIが搭載されたとしても、AIが学習するため膨大なデータが必要になるため、すぐに期待する結果がでるかどうかはわかりません。今後はRPAにAIが搭載され、自律的に判断し業務を処理してくれるようになるだけでなく、OCR(Optical Character Recognition/Reader 光学的文字認識)などとの連携の精度が今より上がると考えられます。そうなれば、定型的なわずらわしい業務に梃子摺らされることもなく、より人間しかできない知的な部分にリソースのほとんどを割くことができるようになります。
将来的に労働人口が不足するとの推計が発表されていることからすれば、人のリソースをどこに重点的に配分するかはすべての企業で考えられなければならない課題となるはずであり、RPAはその課題を解決するための一つの強力なツールとなることは間違いないと思います。
2018.02.01
銀行や保険業界などで盛り上がっているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ですが、具体的にRPAを説明するのは難しいですよね?会社がそろそろRPA導入を考えていて担当者になってしまったという方から会社のIT部門に所属している方まで、RPAの概要とどのようなセミナーが行われているのかまとめてお伝えしたいと思います。
そもそもRPAって何?
RPAを説明するにあたり、そもそも社会的にどのような背景があるのかから見ていきましょう。近年、厚生労働省が生産性向上や就業機会の拡大のために働く環境に着目しています。例えば「プレミアムフライデー」など、多様な働き方含めて健全な労働環境を整えられるよう取り組んでいます。また、経営者側にも働き方において悩みが多くあります。超高齢化社会によって、人手不足であること。それに対して、人手を多く確保したことで競争環境が大きく変化したときに、大きな負担(人件費)となってしまうこと。さらには、個々の生産性向上を従来以上に要求されるようになっていることなどが挙げられます。
この解決策として、白羽の矢がたったのが「RPA」です。RPAとはロボットによる業務自動化を指しています。今まで人間が行っていた反復作業をロボット(AI)を用いて、業務代行させ、生産性向上と人件費削減という効果をもたらします。そのため、反復作業、書類などの事務作業の多い、金融業界、保険業界などに注目を浴びています。とくに金融業界などは正確性も求められますが、ロボットに業務代行することで、正確性まで向上します。もはや、人間いらない…と笑。
金融業界での取り組み
実は金融業界では、先程述べたようなメリットは非常に重要なため、数年前から注目されていて、2014年に三菱東京UFJ銀行はRPAを導入しています。当初は事務処理作業をRPAを活用して効率化を図るということでした。具体的には、顧客からの送金依頼の際に発生する送金ファイルの取得、不備チェック、銀行システムへの取り込みなどの業務をRPAにて業務代行しました。その結果、従来の業務フローと比べて約50~90%の労働時間削減に繋がりました。
導入前に業務フローの定型化から
これを聞いて、「だったらすぐにRPAを入れよう!!」と考えた方へ、要注意です。RPAは反復作業に強く、AIを搭載して業務代行してくれます。しかし、そもそもの業務フローが煩雑かつ変動する場合にはRPAを導入するのは難しいと考えた方がいいです。AIといっても広義の意味であり、基本的には反復作業を行うもの、Excelでいうところのマクロのイメージです。とはいっても事務作業はやはりRPAに代行させた方が効率性、正確性、人件費削減などの観点からインパクトの大きいソリューションです。ですので、RPAを導入する前には、業務フローを見えるかし、極力定型化していくことをお薦めします。もちろん自社で行うのでも構いませんが、業務の定型化などはコンサルタントファームなどが得意としている分野ですからRPA導入と含めて、業務フローの見直しをするのも良いかと思います。
セミナー情報
さらっとご説明しましたが、このような概要をセミナーでは説明されます。「Blogではなかなか理解できない」、「最新技術を知りたい」といった方はぜひセミナーにも足を運んでみてください。セミナー情報を少々まとめましたので、ぜひご覧ください。
「RPAセミナー・展示会情報 – ユーザックシステム」
「RPAご紹介&導入のポイントセミナー」
「RPA Bank」
2018.02.01
RPA(Robotic Process Automation)は、2015年頃から急速に日系企業の中でも導入検討が進められています。まず導入が進んだのが、銀行や保険をはじめとした金融業界です。これは新聞や雑誌の記事でも発表されているのでご存知の方も多いでしょう。その他にもコールセンターにてオペレータースタッフのアシスタントとして使われる例や、経理・人事・総務といったバックオフィス業務のBPOセンターでの活用例も聞かれております。基本的に定型業務があるところであれば、どの業界にも使える技術であるため、通信、広告などでも間接業務の領域を中心に広く採用され始めています。
RPAについて
具体的なRPAの導入事例を語る前に、RPAの適用が向いている業務はどのようなものか整理したいと思います。まず第1に挙げられるのは、定型業務であることです。エクセルへの転記や入力作業、定型フォーマットに基づいての契約書/申請書の処理、決まったWebサイトからの情報取得、会計ソフトや勤怠管理ソフトなど複数システム間の連携支援、決まったルールに基づいてのメール送受信、といったあたりが代表的になります。このRPAでよく使われる「定型」という言葉の意味ですが、一般に人間にお願いするルーチン業務よりさらに踏み込んだ本質的な意味で「定型」である業務がより望ましいとされています。現在のRPAアプリケーションのほとんどは他のITシステムと同様にプログラミング言語を通じて、ローカルのPCを動作させるのに過ぎないものですので、そのプログラミングしたルール以上のことはできません。なので、毎回毎回、フォーマットが違う申請書であったり、項目の名称が出す人によって異なる帳票(例えば、請求金額のことを「金額」としたり「ご請求」としたり)であったりすると、人間だと容易に判断できることであってもRPAだとIf分岐が膨大になり導入に困難が生じることになります。その場合、やはり一度申請書や帳票のフォーマットを統一化/標準化するといったBPRの取り組みから始めることをお勧めします。
第2の特徴として挙げられるのが、高頻度で繰り返し行われる業務であることです。RPAは現在非常に便利な開発ツールが市場に出ているので比較的素早く作れるのですが、それでも他のITシステムと同様に開発コストがかかります。そうなると当然ROIの観点が求められますので、まずは「ボリュームのある」業務が対象となります。ただし負荷が大きいといっても、年に1回の決算処理や、社内イベントの事務処理といった作業となると、その期間中は業務負荷が非常にあるものの年間全体を通すとそこまで大きな量ではない場合が多く、最初のRPA導入対象としては向いていません。また、年単位の作業の場合、仮に今年1回目の作業を自動化できたとしても、来年は諸々の事情で作業内容やルールの改正が必要になるケースが多く、その場合、その都度RPAを修正しないといけなくなり、ROIの観点からすると適しているとは言い難いです。従いまして、やはり最初のトライアルとして向いているのは、毎週もしくは、少なくとも毎月発生している作業が良いかと思います。
RPAの導入事例について
これらのRPA向きの業務に対して、具体的にどのような導入事例があるでしょうか。まず契約/口座開設処理や信用評価など繰り返し行われる定型業務が膨大にあり、そのためのスタッフを多く抱えている金融業界から導入事例が挙げられるようになりました。まず、日本の生命保険大手の日本生命が2014年12月に、東京都内の拠点でロボット2台を導入しています。このときはまだ試験段階であったかと思われますが、このロボットは「ロボ美」と名付けられ、非常に業界を賑わしました。1年の試験運用を経て、人間の同僚スタッフからもこのロボットの仕事は高い評価を得たということで、更に適用業務を増やしていっています。このロボットが担当しているのが主に「金融機関窓販商品」の事務作業となり、新規の申込書類の受付や保全関連の手続き、そして支払処理といったバックオフィス業務全般を、現在では年間およそ15万件処理しているとのことです。もともとこの窓販商品は急速に成長している金融商材になるため、人手を増やす必要があったのですが、オフィススペースの制約などから人間の採用には限界がありロボット導入を検討したのが契機となっているようです。
2015年11月には三菱東京UFJ銀行も本格的な取り組みを開始しています。三菱東京UFJ銀行では、約20種類の事務処理にRPAをパイロット適用する実験を行い、約8,000時間分の事務処理作業を自動化できたと伝えられています。また、2017年には三井住友銀行がRPAの本格導入を発表しており、2020年3月末までに1500人分(300万時間分)の業務量を自動化するという目標を立てています。
もちろん、RPAが導入されているのは金融業界だけではありません。オリックスグループも2016年にレンタカー事業の営業事務の領域でRPAの導入を開始しています。オリックス・ビジネスセンター沖縄では、旅行サイト等から受け付けるレンタカーの予約情報を基幹システムに登録する作業を行っていましたが、夏の繁忙期ではその処理件数は、1日300件にもなり、キャンセル対応等のほか業務も合わせると非常に膨大なスタッフを必要としていました。そこでRPAの導入を2016年から進め、現在は画期的な成果を出しています。このようにWebサイト/他システムから基幹システムというように仕様の違う「システム間の繋ぎ」業務はまだ人間の手で行っているケースが多く、RPAにおける有望な適用領域となっています。
その他にも、通信および様々なIT商材を手掛けるソフトバンクでもRPAの取り組みが発表されています。まず自グループ内の業務でRPAのトライアルを行い、そのノウハウを得たのちに最終的に自社IT商材の一つとして外販を2017年から始めています。また、広告業界最大手の電通もRPAを導入しており、2017年末時点で合計400件の業務を自動化することを発表しています。そして、2019年末までに2,500件の業務の自動化により、社員1人当たりの労働時間を2割減らす方針を打ちあげています。自動化の対象業務の例として、広告掲載するメディア企業からメールで送られるエクセルシートの集計作業等が挙げられています。特に、この電通での取り組みは、近年提唱されている「働き方改革」の一環として行われている模様です。また、リクルートでも2015年からグループ会社であるリクルートコミュニケーションズを中心にグループ内でのRPAの導入が進められています。例えば、事業会社が発行するメールマガジンの本文に含まれる多数のURLに間違いがないかどうかの確認にRPAを適用していたりしているとのことです。
RPAの開発方法
多くの企業でまさに今現在、導入が進められているRPAですが、その開発の仕方も各社各様ですが、大きくは「専任チーム型」と「現場お任せ型」に分かれます。通常のシステム開発はそもそも限られた人しか設計/プログラミングの開発スキルを持っていないため、現場で実作業をしているスタッフ自らが開発することはなく、社内システム部もしくはシステムベンダーが要件定義と称した現場からのヒアリングを通じてシステムを構築していきます。これを仮に「専任チーム型」と呼びます。一方、RPAはその使いやすいAPIから分かる通り、もともと現場のスタッフが自ら操作してプログラムを作れることを想定の中に入っています。従って、各現場チームの中から比較的ITリテラシーの高い人材を選出し、そのメンバーに対してコーチングを施し即席プログラマーを育てます。そして各チーム/各部署がそれぞれ対象業務を自由に選び自動化していきます。こちらの方法を「現場お任せ型」と呼びます。
この「現場お任せ型」は、開発スピードが速く、素早く成果を得ることができる一方、どうしても各部/各チームでプログラムの出来にバラツキが生じてしまい、管理コストが高くなります。コーポレートに所属するシステム部や管理部が把握できていない、これら現場作成によるロボットのことを通称「野良ロボット」と呼んだりもします。また、複数同時開発になるため、複数のロボットアカウントが必要となり、ライセンスフィーの費用が嵩んでしまうことも懸念として挙げられます。その点、「専任チーム型」は品質の担保はできますが、その分スピードは遅くなります。その場合は、やはり最初からロケットスタート切るのではなく、まずはパイロットとして限られた業務のみを自動化し、成功したら自動化の範囲を拡大していく、というようなステップに分けた取り組みが求められます。